歯科用語集
2025年10月28日

エイズ

「エイズ」とは?歯科用語の解説と症例を紹介

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定義・語源

エイズ(Acquired Immunodeficiency Syndrome)は、後天性免疫不全症候群を指し、HIV(ヒト免疫不全ウイルス)によって引き起こされる。HIVは、免疫系のCD4陽性T細胞を攻撃し、これにより感染者はさまざまな感染症や悪性腫瘍に対して脆弱になる。エイズという用語は、1980年代に初めて使用され、感染者の免疫機能が著しく低下した状態を示す。エイズは、感染症の進行段階を示すものであり、HIV感染の最終段階である。


臨床における位置づけ・判断基準

エイズは、歯科臨床においても重要な位置を占める。HIV感染者は、口腔内の病変が発生しやすく、特に口腔カンジダ症や歯周病が多く見られる。歯科医師は、患者の病歴を確認し、HIV感染の有無を考慮することが重要である。判断基準としては、CD4陽性T細胞の数やウイルス量が用いられ、これに基づいて治療方針を決定する。エイズ患者に対する歯科治療は、感染予防策を徹底し、患者の全身状態を考慮した上で行う必要がある。

関連用語・類義語との違い

エイズに関連する用語としては、HIV、感染症、免疫不全などが挙げられる。HIVはエイズの原因となるウイルスであり、エイズはその結果として現れる症候群である。感染症は、エイズ患者が罹患しやすい状態を示すが、エイズそのものではない。また、免疫不全は、エイズ以外にもさまざまな原因で起こる可能性があるため、注意が必要である。これらの用語の違いを理解することで、臨床現場での適切な対応が可能となる。

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エイズと歯科医療:歯科臨床における知識と対応策

エイズと歯科医療:歯科臨床における知識と対応策

エイズの定義と歯科医療への影響エイズ(後天性免疫不全症候群)は、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)によって引き起こされる疾患である。HIVは免疫系を攻撃し、感染症や特定の癌に対する抵抗力を低下させる。歯科医療においては、エイズ患者は口腔内の健康状態が悪化しやすく、特有の症状や合併症が見られることが多い。これにより、歯科医師は患者の全身状態を考慮した診断や処置を行う必要がある。エイズ患者に見られる口腔内症状エイズ患者では、口腔内に様々な症状が現れることがある。例えば、口腔カンジダ症や口内炎、歯周病の進行が一般的である。これらの症状は、免疫力の低下により感染症が発生しやすくなるためである。歯科医師は、これらの症状を早期に発見し、適切な処置を行うことが重要である。エイズ患者への歯科処置の注意点エイズ患者に対する歯科処置では、特に感染予防が重要である。治療にあたる際は、標準予防策を徹底し、器具の消毒や使い捨ての材料を使用することが求められる。また、患者の全身状態を把握し、必要に応じて医療機関との連携を図ることも重要である。エイズ患者のための歯科治療の手順エイズ患者に対する歯科治療は、まず患者の病歴を確認し、全身状態を評価することから始まる。その後、口腔内の診査を行い、必要な処置を計画する。例えば、口腔カンジダ症が見られる場合は、抗真菌薬の投与を考慮しつつ、適切な歯科処置を行うことが求められる。エイズ患者への歯科治療のメリットとデメリットエイズ患者に対する歯科治療のメリットは、口腔内の健康を改善し、全身の健康状態を向上させることである。一方で、免疫力が低下しているため、治療後の感染リスクが高まる可能性がある。これらのメリットとデメリットを考慮し、慎重に治療方針を決定することが重要である。エイズ患者の歯科診断における判断ポイントエイズ患者の診断においては、口腔内の症状だけでなく、全身状態や既往歴も考慮する必要がある。特に、HIV陽性であることを患者が告知している場合、歯科医師はその情報を基に適切な診断を行うことが求められる。また、他の疾患との鑑別診断も重要である。エイズ患者への歯科医療の導入と今後の展望エイズ患者に対する歯科医療は、今後ますます重要性を増すと考えられる。歯科医師は、エイズに関する知識を深め、患者に対する適切な対応策を講じることが求められる。また、歯科衛生士との連携を強化し、チーム医療を推進することが、患者の口腔内健康を守るための鍵となる。
1D編集部
2024年6月1日
新型コロナウイルスで診療拒否はできるのか?:応召義務の解釈

新型コロナウイルスで診療拒否はできるのか?:応召義務の解釈

応召の義務とは、歯科医師法に規定されている義務であり第一九条 診療に従事する歯科医師は、診察治療の求があつた場合には、正当な事由がなければ、これを拒んではならない。となっています。では、これはどこまで適用されるのでしょうか?正当な事由とはなんでしょう?厚労省通知や判例から考察しました。厚労省見解から読み解く応召義務の基準最終的判断はケースバイケースと言わざるを得ませんが2019年12月25日厚生労働省は「応招義務をはじめとした診療治療の求めに対する適切な対応の在り方等について」と題する医政局長通知を都道府県に発出しました。これにより、一つの基準が設けられた事になります。そして以下のような明言もありました。医師法第19条第1項及び歯科医師法第19条第1項に規定する応招義務は、 医師又は歯科医師が国に対して負担する公法上の義務であり、医師又は歯科医師の患者に対する私法上の義務ではないではこの通知を元に遭遇し易いケースを見ていきましょう。1.診療時間外では拒否出来るか?通知では時間外診療について緊急性のある場合と緊急性のない場合に分けて以下の様に説明されていますが、基本的に診療時間外を理由に診療拒否は出来る可能性が高いとしています。a.緊急性のある場合応急的に必要な処置をとることが望ましいが、原則、公法上・私法上の 責任に問われることはない(※)。※必要な処置をとった場合においても、医療設備が不十分なことが想定されるため、求められる対応の程度は低い。(例えば、心肺蘇生法等の応急処置の実施等)※診療所等の医療機関へ直接患者が来院した場合、必要な処置を行った上で、救急対応の可能な病院等の医療機関に対応を依頼するのが望ましい。b.緊急性のない場合即座に対応する必要はなく、診療しないことは正当化される。ただし、 時間内の受診依頼、他の診察可能な医療機関の紹介等の対応をとることが 望ましい。2.診療時間内であっても拒否出来るか?診療時間内の拒否は基本的に、適切な医療が提供出来ない場合に診療拒否が成立する事が多いです。例えば、高度医療が必要な為、小さい開業医では難しい場合や、新たな患者に対応する余裕が無いときです。a.緊急性がある場合  医療機関・医師・歯科医師の専門性・診察能力、当該状況下での医療提 供の可能性・設備状況、他の医療機関等による医療提供の可能性(医療の 代替可能性)を総合的に勘案しつつ、事実上診療が不可能といえる場合にのみ、診療しないことが正当化される。 b.緊急性がない場合原則として、患者の求めに応じて必要な医療を提供する必要がある。ただし、緊急対応の必要がある場合に比べて、正当化される場合は、医療機関・医師・歯科医師の専門性・診察能力、当該状況下での医療提供の可能性・設備状況、他の医療機関等による医療提供の可能性(医療の代替可能性)のほか、患者と医療機関・医師・歯科医師の信頼関係等も考慮して緩やかに解釈される。3.迷惑、医療費不払い患者は拒否出来るか?いわゆるクレーマーを拒否出来るかどうかですが。通知を見てみると以下の様に書いてあります。診療・療養等において生じた又は生じている迷惑行為の態様に照らし、診療の基礎となる信頼関係が喪失している場合(※)には新たな診療を行わないことが正当化される。※診療内容そのものと関係ないクレーム等を繰り返し続ける等。 ここで注目したいのは診療基礎となる信頼関係が喪失している場合、という文です。こちらの治療に何かと注文を付けて来る患者は拒否したいと思われますが、過去の裁判例ではいわゆる「うるさい患者」くらいでは難しいかと思われます。迷惑患者を診療拒否し、応召の義務違反だと患者に訴えられたが勝訴した例を挙げてみます。平成28年9月28日東京地方裁判所判決<患者が歯科矯正治療を拒否されたことについて約350万円の損害賠償を請求した事例>裁判所は歯科医師には治療を拒む正当な理由があったとして歯科医院を勝訴させた。・歯科医師が患者に対して、「どうして他の歯科医院に行ったのか」などと強い口調で尋ねたところ、患者が診察台から立ち上がろうとしたため、歯科医師が手で患者の体をおさえ、そのままつかみあいになり、双方とも床に倒れこむという事件が起きた・患者は歯科医師に対し「若いときから先生とか言われて勘違いしている」などの発言をしていた・上記の事件について、歯科医院のスタッフが警察に通報し、警察で事情聴取を受ける事態となった・この事件以前にも、治療方針をめぐってつかみ合いに発展するトラブルが生じており、また治療費の支払いをめぐるトラブルも生じていた裁判所は、以上の状況を踏まえ、応召義務違反を否定している。平成26年5月12日東京地方裁判所判決<病院側から患者に訴訟を起こし、病院に損害賠償義務がないことの確認を求めた事例>裁判所は治療を拒む正当な理由があったとして病院側を勝訴させた。・4年前の手術について説明を求めた際に、院長の説明に納得せず、次第に声を大きくして、感情的な態度に出たことから、警察を呼ぶ事態になった・その後も何度も来院して謝罪や説明を求め、病院はそのたびに1時間あるいは2時間程度の対応を要し、また院長から促されても帰らないなどの態度に出た裁判所は、以上の状況を踏まえ、応召義務違反を否定している。もっともこれらは「応召の義務」で争ったケースなので、患者拒否の全般を指すものではありません。信頼関係の喪失では、他に医師の指示に従わないというケースがあります。検査を拒否する、投薬を無視するなどです。こちらはそもそも治療が出来ない事に繋がりますので、クレーマーよりかは診療拒否が認められやすいかと思われます。4.医療費不払いの患者は拒否出来るか?以前に医療費の不払いがあったとしても、そのことのみをもって診療しないことは正当化されない。しかし、支払能力があるにもかかわらず悪意を持ってあえて支払わない場合等には、診療しないことが正当化される。具体的には、保険未加入等医療費の支払い能力が不確定であることのみをもって診療しないことは正当化されないが、医学的な治療を要さない自由診療において支払い能力を有さない患者を診療しないこと等は正当化される。また、特段の理由なく保険診療において自己負担分の未払いが重なっている場合には、悪意のある未払いであることが推定される場合もある。診療費を理由とした診療拒否は、一回不払いがあった程度を理由には出来ません。また、保険証を持ってないので支払い能力が無い、との理由も成立しません。ただ、自費診療では支払いを理由に拒否は可能な場合が多いです。5.転院(紹介)する事により拒否出来るか?医学的に入院の継続が必要ない場合には、通院治療等で対応すれば足りるため、退院させることは正当化される。医療機関相互の機能分化・連携を踏まえ、地域全体で患者ごとに適正な医療を提供する観点から、病状に応じて大学病院等の高度な医療機関から地域の医療機関を紹介、転院を依頼・実施すること等も原則として正当化される。先ほどの診療時間内においての診療拒否では、施設規模などにより治療困難である場合に診療拒否。紹介が認められとの事でしたが逆に大きな病院から小さな病院への転院も拒否事由として認められています。6.労働基準法に違反していたら拒否出来るか?勤務医の方で自身の労働時間外に拒否が出来るかの問題となります。労使協定・労働契約の範囲を超えた診療指示等については、使用者と勤務医の労働関係法令上の問題であり、医師法第19条第1項及び歯科医師法第19条 第1項に規定する応招義務の問題ではないこと。(勤務医が、医療機関の使用者から労使協定・労働契約の範囲を超えた診療指示等を受けた場合に、結果として労働基準法等に違反することとなることを理由に医療機関に対して診療等の労務提供を拒否したとしても、医師法第19条第1項及び歯科医師法第19条第1項に規定する応招義務違反にはあたらない。)通知では労働基準法に違反するために労務提供の拒否をしても応召義務違反には当たらないとしています。7.外国人、感染症の患者は拒否出来るのか?患者の年齢、性別、人種・国籍、宗教等のみを理由に診療しないことは正当化されない。ただし、言語が通じない、宗教上の理由等により結果として診療行為そのものが著しく困難であるといった事情が認められる場合にはこの限りではない。このほか、特定の感染症へのり患等合理性の認められない理由のみに基づき診療しないことは正当化されない。ただし、1類・2類感染症等、制度上、 特定の医療機関で対応すべきとされている感染症にり患している又はその疑いのある患者等についてはこの限りではない。言葉が通じない場合、相手の習慣で治療が出来ない(例えば、結婚前の女性は、いかなる理由があろうと男性が触れてはならない文化等)の場合は拒否出来ます。感染症についての診療拒否ですが、まずHIV感染患者の拒否は難しいです。厚生労働省はHIV感染者の歯科治療はスタンダードプリコーションに則り可能との認識を示しています。今年3月に行われた裁判も記憶に新しい事例です。1D歯科ニュース「HIVを理由に歯科診療拒否は不法行為」歯科医院に賠償命令新型コロナウイルスに関しては、厚生労働省の通達によると「疑い」の時点で拒否することは難しいとしています。患者が発熱や上気道症状を有しているということのみを理由に、当該患者の診療を拒否することは、応招義務を定めた医師法(昭和23年法律第201号) 第19条第1項及び歯科医師法(昭和23年法律第202号)第19条第1項にお ける診療を拒否する「正当な事由」に該当しないため、診療が困難である場合は、少なくとも帰国者・接触者外来や新型コロナウイルス感染症患者を診療可能な医療機関への受診を適切に勧奨すること。感染症に関しては、スタンダードプリコーションを振りかざせば殆どの感染症を拒否出来なくなります。現実的に考えるならば、肝炎やHIVの様にウイルスの特性が教科書レベルで周知されている感染症の拒否は難しく、今回の新型コロナウイルスなど未知の部分が多い感染症に関しては専門の医療機関に紹介する事に問題はないように感じました。応召の義務違反をするとどうなる?応召の義務には罰則規定はありません。そのため違反した事により罰金や禁錮・懲役もありませんが民事で訴えられることはあります。違反することで歯科医師法7条の歯科医師としての品位を損する行為として認定され行政罰の対象とする事は出来ますが、実際に行われた事はないとの事です。時代とともに変化する義務さて、ここまで応召の義務を見てきましたが、思いの外診療を拒否出来るケースが多いと感じたのでないでしょうか。かつての「お医者様ならどんな病気も診られる」「医者だったら休暇などない」といった時代から医療を取り巻く環境も大きく変化し、世の中の考え方も変化しました。今回の通知は、医者だろうが出来ない事は出来ないと表明しているように感じます。どんな状況であろうと、どんな患者でも診療するというのは素晴らしい事です、しかし現実にそれを行えば医療は成立しなくなり、最後には患者が被害被る事になります。それを踏まえた通知であり、今後はこの考えが基準になっていくのではないでしょうか。歯科セミナーなら「1D(ワンディー)」で!日本最大級の歯科医療メディア「1D」では、診療に役立つオンラインセミナーを多数開催中。もっと知りたい臨床トピックから超ニッチな学術トピックまで、参加したいセミナーが見つかります。下記ボタンから、開催中のセミナーを見てみましょう!開催セミナーを見てみる参考文献厚生労働省医政発1225第4号令和元年12月25日「応招義務をはじめとした診療治療の求めに対する適切な対応の在り方等について」[PDF]厚生労働科学研究費補助金エイズ対策政策研究事業「HIV患者歯科治療ガイドブック」[PDF]厚生労働省「新型コロナウイルス感染症が疑われる者の診療に関する留意点について」[PDF]厚生労働省「医療を取り巻く状況の変化等を踏まえた 医師法の応召義務の解釈についての研究」 [PDF]
田中 まさし
2020年5月18日

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