歯科用語集
2025年10月28日

接着性レジンセメント

「接着性レジンセメント」とは?歯科用語の解説と症例を紹介

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定義・語源

接着性レジンセメントとは、歯科において用いられる接着剤の一種であり、主に歯冠やブリッジ、インレー、オンレーなどの固定に使用される。レジンセメントは、樹脂系の材料であり、化学的な接着力を持つことが特徴である。語源としては、「接着性」は接着する特性を示し、「レジン」は樹脂を意味する。接着性レジンセメントは、従来のセメントと比較して、より強力な接着力を提供し、審美性にも優れているため、近年では多くの臨床現場で使用されている。


臨床における位置づけ・判断基準

接着性レジンセメントは、歯科治療において非常に重要な役割を果たす。特に、審美的な要求が高い場合や、強い接着力が求められる場合に選択されることが多い。臨床においては、接着性レジンセメントの選択は、使用する材料の特性や患者の口腔内の状況に基づいて判断される。例えば、歯質の状態や、使用する修復物の種類、さらには患者のアレルギー歴なども考慮されるべき要素である。また、保険点数に関しても、接着性レジンセメントを使用する場合の点数が設定されているため、経済的な側面も重要な判断基準となる。

関連用語・類義語との違い

接着性レジンセメントに関連する用語としては、「グラスアイオノマーセメント」や「コンポジットレジン」がある。グラスアイオノマーセメントは、接着性がありながらも、フッ素放出特性を持つため、特に小児歯科での使用が推奨される。一方、コンポジットレジンは、主に修復材料として用いられるが、接着性レジンセメントとは異なり、直接的な接着力を持たないため、適用範囲が異なる。これらの用語との違いを理解することで、臨床現場での材料選択がより明確になる。

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審美歯科のスペシャリストに聞く「接着のカンどころ」

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デンタルIQの向上によって高まる審美歯科のニーズ近年、国民の健康意識が大幅に向上し、予防歯科の普及とともに、審美歯科へのニーズも急速に高まっています。特に、デンタルIQが向上した患者は、単に機能回復を求めるだけでなく、審美的な仕上がりやメタルフリー治療、矯正治療など、より高度な審美的要求を持つようになっています。こうした患者ニーズの変化に対応するため、歯科医師には高い技術力と信頼性がこれまで以上に求められています。審美歯科治療の分野では、新しい技術や材料を迅速に習得し、エビデンスに基づいた治療を提供することが、患者の期待に応えるために不可欠です。追い風にも感じる「脱パラ」への動き厚生労働省の方針により、金銀パラジウム合金の使用縮小が進み、メタルフリー治療の需要が高まっています。背景には、パラジウムの価格高騰や金属アレルギーへの配慮があり、今後のメタルフリー材料の普及が期待されています。この流れの中で、CAD/CAMシステムによるレジン材料やPEEK冠などの新素材が注目され、審美性向上に寄与しています。特に保険診療での金属使用が減少する中、審美歯科における材料選定は今後さらに重要です。歯科医師には、最新のメタルフリー材料や信頼性の高い接着剤、セメントを適切に活用するスキルが求められています。エビデンスに基づいた材料選びと最新技術の導入が、今後ますます重要となるでしょう。スペシャリストの審美治療を解剖今回は、審美歯科の第一線で活躍されている髙木仲人先生に、審美修復における接着のポイントや、その効果を最大限に引き出すためのZEN®ユニバーサルシステムについて伺いました。ZEN®ユニバーサルシステムは、三井化学が開発したモノマーを採用し、サンメディカルの技術力によって製品化されたユニバーサルタイプの接着システムです。こちらのシステムは、「ZEN®ユニバーサルセメント」と「ZEN®ユニバーサルボンド」の2種類のみで、歯質や金属、ジルコニア、アルミナ、ガラスセラミックス、レジン系材料、さらにはPEEK冠にも接着が可能です。ZEN ユニバーサルセメント/歯科接着用レジンセメント/管理医療機器/認証/305AKBZX00052000ZEN ユニバーサルボンド/歯科用象牙質接着材/管理医療機器/認証/ 305AKBZX00051000髙木先生には、ZEN®ユニバーサルシステムを実際の臨床でどのように活用しているか、プロフェッショナルの視点からその魅力を解説していただきます。左:ワンディー株式会社 編集部 高橋 佳奈 右:門前仲町髙木歯科 院長 髙木 仲人先生Q1: 先生はZEN®ユニバーサルシステム発売後すぐにご使用いただいておりますが、現在の率直なご感想をお聞かせください。最近では、接着対象となるマテリアルが非常に多岐にわたっています。CAD/CAM修復物、PEEK冠、セラミック、ジルコニアなど、さまざまな素材に対応する必要があり、その処置が複雑化してきました。しかし、ZEN®ユニバーサルシステムの場合、アドヒーシブとセメントの2つだけで処置が完了します。このシンプルさが非常に魅力的で、手技が大幅に簡略化され、とても使いやすい製品だと思います。Q2: 接着力や審美性が求められるケースでも使用されていますが、その後の経過はいかがですか?ZEN®ユニバーサルシステムを導入して6ヶ月が経過しましたが、これまでに使用したコンポジットレジンやセラミック、ジルコニア、CAD/CAM修復物、PEEK冠において脱離は一例もなく、非常に順調に経過しています。また、前歯部の審美修復に使用することが多いのですが、被膜が薄いため、マージンラインが見えにくい点がいいです。さらに経過中の着色も一切見られず、審美性の高い修復を提供できています。Q3: 接着性レジンセメントの自動練和型と手練和型の操作性の違いについて教えてください。自動練和型のメリットは、テクニカルエラーを減らせる点と作業時間の短縮です。セメントを手練和する場合、慣れている歯科医師や歯科衛生士、歯科助手が行うとしても、練和の上手さや練和にかかる時間に個人差があります。もし練和が不十分であれば、化学重合がうまく進行せず、ムラが生じることもあります。自動練和はそうしたリスクを大幅に軽減します。さらに、手練和では、練る際や補綴物に入れる際に気泡が混入するリスクがありますが、自動練和の場合、セメントをそのまま注入できるため、気泡が入りにくいです。Q4: ZEN®ユニバーサルセメントは特殊な脱泡装置を使用していますが、ペーストの性状についての感想をお聞かせください。ZEN®ユニバーサルセメントでは、練和されたペーストに気泡が混入しているのを見たことがありません。また、程よい粘性があり、補綴物に入れた際に垂れることもなく、非常に操作性が良いです。硬すぎず柔らかすぎず、ちょうど良いバランスで扱いやすい印象です。Q5: ZEN®ユニバーサルシステムの「DIS™」(Double Initiator System)による重合性能についての印象はいかがでしょうか?今回の「DIS™」システムについてですが、化学重合が非常にアクティブに反応している印象があります。そのため、他社製品と比較しても、化学重合に対する信頼性が高いと感じています。特に、ジルコニアやPEEK冠など光が通らない材料の場合、光による重合はほとんど期待できませんので、化学重合が主な役割を担います。そういった意味では、光が届かない補綴物に対する化学重合の強さは、非常に有利に働くと感じています。Q6: ZEN®ユニバーサルシステムを使用して脱離しにくい理由はどこにあるとお考えですか?脱離しにくい理由は、今回の化学重合システム「DIS™」の反応の良さではないでしょうか。また、アドヒーシブに含まれているタッチキュアも重要な要素です。それぞれのアドヒーシブおよびレジンセメントにおける化学重合成分が非常に強力であるため、脱離を防ぐ効果があると考えています。さらに、アドヒーシブの被膜の厚さが5μmと適度で、薄すぎず厚すぎないため、これらの要素が組み合わさり、脱離のリスクを低減していると感じています。Q7: ZEN®ユニバーサルシステムの経済性についてのご意見をお聞かせください。ZEN®セメントのミキシングチップはデッドボリュームを32%減少させることができるため、メーカーさんが非常に工夫を凝らしていると感じます。ノズルが長すぎると未使用部分が生じますが、逆に短すぎると混合が不十分になり、気泡が混入するリスクがあります。そのため、単純にノズルを短くするのではなく、バランスを考慮した設計がなされていると思います。コストパフォーマンスについては、他社製品と比較しても非常に優れていると感じています。個人的には、接着力の低下を避けるため、ミキシング直後のセメントは使用したくないので、最初の1センチは捨てるようにしていますが、それでも無駄が少ない印象を受けています。Q8: ZEN®ユニバーサルボンドの「被膜の薄さ」や「エアブロー時の操作性」についての印象を教えてください。被膜の薄さは2ステップの製品に比べると約三分の一程度で、特に前歯部の審美修復において、コンポジットレジンやダイレクトボンド、ダイレクトコンポジットラミネートベニアなどを使用する際にメリットがあります。ボンド層が厚いと光が入った時にボンド層が見えてしまうことがありますが、被膜が薄いため、前歯部での審美的な充填が可能だと考えています。また、エアー操作を行う際に粘度が高すぎると、液だまりを起こすことがありますが、このボンドは粘性が適度なため、エアブローがしやすいという印象があります。Q9: CAD/CAM修復物やPEEK冠などの被着体に対する接着結果はいかがですか?CAD/CAM修復物やPEEK冠など、従来は接着が難しかった被着体に対しても、ZEN®ユニバーサルシステムは一貫して優れた接着力を発揮しています。各歯面に対して、なぜこの処理を行う必要があるのか、リン酸エッチングの目的は何か、シランカップリング材入りのMDPを使用する理由について考えることは重要です。しかし、そうした専門的な知識を持つ先生方だけでなく、どのような先生が使用しても一定以上の接着力を発揮できることが大切だと思っています。つまり、ユニバーサルな製品であり、誰が使っても安定した接着力を提供できることが求められます。今回の製品は、どなたが使っても一定以上の接着力を発揮できる点が非常に魅力的です。また、アドヒーシブとセメントの2つだけで良いというシンプルさも、非常にわかりやすいと感じています。Q10: 使用にあたって、術式のポイントやコツがあれば教えてください。コツとしては、被着体側のエアブローを行う際に、強圧でするのではなく、重要なMDPや有効成分を残すように溶媒を揮発させるエアブローを行っていただきたいです。有効成分を残すように注意しながら作業することで、接着力がさらに向上します。e-max インレー症例写真光照射器に関しては、しっかりとカンファーキノンに反応するものを使用することが重要です。また、個人的にはこの製品の化学重合タッチキュアは若干早いと感じています。ですので、セメントアウトを行う際には、仮照射を先に行い、早めにセメントアウトをするのが良いかと思っています。Q11: ZEN®ユニバーサルシステムをご使用後、治療効率や患者さんの反応について教えてください。ZEN®ユニバーサルシステムを使うことで、治療の効率が非常に向上しました。アドヒーシブとセメントの2つを用意するだけでよいので、準備もシンプルです。これによって、準備をするスタッフの負担も軽減されますし、私自身も手順が簡単なので、全体的な治療時間が短縮されます。患者さんにとっても、口を開けている時間や治療そのものが短く済むので、大きなメリットだと感じています。Q12: 最後に、ZEN®ユニバーサルシステムを使って良かった点やお勧めしたいポイントを教えてください。このシステムを使うことで、接着の効果はもちろん、診療時間の短縮にもつながりました。特に、ステップ数を減らせることが大きな魅力です。接着をシンプルに楽しんでいただければと思っています。市場には多くのセメントやボンドが存在しますが、「これだけで十分」と満足していただけるかと思います。セメントに関しては、無駄が少なく、コストパフォーマンスも優れていると実感しています。他社製品と比較した際、オープン価格でも非常にコストパフォーマンスが高いですね。クリニックとしても、単価の経済性があり、必要なものが少ないため、在庫管理も楽になります。さらに、室温保管が可能という点も大きな利点です。冷蔵庫に入れる必要がなく、他社製品では常温保管の指示がないものが多い中で、これは嬉しいポイントです。高木先生がお使いの接着システム ZEN®ユニバーサルシステム の製品情報はこちらから髙木仲人先生のインタビューからも伝わる、ZEN®ユニバーサルシステムの優れた操作性や審美性、強力な接着力。審美歯科のプロフェッショナルが信頼を寄せる接着システムについて、特長や臨床での活用方法をさらに詳しく知りたい方は、こちらから製品情報をご覧ください。製品情報はこちら「ZEN」はサンメディカル株式会社の登録商標です。「DIS」はサンメディカル株式会社の商標です。
1D編集部
2024年10月24日
接着性レジンセメントの臨床応用と処置手順。歯科医師・歯科衛生士が知っておくべき症例と判断ポイント

接着性レジンセメントの臨床応用と処置手順。歯科医師・歯科衛生士が知っておくべき症例と判断ポイント

接着性レジンセメントの定義と特性接着性レジンセメントとは、歯科において主に補綴物の接着に使用される材料である。これらのセメントは、歯質や補綴物との接着力を高めるために設計されており、特に審美的な要素が求められる場面での使用が多い。接着性レジンセメントは、化学的および機械的な接着メカニズムを利用して、強固な結合を形成することができる。これにより、補綴物の脱落を防ぎ、長期的な耐久性を提供する。接着性レジンセメントの使用目的とメリット接着性レジンセメントの主な使用目的は、補綴物の固定である。特に、セラミックやコンポジットレジン製の補綴物に対して優れた接着力を発揮する。これにより、審美性を損なうことなく、機能的な補綴物を提供できる。また、接着性レジンセメントは、従来のセメントに比べて低い溶出性を持ち、口腔内での安定性が高いことも特徴である。さらに、接着性レジンセメントは、歯質との相互作用を通じて、補綴物の周囲における二次的なう蝕のリスクを低減する。接着性レジンセメントの処置手順接着性レジンセメントを使用する際の基本的な手順は以下の通りである。まず、接着面の清掃を行い、歯質や補綴物の表面を適切に処理する。次に、接着剤を均一に塗布し、硬化させる。硬化後、補綴物を所定の位置に配置し、必要に応じて圧力を加える。最後に、余剰のセメントを除去し、仕上げを行う。この手順を正確に実施することで、接着力を最大限に引き出すことができる。接着性レジンセメントの症例と注意点接着性レジンセメントは、様々な症例において有効である。特に、前歯の審美的な補綴や、後歯の強度が求められる場合において、その効果を発揮する。しかし、使用に際しては注意が必要である。例えば、湿潤環境下での接着は接着力を低下させる可能性があるため、乾燥した状態での処置が推奨される。また、セメントの硬化時間や条件も考慮しなければならない。これらの注意点を理解し、適切に対処することで、より良い臨床結果を得ることができる。接着性レジンセメントのデメリットとその克服方法接着性レジンセメントにはいくつかのデメリットも存在する。例えば、硬化後の変色や、接着力の低下が報告されている。これらの問題を克服するためには、適切な材料選択や、処置手順の徹底が求められる。また、定期的なメンテナンスやフォローアップを行うことで、長期的な安定性を確保することが可能である。これにより、接着性レジンセメントの利点を最大限に活かすことができる。接着性レジンセメントの今後の展望接着性レジンセメントの技術は日々進化しており、今後も新しい材料や技術が登場することが期待される。特に、ナノテクノロジーを利用した材料の開発や、接着力を向上させるための新しい処置方法が研究されている。これにより、より高い審美性と機能性を兼ね備えた補綴物の提供が可能となるだろう。歯科医師や歯科衛生士は、これらの新しい情報を常にアップデートし、臨床に活かすことが求められる。
1D編集部
2024年6月1日
CAD/CAM冠、すべての大臼歯で臨床成績が悪くないことが明らかに

CAD/CAM冠、すべての大臼歯で臨床成績が悪くないことが明らかに

東北大学歯学部の研究チームは、CAD/CAM冠を大臼歯に装着した場合の臨床成績を調査し、最長4年間にわたって経過を観察した結果、生じたトラブルの多くは懸念されていた「冠の破折」ではなく「冠の脱離」であり、そのほとんどは再装着によってそのまま使用可能だったことを明らかにした。すべての大臼歯にCAD/CAM冠が適用できる?現在、第二大臼歯に対するCAD/CAM冠の治療に関しては、金属アレルギーと診断されない限りは、健康保険が適用されていない。しかし今回の研究によって、健康保険が適用されている第一大臼歯に対するCAD/CAM冠の治療と臨床成績が同等だったことから、すべての大臼歯にCAD/CAM冠が適用できる可能性が示唆された。特にこの数ヶ月、金銀パラジウム合金の価格高騰によって、歯科医療の現場は疲弊していた。今回の研究はCAD/CAM冠の適応症の拡大を示唆するものであり、金銀パラジウム合金の価格高騰による医療費増加といった問題を解決する糸口となることが期待される。研究の成果は2022年4月7日付で、学術誌PLOS ONEに掲載されている。「逆ザヤ」問題の解消や医療費抑制にも金銀パラジウム合金の価格高騰は、現在の歯科業界を右往左往させるテーマのひとつである。歯科用金属の仕入れ価格が診療報酬を上回る「逆ザヤ」が、歯科医院の経営においては大きな問題となっていた。金属の代替材料という意味でも、安定した供給が可能で、高強度かつ歯のシェードに近いハイブリッド型コンポジットレジンが注目されてきた。特にCAD/CAMの新技術を組み合わせ、ハイブリッド型コンポジットレジンの材料からコンピュータ制御により削り出しクラウンを作製する技術は、近年急速に成熟しつつある。第二大臼歯への適応はエビデンスが少なかったしかし、比較的新しい技術であるCAD/CAMで製作したクラウンを、大臼歯に適応して良いのかどうかについては、慎重に議論されてきた歴史がある。特に、強い咬合力が加わる第二大臼歯に積極的に用いて良いのかどうかを医学的に判断するエビデンスは、これまで蓄積されてこなかった。そこで研究チームは、東北大学病院および研究に協力した歯科医院で装着された大臼歯CAD/CAM冠を対象に、クラウンの脱離、破折、歯の破折などのトラブルについて調査を行い、どの部位の大臼歯であっても臨床的なトラブル発生リスクに有意差がないことを報告した。第一大臼歯の臨床成績と有意差なし今回調査の対象となったのは、362ものCAM/CAM冠。最長4年にわたって後ろ向きコホート研究を行った。その結果、362装置のうち106装置(29.3%)に何らかの臨床的トラブルが生じており、発生したトラブルのうち79装置(74.5%)がクラウンの脱離であった。ただし、脱離したクラウンのほとんどは再装着が可能な状態であり、再装着を許容するのであれば、その生存率は93.1%、Kaplan-Meier法で算出した累積生存率は3年で86.5%であった。この結果を研究チームが統計学的に解析すると、トラブルの発生についてクラウンの装着部位(上顎か下顎か、第一大臼歯か第二大臼歯か、最後方歯かどうか)による有意差は認められなかった。また、生活歯への適用は失活歯と比較してリスクが高い可能性や、接着性レジンセメント以外のセメントの使用がトラブル発生に関連する可能性が今回の後ろ向きコホート研究によって示唆されたという。保険適用範囲の拡大につながるか?CAM/CAM冠が、第二大臼歯(あるいは最後方歯)を含むすべての大臼歯に適用できる可能性が明らかになったことが、今回の研究の大きな意義だろう。研究結果は、今後CAM/CAM冠の保険適用の範囲がすべての大臼歯に拡大されることを前向きに支持するものだ。今回の研究は、ひいては金属価格の高騰にともなう歯科医院の経営の圧迫や、審美性の改善や金属アレルギーへの対処などの諸問題の解決につながることが期待される。参考文献Miyu Inomata, Akio Harada, Shin Kasahara, Taro Kusama, Akane Ozaki, Yusuke Katsuda, Hiroshi Egusa, Potential complications of CAD/CAM-produced resin composite crowns on molars: A retrospective cohort study over four years, PLOS ONE, DOI: 10.1371/journal.pone.0266358.東北大学『健康保険適用の白い被せ物はすべての奥歯に適用できる可能性を報告―歯科用金属の価格高騰対策として期待―』東北大学プレスリリース, 2022年4月8日(URL).
1D編集部
2022年4月17日
実はあの材料にも!製品ブランド「Giomer」の真価を問う

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「バイオアクティブ」って、何?「Giomer」を理解する上で重要なキーワードが、「バイオアクティブ」だ。どこかで聞いたことはあるものの、よく分からないという方がほとんどではないだろうか。“bioactive”という英単語の意味を調べてみると、「生物活性」「生理活性」といった日本語訳がヒットする。しかしこれではいまいちピンとこないのが正直なところだろう。早速、製品を例に「バイオアクティブ」とは何かを紐解いていこう。バイオアクティブ材料「Giomer」「バイオアクティブ」な材料として長い歴史を有するのが、歯科材料メーカーのトップランナーである松風が開発・提供している製品ブランド「Giomer」だ。Giomerの製品は、松風が独自に開発した「S-PRGフィラー」と呼ばれるフィラーを使用しており、フッ化物イオンだけでなく、ストロンチウム、ホウ酸、ケイ酸、アルミニウム、ナトリウムイオンの計6種のイオンをリリース&リチャージすることができる。現在コンポジットレジンやボンディング材、仮着用セメント、ティースマニキュア等多数の製品をラインアップしている。Giomerが含有する「S-PRGフィラー」のイオンの徐放・取り込み機能(イメージ図)実はよく…使うあの材料にも!Giomerの製品には、我々歯科医療従事者にとって馴染み深いものが沢山ある。例えば、優れた色調再現性が特徴のフロアブルコンポジットレジン、「ビューティフィル フロー プラス X」。さらに審美修復用の接着性レジンセメントである「レジセムEX」や、矯正用ブラケットの装着用ペーストである「ビューティオーソ ボンドⅡ」。よく使われるこれらの材料に、実は長い歴史を持つGiomerの技術が搭載されている。第3の予防策「マテリアルケア」Giomerが持つ3つのバイオアクティブな機能をご紹介する。まず注目すべき機能は、「酸中和能」だ。Giomerを適用した部位の周囲環境を中性領域に維持することで、口腔内細菌が産生する酸からの攻撃を防ぎ、歯質を守ることが報告されている。そしてもう一つが、「再石灰化促進&脱灰抑制」。エナメル質と象牙質の脱灰抑制と再石灰化の促進が報告されている。最後が、「抗プラーク付着性」だ。コンポジットレジン表面への細菌の付着および増殖を抑制し、成熟したプラーク(歯垢)を形成しにくくするという報告がなされている。従来の歯科医療において、歯科医院でのプロフェッショナルケアと、患者本人によるセルフケアの二本柱がう蝕・歯周病の予防・進行抑制のために重大な役割を果たしていることは言うまでもない。これらの二本柱に加えて、今後は「Giomer」をはじめとするバイオアクティブ材料が口腔内環境の健全化をサポートする、第3の予防策「マテリアルケア」も重要な選択肢の一つになるだろう。「Giomer」活用ケーススタディ:根面う蝕への対応「根面う蝕」は超高齢社会の口腔保健における最大の課題の一つだ。高齢者では歯肉退縮により歯根が露出していることが多くなり、根面う蝕に対するケアが必要不可欠となる。手指の機能低下により丁寧なブラッシングが難しくなることや、加齢や服薬により唾液分泌が低下することによって、根面う蝕のリスクは急激に高まる。ここで活躍するのが、前述の「マテリアルケア」だ。患者によっては、セルフケアが難しかったり、そもそも歯科医院に通院してプロフェッショナルケアを実施することが難しい場合がある。そのようなケースであっても、バイオアクティブ材料を用いて治療を行っていれば、材料そのものが口腔内環境の健全化をサポートしてくれる。これからの超高齢社会を生きる歯科医師にとって、欠かせないツールとなるだろう。広がり続けるバイオアクティブ材料の世界バイオアクティブ材料に関する研究は世界中で行われており、今もエビデンスが集積され続けている。本記事で紹介した「Giomer」に関するエビデンスは世界中の研究機関から報告されており、これまでに投稿された論文数は260件を超えている。さらにその領域は歯内・修復だけでなく、予防・小児・老年・歯周まで多岐にわたっており、研究分野を広げながら現在も研究が進められている。Giomerには、詳しい製品技術や、セミナーの情報をチェック出来るWebサイトがあり、さらに会員登録(無料)者限定で、Giomerの研究論文リストが検索可能となっている。興味のある分野や材料カテゴリごとに閲覧可能だ。Giomerが開発されてから約20年間で蓄積され、いまだ拡大を続けるエビデンスの全てを確認出来る。興味を持ったドクターは、一読をおすすめしたい。最新の「バイオアクティブ」の世界を知るGiomerの会員サイトではバイオアクティブを活用した歯科材料について幅広く学ぶことができます。1分ほどの簡単な入力ですぐに登録できますので是非ご覧になってみてください。会員登録する
1D編集部
2022年4月13日

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