歯科用語集
2022年3月14日

レジンコーティング

「レジンコーティング」とは?歯科用語の解説と症例を紹介

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レジンコーティングとは?

レジンコーティングとは、間接修復における窩洞形成終了後の窩洞内面、すなわち切削によって露出した象牙質およびエナメル質を直接修復で用いるボンディングシステムとフロアブルコンポジットレジンによってコーティングする方法です。生活歯に対するレジンコーティングの利点は象牙質・歯髄複合体の保護、接着性レジンセメントの象牙質に対する接着性の向上、辺縁封鎖性、窩壁適合性の向上などがあります。


レジンコーティングの方法

レジンコーティングの方法は、通常のコンポジットレジン充填と同じ流れ歯面処理を行い、フロアブルコンポジットレジンまたはボンディング材を窩洞内面に薄く流し込み、光照射して硬化させます。

レジンコーティングに用いられる材料

レジンコーティングの材料は、直接法コンポジットレジン修復と同様に歯面処理剤(エッチング、プライマー)とボンディング、フロアブルコンポジットレジンが用いられます。

レジンコーティングのメリット

レジンコーティングのメリットは大きく分けて2つあります。

①象牙質・歯髄複合体の保護

間接修復の場合、窩洞形成によって露出した象牙質面は、修復物の装着までの間仮封が行われます。しかし、仮封材は封鎖性が悪く、象牙質切削面および歯髄の保護は十分とは言えません。また、仮封材が途中で脱落した場合には形成面の汚染や細菌感染の危険性があります。最近では、切削象牙質面に露出した象牙細管は、そのまま直接歯髄に交通しており、この露出した象牙質切削面は露髄面に相当するとも考えられています。

レジンコーティングによって、象牙質面には樹脂含浸層とコーティング層が形成され、窩洞形成直後に歯質との接着が完了するため、修復物装着までの間、外来刺激を遮断することができ、歯髄と象牙質を保護することが可能です。

②辺縁封鎖性・窩壁適合性の向上

接着性レジンセメントと歯質との接着の信頼性は、辺縁封鎖性、窩壁適合性の良否とも密接に関連しています。また窩洞とインレー体との間のギャップの発生は、術後の咬合痛などの不快症状や辺縁漏洩による術後疼痛、二次齲蝕、修復物の破折の原因になり得ます。

レジンコーティングにより接着性が向上すれば、これら術後の諸問題を軽減することが可能です。

レジンコーティング後の印象採得

レジンコーティング後の印象採得では、寒天-アルジネート連合印象を行います。これは印象材とコーティング面とのなじみが良く、確実な印象採得と模型作製を行うことができ、接着性レジンセメントの接着に影響を及ぼさないためです。

一方、シリコーンゴム印象材を用いる場合、コーティング面表層の未重合層が印象材の硬化を阻害して、正確な模型作製が困難になる可能性があります。さらに、印象材がコーティング面に付着すれば、接着を阻害する原因になります。これを避けるために、レジンコーティング直後に、エタノールの綿球などでコーティング面のレジン未重合層を除去することを忘れてはいけません。

レジンコーティング後の仮封材

仮封材は接着性レジンセメントとコーティング面との接着強さに影響を及ぼすことがあるため、レジンコーティング後の仮封では、水硬性仮封材を用いるのが望ましいとされています。主な水硬性仮封材としては、キャビトン(ジーシー)、ハイシール(松風)などが挙げられます。

一方でデュラシールなどのレジン系仮封材は、コーティング面に付着して除去しにくく、接着を低下させる原因となります。また、ユージノール系仮封材は、レジンの重合を阻害するためコーティング面の仮封には使用できません。その他、非ユージノール系仮着材やカルボキシレート系仮着材は接着に影響を及ぼさないとされています。

レジンコーティングとMI (Minimal Intervention)

レジンコーティング法の応用によって、接着性レジンセメントの歯質との接着が著しく向上するため、間接法においても直接コンポジットレジン修復と同様な歯質保存的な修復が可能になります。

広範囲な齲蝕を間接法で修復する場合、歯質との接着が十分でなかった従来法ではまず感染歯質の除去を行い、修復物を保持するために健全歯質を削除してきました。しかし、レジンコーティングを応用すれば、齲蝕の除去と欠損部の修復とを明確に区別して考えることができ、最小限の侵襲(MI)が可能です。
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ラバーダム防湿は、根管治療だから、コンポジットレジン修復だから、と処置に合わせて付けるもの。そう考えている歯科医師は多いのではないだろうか。1Dの「25分間」ミニセミナー「ラバーダム防湿――残根にどうやってクランプかけるの?」で、マイクロスコープを使った診療を中心にしている講師が投げかけるのは、逆向きの問いだ。「ラバーダムは、いつ外せるのか」。講師の答えは、治療で露出した象牙質を、外す前に守っておくこと。その根拠として講師が持ち出すのは、エナメル質と象牙質の成り立ちの違いである。本稿では、ラバーダムの歴史とメリットから、処置別の防湿の問題点、外すタイミングの考え方までを、スライドで確認できた内容を中心に、講師の主張・経験と編集部の解釈を分けて整理する。なお、タイトルにある残根へのクランプのかけ方は、この前半部分には出てこない。100年以上前の器具を、いまも使い続けている講師はまず、ラバーダム防湿に使う器具がクランプ、シート、パンチ、フォーセップス、フレームと非常にシンプルで、そのコンセプトは100年以上前にできあがったものだと話す。ラバーダムは一般に1864年、米国のバーナム(S. C. Barnum)が紹介したとされる。講師は、外科で清潔・不潔の概念が確立されていくのと同じ時代に、歯科ではすでに防湿のコンセプトが生まれていたと位置づける。その後の歩みについて、講師は次のように整理する。1900年代前半には吸引装置の発達で簡易防湿が主流になり、後半にはラバーダムの使用と根管治療や修復の成績との関係が指摘されるようになった。それでも使う歯科医師は多くなかったが、新型コロナウイルス感染症の流行で世界中の歯科医師が注目し、2020年代にはゴールドスタンダードの処置として位置づけられるようになった、というのが講師の見方だ。一方で講師は、ラバーダム防湿は教科書で簡単に触れられる程度で、体系的に学ぶ機会が少なく、エビデンスもまだ整理の途中にある分野だとも断っている。メリットは4つ。接着への影響を示す臨床研究もスライドでは、ラバーダム防湿のメリットが患者側と術者側に分けて示される。患者側は「治療時の安全確保」と「湿度、術野汚染のコントロール」、術者側は「術野の明示、術式の合理化」と感染対策だ。安全確保の例として講師が挙げるのは、ファイルの誤飲・誤嚥の症例報告で、ラバーダムをしていない状態で事故が起きれば責任は重くなると言う。感染対策については、ラバーダムが感染性のエアロゾルを大きく減らすという報告を紹介しているが、編集部は示された数値の原典を確認できていないため、本稿では数値を載せない。術野汚染のコントロールでは、講師は自身の経験を語る。以前は一部の処置をラバーダムなしで行い、セメンテーションのときだけラバーダムをしていた時期があった。当時の写真を振り返ると、レジンが剥がれたような状態がいくつも見つかったという。自分では止血も防湿もしたつもりだったが、後から見返すとそうではなかった、と講師は振り返る。そのうえでスライドに示されるのが、2022年にJournal of Esthetic and Restorative Dentistryに掲載された口腔内での臨床研究(Falachoら)だ。被験者の口腔内に装着したスプリントに抜去歯を固定し、ラバーダムの有無でエナメル質への接着強さを比べたもので、要旨によれば、接着システムにかかわらずラバーダムを使った群で接着強さが高かった。講師はこの研究を、ラバーダム防湿の必要性を裏付けるものとして紹介している。ただし、エナメル質への接着強さを測った研究であり、修復物の長期成績を直接示したものではない点は押さえておきたい。簡易防湿と湿度の関係については、1Dの過去記事「コンポジットレジン修復にラバーダム防湿は必要か?」も参考になる。「処置別」の防湿では、処置と処置のあいだが抜け落ちる講師が「これまでのラバーダム防湿」と呼ぶのは、処置ごとに付けるやり方だ。スライドには根管治療、直接修復、間接修復の写真が並び、講師自身も以前は、今日は根管治療だから、今日は修復だからラバーダムをしよう、と処置別に考えていたという。この考え方の最大の問題として講師が挙げるのは、処置と処置のあいだに連続性がなく、治療中だけきれいな環境になっていることだ。新型コロナウイルス感染症を経て、講師の診療は、ラバーダム防湿下で連続的に治療を進める形に変わったという。講師は、一度マイクロスコープで治療すると裸眼には戻りにくいのと同じで、ラバーダムのある環境を一度経験すると、ラバーダムなしの治療が汚く感じると話す。複数の処置をまとめて行うときには効率もよいと感じているが、日本の保険制度のもとではまとめて治療するのが難しい場面があることにも触れている。こうした経験を踏まえて講師が掲げるキーワードが、「防湿で何を守るべきか」と「防湿の質」の二つだ。外す基準は、象牙質が外界にさらされたままかどうか講師は、クラウンを外してやり直す症例を示しながら、いつラバーダムを外せるのかを問う。考えるべきは、治療した部位がこの先の汚染と、それに続く感染に耐えられる状態かどうかだと講師は言う。歯冠修復を終えてレジンで保護した部位と、これから根管治療に入る部位とでは、外してよいかの答えも外し方も違ってくる。この判断の手がかりとして、講師は歯を発生学的に見ることを勧める。スライドでは「Enamel/Ectoderm」「Dentin/Mesoderm」と示される。講師によれば、エナメル質は皮膚や爪と同じく外胚葉由来で、外界とのバリアの役割を持つため、それ自体を保護する必要性はあまり高くない。エナメル質内で処置を行うラミネートベニアが長期で安定した成績を出していることも、講師はその例に挙げる。一方、象牙質は外界に単独でさらされることを前提とした組織ではなく、外からの刺激への抵抗力も強くない。だから、治療で象牙質が露出したときは、ラバーダム防湿下でできるだけ汚染を避け、外す前に何らかの方法で保護しておく必要がある、というのが講師の結論だ。編集部から一点補足しておく。現在の発生学では、象牙質をつくる象牙芽細胞は神経堤に由来する外胚葉性間葉から生じるとされ、「中胚葉」という表記は簡略化した言い方といえる。講師の論点は、外界とのバリアとして働く組織か、内部環境を担う組織かという対比にあると読むのがよいだろう。象牙質を守る手段としての即時象牙質シーリング(IDS)では、露出した象牙質をどう守るのか。講師が挙げるのは、レジンコーティング、あるいは即時象牙質シーリング(Immediate Dentin Sealing、IDS)と呼ばれる方法だ。講師は日本で生まれた手法として紹介し、1990年代から基礎研究や臨床研究が報告されてきたと話す。形成した直後の新鮮な象牙質をレジンで覆うことで、象牙質をコンタミネーションから守ると同時に、マイクロリーケージを抑え、接着を有利にするという考え方だ。スライドには、IDSの利点として、新鮮な切削象牙質が象牙質接着に理想的な被着面であること、ボンディング材を先に硬化させることで接着強さが向上すること、応力の少ない状態で象牙質接着ができあがること、プロビジョナルの期間に細菌の漏洩や知覚過敏から象牙質を守ることの4点が英語で並ぶ。この方法を体系的にまとめたMagneの総説(J Esthet Restor Dent 2005)の要旨でも、形成直後の象牙質にボンディング材を塗布・硬化させてから印象を採ることが推奨され、接着強さの向上、ギャップの減少、細菌の漏洩と知覚過敏の軽減が挙げられている。講師は、IDSは長期の臨床研究の結果を待っている段階だとしつつ、ゴールドスタンダードになる日は近いとし、象牙質を露出させたままにしないためには、ほぼすべての過程でIDSが必要だと考えていると述べる。ここは講師個人の臨床判断であり、すべての症例に同じ手順が当てはまるとは限らない。それでも、「どの処置だから付けるか」ではなく「外したあとに象牙質が守られているか」でラバーダムの付け外しを考える視点は、日常の防湿を見直すきっかけになりそうだ。本稿で扱わないことタイトルにある残根へのクランプのかけ方、クランプやウェッジの選び方などの具体的な手技は、この前半部分には含まれていない。講師の自己紹介や医院の設計の話、エアロゾルの減少率などの数値、自動字幕で聞き取りが不確かだった処置名や文献名も載せていない。ファイル誤飲の症例報告とIDSが日本で生まれたという経緯は、編集部では原典を確認できていないため、講師の紹介として記すにとどめた。元動画を見る【ラバーダム防湿】残根にどうやってクランプかけるの?(2024年3月8日公開)このミニセミナーはセミナーの前半部分です。続きは1Dプレミアムで視聴できます。
1D編集部
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