歯科用語集
2025年10月28日

咬傷

「咬傷」とは?歯科用語の解説と症例を紹介

PICK UP
【便利】歯科用語をイッパツ変換できるユーザー辞書を無料配布
【速報】令和8年度診療報酬改定の骨子判明:歯科はプラス0.31%、物価高・賃上げへの「二段構え」の支援策が柱に

定義・語源

咬傷(こうしょう)とは、歯や顎によって皮膚や粘膜が傷つけられることを指す。主に動物や人間の咬合によって生じる外傷であり、特に口腔内の組織に対する損傷が多い。語源は「咬む」という動作を表す「咬」と、「傷」を意味する「傷」から成り立っている。咬傷は、特に小児や高齢者において、自己咬傷や他者による咬傷が見られることがある。咬傷の治療には、感染予防や適切な創傷処置が求められる。


臨床における位置づけ・判断基準

臨床において咬傷は、外傷の一種として位置づけられ、特に口腔外科や歯科の領域で重要な判断基準となる。咬傷の評価には、傷の深さ、出血の有無、感染の兆候などが含まれる。特に、口腔内の咬傷は、感染症のリスクが高いため、迅速な処置が求められる。咬傷の治療には、抗生物質の投与や、必要に応じて縫合が行われることがある。また、咬傷が発生した場合、患者の全身状態や既往歴も考慮し、適切な治療方針を決定することが重要である。

関連用語・類義語との違い

咬傷に関連する用語には、咬合、咬合異常、自己咬傷などがある。咬合は、上下の歯が接触する状態を指し、咬傷とは異なる概念である。咬合異常は、咬合の不正によって生じる問題を指し、咬傷の原因となることもある。自己咬傷は、特に小児や精神的な問題を抱える患者に見られる現象であり、意図せず自分の口腔内を傷つけることを指す。これらの用語は、咬傷の理解を深めるために重要であり、臨床現場での適切な対応に役立つ。

1Dプレミアム
1Dプレミアム

関連ニュース

咬傷の診断と処置。歯科臨床で役立つ症例と術式の判断ポイント

咬傷の診断と処置。歯科臨床で役立つ症例と術式の判断ポイント

咬傷の定義と臨床的意義咬傷とは、歯や顎によって皮膚や粘膜が傷つけられることを指す。特に、口腔内の組織に対する咬傷は、外的な力が加わることによって発生することが多い。咬傷は、特に小児や精神的な問題を抱える患者において見られることが多く、臨床的には感染症のリスクや、咬合に関連する問題を引き起こす可能性がある。咬傷の理解は、歯科医師や歯科衛生士にとって、適切な診断と処置を行うために重要である。咬傷の症状と診断方法咬傷の症状は、傷の深さや位置によって異なるが、一般的には腫れ、痛み、出血、そして場合によっては感染の兆候が見られる。診断は、視診と触診を基に行われ、必要に応じてX線検査やCTスキャンが用いられることもある。特に、咬傷が顎関節や歯に影響を及ぼす場合、詳細な診査が求められる。診断の際には、患者の病歴や咬合状態を考慮することが重要である。咬傷の処置手順と術式咬傷の処置は、傷の程度に応じて異なる。軽度の咬傷の場合、まずは傷口を清潔に保ち、消毒を行うことが基本である。次に、必要に応じて止血処置を行い、感染予防のために抗生物質を処方することが推奨される。重度の咬傷では、外科的な処置が必要となることもあり、縫合や組織再建が考慮される。術式の選択は、傷の位置や深さ、患者の全身状態に基づいて判断される。咬傷処置におけるメリットとデメリット咬傷の処置には、早期の治療によって感染症を防ぐメリットがある。一方で、外科的処置を行う場合、手術に伴うリスクや合併症の可能性も考慮しなければならない。特に、咬合に影響を与える場合、長期的なフォローアップが必要となることがある。患者に対しては、処置のメリットとデメリットを十分に説明し、理解を得ることが重要である。咬傷の症例と臨床での注意点咬傷の症例は多岐にわたるが、特に小児においては、自己咬傷や他者による咬傷が見られることがある。これらの症例では、心理的な要因や環境要因を考慮する必要がある。また、咬傷が顎関節に影響を与える場合、咬合の評価や治療計画が重要となる。臨床では、患者の背景や症状を総合的に判断し、適切な処置を行うことが求められる。咬傷の予防と患者教育咬傷の予防には、患者教育が不可欠である。特に、小児に対しては、咬傷のリスクを理解させることが重要であり、適切な行動を促すことが求められる。また、咬傷が発生した場合の対処法についても、患者やその家族に対して情報提供を行うことが大切である。歯科医師や歯科衛生士は、予防的な観点からも患者に対して積極的にアプローチすることが望ましい。
1D編集部
2024年6月1日
過蓋咬合に対する矯正治療の臨床的実際

過蓋咬合に対する矯正治療の臨床的実際

矯正治療の目的として、機能の改善とそれに伴う上下顎の大臼歯および犬歯の咬合関係や前歯部のオーバーバイトの改善が必要である。不正咬合のなかでも特に、過蓋咬合症例における前歯部のオーバーバイトの改善は治療が難しいものの一つであり、顎顔面の水平的不正、垂直的不正についても十分に考えていく必要がある。 過蓋咬合の基準過蓋咬合とは、上顎前歯部と下顎前歯部の垂直被蓋が異常に深い咬合を呈するものであり、下顎にスピーカーブが認められる。具体的には咬頭嵌合位における上顎前歯が下顎前歯の唇面1/4から1/3を覆う正常被蓋をはるかに越えて、深く咬合するものを示す。このとき、しばしば下顎前歯切縁が上顎前歯部舌側歯頸部付近の歯肉を咬むような状態をみることができる。また反対咬合の場合にも垂直被蓋が大きければこの語を適用することがある(オーバークロージャー)。過蓋咬合には、骨格的要因として下顎角が小さい下顎骨形態や、下顎下縁平面角の狭小などがある。また歯槽性要因として上下顎前歯の高位や臼歯の低位などがある。 過蓋咬合はさまざまな不正咬合と合併することが多い。たとえば、AngleⅡ級2類のように上顎前歯が下顎前歯の唇側面を大きく覆うものや、AngleⅡ級1類のように上顎前歯の前方位や唇側傾斜によって過度のオーバージェットを生じて下顎前歯が口蓋に噛み込むようなもの。一方では、下顎前歯が上顎前歯の唇側面を大きく覆う反対咬合のタイプもある。 AngleⅡ級2類の場合は、咬合時に上下顎の歯の接触により下顎が後方や前方に機能的に誘導されることによって生じ、顎関節症を伴うこともある。過蓋咬合の背景として、一般的には強い咬合力、場合によっては加齢にともなった歯の咬耗や歯周組織の崩壊、あるいは歯の喪失などが認められる。 過蓋咬合は治療すべきか?一般に過蓋咬合の見られる患者では上下顎全歯の摩耗や咬合位の低下により、そのままの状態では義歯や金属冠などの装着が困難であること、また顎関節部や筋肉への影響、発音や咀嚼機能などの顎口腔系への機能障害、そして回復後の咬合の安定性への低下が懸念される。それと同時に、頬粘膜や舌の咬傷、口角びらん、審美障害、顎関節障害が発生しやすい。これらを改善するためには咬合高径の回復が必要であり、適切な垂直的顎間距離を構築することが大切になってくる。上記のことより、過蓋咬合は適切な時期に治療すべきであると考えられる。 成長時期による治療のポイント乳歯列期や混合歯列期における過蓋咬合の治療は、顎骨の成長を利用し咬合挙上をはかるのが理想的である。乳歯列期では前歯のオーバーバイトが深くなりすぎると、円滑な下顎の前方滑走ならびに側方滑走運動に抑制ないし無理が生じるため、上顎に対する下顎の順調な前方発育が阻害される。その結果、のちに下顎骨の劣成長や下顎遠心咬合を招いたり、顎機能異常症への引き金ともなりうる。しかし、上下の対顎関係が良好なもの(Skeletal1)に対処すべきかは疑問の余地がある。したがって著しいSkeletal2あるいはディスタルステップ型、またはその両方が認められる過蓋咬合と診断できる場合は、咬合の挙上と下顎の前方発育の促進を目的として矯正治療を行うのがよい。 混合歯列期の過蓋咬合は、自然治癒を期待することは難しい。発育成長中の下顎骨の前方成長ならびに前方滑走運動の阻害への対処ということから考えると、咬合の挙上と上下顎第一大臼歯のⅠ級関係にするべく矯正治療を行うのが望ましい。Ⅰ級関係をつくるため上顎第一大臼歯の遠心移動によるのか、下顎第一大臼歯の近心移動ないし下歯列弓の前方への成長によるのか、それら両方によるのかは、上顎前歯の舌側移動の必要があるのか、側方歯群の萌出余地をどのようにして確保するのかなどの条件に応じて、二期治療を前提としての抜歯か非抜歯かの予測を含め、適切な判断が必要である。 また過蓋咬合の改善が臼歯の萌出促進(挺出)によるのか前歯の圧下によるのかそれら両方によるのかに応じ、もし1または3によるべきと判断される場合は、歯根の成長を考慮し、前期混合歯列期での器械的連続力による長期の治療を避けるべきである。 他方、骨格型の不調和(Skeletal2)が著しい場合、大幅な下顎骨の前方誘導や前方成長が期待できないため対処を避けるべきであり、 その後の外科的矯正治療を含む判断が必要である。なお後期混合歯列期のなかごろから第二大臼歯の萌出(咬合)完了の間にいわゆる思春期性成長加速の現象があり、この時期の下顎骨の前方成長を利用してSkeletal2の改善が進むこともあり、考慮しなければならない。 成人の場合は治療方法が異なり、器械的に上下顎前歯の圧下をはかることや臼歯の挺出をはかることによるものが多い。歯の圧下は歯根および歯周組織に大きな負担をかけるため、矯正力の大きさや付与の仕方に注意する必要がある。また、治療後は保定期における慎重な観察と対応が必要である。特に、強い咬合力を有する症例に対しては後戻りを防止するために、咬合挙上板や咬合斜面板、スプリントなどを長期にわたって使用することがある。さらに、骨格性および歯槽性要因がともに強く、オーバーバイトが非常に大きい症例では、矯正治療のみによる改善が困難であるため、歯槽骨の部分的骨切術などを併用した外科的矯正治療を適用することもある。 成人のなかでも成長期に形成された過蓋咬合とは異なり、おもに壮年・老年期に歯周組織の老化や歯周病の罹患、歯の喪失などにより臼歯部の近心および舌側傾斜をきたし咬合高径が低下して、過蓋咬合を惹起あるいは増悪させる場合がある。この際は、歯周病科・補綴歯科・口腔外科などの専門科と連携して、臼歯の整直や前歯の位置を改善させ、包括的に顎口腔の機能回復とその後の長期的な維持・管理をはかる必要がある。 以上のことより、治療を介入する時期に応じた正しい診断とそれに応じた治療をしていくことが重要である。 
482 TSUNAGU
2023年1月12日
イヌと人間は、お互いの口腔内細菌を相互に共有し合っている

イヌと人間は、お互いの口腔内細菌を相互に共有し合っている

何万年も前から、イヌはわれわれ人間とともに生活を送ってきた。もともとはオオカミから分化した種で、そのDNAの組成はオオカミとほとんど変わらない。また、イヌは最も古くに家畜化された動物、であるとも言われる。イヌの約8割が4歳までに歯周病を示すと推計されており、歯周病の重症度は年齢とともに悪化すると報告されている。また、イヌの1mmを超えるアタッチメントロスの有病率は1歳のイヌで20%であり、年齢にもよるが44〜81%が4mm以上のプロービングポケットデプスを有することが明らかになっている。イヌの歯周病菌はヒトにうつるのか?イヌの歯垢から分離されるPorphyromonas属の割合は、2歳時と比較して5歳時では6倍になり、歯周病の重症度と相関することが報告されている。人間の場合、歯周病の主要なPorphyromonas属の細菌はPorphyromonas gingivalisである。イヌの場合は、Porphyromonas gulaeという細菌が歯周病の主要な病原体であると考えられている。神奈川歯科大学の研究チームはこの点に着目し、犬の歯周病細菌のひとつであるPorphyromonas gulaeは、イヌから飼い主(人間)に伝播するのか、というテーマで調査を行った。4家族のイヌと飼い主からプラークを採取し、Porphyromonas gulae特異的プライマーを用いてPCR法を行った。その結果、4家族全てで飼い主からPorphyromonas gulaeが検出された。これらの家庭内では、日常的にイヌと口移し等を行っており、両者は濃厚な接触関係にあったという。一方で、ヒトの歯周病原細菌もイヌの口腔内から検出されており、人間とイヌの口腔内細菌が相互に伝播している可能性が示唆された。また、Porphyromonas gulaeはPorphyromonas gingivalisと同様にヒト細胞に定着する可能性が高いことを、研究チームは示唆している。「動物由来の感染症」という考え方ペットの頭数の増加や室内飼育の増加により、人間と動物との共通感染症が増加し、社会的問題になりつつある。特にイヌは日常的に人間と最も近い距離で濃厚な接触をしていることを鑑みると、動物由来の感染症予防の観点から注意しなければならないだろう。ペットからの感染経路として、人間との密接な距離と長い接触時間から接触、引っかき傷、咬傷などによる直接伝播や、粉塵などの吸収感染、節足動物などのベクターを介した伝播が考えられる。歯科に関わっていると動物由来の感染症という考え方はあまりすることはないが、社会に目を向けると動物由来の感染症はそれなりにある。ウエストナイル熱や重症急性呼吸器症候群(SARS)、そしてCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)など新興感染症は動物由来のウイルスであることが疑われている。これらの動物由来感染症は社会的に注目度が高い。他にも犬の感染症として、トキソプラズマ症やキャンピロバクター腸炎は腸炎は経口感染することがすでに知られている。口腔疾患についても、今回の研究から人間からイヌへの歯周病原細菌が伝播している可能性が確認されたことから、相互の口腔環境のケアと伝播に関する注意を払う必要が考えられる。研究チームは、「今後、更なるヒトとイヌでの口腔細菌種の伝播と歯周病の病態との関わりについて、伝播している菌種や菌株の特定を行い、同一家庭内での伝播経路について更なる検討を進めていきたい」と語っている。参考文献西山謙三, 佐々木悠, 稲葉啓太郎, 倉橋絢子, & 浜田信城. (2021). ヒトと飼いイヌにおける歯垢中の歯周病原菌の検出. 神奈川歯学, 56(1), 10-18.
宇梶 淳平
2021年12月24日

関連用語

レジン修復 (238)

PICK UP
【便利】歯科用語をイッパツ変換できるユーザー辞書を無料配布
【速報】令和8年度診療報酬改定の骨子判明:歯科はプラス0.31%、物価高・賃上げへの「二段構え」の支援策が柱に
1D SNS
掲載情報について

1D(ワンディー)は、歯科医師・歯科衛生士・歯科技工士向けの情報が集まる、日本最大級の専門メディアです。

トップレベルの臨床家・研究者からオンラインで学べる「歯科セミナー」や、臨床・経営・ライフスタイルの最新情報が収集できる「歯科ニュース」など、多彩な歯科医療コンテンツを配信しています。

本サイトは、歯科医療関係者(歯科医師・歯科衛生士・歯科技工士・歯科助手・歯科学生等)を対象に、歯科医療の臨床・研究・経営等に関する情報を集約したものです。歯科医療関係者以外の一般の方に対する情報提供を目的としたものではないことをご了承ください。

また、本サイトで提供する情報について細心の注意を払っておりますが、内容の正確性・完全性・有用性等に関して保証するものではありません。詳細は利用規約をご覧ください。

SNS
1D - 歯科医師/歯科技師/歯科衛生士のセミナー視聴サービスなら
© 2026 1D inc.