歯科用語集
2025年10月28日

前装

「前装」とは?歯科用語の解説と症例を紹介

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定義・語源

前装とは、主に歯科において、歯の前面に装着される補綴物や修復物を指す。具体的には、前歯に対して行われるクラウンやベニアなどが含まれる。語源は「前」と「装」であり、前面を装飾することから名付けられた。前装は、審美性を重視した治療法として、患者の心理的な満足度を高める役割を果たす。特に、歯の色や形状を改善するために用いられることが多い。


臨床における位置づけ・判断基準

臨床において前装は、主に審美的な理由から選択されることが多い。判断基準としては、患者の希望、歯の状態、咬合のバランス、そして周囲の歯との調和が挙げられる。前装は、特に前歯において重要であり、患者の笑顔や発音に大きな影響を与えるため、慎重な判断が求められる。また、保険点数においても、前装の種類によって異なるため、適切な選択が必要である。

関連用語・類義語との違い

前装に関連する用語としては、「クラウン」や「ベニア」がある。クラウンは歯全体を覆う補綴物であり、前装の一部として位置づけられる。一方、ベニアは歯の前面のみを覆う薄い補綴物で、より軽度な修復に用いられる。これらの用語は、使用される部位や目的によって異なるため、適切に使い分けることが重要である。また、前装は審美的な側面が強調されるが、機能的な側面も考慮する必要がある。

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解けなきゃヤバい?113回歯科国試「重要」問題集<後編>

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今回は前回の続きになります。113回国試のC問題とD問題で質問が多い&もう少し理解を深めておいて欲しい問題をまとめてみました。113回歯科医師国家試験の問題は厚生労働省ホームページでダウンロードできます。C問題【dentalkokushiのコメント】113回国試では免疫に関する出題は…なんとこの1問のみでした。というわけで、114回国試では免疫に関する問題がもう少し出題されるんじゃないかな…と思います。難しい問題は出題されませんので、とにかく基本的な内容をきちんと説明できるようにしましょう。→【参考になる動画】【dentalkokushiのコメント】尿素は肝臓の尿素回路で産生されます。かなり基本的な事項だと思うのですが、腎臓で尿素が産生されると間違っている方が非常に多いところでもあります。腎臓は尿素を作るところではなく、尿を作るところです! 基本ですので間違わないようにしてくださいね。腎臓の調子が悪い場合には尿素(≒尿素窒素:BUN)は血液中にたまることになります。腎臓にBUNがたまるわけではありません。ここも間違っている方が非常に多いところです。→【参考になる動画】【dentalkokushiのコメント】歯科疾患に行動変容を当てはめる問題でした。現在新型コロナウイルス(COVID-19)の感染が拡大していますが、厚生労働省が呼び掛けている「新しい生活様式」はまさに行動変容のためのアプローチなわけです。身近なものに置き換えて説明するとわかりやすいですね。【dentalkokushiのコメント】児童虐待に関する選択肢eが正解でしたが、一緒に児童虐待防止法に基づく通告先も確認しておきましょう。児童虐待防止法に基づく通告先は下記の3か所になります。市町村児童相談所福祉事務所児童虐待防止法に基づく通告先は111C34で出題されていますのでご確認ください。福祉事務所については生活保護の申請先としても有名です。→【参考になる動画】【dentalkokushiのコメント】矯正治療の流れを聞く問題でした。細かい知識を出題しているわけではなく、歯科医師としての常識を問う問題で、とても良い問題だと思います。レベリング(ファーストオーダーベンド)が終了したら、歯体移動をすることになりますが、4番を抜いているので、まずは3番を遠心に動かさないと切歯の移動ができません。したがって、選択肢b「犬歯の遠心移動」(もちろん歯体移動ですよ)を選択することになります。最近の矯正の臨床問題はこのような臨床の常識ともいうべき基本的な内容が積極的に出題される傾向にあります。かつてのようにポリゴン表を見て機械的に解答する問題はほとんど出題されていないことに注意してください。過去問を漫然と解いても合格点を取ることが難しくなっているということです(漫然と過去問を繰り返すのではなく、dentalkokushiがしばしば言っている過去問研究を実行する必要があります)。【dentalkokushiのコメント】法医学関連の問題です。最近の国試では法医学に関連する問題が毎回数問出題されますが、細かいことは絶対に出題されませんし、仮にわからない場合でも消去法で解答できる問題が多いです。本問も、正解になる選択肢aがわからなかったとしても、他の選択肢を消去することで正解にたどりつくことができる問題でした。→【参考になる動画】【dentalkokushiのコメント】本問はホルモンに関する総合的な問題でした。112C1の発展的な問題です。112C1の選択肢も含めてきちんと検討(研究)していた方にとってはキタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!という内容だったかと思います。112C1ではガストリンについて問われていたわけですが、ガストリンは胃から分泌されます。ということは、113C33選択肢a「胃」は確実に正解しなければならない問題だったわけですね。→【参考になる動画】【dentalkokushiのコメント】印象というのは加圧印象が原則ですよね。まずここを確認しましょう。したがって、選択肢c「トレー顎堤粘膜面のスペーサーの付与」はあり得ません。最近の国家試験ではなんとなくそれっぽい言葉が含まれているけど、あり得ない内容の選択肢が出てくることがあります。これはそれっぽい言葉だけ覚えている人を合格させたくないという意味なんだと思います。つまり、理解度をしっかり試したいということでしょうから、あやふやに済ませないことが大事かなと思います。【dentalkokushiのコメント】SPECTについてストレートに問う問題でした。SPECTについては今後も出題される可能性がありますが、細かい内容は出題されないと思いますので、基本的な内容を知っておけばよいでしょう。ちなみに選択肢a「18F」はPETで使う薬剤のフルオロデオキシグルコースのことです。【dentalkokushiのコメント】本問は前装スペースの確認のためのシリコーンコアだったわけですが、113D85と108A68では支台歯形成後の切削量を確認するためにシリコーンコアを使っています。ここをきちんと区別しておきましょう。→【参考になる動画】【dentalkokushiのコメント】正答率が25~30%程度の問題ですので、不正解でも落ち込む必要はありません。ただし、選択肢cを選んではいけませんよ…。だって、両側に歯があって垂直的顎間関係が決まっているわけですからね!【dentalkokushiのコメント】接着修復に関する基本的な問題でした。接着修復にはいくつかのルールがあります。補助的保持形態は付与しない予防拡大はしない便宜拡大(=便宜形態)は付与する場合がある(ケースバイケース)さらにグラスアイオノマーセメント修復の場合にはベベルを付与しない(=バットジョイントにする)というルールが加わります。このルールを把握しているかどうかを問う問題だったわけです。画像がなくても解答できる問題でしたね…【参考になる動画】(※セファロは省略しました)【dentalkokushiのコメント】矯正用アンカースクリューに関する問題は、111回以降毎回出題されています。実際の矯正臨床ではアンカースクリューを使用するのが当たり前になっていますので今後も出題され続けると考えられます。ちなみに選択肢d「犬歯の口蓋側移動」は×です。しかし「犬歯の遠心移動」であれば正解となります。ほぼ同一の内容の問題が再度出題される可能性もありますので、確認しておきましょう。D問題【dentalkokushiのコメント】歯科理工学の基本中の基本を問う問題でした。正答率は95%程度ですので、このような基本問題が瞬時に解答できないと合格は困難になるでしょう。dentalkokushiが良く言うところの「ドーナツの真ん中」です。【dentalkokushiのコメント】本問は簡単そうで意外と正答率が伸びなかった問題でした(正答率75%程度)。丸暗記ではなかなか対応しづらい問題で合否を分けた問題となりました。以下プロセスを記しておきますので参考にしてください。血液凝固因子の中には肝臓で合成されるものがありますので、選択肢b「肝硬変」で血液凝固因子が合成できなくなり、プロトロンビン時間が延長することになります。プロトロンビン時間に関係する血液凝固因子はビタミンK依存性血液凝固因子ですので、ビタミンKが不足するとビタミンK依存性血液凝固因子が肝臓で合成できなくなり、プロトロンビン時間は延長することになります。【dentalkokushiのコメント】本問も意外と正答率が伸びなかった問題でした。正答率は65%程度でしたので、合否を分けた問題となりました。選択肢dのStaphylococcusが正解でしたが、Staphylococcus属は黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)を想起して頂きたかったところです。黄色ブドウ球菌は皮膚等に広く分布するありふれた細菌ですからね・・・。黄色ブドウ球菌は歯科医師国家試験にとてもよく出題されます。有名な外毒素であるエンテロトキシンも黄色ブドウ球菌が産生する毒ですし。【参考になる動画】【dentalkokushiのコメント】フレアアップは慢性化膿性根尖性歯周炎が急性化することを言います。解剖学的根尖孔からの根管治療器具の突き出しが原因で生じます。根尖孔付近は非常にデリケートな部位で、取扱いが難しい場所ですので、リーマーやファイルの先端が根尖孔から突き出すことがあり得ます。日常臨床ではフレアアップはそれなりに遭遇しますので、知らなかった方はこの機会に意識しておいてください。【dentalkokushiのコメント】紅板症、白板症、扁平苔癬などの疾患は以前は前癌病変や前癌状態などに区別されていましたが、現在は口腔潜在的悪性疾患とひとまとめの分類に再編されました。【dentalkokushiのコメント】問題文を読んだ瞬間にアドレナリン反転とわからなければ解けない問題ですね。ストーリーとしてはアドレナリンを投与したはずなのに、血圧が下がるという怪現象(?)です。つまりα1受容体が遮断されしまったため、残ったβ1受容体とβ2受容体の関係を考える問題、、、ということになります。ちなみに私は113回国試1日目終了後に2日目の出題内容の予想をしていたのですが、アドレナリン反転は見事に的中していました(動画)。ストーリーが理解されているなら、α1受容体を遮断する可能性がある薬物を選べばよいわけです。つまり、選択肢abeはアドレナリン受容体とは全然関係がない薬物ですので、消去すればよいのです。そうすると、残った選択肢cとd(どちらも抗精神病薬でした)が正解ということになります。選択肢cとdの薬物名を記憶していることを要求しているわけではなく、アドレナリン反転のストーリーがきちんと把握されていれば解答できる問題だったわけです。類題としては108A32、111B51がありますので、確認しておいてください。この2問を見ると過去問研究の重要性がお分かり頂けるのではないかと思います。歯科セミナーなら「1D(ワンディー)」で!日本最大級の歯科医療メディア「1D」では、診療に役立つオンラインセミナーを多数開催中。もっと知りたい臨床トピックから超ニッチな学術トピックまで、参加したいセミナーが見つかります。下記ボタンから、開催中のセミナーを見てみましょう!開催セミナーを見てみる
dentalkokushi
2020年8月10日
細かすぎて伝わらない、ジルコニアの材料学

細かすぎて伝わらない、ジルコニアの材料学

自費診療における歯冠修復材料といえば、e-maxかジルコニアの二択ではないだろうか。かつての長石系陶材やそれらを前装に用いたいわゆるメタボンは、もはや時代錯誤の代物となった。金属を鋳造するようにリチウム2ケイ酸ガラスをプレスして製作するプレスセラミックス、俗称IPS e.max press ®︎(以下、e.max、ivoclar vivadent社)は、高い審美性と強度から10年程前から急速に需要を高めたが、現在ではさらに高い強度を有すジルコニアが主役の座を奪ったと言っても過言ではない。しかしながら、ジルコニアといっても他のセラミックスと何が違うのか?どうして強度が高いのか?と疑問をお持ちの方も少なくないのではないだろうか。とりあえずジルコニアを勧めるのではなく、材料の基本的性質を熟知した上で有意義に臨床応用してほしいと思い、筆者は本記事のオファーを受けた。読者の方にはいささか基本事項ばかりで恐縮ではあるが、“細かすぎて伝わらない、ジルコニアの材料学" と題して、ジルコニアの材料学的性質を解説、私なりに考察したので、今一度確認のつもりでご拝読頂きたいと思う。ジルコニアはZrではないジルコニア(ZrO2)は原子番号40の金属であるジルコニウム(Zr)と酸素との化合物であり、セラミックスすなわち陶材などと同じ無機材料である。例えばアルミニウム(Al)とアルミナ(Al2O3)がそうであるように、ZrとZrO2は元素的には同じでも、化合物としての性質は全く別物である。ジルコニア(Zr)と書かれているのをよく見かけるが、決してそうではないので是非表記にも注意してほしい。ジルコニウムは元素の周期表を見るとわかるがTi元素の真下に位置し、金属としては性質が似ており生体適合性も良好である。この金属のジルコニウムは言うまでもなく金属色を呈すが、酸化物のジルコニアは白色あるいは結晶構造(原子の並び方)により透明である。ジルコニアの特徴は機械的強度が非常に高く、耐摩耗性にも優れるという点であり、金属材料や硬組織の代替材料として歯科材料学者が夢見てきた白い金属 “ホワイトメタル” とも称される。医療用としては1990年代から人工股関節の骨頭として応用されており、実は歴史のある材料である。ジルコニアの生体適合性は非常に良い。アレルギーはもちろんなく、材料表面にプラークが付着しづらいという報告もありインプラントアバットメントをはじめ、近年欧米ではフィクスチャーとしても臨床応用が始まっている。歯科用ジルコニアは部分安定化ジルコニアここからはアカデミックな内容になるが、なるべく端的にわかりやすく解説したい。ジルコニアは存在する温度によって結晶構造が変化する(図1)。結晶構造が斜めに傾いている単斜晶、直方体の正方晶、立方体の立方晶の3パターンである。ジルコニアのCADCAMブロックを作る場合、原料の粉末から成型し焼成を行う際に温度変化が起こるので結晶構造の変化(相転移という)を伴う。この相転移の際に約4.6%の体積収縮あるいは膨張が起こる。この変化が、材料を破壊せず繰り返し焼成し生産、歯の形に成形するのに厄介だった。歯科用に使用するためには結晶構造を安定化する必要があったわけである。そこで登場するのがイットリウム(Y)やセリウム(Ce)などといった安定化元素である。ジルコニアは室温では歯科で使うには弱い単斜晶の状態であるが、安定化元素の酸化物を部分的に添加すると、室温でも強い正方晶あるいは立方晶の形で安定に存在させることができる。これが部分安定化ジルコニアと呼ばれるもので、歯科用のジルコニアはこの部分安定化ジルコニアのことであり、最初に本邦で認可が下りたのはイットリア添加型正方晶部分安定化ジルコニア(Y-TZP,従来型ジルコニア)である。Y-TZPの他の種類として、イットリアの代わりにセリアをアルミナと複合化させて配合させたCe-TZPがKZR-CAD NANOZR®︎(ナノジルコニア)と称して現在もYAMAKIN(株)から販売されている(当初はPanasonicから販売)。ジルコニアはなぜ強いか100%正方晶で安定化させたジルコニア(TZP)はブリッジのコア等の強度が必要とされる部位に使用されてきたアルミナ陶材よりもはるかに硬く、曲げ強さはセラミックスでありながら1200~1500 MPaと金属材料に匹敵し、約350 MPaであるe.maxを大きく上回る。さらに、破壊靭性値についてもアルミナ陶材の2〜5倍程度あり、破壊しづらい(表)。ジルコニアがこのような優れた機械的性質を有す主たる理由は“応力誘起相変態”と呼ばれるジルコニア特有の現象に起因する(図2)。ジルコニアでは応力が付与され亀裂が生じると、その周囲の結晶構造が正方晶から単斜晶に変化する。前述したようにこの相転移に伴い体積が膨張するため亀裂の隙間を埋める結果となる(図3)。すなわち、ジルコニア自体が結晶構造の変化によって亀裂の進展を防ぎ、従来のセラミックスにはない高靭性を発揮するのである。このように物理的生物学的に過酷な環境である口腔内に適した新材料として高強度ジルコニアが脚光を浴びることとなった。しかしながら、従来型TZPは多結晶体であり光を散乱、屈折させるため陶材に比べ透明性が低いことが問題であり、モノリシック(一つの材料で構成する単層の歯冠修復物)では臼歯部にしか使用できなかった。よって、審美領域に使用する際はジルコニアをコアやフレームに用い、その上からレイヤリングあるいはe.maxをプレスした装置が使用されることが多かった。当時、ジルコニアとレイヤリングした材料の弾性係数の差などによって、コアのジルコニア自体は強いものの上物のチップなどが問題とされ、結局モノリシックe.maxの方が壊れないとの見解も多くあった。審美修復で使用されている自費ジルコニアの正体100%立方晶で安定化させたジルコニア(CZP: キュービックジルコニア)は、いわゆる透明な人工ダイヤモンドのことだ。CZPの曲げ強さは300MPa以下とY-TZPより低く、単独では歯科用には使われていない。近年、100%正方晶ジルコニアの問題点である白すぎる色調を解決するために、この透明性の高いCZPを配合させモノリシックでも審美修復に使用できる高透光性ジルコニアが開発され様々なシェードが用意されるようになった。CZPの配合によって機械的性質は低下するが、それでも600MPa以上で従来型ジルコニアより弱いものの、e.maxを凌ぎ必要な強度は担保されている、という形だ。つまりここまでをまとめると、現在我々が歯科医院で提供しているジルコニアとは、相転移による破壊を防ぐためにイットリアなどの安定化元素を部分的に配合させ安定させた結晶構造を持つ正方晶部分安定化ジルコニアに立方晶部分安定化ジルコニアを一部に混ぜたもの(臼歯部用にCZPを含まないものもある)=高透光性ジルコニアなのである。材料学者が思うジルコニアレストレーションの臨床的考察筆者は、現在材料学に没頭する前には大学院を含めて補綴学を専攻していた。臨床経験としては若輩であり大変恐縮であるが、基礎研究の傍ら歯科臨床に従事している一歯科医師としてジルコニアレストレーションの臨床応用について少し考察してみたいと思う。まずは高い強度が与えうる影響について考えてみたい。前述したように商品によってCZPの配合量が異なるため症例や適応歯によって材料の使い分けが必要である。とりわけ臼歯部に用いた場合、その硬さによって対合歯や顎関節への影響を考慮しなければならない。咬合と顎位の関係はナソロジーで議論されてきたように非常に複雑で普遍的なことは言えないが、ジルコニアが顎咬合系に与える影響で一つ言えそうなことは、良い意味でも悪い意味でも周囲組織と裏腹に摩耗などの変化が極めて起こりづらいということである。つまり残存歯や咬合高径の変化によって、咬合の支柱になり得る反面、経年的に外傷性咬合の引き金ともなり得るかもしれない。この諸刃の刃とも言える材料の周囲の変化をよく見極めるためにもジルコニア装着者の長期のメインテナンスは必須事項であろう。対合歯の摩耗に関しては、仕上げ研磨をラボレベルでしっかり行っていれば問題ないという考え方が主流であるが、調整後また再研磨させるのも手間であるし、口腔内での調整が困難である。また接着に関して言えば、ジルコニア表面にはMDPが効果的であると報告されているが、既存の材料と比べると材料学的に接着力は十分とは言えないだろう。ジルコニアは我が国におけるメタルフリー化へのプロセスにも合致しており大変注目を浴びている。近年の目覚しいジルコニアの普及は,体積変化を正確に計算して加工ができるCADCAMとデジタル技術発展の恩恵に他ならない。歯科界の風潮を考えるとこの先20年、ジルコニアは歯冠修復材料の主役になっていくだろう。私自身、ジルコニアレストレーションには肯定的でも批判的でもない。白いのに金属に匹敵するぐらい丈夫な材料は他にはないし、患者の希望と相まって予知性のある補綴治療が可能と予測されたならジルコニアレストレーションも躊躇しない。しかしながら、ジルコニアは歯科材料としては日が浅い材料であり長期予後に科学的に不明な点があることを忘れてはならない。セラミックスである以上、脆性的で金属材料に比較するとたわまないため、十分にその特性に注意し臨床応用しなければならないと考えている。すべての材料に共通して言えるが、大切なことは常に新しい情報をアップデートし、ネガティブな側面を無視せずに症例を選ぶことであると私は考えている。歯科セミナーなら「1D(ワンディー)」で!日本最大級の歯科医療メディア「1D」では、診療に役立つオンラインセミナーを多数開催中。もっと知りたい臨床トピックから超ニッチな学術トピックまで、参加したいセミナーが見つかります。下記ボタンから、開催中のセミナーを見てみましょう!開催セミナーを見てみる
廣田 正嗣
2020年7月4日

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