イスムスとは?
イスムス(isthmus)とは、根管と根管とをつなぐ非常に薄い扁平な根管のことをいいます。イスムスは扁平な形態の歯根に多くみられ、イスムスの部分は歯根の厚みが十分でないことが多く、拡大による穿孔が生じやすいため、歯根破折などの原因になり得るので注意が必要です。
イスムスの語源
イスムス(isthmus)とは、直訳すると峡部で、2つの大きな物体に挟まれて幅の狭くなった部分のことを表します。歯科においてイスムスという言葉は、保存修復学および歯内療法学の2つの分野で使用されます。
保存修復分野におけるイスムス
イスムスは、窩洞外形の幅の狭くなった部分のことを示し、別名で窩洞狭窄部とも呼ばれます。インレー窩洞の一種である、鳩尾形窩洞などで認められます。修復に用いる材料の機械的性質(強度)が強ければ幅を狭くし、強度が低ければ幅を広くするなど修復材料に応じて変化させる必要があります。一般的には、メタルインレーでは幅を狭く、コンポジットレジンインレーやセラミックインレーでは幅を広く設定します。
歯内療法学分野におけるイスムス
根管と根管とをつなぐ非常に薄い根管のことを示します。イスムスは狭小となり、髄室床(髄床底)にひとすじの線となって認められることもしばしばあります。
イスムスの好発部位
イスムスの好発部位は、扁平な形態の歯根によく存在します。具体的には上下顎の大臼歯に好発し、上顎大臼歯近心頬側根の近心頬側根管(MB1)と近心頬側第二根管(MB2)の間などにより多く認められます。
イスムスの注意点
イスムスは、歯根の厚みが十分でないことが多く、根管拡大・形成が困難です。根管形成時には、穿孔や歯根破折を引き起こしやすい部位なため注意が必要になります。また、狭小であることから根管洗浄液の到達も容易ではなく、洗浄時には、超音波振動を併用するなどの洗浄効果を高める工夫が必要です。
一方で、イスムスは根管と根管を繋いでいるという性質上、根管探索時には根管の位置を推測する手掛かりとして利用可能な一面もあります。
一方で、イスムスは根管と根管を繋いでいるという性質上、根管探索時には根管の位置を推測する手掛かりとして利用可能な一面もあります。