続いてDr. WitherspoonとDr. Benjamin BarborkaのVital
Pulp Therapy in Clinical Practice(VPTの臨床)である。Dr. Witherspoonは2018年の総会でもVPTのレビューをレクチャーで行っていたので、6年間でどう変化をしたのかが楽しみであった。
一方のスピーカーが少し話したらスピーカーが入れ替わるといった、1人のスピーカーが話し続ける通常のセッションとは異なる進行であった。
両者の連携が非常によくスムースな進行であった。
ワシントンでの保険データを利用したものでVPTが行われた割合は、全
歯内療法処置のうち20%であり、1%程度が
歯内療法専門医により行われた。VPTの占める割合はこれくらいかと思うが(私も全処置のうちVPTが30%程度)、殆どのVPTは一般歯科医師により行われているとのことであった。
断髄に関しては止血時に生食を使用するかヒポクロを使用するかという論争がある。日本では生食を使用する先生が多いように昨今は感じるが、私はヒポクロを使用する。
理由としては詳しくは割愛するが、使用に際して欠点がほぼないからである。
本公演でも研究論文ベースでレビューされその有用性が強調されていた。
覆髄材ではMTAと水酸化カルシウムが比較され、長期経過の
成功率ではMTA71%、水酸化カルシウム59%とMTAに軍配が上がるようである。
Dr. Witherspoonは以前より保存可能な
歯髄をViable
Pulp、不可能な
歯髄をNon-Viable pulpと呼称している。私はSavable, Non-Savableと呼んでいるがほぼ同一である。
根管治療との
成功率の比較では両者に有意差はなく、術後に
疼痛発生に関しては
断髄の方が少ない傾向にある。
また幾つかの論文においてはVPTは
根管治療と比較し準備する道具も少なく容易でテクニックセンシティブではないとしているが、彼らは否定的で筆者も同意である。
両者も非特異的
う蝕除去と特異的
う蝕除去についてもレビューをしていたが、5年
予後という期間では
成功率に有意差はなかったようである。
しかしながらDr. Ricucciが指摘したように、また2024に発表されたレビュー(Fraser J, Evid Based Dent 2024)では深い
カリエスに対しては推奨されていないとのことである(写真赤線部)。