「進級」と「ブラキシズム」:歯学部生、進級するほどブラキサーに
現代社会は、ストレスで溢れている。歯学部生だって例外ではない。迫りくる国家試験のプレッシャー、朝から晩まで詰め込まれる授業、絶え間なく訪れる試験、上下関係に苦しむ臨床実習、歯科医師となった後の将来に対する不安など、歯学部生を取り巻くストレス環境は枚挙にいとまがない。ブラキシズムは、ストレスが一因となって起きると考えられている。本記事では、歯学部生とブラキシズムの関係に着目した研究をご紹介しよう。学年が上がるごとに増えるブラキサー本研究は、1996年〜2000年に岩手医科大学歯学部に入学した歯学部生256名を対象にしている。5年間ものあいだ歯学部生を追跡し、1年次、4年次、6年次にアンケート形式でブラキシズムの状況を調査しているという研究だ。ブラキシズムの自覚は、「くいしばり」で 1年生が14.2%、4年生が20.5%、6年生時が32.1%と学年が上がるにしたがって上昇していた。1年生と6年生では2倍以上の差がある。また「歯ぎしり」の自覚も1年生が15.8%、4年生が20.0%、6年生が20.5%と学年が上がるにつれ上昇するという結果になった。筆者自身の体験から考えてみても、1年生の時と6年生の時のストレスは段違いである。1年生は新しい環境でストレスを感じることはあるだろうが、やはり歯科医師国家試験のストレスは大きなものがある。本研究の著者も、「歯学部に入学後、学年が進むにしたがってストレスが増大し、ブラキシズムが増えるといった可能性も考えられる」と指摘している。単に「歯科知識が増えただけ」説も本研究におけるブラキシズムの自覚について、1年生と6年生のあいだでは2倍以上の開きがあった。単にストレスが増えただけだということも考えられるが、もう少し詳しく考えたい。1年生と6年生では、歯科医療に関する知識には雲泥の差がある。6年間のどこかでブラキシズムについての知識を習得し、自らのブラキシズムに自覚的になっただけだということも十分に考えられる。現に、同時期の岩手医科大学の学生を対象とした研究では、1年生の方が6年生よりも日常生活上のストレス要因が多かったとも報告されている。また、別の研究では短期的な心理状態の変化よりもむしろ情緒不安定な性格特性がブラキシズム発症の寄与因子になるという指摘もある。総合的に考えて、1年生よりも6年生の方がブラキシズムを自覚しているという本研究は、歯科知識が増えただけという仮説も否めない。歯科セミナーなら「1D(ワンディー)」で!日本最大級の歯科医療メディア「1D」では、診療に役立つオンラインセミナーを多数開催中。もっと知りたい臨床トピックから超ニッチな学術トピックまで、参加したいセミナーが見つかります。下記ボタンから、開催中のセミナーを見てみましょう!開催セミナーを見てみる参考文献今村博高, 金村清孝, 田邉憲昌, 武部純, 藤澤政紀, & 石橋寛二. (2011). 歯学部学生におけるブラキシズムの自覚と顎機能障害の関係. 日本補綴歯科学会誌, 3(4), 353-359.浅野明子,田邉憲昌,金村清孝,武部 純,藤澤政紀,石橋寛二.歯学部学生におけるライフスコアと顎機能障害の関係.日教歯誌 2010; 26: 189‒199.森岡範之,田邉憲昌,藤澤政紀.心理テストを用いた顎関節症発症に関する 5 年間の前向きコホート研究.日歯心身 2007; 22: 3‒9.