歯科用語集
2025年10月28日

カリエス

「カリエス」とは?歯科用語の解説と症例を紹介

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定義・語源

カリエスとは、歯の組織が細菌によって破壊される病態を指す。具体的には、歯のエナメル質、象牙質、さらには歯髄に至るまでの進行性の病変である。語源はラテン語の「caries」で、「腐敗」や「崩壊」を意味する。カリエスは、虫歯とも呼ばれ、主に糖質を栄養源とする細菌が歯の表面に付着し、酸を産生することによって発生する。これにより、歯の硬組織が脱灰し、最終的には痛みや感染を引き起こすことがある。


臨床における位置づけ・判断基準

カリエスは、歯科医療において最も一般的な疾患の一つであり、早期発見と適切な治療が重要である。臨床においては、視診やX線検査を通じてカリエスの進行度を評価する。判断基準としては、歯の表面の変色、穴の有無、痛みの有無などが挙げられる。また、カリエスの進行度に応じて、予防的処置、充填、根管治療などの治療法が選択される。保険点数においても、カリエスの治療は重要な位置を占めており、適切な診断と治療が求められる。

関連用語・類義語との違い

カリエスに関連する用語としては、虫歯、脱灰、再石灰化などがある。虫歯はカリエスの一般的な呼称であり、日常的に使用される。一方、脱灰は歯の硬組織が酸によって溶け出す過程を指し、再石灰化はその逆の過程である。これらの用語は、カリエスの理解を深めるために重要であり、臨床現場でも頻繁に使用される。カリエスの進行を防ぐためには、適切な口腔衛生管理やフッ素の使用が推奨されている。

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成人の約30%が罹患していると推計される「知覚過敏」データで見る知覚過敏知覚過敏は日常臨床においてもよく見られる症状ですが、実際に3人に1人が知覚過敏症状を経験しており1,2、若年者*に至っては5人に2人が経験しています。3*18~35歳また成人の2/3が歯周病に罹患していると言われている現代、歯周病罹患患者のうちで知覚過敏症状を発症しているとされる方は60%以上*とされています。冷たいものや甘いものを口にした際に感じる鋭い痛みは、日常生活において大きなストレスとなるため、歯周病だけでなく知覚過敏症状も現代人の口腔内の悩みとして大きい割合を占めていると言えるでしょう。*Haleon調べ知覚過敏の病理・病態カリエスがなく、しみるという訴えがあるとき「知覚過敏」と一言でまとめてしまいがちですが、その定義はエナメル質が摩耗したり歯肉が退縮することによって象牙細管が露出することで生じる一過性の疼痛で、刺激(主として熱,脱水,擦過,浸透圧,化学的刺激)を加えることにより短く鋭い痛みを発するのが特徴です。知覚過敏が発症するケースは多岐に渡りますが、開口した象牙細管の内部にある組織液がさまざまな刺激により動くことにより、閾値が下がり、鋭敏となった象牙細管内の神経終末や象牙芽細胞が興奮し痛みが生じるという動水力学説が一般的に考えられています。Hys症状改善方法の違い知覚過敏の発生機序から考えて、症状改善方法として3つの方法が考えられます。1つめは結晶物を析出させたり、レジン系やグラスアイオノマーセメント系の材料で行う「象牙細管の封鎖」です。次に、グルタールアルデヒドとハイドロキシエチルメタクリレート(HEMA)などを主成分とする各種製品やレーザーなどにより「タンパク質を凝固させることにより細管内組織液が動かないようにする」方法があります。この2つが主にオフィスケアで用いられている方法です。3つめの方法である「知覚鈍麻(閾値上昇)」に関しては、硝酸カリウムを主として有効成分とする製品が知られています。オフィスケア用の製品もありますが、そのほとんどが歯磨剤としてセルフケア用に使用されており、予防も含め、ホームケアとして有効成分が含まれた歯磨剤を普段から使用することによって適切な効果を発揮していきます。市場に溢れる知覚過敏症状の抑制効果を謳った各種材料は、いずれも上記のどれかが(複数の場合もあり)採用されています。参考資料1.Addy M. Int Dent J 2002; 52:367–375.2.Ipsos Claimed Penetration Omnibus. January, 2015.3.West NX et al. J Dent 2013; 41:841–851.知覚過敏には患者さんのセルフケア習慣化も重要なぜセルフケアが重要なのか?適切な診断のもと、知覚過敏症状に対する正しい原因除去を行うことができればほとんどの症状は治まりますが、現実には処置後も続く患者の訴えに困ることもあるかもしれません。そのようなときには、繰り返し同じ知覚過敏症状を抑制する製品を使用したり、異なる製品を用いるしか方法はないのでしょうか?実は、知覚過敏症状を抑制するためには効果的な順番があり、その順序を守らないと望ましい効果が得られないのです。まずは「知覚鈍麻」させた後に「凝固」させ、それから「象牙細管の封鎖」を行うというプロセスで行うのが望ましいでしょう。凝固や象牙細管の封鎖に関する処置を行なった後に知覚鈍麻を行なっても、効果は十分に期待できず、治らない症状に対して次の手がなくなり困ることになるかもしれません。そのため、患者さんの日々のセルフケアによる知覚過敏に対するアプローチも重要になってくるのです。セルフケアの原則は「歯磨き」知覚過敏の主な原因のひとつとしてプラークコントロールの不良が挙げられますが、プラークの付着は象牙細管の開口に関わるため適切なセルフケアによるプラークコントロールは知覚過敏症状抑制の原則となります。また、軽度の知覚過敏症状であれば、酸性食品、飲料の摂取を控えて適切なプラークコントロールを行えば自然に治癒する場合もあり、予防も兼ねて知覚過敏ケア効果のある歯磨剤を使用して歯磨きを行うことが知覚過敏に対する基本的な対処法として考えられます。知覚過敏ケアの定番『シュミテクト』『シュミテクト』は、知覚過敏の症状を予防するための歯磨剤で、海外では『Sensodyne(センソダイン)』と呼ばれ、世界中で高く評価されています。知覚過敏用の歯磨剤の市場規模が拡大する中、『シュミテクト』は特に注目されるブランドであり、2024年1月時点で、18年間連続で売上を伸ばし、市場をリードしています。*歯がしみるのを防ぐ「硝酸カリウム」や、歯肉の炎症を抑える「グリチルリチン酸モノアンモニウム」、う蝕予防に役立つ「高濃度フッ素1,450ppm」も含まれており、知覚過敏症状だけでなく、歯周病、口臭、ホワイトニング、う蝕といった多様なオーラルケアニーズにも対応しています。*インテージSRI+ハミガキ市場2023年5月~2024年4月累計販売金額シェア(「シュミテクト」シリーズ計)『シュミテクト』研究員にインタビュー『シュミテクト』の歴史と『シュミテクトプラチナプロテクト EX』の開発秘話今回は、Haleonジャパン株式会社のオフィスに実際に伺い、研究開発担当の中谷 遼太朗氏に、『シュミテクト』の歴史と、新商品の『シュミテクトプラチナプロテクトEX』の開発秘話についてお伺いしました。Haleonジャパン株式会社 研究開発担当 中谷 遼太朗氏── まずは、シュミテクトの歴史について教えていただけますか?はい、シュミテクトの歴史は非常に長いです。まず、1961年にアメリカとイギリスで『Sensodyne original』として誕生しました。その後、1980年に、硝酸カリウムを含む初の歯磨剤『Sensodyne F』が登場し、臨床的に知覚過敏症状抑制効果が証明され、画期的な製品として大きな注目を集めました。1992年には、日本で初めて硝酸カリウムを配合した『シュミテクト』が発売され、それ以来、多くの方に愛用されています。さらに進化を続け、2024年3月には『シュミテクトプラチナプロテクトEX』が新たに発売されました。── 新製品『シュミテクトプラチナプロテクトEX』の開発に至った背景をお聞かせください。ワンディー株式会社 編集部・高橋 佳奈これまでのシュミテクト製品は、知覚過敏症状に対する有効成分として硝酸カリウムを主に配合していました。従来の製品でも十分に効果を発揮していましたが、より広範囲のユーザーに効果を届けたいという思いから、今回の『シュミテクトプラチナプロテクトEX』では新たに、有効成分の乳酸アルミニウムを加えました。これにより、より幅広いニーズに応えることができる、さらに効果的なケアを実現する製品が完成したと考えています。『シュミテクトプラチナプロテクトEX』の特徴とエビデンス── 『シュミテクトプラチナプロテクトEX』の主な特徴について教えていただけますか?先ほどもお伝えしたのですが、『シュミテクトプラチナプロテクトEX』は、硝酸カリウムと乳酸アルミニウムという2つの有効成分を配合しています。硝酸カリウムは歯髄神経の過敏性を鎮めることで、内側からの知覚過敏症状を軽減します。一方、乳酸アルミニウムは露出した象牙細管の穴を塞ぎ、唾液中のリン酸イオンと結びついてリン酸アルミニウムとして結晶化し、外側からの刺激を防ぎます。Haleonジャパン株式会社 メディカルアンドサイエンスアフェアーズ オーラルヘルス研究員 金山 昌氏このダブルの効果により、「鈍麻」と「封鎖」の両面から知覚過敏にアプローチします。さらに、寝ている間が知覚過敏ケアに有効な時間であることに着目し、こちらの『プラチナ プロテクトEX 集中ナイトケア』を開発しました。就寝前に使用していただくことで、長時間有効成分が歯にとどまり、象牙細管をしっかり封鎖し、外からの刺激を防ぎます。この他にも、歯周病予防のために、抗炎症作用を持つ「グリチルリチン酸モノアンモニウム(MAG)」、う蝕予防として「高濃度フッ素」が含まれており、知覚過敏の症状を防ぐだけでなく、歯周病やう蝕予防にも効果的なケアが行えます。── 『集中ナイトケア』の効果を示すエビデンスはありますか?ナイトケア製品は、象牙細管の封鎖効果が8時間後に2倍以上増加することが研究データで確認されています。このデータは、ナイトケアとして就寝前に使用することで、長時間にわたり知覚過敏をケアできることを示しています。さらに、これだけではなく、当製品は耐酸性の効果も持ち合わせています。酸性のクエン酸溶液を用いた実験では、封鎖物が流されず、酸に対して強い保護層が形成されることが証明されました。── 製品の信頼性については、どのような点が重視されていますか?当社では「信頼されるサイエンス」を理念に掲げ、科学的根拠に基づいた製品開発を行っています。法律で義務付けられていないことでも、品質保証のために社内の厳しい基準を設けています。たとえば、私たちの歯磨剤は全て、品質保証期間を通じて、フッ素がう蝕予防に有効な形(遊離フッ素)として製品に存在することを担保しています。また、新たに配合した乳酸アルミニウムは酸性の成分ですが、歯磨剤のpHをを中性に保ちながら有効成分の効果を最大限に発揮できるように設計されています。これは高度な技術であり、成分同士の相互作用を考慮しつつ効果を保つためのバランスを取ることが求められます。このような徹底した品質管理と研究開発の取り組みが、実際に製品を使用したお客様から「効果を実感した」「知覚過敏症状が改善した」といった評価を得ることにつながっていると考えています。Haleonヘルスパートナーに登録する3つのメリット!Haleonヘルスパートナー(旧:GSKヘルスパートナー)ではオーラルヘルス、特にセルフケアに関する知識を深めるためのコンテンツや、歯科医療従事者の日々の臨床をサポートする情報を提供するプラットフォームです。著名な講師が登壇。臨床に役立つ情報をウェブ講演会で無料配信!象牙質知覚過敏症、歯周病、義歯安定剤や義歯洗浄剤、口腔内装具用洗浄剤に関するウェブ講演会を無料でご視聴いただけます。過去のウェブ講演ダイジェスト 動画もご覧いただけます。 患者さん用無料サンプルでセルフケアを習慣化!診療がスムーズに患者さんのセルフケア習慣化をサポートするための患者さん用製品サンプルをご依頼いただけます。歯磨剤(シュミテクト・カムテクト)や義歯安定剤、義歯・口腔内装具用洗浄剤などインターネットから簡単に患者さん用サンプルをオーダーいただけます。日々の臨床にお役立てください。製品情報と患者さん用資材ダウンロード製品情報や、セルフケアの指導に活用していただける患者さん用資材をダウンロードいただけます。ぜひ、こちらよりアカウント登録をして申し込んでみてはどうでしょうか。無料で登録する
1D編集部
2024年9月27日
カリエスの診断と処置。歯科臨床で役立つ症例と術式の判断ポイント

カリエスの診断と処置。歯科臨床で役立つ症例と術式の判断ポイント

カリエスの定義と臨床的意義カリエスとは、歯の硬組織が酸によって脱灰され、最終的には歯の構造が破壊される病態を指す。主に口腔内の細菌が生成する酸が原因であり、特にミュータンス菌が関与していることが多い。カリエスは、初期段階では無症状であるが、進行すると疼痛や感染を引き起こすため、早期の診断と適切な処置が求められる。臨床においては、カリエスの進行度を評価し、適切な処置を選択することが重要である。特に、歯科医師や歯科衛生士は、患者の口腔衛生状態や食生活を考慮し、予防的なアプローチを行うことが求められる。カリエスの診断方法と症状カリエスの診断には、視診、触診、X線検査が用いられる。視診では、歯の表面に見られる変色や穴、黒ずみを確認する。触診では、歯の表面の凹凸や硬さを評価することができる。X線検査は、特に初期のカリエスを見逃さないために重要であり、歯の内部の状態を把握するのに役立つ。症状としては、初期段階では無症状であるが、進行すると冷たいものや甘いものに対する過敏性、疼痛を伴うことがある。これらの症状は、患者にとって生活の質を低下させる要因となるため、早期の診断が重要である。カリエスの処置と術式カリエスの処置には、主に予防的処置と治療的処置がある。予防的処置としては、フッ素塗布やシーラントの施術が挙げられる。これらは、歯の表面を強化し、カリエスの発生を防ぐ効果がある。治療的処置には、カリエスが進行した場合の充填治療やクラウン装着が含まれる。充填治療では、虫歯部分を除去し、適切な材料で充填する。クラウン装着は、歯の構造が大きく損なわれた場合に行われる。これらの処置は、患者の歯の機能を回復させ、疼痛を軽減するメリットがあるが、適切な判断と技術が求められる。カリエス治療における注意点とコツカリエス治療においては、いくつかの注意点が存在する。まず、患者の口腔衛生状態を把握し、必要に応じて歯科衛生士による指導を行うことが重要である。また、治療後の再発防止のために、定期的なフォローアップを行うことも欠かせない。さらに、治療に使用する材料の選択も重要である。例えば、コンポジットレジンやアマルガムなど、各材料にはメリットとデメリットが存在するため、患者の状態やニーズに応じた選択が求められる。カリエスの予防と患者教育カリエスの予防には、患者教育が不可欠である。歯科医師や歯科衛生士は、患者に対して口腔衛生の重要性や正しいブラッシング方法、食生活の改善について指導する必要がある。特に、糖分の摂取を控えることや、定期的な歯科検診の受診を促すことが、カリエスの予防に寄与する。また、フッ素の使用やシーラントの施術を通じて、カリエスの発生を未然に防ぐことも重要である。これにより、患者の歯の健康を維持し、治療の必要性を減少させることができる。
1D編集部
2024年6月1日
カリエスリスクの評価と管理。歯科臨床で役立つ症例と処置の判断ポイント

カリエスリスクの評価と管理。歯科臨床で役立つ症例と処置の判断ポイント

カリエスリスクの定義と重要性カリエスリスクとは、個々の患者がう蝕(カリエス)を発症する可能性を示す指標である。カリエスは、歯の硬組織が酸によって溶解される病態であり、早期発見と適切な管理が求められる。カリエスリスクの評価は、患者の生活習慣や口腔内環境を考慮し、リスク因子を特定することから始まる。この評価は、予防的処置や治療計画の立案において非常に重要であり、歯科医師や歯科衛生士は、リスクを正確に判断することで、患者に最適なケアを提供できる。特に、リスクが高い患者に対しては、早期介入がカリエスの進行を防ぐための鍵となる。カリエスリスクの評価方法カリエスリスクの評価には、さまざまな方法がある。一般的には、患者の病歴、口腔内の診査、生活習慣の確認が行われる。具体的には、以下の要素が評価される。1. **口腔内の状態**:う蝕の有無、歯石やプラークの蓄積状況。2. **生活習慣**:食生活、特に糖分の摂取頻度や飲食の習慣。3. **唾液の質と量**:唾液の分泌量やpH、緩衝能。4. **過去のう蝕歴**:過去にう蝕を経験したかどうか。これらの情報を基に、患者ごとのリスクを評価し、適切な処置や予防策を講じることが求められる。カリエスリスクに基づく処置と術式カリエスリスクが高い患者に対しては、予防的な処置が重要である。具体的な処置には、フッ化物塗布やシーラントの施術が含まれる。1. **フッ化物塗布**:フッ化物は、歯の再石灰化を促進し、う蝕のリスクを低下させる。特に、リスクが高い患者に対しては、定期的なフッ化物塗布が推奨される。2. **シーラント**:歯の咬合面にシーラントを施すことで、プラークの蓄積を防ぎ、う蝕の発生を抑制する。これらの処置は、患者のカリエスリスクに応じて適切に選択されるべきであり、歯科医師はその判断を行う必要がある。カリエスリスク管理における症例の考察カリエスリスク管理においては、実際の症例を通じて学ぶことが重要である。例えば、ある患者が高頻度で甘い飲料を摂取し、過去にう蝕の経験がある場合、カリエスリスクは高いと判断される。この患者に対しては、フッ化物塗布やシーラントの施術を行い、定期的なフォローアップを実施することで、リスクを低下させることが可能である。また、患者の生活習慣の改善を促すことも重要であり、食生活の見直しや口腔衛生の指導を行うことで、長期的なリスク管理が実現できる。カリエスリスク評価のメリットとデメリットカリエスリスク評価には、いくつかのメリットとデメリットが存在する。**メリット**:1. 早期発見:リスクを評価することで、う蝕の早期発見が可能となる。2. 個別対応:患者ごとのリスクに応じた適切な処置が行える。**デメリット**:1. 評価の主観性:評価者の経験や知識に依存する部分がある。2. リソースの必要性:詳細な評価には時間とリソースが必要となる。これらの点を考慮しながら、カリエスリスク評価を実施することが求められる。カリエスリスク管理における注意点カリエスリスク管理を行う際には、いくつかの注意点がある。まず、患者の生活習慣や口腔内の状態を正確に把握することが重要である。また、リスク評価の結果に基づいて、適切な処置を選択することが求められる。さらに、患者への説明を丁寧に行い、理解を促すことも大切である。患者が自らのリスクを理解し、予防に積極的に取り組むことが、カリエスの予防につながる。
1D編集部
2024年6月1日
ランパントカリエスの診断と処置。歯科臨床で役立つ症例と術式の判断ポイント

ランパントカリエスの診断と処置。歯科臨床で役立つ症例と術式の判断ポイント

ランパントカリエスとはランパントカリエスは、急速に進行するう蝕の一形態であり、特に小児や若年者に多く見られる。通常のう蝕と異なり、複数の歯に同時に影響を及ぼし、短期間で歯の構造を破壊する特徴がある。この病態は、主に不適切な口腔衛生、甘い飲食物の摂取過多、フッ素の不足などが原因とされる。臨床的には、歯の表面に黒褐色の斑点が現れ、進行すると歯冠が崩壊することもある。したがって、早期の診断と適切な処置が求められる。ランパントカリエスの症状と診断ランパントカリエスの主な症状には、歯の痛み、知覚過敏、歯冠の変色が含まれる。診断は、視診と触診を基に行われ、必要に応じてX線検査を実施する。特に、X線検査では、歯の内部におけるう蝕の進行状況を把握することができるため、重要な診断手段である。また、患者の食生活や口腔衛生状態を確認することも、診断において重要な要素となる。これらの情報を総合的に判断し、ランパントカリエスの診断を確定する。ランパントカリエスの処置と術式ランパントカリエスの処置には、う蝕の除去と歯の修復が含まれる。初期段階では、う蝕部分を除去し、フッ素塗布やシーラントの適用が有効である。進行した場合は、クラウンやインレーなどの修復物を用いることが一般的である。また、歯髄が影響を受けている場合には、根管治療が必要となることもある。これらの処置は、患者の年齢や全身状態を考慮し、適切な術式を選択することが重要である。ランパントカリエスの予防と注意点ランパントカリエスの予防には、定期的な歯科検診と適切な口腔衛生が不可欠である。特に、フッ素の使用やバランスの取れた食事が、う蝕の発生を抑制する効果がある。また、患者教育を通じて、甘い飲食物の摂取を控えることや、歯磨きの重要性を理解させることも大切である。さらに、早期発見のためには、定期的な診査を行い、異常があれば迅速に対応することが求められる。ランパントカリエスに関する症例臨床においては、ランパントカリエスの症例が多く報告されている。例えば、ある小児患者では、甘い飲料の頻繁な摂取により、数本の歯にランパントカリエスが発生した。この症例では、早期に診断し、適切な処置を行うことで、歯の保存が可能となった。このように、早期の診断と適切な処置が、患者の歯を守るために重要であることが示されている。まとめランパントカリエスは、急速に進行するう蝕であり、特に小児に多く見られる。そのため、早期の診断と適切な処置が不可欠である。また、予防策を講じることで、ランパントカリエスの発生を抑制することが可能である。歯科医師や歯科衛生士は、患者に対して適切な情報提供を行い、健康な口腔環境を維持するための支援を行うことが求められる。
1D編集部
2024年6月1日
【特集取材】2024年米国歯内療法専門医協会(AAE)年次総会に参加してきました(寺岡 寛先生)

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AAEは毎年1回年次総会(annual session)が北米の様々な地域で開催される。今年はカリフォルニア州のロスアンジェルスであった。カリフォルニア州は西海岸に位置し温暖な気候として知られている。日本人にとってはドジャースに入団した大谷翔平選手の本拠地と言うとわかりやすいのかもしれない。私も友人たちとドジャースタジアムに行き試合を見てきた。AAEの年次総会は4月の17日~20日の4日間開催され世界中から多くの歯科医師が訪れる。2016年のサンフランシスコ、2018年のモントリオール(カナダ)以来の3回目の参加となった。4日間を通して多くの魅力的なレクチャーが行われるが、見たいレクチャーが複数同時刻に行われどの公演を見ようかとというジレンマがある。また、隣に座ってレクチャーを聞いているのが世界的に高名な歯内療法医ということさえよくある。携帯電話で専用のアプリがあるのでそこから日程を確認出来、お気に入りのレクチャーを保存できるので日程の確認に非常に便利である。今回、総会への参加と1Dさんに執筆させて頂く機会を得たので体験記として情報を共有したいと思う。因みに筆者は日本で歯内療法専門医として幾つかの医院に出向し診療をしており通常の歯内療法は元より断髄を得意としている。尚、以下に使用している略語を書いておくので参考にして頂けると幸いである。<略語一覧>AAE(アメリカ歯内療法専門医協会)、ESE(ヨーロッパ歯内療法学会)、VPT(生活歯髄温存療法)、NSRCT(非外科的根管治療)、IDPC(間接覆髄法)、DPC(直接覆髄法)、ECR(歯頸部外部吸収)、ICR(侵襲性歯頸部吸収)、TSP(トロントスタディプログラム)、USC(南カリフォルニア大学)、ヒポクロ(次亜塩素酸ナトリウム)木ノ本喜史先生(左から4番目)と現地で集合した友人達と記念撮影(筆者は左から3番目)1日目(4月17日)私は現地には時差の関係で16日に到着したが総会が始まったのが17日なので1日目とする。最初に聞いたレクチャーは「Conundrum of Pulpal Diagnosis Part 1, 2」(歯髄診断の困難性パート1, 2)である。現在、歯髄の診断名は実際の臨床の状態を正しく反映していないと議論され、その診断名自体を新しいものに改善すべきという意見もある。ヨーロッパ歯内療法学会会長のDr. H. F. Duncanは出血や痛みへの過敏さは診断に有用ではなく、より歯髄への深い理解が重要であると述べた。意外に感じたのが歯髄をマイクロスコープ下で直視することに関しても否定的であった。私見では日本のDr.泉英之が提唱しているエアーでの歯髄が根管壁から離れると、その歯髄は保存不可能な歯髄であるといった所見や歯髄の正常を拡大下で確認することは非常に重要な因子であると思っている。Dr. Kenneth. M. Hargreavesは世界的に使用されている歯内療法の教科書Pathway’s of the pulpの編集者であるが今後はバイオマーカー、特にMMP-9による歯髄の診断が役に立つだろうと結論づけた。理由はバイオマーカーを使用することはパーソナライズし、術者の主観性を排除することにより信頼性が向上する検査法になり得るからである。最後のスピーカーのDr. Claudia Brizuelaは可逆性歯髄炎と不可逆性歯髄炎の診断にはFGF, IL-6, IL-1α, TIMP-1が有効かもしれないとした。しかしながらこれらはラボレベルでは有用であるかもしれないが、それをチェアサイドで使用できるようにすることが今後の重要な課題であると筆者は思う。続いてDr. Adham. A. AzimのThrough & Through Lesions Explained(スルーアンドスルー病変の解説)である。Dr. Azimは筆者と同い年(39歳)であるが、過去にバッファロー大学で歯内療法科の大学院生を統括するディレクターを行っており、現在はパシフィック大学の准教授という非常に才能に優れている先生である。筆者は2018年の総会で1度レクチャーを受けている。その時は逆根管治療(歯根端切除)でXP-Endoを使用した清掃を行うという新しく革新的な事を行う先生だな、と感銘を受けたことを思い出す。今回のタイトルのスルーアンドスルーというのは病変が大きく頬側骨、口蓋側の骨共に吸収している状態である。この状態で通常の逆根管治療を行った場合、瘢痕による治癒が得られるかもしれないが線維性結合組織による瘢痕治癒となるため、将来的にインプラントが必要になった場合に骨がなく埋入ができなかったり、新たに骨造成が必要であったりと問題となる。そのため出来るだけ逆根管治療時に骨による治癒が望まれるためタイトルとして決めたとのことだった。この理由に関しては筆者も同意見であるため今回のレクチャーを受講した。この病態を理解するためにはまず病変のステージを分類することが重要で、そのステージにより処置法が異なる。因みにDr. Azimは6月1日から行われる日本歯科顕微鏡学会の年次総会で後述するDr. Shanon Patel, Jerry Linと共に招聘されている。その時には今回のタイトルでハンズオンに参加する予定となっているので、その予習が今回でき今から非常に楽しみである。より臨床的に今回の分類とステージ別の処置法を理解できることだろう。レクチャー後に友人と質問をしにいった。2日目(4月18日)Dr. Shanon PatelのManagement of External Cervical Resorption (Surgical vsNon-Surgical:侵襲性歯頸部吸収への対応(外科的 vs 非外科的))であった。Dr. PatelはCBCTの歯内療法領域での使用で高名な先生である。本邦でも著書が日本語訳されて市販されている。侵襲性歯頸部吸収はICR(Invasive Cervical Resorption)とも呼ばれ、しばしばう蝕と間違われることがある。本病態に関し古くからHeithersayの分類が使用されてきたが同演者らによる、より細かく分類された新基準がヨーロッパ歯内療法学会(ESE)から発表されている。X線撮影をした際に偶然見つかることが約半数。原因は様々であるが不正咬合、矯正治療や管楽器奏者に多いとされている。近年ではネコに特有なウィルスがヒトに感染し原因になり得ることも言われている。以前と比較して症例数は増えてきていることを指摘し、悪い意味で過小評価をされていると言及していた。我々が思っているよりも実際には多くのケースが見過ごさられているだろうという意味である。また診断については従来のエックス線検査のみでは限界があるため、CBCTで検査を行うことの重要性も語られた。主題に関してどのような場合には外科的・非外科的に処置するのか、実際の症例を用いて説明され非常に理解しやすかった。余談ではあるが私自身、ECRで悩んでいる症例があるので6月に来日された際にはまた記録を元に相談させて下さい、とお願いをしておいた。セルフィーを一緒にしてもらったが慣れておらず画像がブレてしまった。続いてControversies in VPT:IPC vs DPC vs Pulpotomy Part 1,2(歯髄温存療法における論争:間接覆髄法 vs 直接覆髄法 vs 断髄パート1, 2)である。スピーカーはDr. Stephene Simon, Ashraf Fauad, Nasrin Taha, Domenico Ricucciの各レクチャーとディスカッションであった。今更ではあるがVPTとはVital Pulp Therapy(歯髄温存療法)の略であり、覆髄法と断髄法が含まれる。このセッションの各スピーカーはVPTに非常に精通した歯内療法医と言える。このセッションを含む本年のVPTに関わるセッションは10と非常に多かった。以前からVPTへの注目は大変に上昇していたが、本年で最高潮となったことだろう。因みにVPTに関するAAE総会でのレクチャーは私が調べた限りでは2016年0、17年0、18年1、19年3、20年1、21年5、22年?、23年4、24年10である。最初のスピーカーはDr. Tahaでヨルダン大学の教授で、現在ではコンセンサスになりつつある不可逆性歯髄炎における断髄の高い成功率を報告した。発表当初(現在も?)はかなりの反対意見があったものの、現在では2021年にAAEが発表した断髄のガイドラインにも記載の通り受け入れられつつあるように思う。このパートでは非特異的う蝕除去は特異的う蝕除去よりも成功率が高く、露髄をしたとしても断髄や抜髄を行えば予知性の高い治療となるとのことであった。これはESEが推奨をしている、いわゆるステップワイズエキスカベーションよりも断髄・抜髄のほうが予知性が高い処置であると私は解釈をしている。続いてDr. Fauadは各個人の炎症性ケミカルメディエーターを用いて歯髄炎が鑑別できるかもしれないとの展望を示した。その上でVPTのみならず、各個人に対するパーソナライズドされた歯内療法が必要ではないかと提唱していた。一般的なVPTの予後に関する因子として写真にあるように、カリエスの深さ、宿主の炎症反応、無菌的処置、覆髄材、症状をあげていた。その中でも興味深かったのが歯髄壊死を起こし根尖性歯周炎(+)の患者で疼痛を感じない歯髄炎、いわゆるPainless Pulpitisが生じていたのは40%であった報告(Michaelson and Holland IEJ 2002)を引用していた。頻度はここまで多くないにしても臨床家であれば歯冠崩壊している患者さんに、今までの痛みのヒストリーを聞いた際に別にそんなに痛くなかったと答える患者に1度は遭遇したことがあるのではないだろうか。3番手のスピーカーはDr. Ricucciである。Dr. Ricucciに関してはここで改めて解説をする必要がないほどの高名な臨床家である。彼の非常に美しい切片像は歯内療法のみならず歯科会に大きな影響をもたらしたことは疑いようがない。彼の今回の主張は写真の通り非常に明確で、彼の臨床結果やその切片を用いて説明したうえで特異的う蝕除去は推奨されないということであった。ここで興味深いのがDr. Ricucciはイタリア人であるので立場的にはESEに近いはずであるが、彼の主張のスタンスはAAEのポジションステートメントと近似している。筆者は彼のFacebookグループをフォローしており、上記のような主張が来るだろうと予想していたので驚きはなかったが、臨床・組織像を交えたレクチャーには説得力があると改めて感じた。このセッションの最後のスピーカーDr. Simonのことは事前に存じ上げなかったが、彼の20年に渡る経験に基づくレクチャーを聞いてVPTに対して現在最も考え方が近いと感じた。そう感じたのが歯髄温存に関して歯髄の炎症よりも感染の除去が重要であるというところである。Dr. Bergenholtzはサルを用いた動物実験の研究結果として「歯髄炎が中等度から重症であったとしてもその原因(細菌を含む感染源)が除去できれば治癒する」と1984年に述べており、筆者はこの研究結果は臨床に即していると感じる。このBergenholtzに関しては何も言及していなかったので質問したかったが、時間的にその余裕はなかったので残念である。3日目(4月19日)3日目は午前のセッションのみの参加となった。タイトルはSurgical Retreatment vs.Non-surgical Retreatment Outcomes(Point-Counterpoint:外科的歯内療法 vs 非外科的治療の成功率)である。演者は前述のDr. Adham Azimと日本の誇るDr. Yoshiこと寺内吉継先生である。Dr. Yoshiは破折編除去で世界的にその名を知られており、今回の総会でも毎日ハンズオンコースを行い超人気である。彼の考案した破折編除去の販売を行うSAYA DENTのブースに立ち寄った時、スタッフの方と中東系の先生が話していたのでその中に混ざってみたが、その先生はDr .Yoshiのファンであった。そのハンズオンに参加するためだけにAAEに入会したとのことである。Dr. Yoshiはそれだけではなく、Pathway’s of the pulpの偶発症のパートを執筆したり他にも教科書のパートの執筆を任されたりと日本人として過去になし得ないような事をしている。これだけ世界中にファンがいるのも納得である。話を本題に戻すが、最初にDr. Yoshiがレクチャーを行った。彼は筆者も3期に卒業したDr. Shimon Friedman率いるTSP(トロントスタディプログラム)を運営し通訳をしている関係上、トロント大学をはじめとする教授陣の講義を毎年みておりその影響が伺えた。痛みとは何か、から始まり近年におけるNSRCT(Non-Surgical Root Canal Treatment:非外科的根管治療)と外科的歯内療法の統計処理を行った成功率の比較、その上で外科的歯内療法前に非外科的根管治療を行われたものの方が長期の成功率は高いという結果であった(Huang JOE 2020)。本研究では咬合をサンプル数は少ないものの、咬合があったものでは治癒が悪かったとも報告しており、写真はDr. Yoshiの症例をそれを示したものである。また私の好きな論文の1つである、外科的歯内療法が失敗した歯に非外科的根管治療を行った場合の成功率(84.82%)を報告した研究(Appel IEJ 2023)も引用されていた。一方のDr. Azimは非外科的根管治療が失敗した場合のその原因を列挙し、それが再根管治療では改善できない際に外科的歯内療法により歯を保存するのが良いと説明した。因みにその改善できない場合というのが1根管内の除去困難なバイオフィルム、2根尖孔外感染、3真性嚢胞、4アクチノマイセス菌の感染、5処置上のエラーである。誤解のないように付記しておくとこれら全て術前には分かりようがない場合もあり得る。言い換えると、外科的な処置を行い初めて分かる場合もあり、外科的歯内療法の術前には分からない場合もある。他方で非外科的根管治療がなぜ失敗するのかも考察をしており、その原因は1外科処置上のエラー、2破折である。彼のこのレクチャーにおける結論としては、再根管治療が失敗に終わり抜歯をしなければならない場合に外科的歯内療法が適応となる。場合によっては外科的歯内療法の方が歯質保全という意味で保存的になり得るということである。両者の結論としては非外科的根管治療も外科的歯内療法も必要である、という至極真っ当な意見である。本公演後にDr. YoshiがDr. Jean-Yves Cochetと一緒にいたので話しかけさせてもらった。Dr. Cochetは医科と歯科の免許を持つダブルドクターであり医科の方では耳鼻科、歯科では歯内療法というユニークな経歴の持ち主である。耳鼻科が専門であるため上顎洞のアプローチはお手の物で歯根端切除時にも躊躇なく上顎洞を触るとのことであった。既に何度か日本でハンズオンをやられているが、受講ができなかったのでぜひ来年は来て下さいと両名に交渉をしておいた。3日目はここまでで午前が終了し、午後からは名門のUSC(University of SouthernCalifornia南カリフォルニア大学)のクリニック見学をさせて頂いた。AAEのセッションとは外れるので、最後のプライベートをまとめた項に記載するので、もしご興味がある方がいらっしゃったら見て頂けると幸いである。4日目(20日最終日)最終日は参加人数もだいぶ少なくなったものの、まだまだ魅力的なレクチャーが残っている。日本人に限らず早めに帰った方もいれば、観光を楽しむ方もいれば、私のような人間もいて様々である。この日の最初はDR. Marga ReeのLessons Learned in 45 Years of Endodontics(45年の歯内療法の経験から私が学んだこと)である。この手のタイトルでは抽象的な内容で昔の歴史的な事が語られるかと思われるかもしれない。だがDr. Reeは非常に革新的な歯内療法専門医であり視点が異なる。彼女の凄いところは常に新しいことにチャレンジを行い、術式に様々に工夫を行うことである。例としてはDr. 月星光博が考案した方法だと記憶しているが、意図的再植時に歯を回転させソケット側とドナー歯側の歯根膜の分布を変え、喪失した歯根膜を回復させるという方法である。また彼女の結論としては長く経過を見ればみるほど歯根破折をみる機会が多くなる。破折を回避するためには歯質を可及的に温存する必要があり、そういった治療法をすべきということだ。念の為に上記の写真の彼女の処置に関する推奨の日本語訳を付記しておく。・歯内療法の診断を確立する・プローブの値を確認する(歯根破折との関連)・補綴物を除去しクラックの進展を再確認する・必要があるなら歯内療法を行い、歯冠部歯質を可及的に温存する・クラックを有する歯は全口頭被覆を行い、側方運動の干渉や過度な咬合は避ける・クラックがある場合には患者に予知性が下がるかもしれないことを助言しておく続いてDr. WitherspoonとDr. Benjamin BarborkaのVital Pulp Therapy in Clinical Practice(VPTの臨床)である。Dr. Witherspoonは2018年の総会でもVPTのレビューをレクチャーで行っていたので、6年間でどう変化をしたのかが楽しみであった。一方のスピーカーが少し話したらスピーカーが入れ替わるといった、1人のスピーカーが話し続ける通常のセッションとは異なる進行であった。両者の連携が非常によくスムースな進行であった。ワシントンでの保険データを利用したものでVPTが行われた割合は、全歯内療法処置のうち20%であり、1%程度が歯内療法専門医により行われた。VPTの占める割合はこれくらいかと思うが(私も全処置のうちVPTが30%程度)、殆どのVPTは一般歯科医師により行われているとのことであった。断髄に関しては止血時に生食を使用するかヒポクロを使用するかという論争がある。日本では生食を使用する先生が多いように昨今は感じるが、私はヒポクロを使用する。理由としては詳しくは割愛するが、使用に際して欠点がほぼないからである。本公演でも研究論文ベースでレビューされその有用性が強調されていた。覆髄材ではMTAと水酸化カルシウムが比較され、長期経過の成功率ではMTA71%、水酸化カルシウム59%とMTAに軍配が上がるようである。Dr. Witherspoonは以前より保存可能な歯髄をViable Pulp、不可能な歯髄をNon-Viable pulpと呼称している。私はSavable, Non-Savableと呼んでいるがほぼ同一である。根管治療との成功率の比較では両者に有意差はなく、術後に疼痛発生に関しては断髄の方が少ない傾向にある。また幾つかの論文においてはVPTは根管治療と比較し準備する道具も少なく容易でテクニックセンシティブではないとしているが、彼らは否定的で筆者も同意である。両者も非特異的う蝕除去と特異的う蝕除去についてもレビューをしていたが、5年予後という期間では成功率に有意差はなかったようである。しかしながらDr. Ricucciが指摘したように、また2024に発表されたレビュー(Fraser J, Evid Based Dent 2024)では深いカリエスに対しては推奨されていないとのことである(写真赤線部)。本会最後に受講をしたのがDr. Ronald Ordinola-ZapataのPresent Status ofIntracanal Medicaments(現在の根管貼薬の立ち位置)であった。現在、アメリカでコストなどの問題から1回法が多いと聞く。再根管治療でも1回法が殆どであるという歯内療法専門医の意見も聞くことがある。筆者の知る限りでは現在、再根管治療の1回法の成功率を前向きに調査したものは1論文である。また研究対象歯は前歯のみであることからエビデンスレベルは不足しているものの研究結果では有意差はない。それでは複数回法で用いる根管貼薬は全くをもって不要なものなのだろうか。そんな疑問を払拭してくれるレクチャーであった。病変が大きく排膿が止まらず複数回法にせざるを得ない場合や、年齢による治癒遅延が見込まれる場合には貼薬を行うべきであるということを研究論文から引用していた。筆者の私見では全ての症例に適応するにはまだエビデンスは少ないが、1回法治療は歯種で制限されるものではなく、解剖などの他の制限される因子がなければ行って差し支えないと考えている。実際に根尖性歯周炎を有する大臼歯を1回法で行った症例も良好に治癒している。しかしながら、複数回法で行う症例も多いので貼薬を筆者にとっても必要なものである。以上が私のAAEの体験記である。LosAngeles滞在記以下は私の趣味というか仕事以外の記録である。成田空港からLos Angelesまでは直行便があり、行きは追い風の影響か10時間で帰りは向かい風で11時間30分であった。行きはWi-Fiが使えずプレゼンも進まず苦労をした記憶がある。帰りはWi-Fiにアクセスでき本執筆を行っていたのであまり苦労した記憶がない。気候は温暖で雨が少なくドライであるが今の時期の気温は意外なことに日本の方が高い。寒くも暖かくもないという感じであった。時差は日本が16時間進んでいるため時差ボケで眠れず苦労をした。18時ころでも写真のような明るさなので日はとても長い。まず今回の訪米で感じるのがほぼ全てものがめちゃくちゃ高いということである。異次元の円安ということもあるが米国では1人前の量が日本人には多い。大食漢の私でも多いと感じるレベルである。そして味付けは店のグレードにもよるだろうが非常にシンプルで、この味でその値段!?と驚くことはよくある。私はあまり食べ歩かなかったが、写真のようなブランチでも4000円以上した。ワッフル状のパンケーキにシロップ、フライドチキンが2つとソフトクリームのような見た目で決してソフトクリームではないものがついたものである。ソフトクリームよりも何かもっと脂っぽいものであった。そのため私はWhole foods marketというスーパー(日本で言う成城石井なので少しお高い)のデリをよく買ってホテルで食べていた。基本何でも高いがなぜか水が1ガロン(3.5リットル)で1.3$と激安なのが謎である。下のようにコストコのような見た目である。滞在したホテルはMillennium Biltmore Hotel。由緒あるホテルらしく、よく言えば伝統的ではある。しかしながらリノベーションが行われていないようで50年前にタイムスリップしたような内装ではある。私はあまり気にならないタイプなので気に入ってはいた。ここからが今回の旅の第二の目的であるUSCへの訪問である。ディレクターの先生との連絡がうまく行っておらず若干入れ違いのようになったのだが結局、大学院クリニックの見学と21日に大学内の1室で行われた卒業生パーティにも参加をさせてもらえた。卒業生パーティの方は残念ながらカメラの電池がなくなりまた、携帯電話を紛失したため写真が取れなかったが見学時には写真をとれたので幾つか載せたい。卒業生パーティの方は予めディレクターから時間あるなら来なよ、と言って貰えていたが面識がないので顔を合わせても自分が連絡してきた歯科医師とはわかるはずがない。そのため最後のセッションで座長をされていたのでレクチャー後に話しかけた。私はその前日に拾ったUberの中に携帯電話を置き忘れるという有り得ないようなミスをして交通手段がなかったのだが、残っていた卒業生の先生もパーティに参加されるようで一緒に送っていただいた。パーティでは当然、9割5分が面識のない先生(写真で見たことのある高名な先生は沢山おられたが)達ばかりであったがとても優しく受け入れて頂けた。USCは米国でもトップクラスの学費の高さでも有名であるが、歯内療法科を卒業された先生はやっぱりUSCが一番いい!と仰られていた。暗くなるとUSC周辺やダウンタウン周辺は危険であるため、まだ日があるうちにおいとまをした。交通手段がないのにどうホテルまで帰ったかと言うと、偶然知ったのだが大学からダウンタウンまで無料のバスが出ていて、唯一持っていたタブレットと大学内のWi-Fiで情報を探し無事乗れた。バス停が分かりづらかったが、いかにもアメリカの白人のおっちゃんって方に尋ねたらとても親切に教えてくれた。バスが来て自分が乗るまでちゃんと確認してくれてたので非常にいいおっちゃんである。今回、他国で携帯を失くし現在日本でも切符をいちいち買わなくてはならないという煩雑さもあるが、総じて楽しかった。私は23日まで滞在をしていたが、正直帰る際になったら現地に残りたいとさえ感じた。ここからは海外に行かれる方への注意喚起だが、日本で携帯電話に依存していればいるほど海外で亡くした際には非常に苦労をする。パンデミックのせいかバスの支払いも現金やクレジットカードで直接読み込むという支払い方法は不可で、クレジットカードで予めウェブ経由で購入しておくか、携帯でアプリをダウンロードして支払うか(私のタブレットはGoogle Playが入っているはずだがなぜかアプリをダウンロードできず、この方法を使用できなかった)、しか方法がなかった。 また、日本で使用している各種サイト、銀行やYahoo!にすらログインする際には、普段と違う環境でアクセスすると最近は2段階認証ということで携帯電話にSMSが送られ認証しなければサイトにすら入れない(Yahoo Mailが使用できない)。上記のようにタブレットの使用にもかなりの制限があったが、今回持っていかなかったら無事に日本には帰ってこられなかっただろう。そのため、海外に行かれる方にはPC・携帯のみではなく最低更にもう1つ連絡手段を持ったほうがいい。ベストは携帯電話の2台持ちだろう。もしくはiPadにすることをおすすめする。他には詐欺もある。4日目にスーツを着て昼食を食べに行く際には黒人の2人組に話しかけられ「このカメラで俺等の写真を撮ってくれ」と言われた。この時点で既に怪しいわけだが、これはよくある無理やり何かを買わせる詐欺(?)である。まずはその写真を取らせて、片方が「この相棒はすごく有名な歌手・ラッパーなんだぜ」といい、頼んでもいないのにCDを出してきて自分でサインをする。その後になぜか私にもペンを私てきてサインをするように言ってくる。私はこの手の詐欺を知っていたので、この時点で「ありがとう、でもいらないよ」と言い立ち去った。そこで私がサインしていたらこのCDを駄目にした、金を払えと言ってきただろう。親切心に漬け込んだ詐欺もあるので注意が必要だ。ロスアンジェルスは基本、夜は単独行動は危険なのでそれに比べると日本は超安全というのを実感する。あと食べ物が安くて美味しい。さて、夜は更け現在20時になるわけだが、この体験記も書き終えようやく自宅に到着をする。携帯電話を明日からどうするか考えて今日はゆっくり休むこととする。最後まで読んでいただいた先生がどの程度おられるか分からないが、お読みいただいた先生には感謝です。お読み頂きありがとうございました!
寺岡 寛
2024年5月1日

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