【特集取材】2024年米国歯内療法専門医協会(AAE)年次総会に参加してきました(寺岡 寛先生)

【特集取材】2024年米国歯内療法専門医協会(AAE)年次総会に参加してきました(寺岡 寛先生)

寺岡 寛
2024年5月1日
AAEは毎年1回年次総会(annual session)が北米の様々な地域で開催される。

今年はカリフォルニア州のロスアンジェルスであった。カリフォルニア州は西海岸に位置し温暖な気候として知られている。

日本人にとってはドジャースに入団した大谷翔平選手の本拠地と言うとわかりやすいのかもしれない。

私も友人たちとドジャースタジアムに行き試合を見てきた。
AAEの年次総会は4月の17日~20日の4日間開催され世界中から多くの歯科医師が訪れる。2016年のサンフランシスコ、2018年のモントリオール(カナダ)以来の3回目の参加となった。

4日間を通して多くの魅力的なレクチャーが行われるが、見たいレクチャーが複数同時刻に行われどの公演を見ようかとというジレンマがある。

また、隣に座ってレクチャーを聞いているのが世界的に高名な歯内療法医ということさえよくある。携帯電話で専用のアプリがあるのでそこから日程を確認出来、お気に入りのレクチャーを保存できるので日程の確認に非常に便利である。

今回、総会への参加と1Dさんに執筆させて頂く機会を得たので体験記として情報を共有したいと思う。

因みに筆者は日本で歯内療法専門医として幾つかの医院に出向し診療をしており通常の歯内療法は元より断髄を得意としている。

尚、以下に使用している略語を書いておくので参考にして頂けると幸いである。

<略語一覧>
AAE(アメリカ歯内療法専門医協会)、ESE(ヨーロッパ歯内療法学会)、VPT(生活歯髄温存療法)、NSRCT(非外科的根管治療)、IDPC(間接覆髄法)、DPC(直接覆髄法)、ECR(歯頸部外部吸収)、ICR(侵襲性歯頸部吸収)、TSP(トロントスタディプログラム)、USC(南カリフォルニア大学)、ヒポクロ(次亜塩素酸ナトリウム)

木ノ本喜史先生(左から4番目)と現地で集合した友人達と記念撮影(筆者は左から3番目)

1日目(4月17日)

私は現地には時差の関係で16日に到着したが総会が始まったのが17日なので1日目とする。

最初に聞いたレクチャーは「Conundrum of Pulpal Diagnosis Part 1, 2」(歯髄診断の困難性パート1, 2)である。

現在、歯髄の診断名は実際の臨床の状態を正しく反映していないと議論され、その診断名自体を新しいものに改善すべきという意見もある。
ヨーロッパ歯内療法学会会長のDr. H. F. Duncanは出血や痛みへの過敏さは診断に有用ではなく、より歯髄への深い理解が重要であると述べた。

意外に感じたのが歯髄をマイクロスコープ下で直視することに関しても否定的であった。

私見では日本のDr.泉英之が提唱しているエアーでの歯髄が根管壁から離れると、その歯髄は保存不可能な歯髄であるといった所見や歯髄の正常を拡大下で確認することは非常に重要な因子であると思っている。

Dr. Kenneth. M. Hargreavesは世界的に使用されている歯内療法の教科書Pathway’s of the pulpの編集者であるが今後はバイオマーカー、特にMMP-9による歯髄の診断が役に立つだろうと結論づけた。

理由はバイオマーカーを使用することはパーソナライズし、術者の主観性を排除することにより信頼性が向上する検査法になり得るからである。

最後のスピーカーのDr. Claudia Brizuelaは可逆性歯髄炎と不可逆性歯髄炎の診断にはFGF, IL-6, IL-1α, TIMP-1が有効かもしれないとした。
しかしながらこれらはラボレベルでは有用であるかもしれないが、それをチェアサイドで使用できるようにすることが今後の重要な課題であると筆者は思う。

続いてDr. Adham. A. AzimのThrough & Through Lesions Explained(スルーアンドスルー病変の解説)である。Dr. Azimは筆者と同い年(39歳)であるが、過去にバッファロー大学で歯内療法科の大学院生を統括するディレクターを行っており、現在はパシフィック大学の准教授という非常に才能に優れている先生である。

筆者は2018年の総会で1度レクチャーを受けている。その時は逆根管治療(歯根端切除)でXP-Endoを使用した清掃を行うという新しく革新的な事を行う先生だな、と感銘を受けたことを思い出す。

今回のタイトルのスルーアンドスルーというのは病変が大きく頬側骨、口蓋側の骨共に吸収している状態である。
この状態で通常の逆根管治療を行った場合、瘢痕による治癒が得られるかもしれないが線維性結合組織による瘢痕治癒となるため、将来的にインプラントが必要になった場合に骨がなく埋入ができなかったり、新たに骨造成が必要であったりと問題となる。

そのため出来るだけ逆根管治療時に骨による治癒が望まれるためタイトルとして決めたとのことだった。この理由に関しては筆者も同意見であるため今回のレクチャーを受講した。

この病態を理解するためにはまず病変のステージを分類することが重要で、そのステージにより処置法が異なる。
因みにDr. Azimは6月1日から行われる日本歯科顕微鏡学会の年次総会で後述するDr. Shanon Patel, Jerry Linと共に招聘されている。

その時には今回のタイトルでハンズオンに参加する予定となっているので、その予習が今回でき今から非常に楽しみである。より臨床的に今回の分類とステージ別の処置法を理解できることだろう。
レクチャー後に友人と質問をしにいった。

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放映予定の1D歯科動画

    2日目(4月18日)

    Dr. Shanon PatelのManagement of External Cervical Resorption (Surgical vsNon-Surgical:侵襲性歯頸部吸収への対応(外科的 vs 非外科的))であった。

    Dr. PatelはCBCTの歯内療法領域での使用で高名な先生である。本邦でも著書が日本語訳されて市販されている。

    侵襲性歯頸部吸収はICR(Invasive Cervical Resorption)とも呼ばれ、しばしばう蝕と間違われることがある。

    本病態に関し古くからHeithersayの分類が使用されてきたが同演者らによる、より細かく分類された新基準がヨーロッパ歯内療法学会(ESE)から発表されている。

    X線撮影をした際に偶然見つかることが約半数。原因は様々であるが不正咬合、矯正治療や管楽器奏者に多いとされている。近年ではネコに特有なウィルスがヒトに感染し原因になり得ることも言われている。

    以前と比較して症例数は増えてきていることを指摘し、悪い意味で過小評価をされていると言及していた。我々が思っているよりも実際に
    は多くのケースが見過ごさられているだろうという意味である。

    また診断については従来のエックス線検査のみでは限界があるため、CBCTで検査を行うことの重要性も語られた。主題に関してどのような場合には外科的・非外科的に処置するのか、実際の症例を用いて説明され非常に理解しやすかった。

    余談ではあるが私自身、ECRで悩んでいる症例があるので6月に来日された際にはまた記録を元に相談させて下さい、とお願いをしておいた。

    セルフィーを一緒にしてもらったが慣れておらず画像がブレてしまった。

    続いてControversies in VPT:IPC vs DPC vs Pulpotomy Part 1,2(歯髄温存療法に
    おける論争:間接覆髄法 vs 直接覆髄法 vs 断髄パート1, 2)である。

    スピーカーはDr. Stephene Simon, Ashraf Fauad, Nasrin Taha, Domenico Ricucciの各レクチャーとディスカッションであった。

    今更ではあるがVPTとはVital Pulp Therapy(歯髄温存療法)の略であり、覆髄法と断髄法が含まれる。このセッションの各スピーカーはVPTに非常に精通した歯内療法医と言える。

    このセッションを含む本年のVPTに関わるセッションは10と非常に多かった。以前からVPTへの注目は大変に上昇していたが、本年で最高潮となったことだろう。

    因みにVPTに関するAAE総会でのレクチャーは私が調べた限りでは2016年0、17年0、18年1、19年3、20年1、21年5、22年?、23年4、24年10である。

    最初のスピーカーはDr. Tahaでヨルダン大学の教授で、現在ではコンセンサスになりつつある不可逆性歯髄炎における断髄の高い成功率を報告した。

    発表当初(現在も?)はかなりの反対意見があったものの、現在では2021年にAAEが発表した断髄のガイドラインにも記載の通り受け入れられつつあるように思う。

    このパートでは非特異的う蝕除去は特異的う蝕除去よりも成功率が高く、露髄をしたとしても断髄や抜髄を行えば予知性の高い治療となるとのことであった。

    これはESEが推奨をしている、いわゆるステップワイズエキスカベーションよりも断髄・抜髄のほうが予知性が高い処置であると私は解釈をしている。
    続いてDr. Fauadは各個人の炎症性ケミカルメディエーターを用いて歯髄炎が鑑別できるかもしれないとの展望を示した。

    その上でVPTのみならず、各個人に対するパーソナライズドされた歯内療法が必要ではないかと提唱していた。
    一般的なVPTの予後に関する因子として写真にあるように、カリエスの深さ、宿主の炎症反応、無菌的処置、覆髄材、症状をあげていた。

    その中でも興味深かったのが歯髄壊死を起こし根尖性歯周炎(+)の患者で疼痛を感じない歯髄炎、いわゆるPainless Pulpitisが生じていたのは40%であった報告(Michaelson and Holland IEJ 2002)を引用していた。

    頻度はここまで多くないにしても臨床家であれば歯冠崩壊している患者さんに、今までの痛みのヒストリーを聞いた際に別にそんなに痛くなかったと答える患者に1度は遭遇したことがあるのではないだろうか。
    3番手のスピーカーはDr. Ricucciである。Dr. Ricucciに関してはここで改めて解説をする必要がないほどの高名な臨床家である。彼の非常に美しい切片像は歯内療法のみならず歯科会に大きな影響をもたらしたことは疑いようがない。

    彼の今回の主張は写真の通り非常に明確で、彼の臨床結果やその切片を用いて説明したうえで特異的う蝕除去は推奨されないということであった。

    ここで興味深いのがDr. Ricucciはイタリア人であるので立場的にはESEに近いはずであるが、彼の主張のスタンスはAAEのポジションステートメントと近似している。
    筆者は彼のFacebookグループをフォローしており、上記のような主張が来るだろうと予想していたので驚きはなかったが、臨床・組織像を交えたレクチャーには説得力があると改めて感じた。


    このセッションの最後のスピーカーDr. Simonのことは事前に存じ上げなかったが、彼の20年に渡る経験に基づくレクチャーを聞いてVPTに対して現在最も考え方が近いと感じた。

    そう感じたのが歯髄温存に関して歯髄の炎症よりも感染の除去が重要であるというところである。

    Dr. Bergenholtzはサルを用いた動物実験の研究結果として「歯髄炎が中等度から重症であったとしてもその原因(細菌を含む感染源)が除去できれば治癒する」と1984年に述べており、筆者はこの研究結果は臨床に即していると感じる。

    このBergenholtzに関しては何も言及していなかったので質問したかったが、時間的にその余裕はなかったので残念である。

    3日目(4月19日)

    3日目は午前のセッションのみの参加となった。

    タイトルはSurgical Retreatment vs.Non-surgical Retreatment Outcomes(Point-Counterpoint:外科的歯内療法 vs 非外
    科的治療の成功率)である。

    演者は前述のDr. Adham Azimと日本の誇るDr. Yoshiこと寺内吉継先生である。Dr. Yoshiは破折編除去で世界的にその名を知られており、今回の総会でも毎日ハンズオンコースを行い超人気である。

    彼の考案した破折編除去の販売を行うSAYA DENTのブースに立ち寄った時、スタッフの方と中東系の先生が話していたのでその中に混ざってみたが、その先生はDr .Yoshiのファンであった。

    そのハンズオンに参加するためだけにAAEに入会したとのことである。

    Dr. Yoshiはそれだけではなく、Pathway’s of the pulpの偶発症のパートを執筆したり他にも教科書のパートの執筆を任されたりと日本人として過去になし得ないような事をしている。

    これだけ世界中にファンがいるのも納得である。

    話を本題に戻すが、最初にDr. Yoshiがレクチャーを行った。彼は筆者も3期に卒業したDr. Shimon Friedman率いるTSP(トロントスタディプログラム)を運営し通訳をしている関係上、トロント大学をはじめとする教授陣の講義を毎年みておりその影響が伺えた。

    痛みとは何か、から始まり近年におけるNSRCT(Non-Surgical Root Canal Treatment:非外科的根管治療)と外科的歯内療法の統計処理を行った成功率の比較、その上で外科的歯内療法前に非外科的根管治療を行われたものの方が長期の成功率は高いという結果であった(Huang JOE 2020)。

    本研究では咬合をサンプル数は少ないものの、咬合があったものでは治癒が悪かったとも報告しており、写真はDr. Yoshiの症例をそれを示したものである。
    また私の好きな論文の1つである、外科的歯内療法が失敗した歯に非外科的根管治療を行った場合の成功率(84.82%)を報告した研究(Appel IEJ 2023)も引用されていた。

    一方のDr. Azimは非外科的根管治療が失敗した場合のその原因を列挙し、それが再根管治療では改善できない際に外科的歯内療法により歯を保存するのが良いと説明した。

    因みにその改善できない場合というのが1根管内の除去困難なバイオフィルム、2根尖孔外感染、3真性嚢胞、4アクチノマイセス菌の感染、5処置上のエラーである。

    誤解のないように付記しておくとこれら全て術前には分かりようがない場合もあり得る。

    言い換えると、外科的な処置を行い初めて分かる場合もあり、外科的歯内療法の術前には分からない場合もある。
    他方で非外科的根管治療がなぜ失敗するのかも考察をしており、その原因は1外科処置上のエラー、2破折である。彼のこのレクチャーにおける結論としては、再根管治療が失敗に終わり抜歯をしなければならない場合に外科的歯内療法が適応となる。

    場合によっては外科的歯内療法の方が歯質保全という意味で保存的になり得るということである。両者の結論としては非外科的根管治療も外科的歯内療法も必要である、という至極真っ当な意見である。

    本公演後にDr. YoshiがDr. Jean-Yves Cochetと一緒にいたので話しかけさせてもらった。Dr. Cochetは医科と歯科の免許を持つダブルドクターであり医科の方では耳鼻科、歯科では歯内療法というユニークな経歴の持ち主である。

    耳鼻科が専門であるため上顎洞のアプローチはお手の物で歯根端切除時にも躊躇なく上顎洞を触るとのことであった。

    既に何度か日本でハンズオンをやられているが、受講ができなかったのでぜひ来年は来て下さいと両名に交渉をしておいた。
    3日目はここまでで午前が終了し、午後からは名門のUSC(University of SouthernCalifornia南カリフォルニア大学)のクリニック見学をさせて頂いた。

    AAEのセッションとは外れるので、最後のプライベートをまとめた項に記載するので、もしご興味がある方がいらっしゃったら見て頂けると幸いである。

    4日目(20日最終日)

    最終日は参加人数もだいぶ少なくなったものの、まだまだ魅力的なレクチャーが残っている。

    日本人に限らず早めに帰った方もいれば、観光を楽しむ方もいれば、私のような人間もいて様々である。

    この日の最初はDR. Marga ReeのLessons Learned in 45 Years of Endodontics(45年の歯内療法の経験から私が学んだこと)である。この手のタイトルでは抽象的な内容で昔の歴史的な事が語られるかと思われるかもしれない。

    だがDr. Reeは非常に革新的な歯内療法専門医であり視点が異なる。彼女の凄いところは常に新しいことにチャレンジを行い、術式に様々に工夫を行うことである。

    例としてはDr. 月星光博が考案した方法だと記憶しているが、意図的再植時に歯を回転させソケット側とドナー歯側の歯根膜の分布を変え、喪失した歯根膜を回復させるという方法である。

    また彼女の結論としては長く経過を見ればみるほど歯根破折をみる機会が多くなる。破折を回避するためには歯質を可及的に温存する必要があり、そういった治療法をすべきということだ。

    念の為に上記の写真の彼女の処置に関する推奨の日本語訳を付記しておく。

    ・歯内療法の診断を確立する
    ・プローブの値を確認する(歯根破折との関連)
    ・補綴物を除去しクラックの進展を再確認する
    ・必要があるなら歯内療法を行い、歯冠部歯質を可及的に温存する
    ・クラックを有する歯は全口頭被覆を行い、側方運動の干渉や過度な咬合は避ける
    ・クラックがある場合には患者に予知性が下がるかもしれないことを助言しておく

    続いてDr. WitherspoonとDr. Benjamin BarborkaのVital Pulp Therapy in Clinical Practice(VPTの臨床)である。Dr. Witherspoonは2018年の総会でもVPTのレビューをレクチャーで行っていたので、6年間でどう変化をしたのかが楽しみであった。

    一方のスピーカーが少し話したらスピーカーが入れ替わるといった、1人のスピーカーが話し続ける通常のセッションとは異なる進行であった。

    両者の連携が非常によくスムースな進行であった。

    ワシントンでの保険データを利用したものでVPTが行われた割合は、全歯内療法処置のうち20%であり、1%程度が歯内療法専門医により行われた。VPTの占める割合はこれくらいかと思うが(私も全処置のうちVPTが30%程度)、殆どのVPTは一般歯科医師により行われているとのことであった。

    断髄に関しては止血時に生食を使用するかヒポクロを使用するかという論争がある。日本では生食を使用する先生が多いように昨今は感じるが、私はヒポクロを使用する。

    理由としては詳しくは割愛するが、使用に際して欠点がほぼないからである。

    本公演でも研究論文ベースでレビューされその有用性が強調されていた。

    覆髄材ではMTAと水酸化カルシウムが比較され、長期経過の成功率ではMTA71%、水酸化カルシウム59%とMTAに軍配が上がるようである。

    Dr. Witherspoonは以前より保存可能な歯髄をViable Pulp、不可能な歯髄をNon-Viable pulpと呼称している。私はSavable, Non-Savableと呼んでいるがほぼ同一である。

    根管治療との成功率の比較では両者に有意差はなく、術後に疼痛発生に関しては断髄の方が少ない傾向にある。

    また幾つかの論文においてはVPTは根管治療と比較し準備する道具も少なく容易でテクニックセンシティブではないとしているが、彼らは否定的で筆者も同意である。

    両者も非特異的う蝕除去と特異的う蝕除去についてもレビューをしていたが、5年予後という期間では成功率に有意差はなかったようである。

    しかしながらDr. Ricucciが指摘したように、また2024に発表されたレビュー(Fraser J, Evid Based Dent 2024)では深いカリエスに対しては推奨されていないとのことである(写真赤線部)。
    本会最後に受講をしたのがDr. Ronald Ordinola-ZapataのPresent Status ofIntracanal Medicaments(現在の根管貼薬の立ち位置)であった。

    現在、アメリカでコストなどの問題から1回法が多いと聞く。再根管治療でも1回法が殆どであるという歯内療法専門医の意見も聞くことがある。

    筆者の知る限りでは現在、再根管治療の1回法の成功率を前向きに調査したものは1論文である。また研究対象歯は前歯のみであることからエビデンスレベルは不足しているものの研究結果では有意差はない。

    それでは複数回法で用いる根管貼薬は全くをもって不要なものなのだろうか。そんな疑問を払拭してくれるレクチャーであった。

    病変が大きく排膿が止まらず複数回法にせざるを得ない場合や、年齢による治癒遅延が見込まれる場合には貼薬を行うべきであるということを研究論文から引用していた。

    筆者の私見では全ての症例に適応するにはまだエビデンスは少ないが、1回法治療は歯種で制限されるものではなく、解剖などの他の制限される因子がなければ行って差し支えないと考えている。

    実際に根尖性歯周炎を有する大臼歯を1回法で行った症例も良好に治癒している。

    しかしながら、複数回法で行う症例も多いので貼薬を筆者にとっても必要なものである。

    以上が私のAAEの体験記である。

    LosAngeles滞在記

    以下は私の趣味というか仕事以外の記録である。

    成田空港からLos Angelesまでは直行便があり、行きは追い風の影響か10時間で帰りは向かい風で11時間30分であった。

    行きはWi-Fiが使えずプレゼンも進まず苦労をした記憶がある。帰りはWi-Fiにアクセスでき本執筆を行っていたのであまり苦労した記憶がない。

    気候は温暖で雨が少なくドライであるが今の時期の気温は意外なことに日本の方が高い。寒くも暖かくもないという感じであった。

    時差は日本が16時間進んでいるため時差ボケで眠れず苦労をした。18時ころでも写真のような明るさなので日はとても長い。

    まず今回の訪米で感じるのがほぼ全てものがめちゃくちゃ高いということである。

    異次元の円安ということもあるが米国では1人前の量が日本人には多い。大食漢の私でも多いと感じるレベルである。

    そして味付けは店のグレードにもよるだろうが非常にシンプルで、この味でその値段!?と驚くことはよくある。

    私はあまり食べ歩かなかったが、写真のようなブランチでも4000円以上した。

    ワッフル状のパンケーキにシロップ、フライドチキンが2つとソフトクリームのような見た目で決してソフトクリームではないものがついたものである。

    ソフトクリームよりも何かもっと脂っぽいものであった。
    そのため私はWhole foods marketというスーパー(日本で言う成城石井なので少しお高い)のデリをよく買ってホテルで食べていた。

    基本何でも高いがなぜか水が1ガロン(3.5リットル)で1.3$と激安なのが謎である。

    下のようにコストコのような見た目である。
    滞在したホテルはMillennium Biltmore Hotel。由緒あるホテルらしく、よく言えば伝統的ではある。

    しかしながらリノベーションが行われていないようで50年前にタイムスリップしたような内装ではある。

    私はあまり気にならないタイプなので気に入ってはいた。

    ここからが今回の旅の第二の目的であるUSCへの訪問である。

    ディレクターの先生との連絡がうまく行っておらず若干入れ違いのようになったのだが結局、大学院クリニックの見学と21日に大学内の1室で行われた卒業生パーティにも参加をさせてもらえた。

    卒業生パーティの方は残念ながらカメラの電池がなくなりまた、携帯電話を紛失したため写真が取れなかったが見学時には写真をとれたので幾つか載せたい。






    卒業生パーティの方は予めディレクターから時間あるなら来なよ、と言って貰えていたが面識がないので顔を合わせても自分が連絡してきた歯科医師とはわかるはずがない。

    そのため最後のセッションで座長をされていたのでレクチャー後に話しかけた。

    私はその前日に拾ったUberの中に携帯電話を置き忘れるという有り得ないようなミスをして交通手段がなかったのだが、残っていた卒業生の先生もパーティに参加されるようで一緒に送っていただいた。

    パーティでは当然、9割5分が面識のない先生(写真で見たことのある高名な先生は沢山おられたが)達ばかりであったがとても優しく受け入れて頂けた。

    USCは米国でもトップクラスの学費の高さでも有名であるが、歯内療法科を卒業された先生はやっぱりUSCが一番いい!と仰られていた。
    暗くなるとUSC周辺やダウンタウン周辺は危険であるため、まだ日があるうちにおいとまをした。

    交通手段がないのにどうホテルまで帰ったかと言うと、偶然知ったのだが大学からダウンタウンまで無料のバスが出ていて、唯一持っていたタブレットと大学内のWi-Fiで情報を探し無事乗れた。

    バス停が分かりづらかったが、いかにもアメリカの白人のおっちゃんって方に尋ねたらとても親切に教えてくれた。バスが来て自分が乗るまでちゃんと確認してくれてたので非常にいいおっちゃんである。

    今回、他国で携帯を失くし現在日本でも切符をいちいち買わなくてはならないという煩雑さもあるが、総じて楽しかった。私は23日まで滞在をしていたが、正直帰る際になったら現地に残りたいとさえ感じた。

    ここからは海外に行かれる方への注意喚起だが、日本で携帯電話に依存していればいるほど海外で亡くした際には非常に苦労をする。

    パンデミックのせいかバスの支払いも現金やクレジットカードで直接読み込むという支払い方法は不可で、クレジットカードで予めウェブ経由で購入しておくか、携帯でアプリをダウンロードして支払うか(私のタブレットはGoogle Playが入っているはずだがなぜかアプリをダウンロードできず、この方法を使用できなかった)、しか方法がなかった。 

    また、日本で使用している各種サイト、銀行やYahoo!にすらログインする際には、普段と違う環境でアクセスすると最近は2段階認証ということで携帯電話にSMSが送られ認証しなければサイトにすら入れない(Yahoo Mailが使用できない)。

    上記のようにタブレットの使用にもかなりの制限があったが、今回持っていかなかったら無事に日本には帰ってこられなかっただろう。

    そのため、海外に行かれる方にはPC・携帯のみではなく最低更にもう1つ連絡手段を持ったほうがいい。ベストは携帯電話の2台持ちだろう。もしくはiPadにすることをおすすめする。

    他には詐欺もある。

    4日目にスーツを着て昼食を食べに行く際には黒人の2人組に話しかけられ「このカメラで俺等の写真を撮ってくれ」と言われた。この時点で既に怪しいわけだが、これはよくある無理やり何かを買わせる詐欺(?)である。

    まずはその写真を取らせて、片方が「この相棒はすごく有名な歌手・ラッパーなんだぜ」といい、頼んでもいないのにCDを出してきて自分でサインをする。

    その後になぜか私にもペンを私てきてサインをするように言ってくる。私はこの手の詐欺を知っていたので、この時点で「ありがとう、でもいらないよ」と言い立ち去った。

    そこで私がサインしていたらこのCDを駄目にした、金を払えと言ってきただろう。親切心に漬け込んだ詐欺もあるので注意が必要だ。

    ロスアンジェルスは基本、夜は単独行動は危険なのでそれに比べると日本は超安全というのを実感する。あと食べ物が安くて美味しい。

    さて、夜は更け現在20時になるわけだが、この体験記も書き終えようやく自宅に到着をする。

    携帯電話を明日からどうするか考えて今日はゆっくり休むこととする。

    最後まで読んでいただいた先生がどの程度おられるか分からないが、お読みいただいた先生には感謝です。

    お読み頂きありがとうございました!
    著者/監修者
    寺岡 寛
    1Dプレミアム
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    1D編集部
    10時間前
    その内装、完成予想図で決めていいですか?――開業後も毎日働く場所を、誰の好みでつくるのか

    その内装、完成予想図で決めていいですか?――開業後も毎日働く場所を、誰の好みでつくるのか

    設計事務所から届いた完成予想図が、思ったよりかっこいい。内装はよく分からないし、このまま任せよう。開業準備に追われていれば、そう決めたくなるかもしれません。1Dの対談が突くのは、その一度の「かっこいい」で、開業後も毎日働く場所を決めてよいのかという問題です。しかも登場するのは、他人に任せて失敗した話だけではありません。本人たちが好きで黒を選んだオフィスでも、完成直後と半年後では感じ方が変わったと語られます。完成予想図は、完成した瞬間の見栄えを考える材料にはなります。しかし、そこで朝から夕方まで働く感覚までは映しません。提案を受ける前に何を考え、いつ相談を始めるべきなのか。動画のデザイン面とスケジュール面の話から整理します。自分で選んだ黒でも、半年後には感じ方が変わった対談の舞台は、黒で統一されたオフィスです。登壇者は、置く物まで黒くしたため、目に映るものがほとんど黒になったと話します。裏口から公園へ出ると、緑がとても鮮やかに見えるという冗談交じりの実感も語られます。この内装は、設計者に押しつけられたものではありません。黒が好きだったことや会社の色であることから、自分たちで選びました。完成した当初は「かっこいい」と感じた一方、半年ほど働くと、少し気分が沈むように感じることもあったと振り返ります。これは、黒い内装なら誰でも同じ状態になるという話ではありません。動画でも、黒がよい人もいれば、気が滅入る人もいると、好みの違いとして扱っています。重要なのは、自分で好きな色を選んだことさえ、毎日の居心地を保証しなかったという経験です。完成予想図を見る時間は短い。医院で働く時間は、その後何年も続きます。「好きか」という問いに加えて、「毎日ここで働くとどう感じそうか」を別に確かめる必要があります。「よく分からないから任せる」で、自分の判断材料まで手放さない動画がデザイン面の失敗として挙げるのは、設計事務所から最初の提案を受け取り、「いいじゃん」とそのまま人任せにして進めることです。専門家へ相談すること自体を否定しているわけではありません。提案に乗る前に一呼吸置き、自分の好みを持って相談しよう、という指摘です。そのために勧められているのが、さまざまな歯科医院や住宅を見ることです。何となく眺めるだけではなく、「この雰囲気は好き」「ここは毎日だと落ち着かない」と、自分の反応を集める。設計者の案を選ぶ前に、比較するための言葉を持つのです。ただし、自分の好みを押し出せば後悔しない、とも言い切れません。黒いオフィスの経験が、その単純な結論を否定しています。好みは出発点であり、完成時の見栄えと日常の居心地を往復して考えるための材料です。内装を後回しにすると、失うのは比較し直す時間二つ目の論点は、相談を始める時期です。融資、機材、採用などが重なる開業準備で、内装は「職場だから」と後回しになりやすい。気づいたらオープン予定の2か月前だった、という場面が対談で挙がります。動画では、収録当時、内装業者と連絡が取りにくいという出演者の経験や知人から聞いた話も出ます。これは現在の標準工期や業界全体の状況を示す統計ではありません。それでも、締切が迫った結果、「間に合わないから、こちらでいい」と妥協が重なるという意思決定の問題は残ります。早く相談する意味は、最初の案を早く確定することではありません。完成予想図を見て、自分の好みと照らし、毎日働く場面を想像し、違和感があれば比較し直す。その時間を残すことです。完成予想図の隣に、「毎日ここで働く自分」を置く設計相談の前に、気に入った医院や住宅の画像を集める。好きな理由だけでなく、落ち着かない理由も一言で書く。そして提案を受けたら、完成日の美しさに加えて、半年後も毎日そこで働く場面を専門家と確認する。これは動画の主張を自院の準備に移すための編集部の整理です。内装には見た目だけでなく、診療や業務の機能もあります。動画の後半でも機能面が最重要だと語られており、好みのために安全性や診療上の要件を犠牲にしてよいという話ではありません。自分で決めるか、専門家に任せるかの二択ではない。自分の好き嫌いと日常の感覚を言葉にし、専門家の提案と何度か比べる。その余地を開業準備の早い段階で確保できるかが、完成予想図を「そのまま決定」にしないためのポイントです。本記事は1D公式YouTubeの対談を要約・再構成したものです。見出しは逐語引用ではありません。具体的な準備方法は、動画の論点をもとに編集部が整理しました。元動画を見る(2025年9月4日公開)
    1D編集部
    1日前
    「全部見なきゃ」で、一本も再生していませんか?――忙しい歯科医師のセミナーの使い方

    「全部見なきゃ」で、一本も再生していませんか?――忙しい歯科医師のセミナーの使い方

    気になる講義はある。でも、一本を見終える時間が取れず、今日も再生しない。1Dの対談では、単品で買うと全部見なければと思う一方、見放題では流し聞きもする、という使い方が語られます。学ぶ時間だけでなく、一本をどう受け取るつもりかが問われる話です。出演者は1Dプレミアムを提供する側であり、対談には自社サービスの紹介が含まれます。お金を払った一本だから、全部見なければならない?対談の中で、見放題の使い方として挙がるのが、単品で買ったセミナーとの心理的な違いです。一本ごとに購入すると、全部見なければという気持ちが働く。一方、出演者は定額で見られる環境では、再生して流し聞きする使い方もしていると話します。これは単に、料金の安さを比べる話ではありません。一本を最後まで受け取ることを自分に課すと、再生を始めるにも、それだけの余裕が必要になります。今日知りたい部分があっても、一本分の時間を確保できる日まで待ってしまう。その負担を、視聴方法からほどけないかという論点です。出演者は、運動や洗い物の時間に耳で聞く例を挙げています。落ち着いて画面を見る時間だけを受講時間に数えない、という実践です。ただし、映像を見なければ分からない手技まで、音声だけで習得できるという意味には広げられません。編集部としては、話の入口を知る時間と、図や手順を止めて確かめる時間を分ける使い方と捉えます。聞き流しは理解の完了ではなく、詳しく確かめたい箇所を見つける入口です。講義の時間だけを、学習に必要な時間だと思っていないか別の使い方として紹介されるのは、動画の倍速再生です。速く聞くことを好む出演者は、当初は聞き取れなくても、耳が慣れてくると通常の速度が遅く感じられるという自身の経験を話します。ここで語られるのは本人の視聴感覚であり、速く再生すれば同じ理解が得られるという実証ではありません。それ以上に注目したいのは、会場で受けるセミナーとの比較です。対談では、講義そのものに加えて、現地へ行く時間や、毎週出かけ続ける疲れにも話が及びます。講義が始まる前から、受講のための時間を使っている。学習の負担は、案内に書かれた講演時間だけでは計れないわけです。会場へ行く楽しみや、その場の空気まで否定しているわけではありません。情報を得たいのか、現地で体験したいのかによって、選び方は変わります。対談が示すのは、すべての学びを同じ受講方法でまかなおうとしなくてよい、という選択肢です。動画を見る習慣は、もうあるのにもう一つ、対談で意外なのは、今このYouTubeを見ている人は、すでに動画で情報を得ているという指摘です。すでに動画で情報を得る習慣があるなら、セミナー視聴も選択肢に入る、という見方です。後半の画面紹介では、テーマを検索して講義を探す流れも示されます。並んだ動画を順に消化するのではなく、知りたいことから一本へたどり着く。視聴できる本数が多いことと、自分が今日見るものを選べることは、別の問題です。対談中の画面や機能は収録当時のものです。本稿は現在のサービス仕様や料金の案内ではなく、情報への入り方を考えるために、その利用例を取り上げています。今日、確かめたいことを一つだけ決めて探す編集部から提案したいのは、診療中に説明に迷ったことを一つ、検索する言葉にしてから講義を探すことです。一本を見切る予定を立てる前に、今日何を知りたいのかを決める。該当する話から聞き始め、図や手順が必要な箇所は画面を止めて確かめます。全部見なければと考えて再生を先送りしていたなら、まずその一つを確かめるために開く。一本の完走を、学び始める条件にしなくてもよいのです。本記事は1D公式動画の要約・再構成です。見出しは逐語引用ではありません。元動画を見る(2025年8月28日公開)
    1D編集部
    2日前
    毎回待たせるのに、患者の遅刻には厳しい?――キャンセル対策で医院側が見落とすこと

    毎回待たせるのに、患者の遅刻には厳しい?――キャンセル対策で医院側が見落とすこと

    予約の時間になっても患者が来ない。電話をかけ、空いた枠を眺める。そんな日が続くと、もっと強い注意書きが必要だと感じるかもしれません。では、医院の側は、その予約時間をどのように扱っているでしょうか。1Dのキャンセル対策をめぐる対談では、リマインダー、キャンセルに関する仕組み、患者との関係づくりが取り上げられます。その中で出てくるのが、いつも患者を待たせていれば、患者も遅れて来るようになるのではないか、という指摘です。キャンセルを患者の意識だけの問題として片付ける前に、予約を覚えてもらう仕組みと、時間を守って通う意味が伝わる関係を分けて考えてみます。患者に求める時間の約束を、医院側も守れているか対談では、患者に予約を守ってほしいなら、自分たちが遅れないことも大切だという話が出てきます。毎回待たせていれば、その時間に来ても始まらないと受け止められるのではないか。医院側のふるまいへ視点を戻す場面です。もちろん、診療では予定どおりに進まないこともあります。この話は、遅れが一度あれば患者のキャンセルを正当化するというものではありません。日常的にどんな時間の扱いを見せているかを問うものです。ここで患者向けの注意書きだけを強くすると、医院側が守る約束は曖昧なままになります。遅れた場合の説明や、予約枠の取り方など、自院にも確かめられる部分がないか。これは動画の指摘から導いた、編集部の検討事項です。忘れた人と、覚えていて来なかった人には同じ対策が効くとは限らない対談では、キャンセルの背景を、予約を忘れていた場合と、覚えていたのに来なかった場合に分けて説明しています。これはキャンセル理由のすべてを網羅する分類ではありませんが、対策の役割を整理する入口になります。リマインダーが直接働きかけるのは、予約を思い出してもらう部分です。動画では、前日などにLINEやSMS等で知らせる仕組みが紹介されています。一人ひとりへ毎回手作業で送る負担を減らすために、システムを利用する考え方も語られます。一方、予約を把握していても、通うのをためらう理由や、予定を変更せざるを得ない事情がある人には、思い出させるだけで足りるとは限りません。通知を導入したのにキャンセルが残るからといって、その仕組み全体が無意味とは言えないわけです。自院で振り返るなら、まず何が起きたのかを分けることです。忘れていたのか、連絡はあったのか、別の日を希望していたのか。その区別がないまま通知回数や文面だけを強めると、どの課題を解こうとしているのかが見えなくなります。これは対談を運用へ置き換えた編集部の整理です。予約の空白だけを見ていると、その後の中断を見落とす動画の冒頭では、予約が多数キャンセルになり、診療の空き時間ができたという登壇者の経験が語られます。患者がいない時間にも、勤務する人の人件費は発生する。対談は、空いた枠の売上だけでなく、医院が用意していた体制にも目を向けています。さらに話題になるのが、キャンセルした気まずさから、その後の受診をためらう患者心理です。登壇者は、一回の欠席で終わらず、別の医院へ移る可能性まで含めて説明しています。すべての患者がそうなるわけではありませんが、予約表の穴が埋まれば問題が終わるとは限らないという指摘です。見るべきなのは、来なかった一回と、その後の通院を分けることです。後日受診できた人と、連絡が途切れた人では、医院が把握したい状況が違います。人数や率を追うなら、何をキャンセルに数えているかもそろえなければ、改善したように見える数字の意味を取り違えてしまいます。名前の分からない担当者と、次も会う相手では関係が違う三つ目の対策として、対談が挙げるのは患者とのコミュニケーションです。担当者の名前も知らない状態と、相手の顔や名前を認識している状態では、キャンセルするときの受け止め方も違うのではないか、と語られます。別の登壇者は、診療の前後に説明や選択肢の提示を行い、患者と話す時間を取っている経験を紹介しています。単に雑談を増やすという話ではなく、誰がどのように診療しているかが患者に伝わる関わり方です。それでキャンセルが何割減るかという効果は、この対談から確定できません。それでも、通知や注意書きとは違う役割が見えます。予約があると知らせる仕組みと、その医院へ通う関係は、同じものではないからです。次のキャンセル対策を考えるなら、患者に送る文章だけでなく、自院の予約時間の扱いと日々の説明も見直してみる。来なかった患者を責める前に、来てもらうために何を整えているのか。その問いから、予約表の空白を考え直したいものです。元動画を見る本記事は1D公式チャンネルの対談をもとに構成しました。YouTubeで元動画を見る
    1D編集部
    2026年9月22日
    「都心なら患者が来る」で、開業場所を決めていませんか?――人口の多さでは見えない医院の条件

    「都心なら患者が来る」で、開業場所を決めていませんか?――人口の多さでは見えない医院の条件

    人が多く、駅も近い。働く人も集まりそうだ。開業場所を探していると、都心の物件には安心材料が並んで見えます。では、患者もスタッフも多い場所を選べば、自分がつくりたい医院に近づけるのでしょうか。1Dの都心と地方を比較する対談では、都市部に人が集まる利点を認めたうえで、競合の多さ、地方での診療の成り立ち、医院を拡張できる余地が話題になります。どちらが一律に有利かという順位づけより、何を前提に医院をつくるのかが問われています。人が集まる場所には、患者を迎えたい医院も集まる対談の冒頭では、都心の利点として、患者や採用候補者が集まりやすいという見方が示されます。一方、その利点があるからこそ、開業する歯科医師も集まる。人口の多さだけでは、競争の中で自院が選ばれる理由までは説明できません。動画には、登壇者が都市部の医院を取材し、競合が密集する環境について聞いたという話が登場します。そこで語られる医院数は個別の取材談であり、ここでは地域の統計として引用しません。読み取りたいのは、周囲に人が多いという利点と、選択肢の多さを同時に見なければならない点です。患者が多そうだから、という判断は入口にはなります。しかし、その人たちが何を求め、すでにどこへ通い、どんな場合に別の医院を選ぶのかは別の問いです。自分が暮らしやすい街と、自分の診療方針が患者に伝わる街も、必ずしも同じではありません。この問いを立てることは、都心での開業を否定することではありません。都市部の利点を、自院の計画のどの部分で生かすのかを明らかにするためです。人が多いという事実だけに、採用と集患の両方を任せないことが大切になります。「地方では自費が成り立たない」という見方にも穴がある対談では、地方の医院を訪ねた登壇者が、繁華街でもない場所で、立派な設備や診療体制を持つ医院に驚いた経験を紹介しています。来院数の多さだけで回す印象とは違い、自費診療も含めた運営が語られる場面です。この一例から、地方のほうが自費診療で成功しやすいとは言えません。動画でも、地域全体のデータが示されているわけではありません。それでも、都心でなければ成り立たないという思い込みを疑う材料にはなります。患者がどのような診療を求め、どのような関係で通い続けているのか。地域の人口だけでは捉えにくい部分へ、目を向ける必要があるからです。同じ地方という言葉でまとめても、周辺の産業、住む人、通院の手段は違います。取材先の見た目だけを真似しても、その医院と患者の関係は再現できません。立派な建物や自費の存在を成功の証拠として眺めるのではなく、何がその診療体制を支えているのかを確認する。この読み方なら、個別事例を過大評価せず、開業候補地を考える材料にできます。ユニットを増やせることと、診療を増やせることは同じではない地方の利点として、対談が具体的に挙げるのは、土地や建物を使った拡張の余地です。ユニットを増やす、建物を広げるといった形で、患者を受け入れる規模を変えていく医院が紹介されています。これは、開業時の部屋に何台置けるかだけでなく、その後の診療体制をどう変えられるかという視点です。予防管理を軸に患者との関係を積み重ねる医院についても、受け入れの規模と結びつけて語られています。ただ、空間があれば診療が自動的に増えるわけではありません。誰がそこで働くのか、どの患者を受け入れるのかという計画は別に必要です。物理的に増設できる余地と、実際に運営できる余地を分けて考えたいところです。都心の物件を見る際にも、この視点は使えます。いまの条件だけでなく、診療の方針が定まり、患者やスタッフが増えたとき、どこが制約になるのか。対談の比較を自院の物件選びへ置き換えた、編集部の問いです。徒歩の距離だけで、患者の通える範囲を決めない動画の後半では、地方では車で通うことが前提となる地域がある、という話が出てきます。駅や医院からの徒歩圏だけで考えていると、実際の通院行動とずれる可能性があります。登壇者は、車で一定の時間をかけて受診する患者の話から、地方の医院が迎える範囲の広さを指摘しています。ただし、地方ならどこでも遠くから来る、と保証する話ではありません。具体的な候補地で、移動手段と通う負担を確かめる必要があります。都心では駅から近いことが説明しやすい利点でも、別の地域では車で来やすいことが大きな条件になる。自分の普段の生活圏の感覚を、そのまま患者の行動へ重ねないことが重要です。開業場所を選ぶなら、人の多さ、競合、診療の成り立ち、拡張、通院手段を同じ計画の中で考える。動画の示唆は、地方へ行けば成功するという近道ではありません。「都心だから」「地方だから」で判断を終わらせないための材料です。その場所で、誰が働き、誰が通い、どんな医院を続けるのか。住所の印象より先に、その説明ができる場所を探したいものです。元動画を見る本記事は1D公式チャンネルの対談をもとに構成しました。YouTubeで元動画を見る
    1D編集部
    2026年9月21日

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