歯科用語集
2025年10月28日

顎口腔系

「顎口腔系」とは?歯科用語の解説と症例を紹介

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定義・語源

顎口腔系とは、顎および口腔に関連する解剖学的構造や機能を指す用語である。顎は上顎と下顎から成り、口腔は歯、舌、唾液腺、口蓋などを含む。顎口腔系の語源は、顎(あご)と口腔(こうこう)を組み合わせたものであり、これらの構造が相互に作用し、食物の咀嚼や発音、呼吸に重要な役割を果たすことから、臨床においてもその理解が求められる。顎口腔系は、歯科医療において基本的な知識であり、患者の健康状態を把握するための重要な要素である。


臨床における位置づけ・判断基準

臨床において顎口腔系は、歯科診療の基盤を形成する。顎口腔系の異常は、咀嚼機能や発音に影響を及ぼし、患者の生活の質を低下させる可能性がある。診断においては、顎の運動範囲、咬合状態、口腔内の衛生状態などが重要な判断基準となる。特に、顎関節症や歯周病などの疾患は、顎口腔系の異常から発生することが多いため、早期の発見と適切な治療が求められる。歯科医師は、患者の訴えや臨床所見を基に、顎口腔系の健康状態を評価し、必要な治療計画を立てることが重要である。

関連用語・類義語との違い

顎口腔系に関連する用語には、顎関節、口腔内、咀嚼機能などがある。顎関節は、下顎と頭蓋骨の接合部であり、顎口腔系の一部として重要な役割を果たす。口腔内は、顎口腔系の内部構造を指し、歯や舌、粘膜などが含まれる。咀嚼機能は、顎口腔系が正常に機能することで成り立つものであり、これらの用語は顎口腔系の理解を深めるために重要である。顎口腔系は、これらの要素が相互に関連し合い、全体としての機能を維持しているため、単独での理解は不十分である。

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顎口腔系の理解と臨床応用。歯科医師・歯科衛生士が知っておくべき症例と処置のポイント

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顎口腔系の定義と重要性顎口腔系とは、顎、口腔、及びそれに関連する組織を含む解剖学的な領域を指す。この領域は、食物の摂取、発音、呼吸などの基本的な機能に関与しており、歯科医療においても非常に重要な役割を果たす。顎口腔系の健康は、全身の健康にも影響を与えるため、歯科医師や歯科衛生士はこの領域の理解を深める必要がある。特に、顎関節症や口腔内の疾患は、患者の生活の質に大きな影響を及ぼすことがあるため、早期の診断と適切な処置が求められる。顎口腔系の構造と機能顎口腔系は、上顎、下顎、歯、舌、唾液腺、顎関節などから構成されている。これらの構造は、食物の咀嚼、飲み込み、発音において重要な役割を果たす。特に、顎関節は上下の顎を連結し、口を開閉する際の動きを可能にする。顎口腔系の機能が正常であることは、患者の健康と快適な生活に直結するため、歯科医師や歯科衛生士はこの領域の異常を早期に発見し、適切な診断を行うことが求められる。顎口腔系に関連する主な症状と疾患顎口腔系に関連する症状には、顎関節痛、口腔内の痛み、咀嚼時の不快感、発音障害などがある。これらの症状は、顎関節症や歯周病、う蝕などの疾患に起因することが多い。顎関節症は、顎関節の機能障害により痛みや動きの制限を引き起こす疾患であり、早期の診断と適切な処置が必要である。歯科医師は、これらの症状を正確に診断し、患者に最適な治療法を提案することが求められる。顎口腔系の診断方法と評価手順顎口腔系の診断には、視診、触診、画像診断(レントゲン、CTなど)、および機能検査が含まれる。視診では、口腔内の状態や顎の動きを観察し、異常を確認する。触診では、顎関節や周囲の筋肉の状態を評価する。画像診断は、顎関節や歯の状態を詳細に把握するために重要である。これらの診断手法を組み合わせることで、より正確な診断が可能となり、適切な処置を行うための基礎となる。顎口腔系における処置と術式顎口腔系に関連する処置には、顎関節症の治療、歯周病の管理、う蝕の治療などがある。顎関節症の治療には、マウスピースの装着や物理療法、薬物療法が含まれる。歯周病の管理には、スケーリングやルートプレーニングが行われる。う蝕の治療は、虫歯の進行度に応じて、充填や根管治療が必要となる。これらの処置は、患者の症状や状態に応じて適切に選択されるべきである。顎口腔系の治療における注意点とコツ顎口腔系の治療においては、患者の状態や症状に応じた個別のアプローチが重要である。特に、顎関節症の治療では、患者の生活習慣やストレスの影響を考慮する必要がある。また、治療後のフォローアップも重要であり、患者の状態を定期的に評価し、必要に応じて治療方針を見直すことが求められる。これにより、患者の満足度を高め、治療効果を持続させることが可能となる。顎口腔系の健康を維持するための予防策顎口腔系の健康を維持するためには、定期的な歯科検診と口腔衛生の徹底が不可欠である。患者には、正しいブラッシング方法やフロスの使用を指導し、口腔内の清潔を保つことが重要である。また、ストレス管理や生活習慣の改善も、顎関節症の予防に寄与する。歯科医師や歯科衛生士は、患者に対してこれらの予防策を積極的に提案し、健康な顎口腔系の維持をサポートすることが求められる。
1D編集部
2024年6月1日
過蓋咬合に対する矯正治療の臨床的実際

過蓋咬合に対する矯正治療の臨床的実際

矯正治療の目的として、機能の改善とそれに伴う上下顎の大臼歯および犬歯の咬合関係や前歯部のオーバーバイトの改善が必要である。不正咬合のなかでも特に、過蓋咬合症例における前歯部のオーバーバイトの改善は治療が難しいものの一つであり、顎顔面の水平的不正、垂直的不正についても十分に考えていく必要がある。 過蓋咬合の基準過蓋咬合とは、上顎前歯部と下顎前歯部の垂直被蓋が異常に深い咬合を呈するものであり、下顎にスピーカーブが認められる。具体的には咬頭嵌合位における上顎前歯が下顎前歯の唇面1/4から1/3を覆う正常被蓋をはるかに越えて、深く咬合するものを示す。このとき、しばしば下顎前歯切縁が上顎前歯部舌側歯頸部付近の歯肉を咬むような状態をみることができる。また反対咬合の場合にも垂直被蓋が大きければこの語を適用することがある(オーバークロージャー)。過蓋咬合には、骨格的要因として下顎角が小さい下顎骨形態や、下顎下縁平面角の狭小などがある。また歯槽性要因として上下顎前歯の高位や臼歯の低位などがある。 過蓋咬合はさまざまな不正咬合と合併することが多い。たとえば、AngleⅡ級2類のように上顎前歯が下顎前歯の唇側面を大きく覆うものや、AngleⅡ級1類のように上顎前歯の前方位や唇側傾斜によって過度のオーバージェットを生じて下顎前歯が口蓋に噛み込むようなもの。一方では、下顎前歯が上顎前歯の唇側面を大きく覆う反対咬合のタイプもある。 AngleⅡ級2類の場合は、咬合時に上下顎の歯の接触により下顎が後方や前方に機能的に誘導されることによって生じ、顎関節症を伴うこともある。過蓋咬合の背景として、一般的には強い咬合力、場合によっては加齢にともなった歯の咬耗や歯周組織の崩壊、あるいは歯の喪失などが認められる。 過蓋咬合は治療すべきか?一般に過蓋咬合の見られる患者では上下顎全歯の摩耗や咬合位の低下により、そのままの状態では義歯や金属冠などの装着が困難であること、また顎関節部や筋肉への影響、発音や咀嚼機能などの顎口腔系への機能障害、そして回復後の咬合の安定性への低下が懸念される。それと同時に、頬粘膜や舌の咬傷、口角びらん、審美障害、顎関節障害が発生しやすい。これらを改善するためには咬合高径の回復が必要であり、適切な垂直的顎間距離を構築することが大切になってくる。上記のことより、過蓋咬合は適切な時期に治療すべきであると考えられる。 成長時期による治療のポイント乳歯列期や混合歯列期における過蓋咬合の治療は、顎骨の成長を利用し咬合挙上をはかるのが理想的である。乳歯列期では前歯のオーバーバイトが深くなりすぎると、円滑な下顎の前方滑走ならびに側方滑走運動に抑制ないし無理が生じるため、上顎に対する下顎の順調な前方発育が阻害される。その結果、のちに下顎骨の劣成長や下顎遠心咬合を招いたり、顎機能異常症への引き金ともなりうる。しかし、上下の対顎関係が良好なもの(Skeletal1)に対処すべきかは疑問の余地がある。したがって著しいSkeletal2あるいはディスタルステップ型、またはその両方が認められる過蓋咬合と診断できる場合は、咬合の挙上と下顎の前方発育の促進を目的として矯正治療を行うのがよい。 混合歯列期の過蓋咬合は、自然治癒を期待することは難しい。発育成長中の下顎骨の前方成長ならびに前方滑走運動の阻害への対処ということから考えると、咬合の挙上と上下顎第一大臼歯のⅠ級関係にするべく矯正治療を行うのが望ましい。Ⅰ級関係をつくるため上顎第一大臼歯の遠心移動によるのか、下顎第一大臼歯の近心移動ないし下歯列弓の前方への成長によるのか、それら両方によるのかは、上顎前歯の舌側移動の必要があるのか、側方歯群の萌出余地をどのようにして確保するのかなどの条件に応じて、二期治療を前提としての抜歯か非抜歯かの予測を含め、適切な判断が必要である。 また過蓋咬合の改善が臼歯の萌出促進(挺出)によるのか前歯の圧下によるのかそれら両方によるのかに応じ、もし1または3によるべきと判断される場合は、歯根の成長を考慮し、前期混合歯列期での器械的連続力による長期の治療を避けるべきである。 他方、骨格型の不調和(Skeletal2)が著しい場合、大幅な下顎骨の前方誘導や前方成長が期待できないため対処を避けるべきであり、 その後の外科的矯正治療を含む判断が必要である。なお後期混合歯列期のなかごろから第二大臼歯の萌出(咬合)完了の間にいわゆる思春期性成長加速の現象があり、この時期の下顎骨の前方成長を利用してSkeletal2の改善が進むこともあり、考慮しなければならない。 成人の場合は治療方法が異なり、器械的に上下顎前歯の圧下をはかることや臼歯の挺出をはかることによるものが多い。歯の圧下は歯根および歯周組織に大きな負担をかけるため、矯正力の大きさや付与の仕方に注意する必要がある。また、治療後は保定期における慎重な観察と対応が必要である。特に、強い咬合力を有する症例に対しては後戻りを防止するために、咬合挙上板や咬合斜面板、スプリントなどを長期にわたって使用することがある。さらに、骨格性および歯槽性要因がともに強く、オーバーバイトが非常に大きい症例では、矯正治療のみによる改善が困難であるため、歯槽骨の部分的骨切術などを併用した外科的矯正治療を適用することもある。 成人のなかでも成長期に形成された過蓋咬合とは異なり、おもに壮年・老年期に歯周組織の老化や歯周病の罹患、歯の喪失などにより臼歯部の近心および舌側傾斜をきたし咬合高径が低下して、過蓋咬合を惹起あるいは増悪させる場合がある。この際は、歯周病科・補綴歯科・口腔外科などの専門科と連携して、臼歯の整直や前歯の位置を改善させ、包括的に顎口腔の機能回復とその後の長期的な維持・管理をはかる必要がある。 以上のことより、治療を介入する時期に応じた正しい診断とそれに応じた治療をしていくことが重要である。 
482 TSUNAGU
2023年1月12日
【1D的セミナーログ】義務化される競技増加中。マウスガードを語る

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先日、1Dで東京歯科大学のスポーツ歯学研究室・武田友孝教授を講師としてお招きしたオンラインセミナーが行われた。セミナーは「誰も教えてくれなかった!スポーツマウスガード超実践論」と題し、昨年開催された東京オリンピックの影響で注目されているスポーツ歯科医学の現在〜未来に関するレクチャーがなされた。当日は多くの歯科医師の方々が参加し、質問も多く盛況となった。本記事では、そのセミナーの内容をかいつまんで解説する。そもそも「スポーツ歯科」とは?スポーツ歯科医学とは、顎口腔系のスポーツ傷害の適切な診断、治療、予防及びスポーツ選手の健康の維持・増進を促すことで選手のベストパフォーマンスやベスト運動能力の発揮を支援することである。現在はそれに加えて、スポーツ愛好家や国民の健康を増進することを含めて健康・スポーツ医学と総称している。一般人とオリンピアン(1964年の東京オリンピックに出場した選手)の残存歯と健全歯数を長期間で追った調査があるが、高齢になってもオリンピアンの方が多く残存歯と健全歯があり、なんでも噛んで食べられると回答している。歯の健康を守ることで身体の健康が守られるのか、それとも身体の健康が守られることで歯の健康が守られるのか因果関係はわからないが、それぞれが良い関係を及ぼし合っている可能性が示唆される。 なぜ、マウスガードは必要なのか?顎口腔領域におけるスポーツ外傷の受傷原因として、対人衝突、用具・打撲、転倒、対物衝突などが挙げられる。これらは予測可能なものであるため、ルール・安全指導・防具をしっかり使えば予防可能と考えられている。また、スポーツにおける安全という概念には予防安全と衝突安全というものに分けられる。マウスガードは衝突安全を守る上で非常に有効と考えられる。上に示すスライドはサッカーの練習中に相手選手の歯が頭にあたり頭部裂創を生じ、病院にて処置を行ったがその後感染してしまった症例である。口腔内には多くの細菌が存在するため外傷後のケアも十分に必要である。このような傷害を相手選手やスポーツを共に行う選手、または自分自身に与えないためにも適切なマウスピースを使うことは重要である。 義務化されるスポーツも増加。マウスガードの現在マウスガードはほとんどのスポーツで使用することができ、義務化されているスポーツも年々増加している。現在では、コンタクトスポーツのみならず、非コンタクトスポーツでも対人・対物衝突による顎口腔外傷予防のために使用する選手も多くなってきている。ただスポーツにより使用できるマウスガードの色調が異なることは注意が必要である。実際にボクシングや空手などのコンタクトスポーツでは出血の赤と色が紛らわしくならないよう、赤系のスプリントは禁止されているという。それぞれのスポーツのルールに沿った作製を心がけたいところである。またマウスガードの効果として最も重要なのは、下記である。歯や顎骨などの外傷障害の予防軽減及び、頭頸部外傷(間接的な外力による脳震盪)の予防・軽減その他の効果としてスポーツパフォーマンスの向上を謳っている場合があるが、その伝え方は注意が必要とする。実際にスポーツパフォーマンスの向上に直結してしまうと、ドーピングとしてカウントされ失格になってしまったケースがあるからだ。代替的な伝え方としては遠隔部筋力の増強や全身平衡感覚の改善というニュアンスで伝える方が不要な疑いを持たれないため安全だろう。 マウスガードの作製・管理についてマウスガードの選択は、選手の年齢、口腔内の状態(特に前歯部外傷の既往・治療の有無)、参加種目、レベル等を考慮して行い、ここに適したものを提供すべきである。また、正しい咬合関係は安全性の観点からも重要である。装着時、使用後も違和感の軽減も注意深い調整が必要である。
武田 友孝
2022年7月31日

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