一期治癒(primary wound healing / healing by first intention)とは、創縁が密着した状態で進行する創傷治癒の形式をいう。「first intention」はJohn Hunter(18世紀)に由来する外科的概念である。縫合や接着により創面同士が直接接合されるため、肉芽組織の形成は最小限にとどまり、治癒期間が短く瘢痕も小さい。口腔外科・歯周外科・インプラント手術において目指すべき治癒形態であり、創の一次閉鎖(primary closure)が達成されることが前提条件となる。治癒過程では創閉鎖後まず血餅が形成され、48〜72時間以内に上皮細胞の遊走が開始し、1〜2週で上皮の連続性が回復する。結合組織のリモデリングには数週〜数か月を要する。
一期治癒の達成には、①創縁の正確な対合、②適切な縫合による張力のない閉鎖、③十分な血液供給、④感染の制御が不可欠である。歯周外科ではフラップの十分な可動化と減張切開により無張力閉鎖を図る。インプラント手術後の軟組織閉鎖において一期治癒が得られない場合、GBR膜の露出や感染リスクが増大する。一期治癒が期待できない場合(組織欠損が大きい、感染創など)は二期治癒に委ねる。抜歯窩は一般に二期治癒の経過をたどるが、フラップで完全閉鎖した場合は一期治癒に準じた経過をとる。臨床的には術後1週の抜糸時に創縁の癒合と上皮化の程度で治癒形態を評価する。
二期治癒(secondary wound healing / healing by second intention):創縁が離開した状態で、肉芽組織の形成→収縮→上皮化により治癒が進行する。治癒に時間がかかり瘢痕が大きい。抜歯窩の治癒が代表例である。三期治癒(tertiary wound healing / delayed primary closure):感染創をいったん開放し、感染制御後に二次的に縫合閉鎖する治癒形式。一次閉鎖(primary closure):創を縫合により閉鎖する手技そのものを指し、一期治癒はその結果として生じる治癒形態を指す。