【歯の着色】カレー、コーヒー、赤ワイン。最も着色するのはどれ?
「かぶせものの着色をとってほしい」こんな風に患者さんから言われることは日常茶飯事だろう。着色してはポリッシング、また着色してはポリッシング…本当にキリがない。ではそもそもどんな材料が、どんな食事で着色しやすいのだろうか?そこで今回は、CAD/CAM冠用コンポジットレジンブロックの着色について調査を行った興味深い論文について、早速紹介していく。カレー、ワイン、コーヒー。どれが一番着色する?愛知みずほ大学の研究チームは、CAD/CAM冠用コンポジットレジン4種類(Katana Avencia P block, HC HARD, KZR-CAD HR Block, セラスマート300)を対象とし、それぞれをカレー、コーヒー、赤ワイン、生理食塩水に浸漬した際の色調変化について調査を行った。その結果、カレー液浸漬時には全ての資料で大きな色調変化が認められ、浸漬時に得られた色差は、他の浸漬液と比較して最も大きな色調変化が認められたことが報告された。次いでワインによる色調変化が大きく、コーヒーはカレー、ワインに比較すると色差は小さく、そして生理食塩水浸漬時には色調変化はほとんど認められなかった。どうして着色するのか?カレーによる着色は、カレーに含まれるスパイスの一つであるターメリックによるものと考えられている。ターメリックの成分であるクルクミンは、ウコンの根の部分にある色素で鮮やかな黄色を呈しており、カレー特有の色味を作り出している。さらに赤ワイン・コーヒーでは、それぞれに含まれるタンニンが原因で着色を生じているものと考えられる。学建書院出版『スタンダード歯科理工学 第6版』p80には、コンポジットレジンの化学的性質について以下のように記載されている。コンポジットレジンの吸水量は、無機質フィラーを配合しているので、メチルメタクリレートレジンと比べてはるかに小さいが、吸水により若干膨張すること、さらに浸入した水の影響で長期的には材質が劣化することが認められている。とくに、マトリックスレジンとフィラーの界面の結合が加水分解されると、亀裂を生じ、脆弱化が進行する。すなわち、初めに食物由来の色素がコンポジットレジン表面が吸着し、時間の経過とともに口腔内で影響を受け脆弱化したコンポジットレジン内部に色素が浸透し、より着色が進行していくと考えられる。食欲と着色のはざまで今回紹介した研究で、食物に含まれる色素が着色の原因となり、特にカレーがコンポジットレジンを強く着色することがお分かりいただけたかと思う。「では補綴物への着色を防ぐために、食生活を改めよう」とは言っても、中々上手くいかないのが人間の悲しい性である。どうやら我々の着色との戦いは、しばらく続きそうだ。今後のさらなる研究結果が待たれる。参考文献1. 田頭 果枝,(2020), CAD/CAM冠用コンポジットレジンの着色に関する研究, 瀬木学園紀要 = Segigakuen Kiyo 16, 174-1752. 中嶌 裕ら, 『スタンダード歯科理工学 第6版』p80, 学建書院