歯科用語集
2025年10月28日

費用対効果

「費用対効果」とは?歯科用語の解説と症例を紹介

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定義・語源

費用対効果とは、特定の治療や介入にかかる費用と、その結果得られる効果との比率を示す指標である。語源は、英語の「cost-effectiveness」であり、医療経済学の分野で広く用いられている。歯科領域においては、治療法の選択や保険制度の設計において重要な役割を果たす。具体的には、治療にかかるコストと得られる健康の改善度を比較し、最も効率的な治療法を選定するための基準となる。


臨床における位置づけ・判断基準

臨床現場において、費用対効果は治療法の選択において重要な判断基準となる。例えば、歯科治療においては、インプラント治療とブリッジ治療の費用対効果を比較することがある。患者の健康状態や治療の目的に応じて、最適な治療法を選ぶためには、費用対効果の評価が欠かせない。また、保険点数の設定にも影響を与え、医療資源の効率的な配分を促進する役割を果たす。

関連用語・類義語との違い

費用対効果に関連する用語としては、「費用便益分析」や「コスト-ベネフィット分析」がある。費用便益分析は、費用対効果の概念をさらに広げ、得られる便益を金銭的に評価する手法である。一方、コスト-ベネフィット分析は、費用と便益を直接比較するもので、より包括的な視点を提供する。これらの用語は、費用対効果と密接に関連しているが、評価の視点や手法において異なる点がある。

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歯科医療費の理解と管理。歯科臨床で役立つ保険制度と費用対効果の判断ポイント

歯科医療費の理解と管理。歯科臨床で役立つ保険制度と費用対効果の判断ポイント

歯科医療費の定義とその重要性歯科医療費とは、歯科診療にかかる費用全般を指す。これには、診察料、処置料、材料費、技術料などが含まれる。歯科医療費の理解は、患者への適切な説明や、保険制度の活用において重要である。特に、歯科医師や歯科衛生士は、患者に対して透明性のある情報提供を行うことで、信頼関係を築くことができる。また、歯科医療費の管理は、医院経営においても重要な要素である。適切な費用対効果を考慮し、診療内容を見直すことで、医院の収益性を向上させることが可能である。歯科保険制度の概要とその影響日本の歯科保険制度は、国民皆保険制度の一環として運営されている。これにより、患者は一定の負担割合で歯科診療を受けることができる。保険適用の範囲や条件は、厚生労働省のガイドラインに基づいて定められている。保険制度の理解は、歯科医師や歯科衛生士にとって重要である。患者に対して適切な保険適用の説明を行うことで、患者の経済的負担を軽減し、治療への理解を深めることができる。また、保険制度の変化に応じた診療方針の見直しも必要である。歯科医療費の構成要素とその管理方法歯科医療費は、診療内容に応じて多様な要素から構成される。主な構成要素には、診察料、処置料、材料費、技術料が含まれる。これらの費用を適切に管理することは、医院経営の健全性を保つために不可欠である。具体的には、診療ごとのコスト分析を行い、費用対効果を評価することが重要である。例えば、特定の処置にかかる材料費や技術料を把握し、必要に応じて見直すことで、無駄なコストを削減することができる。患者への費用説明のポイントと注意点患者への費用説明は、信頼関係を築くために非常に重要である。説明の際は、治療内容やその必要性を明確に伝え、患者が納得できるように配慮することが求められる。また、費用に関する質問には丁寧に応じることが大切である。特に、保険適用の有無や自己負担額については、患者が理解しやすい言葉で説明することが求められる。さらに、治療のメリットとデメリットを説明し、患者が自分の意思で選択できるようにすることも重要である。歯科医療費の将来展望と新たな取り組み今後、歯科医療費に関する制度や市場環境は変化する可能性がある。特に、高齢化社会の進展に伴い、歯科医療の需要が増加することが予想される。これにより、歯科医療費の管理や保険制度の見直しが求められる。また、テクノロジーの進化により、診療の効率化やコスト削減が期待される。例えば、デジタル技術を活用した診療や、オンライン診療の導入が進むことで、患者の利便性が向上し、結果的に医療費の抑制につながる可能性がある。
1D編集部
2024年6月1日
費用対効果を考慮した歯科治療の選択。臨床で役立つ処置と術式の判断ポイント

費用対効果を考慮した歯科治療の選択。臨床で役立つ処置と術式の判断ポイント

費用対効果の定義とその重要性費用対効果とは、特定の治療や処置に対して、得られる効果とそのコストを比較する概念である。歯科医療においては、患者に対して最適な治療法を選択するために、費用対効果を考慮することが重要である。特に、限られた医療資源の中で、患者の健康を最大限に向上させるためには、経済的な側面も無視できない。このため、歯科医師は治療法の選択において、効果的かつ経済的なアプローチを意識する必要がある。費用対効果を考慮した治療法の選択肢歯科治療における費用対効果を考慮する際、様々な治療法や処置が存在する。例えば、う蝕の治療においては、コンポジットレジンやアマルガム、さらにはインレーやクラウンなどの選択肢がある。それぞれの治療法には、メリットとデメリットが存在し、患者の状態や希望に応じて最適な選択を行うことが求められる。また、治療の長期的な効果や再発のリスクも考慮し、総合的な判断を行うことが重要である。具体的な症例に基づく判断ポイント実際の臨床においては、患者の症状や状態に応じた適切な処置を選択することが求められる。例えば、初期のう蝕に対しては、フッ素塗布やシーラントが有効であり、これらは比較的低コストで高い効果を得られる。一方で、進行したう蝕に対しては、より高額な治療法が必要となる場合が多い。このように、症例ごとに費用対効果を考慮した判断が必要であり、患者に対して十分な説明を行うことが重要である。診断と費用対効果の関係診断の精度は、治療法の選択に大きな影響を与える。正確な診断が行われることで、適切な処置が選択され、結果的に費用対効果が向上する。例えば、歯周病の診断においては、初期段階での適切な処置が長期的な治療費用を抑えることにつながる。このため、診査の段階から費用対効果を意識したアプローチが求められる。費用対効果を意識した歯科保険制度の活用日本の歯科保険制度は、患者に対して経済的な負担を軽減するための重要な仕組みである。保険適用の治療法を選択することで、患者の負担を軽減しつつ、質の高い治療を提供することが可能となる。歯科医師は、保険制度を理解し、患者にとって最も効果的かつ経済的な治療法を提案することが求められる。また、最新の保険制度の動向を把握し、適切な情報を提供することも重要である。まとめ:費用対効果を意識した歯科医療の実践費用対効果を考慮した歯科治療は、患者にとっても医療提供者にとっても重要なテーマである。治療法の選択においては、症例ごとの特性を理解し、経済的な側面を考慮することが求められる。また、診断の精度を高めることで、より良い治療結果を得ることができ、患者の満足度向上にもつながる。歯科医師として、費用対効果を意識したアプローチを実践することが、今後の歯科医療において重要な役割を果たすであろう。
1D編集部
2024年6月1日
1年半で84医院のコンサル契約を受注した戦略 〜約8,000万円もの広告費用を投じたワケ〜

1年半で84医院のコンサル契約を受注した戦略 〜約8,000万円もの広告費用を投じたワケ〜

「歯科業界でのデンタルフィットネスの認知はかなり取れている感覚はある。」そのように語るのは株式会社ハーモニー代表兼しん治歯科医院 COO/事務長の高橋翔太さん。読者の皆さんの中でも、「デンタルフィットネス」というワードと高橋翔太先生のお顔は記憶にある方も多いのではないでしょうか?今回は、”今もっとも波に乗っている歯科コンサル”と言っても過言ではない高橋翔太さんをお呼びし、「デンタルフィットネス」を広めるためにどの程度の予算を投じてきたのかを詳しく聞いてみた。これから、個人での活動を検討されている方や歯科のコンサル事業を検討されている方など必見です!歯科医院の経営に関心のある方も必見です。聞き手のこちら側が不安になるくらい、深い部分までお話しいただきました!笑尚、今回の記事は「デンタルフィットネス」を詳しく解説するものではありません。「デンタルフィットネス」について詳しく知りたい方は下の関連書籍をご参考ください!<関連書籍>>デンタルフィットネスの教科書 患者のリピート率を高めて利益を最大化させる「次世代ストック型歯科経営」のすすめ1年半で約100医院が導入するまでに成長== 「デンタルフィットネス」の現状を伺ってもよろしいでしょうか?はい、現在の導入医院数は94医院です!前身となるコンサル活動はずっと前から行っていて、現在の「デンタルフィットネス」として本格的に活動を始めたのが2021年の4月、そこから1年半で一気に伸びた形となりました。3ヶ月に1回ごとで募集をかけているのですが、第7期では定員の20医院を超える22医院さんにご導入いただけました。 == 定員を超えたとはどういうことでしょう?デンタルフィットネス導入コンサルティングは単なるセミナーではなく、1医院ごとにきめ細やかなコンサルを行っています。コンサル期間中に必ずその医院を直接訪問もさせて頂いております。そのため、それぞれの期間で対応可能な医院さんの数に限りがありますので、定員を設けさせていただいています。それが7期(11月)開催では定員を超えてしまい、次回の8期開催での予約待ち状況です(笑)。これまでの各期での導入医院数四半期に1回ごとのペースで募集を受けている== 高橋さんのSNSを拝見しているとかなりお忙しく、日本全国の歯科医院さんを訪れてらっしゃる印象ですね。他の歯科医師の先生方からも忙しそうとよく言われますね(笑)。日本全国、南は沖縄、北は北海道まで導入医院さんがいらっしゃいます。ただ、半年ほど前までは首都圏や関西圏に集中していました。物事の流行り導線のようなイメージで、これまで導入が進んでいなかった地域でも直近になって拡がっていくようになりました。導入医院のマッピング図約8,000万円のプロモーション費用を投じた== 日本全国、凄いですね...!これだけの拡がりを見せるようになるまでに様々なマーケティング施策をやってこられたんですよね。数多くの広告施策をやってきました。大きく分類すると4つで、総額約8,000万円使いました。--------------------------------------------------------------------・歯科Webメディア広告費 ・・・ 約2300万円・アフィリエイト広告費 ・・・ 約650万円・出版 ・・・ 約3770万円・ホームページ ・・・ 約238万円・印刷物 ・・・ 約790万円--------------------------------------------------------------------実際に使った費用の内訳は以下表ご覧の通りになっています。実際の売上と広告費の管理シート== 始めてわずか1年半でこんなに使われているんですね,,,!コンサル事業の利益を投資に回しているのでしょうか。使っている金額だけを見ると、「コンサル事業で儲かっているからだろ」と思われるかもしれませんね(笑)。ただ、実際のところは単月のキャッシュフローで見ると結構ギリギリでやっているんです。各期のコンサル誘引セミナーの集客に、前期の契約分売上をほぼ全て投資するくらいの勢いで広告をかけています。== そこまでダイナミックな投資ができる背景には、どんなところが挙げられるんでしょうか。一つは、自身でWeb広告会社を経営していた経験から、新しい概念・サービスを普及させるためには、このくらい思い切ってアクセルを踏まないといけないという感覚を持っているからです。広告費用にはいわゆる「損益分岐点」があると考えています。つまり中途半端にコストをかけるくらいならやらない方がマシだと。その成果もあって、例えば1Dさんで実施した集客セミナーの広告施策では、最安でCPA3,000円台と相当安い獲得単価を実現することができています。しかも、通年で約1,500件もリストを獲得できています。殆どが歯科医師の方々のリストだと考えれば費用対効果も抜群です。見込み歯科医師のリストの獲得コストを削減することに成功== 3ヶ月に1回で最大20医院のコンサルティング集客に、数千名ものリストを集め続けるのは何故でしょうか?この約1,500件のリストは、「予防歯科経営に興味のある方々」そのものです。デンタルフィットネス導入コンサルティングは3ヶ月に1度、最大20医院までしかお受けすることができません。「導入しようかどうしようか悩んでいる先生方」がこれだけたくさん居る、ということです。更に最近、ご契約頂く先生方にアンケートを取ると、平均6ヶ月は悩んでご契約を躊躇しているらしいのです(笑)。つまり広告やセミナーで私たちの取り組みを知ってもらってから、実際に契約するまで結構時間がかかるということです。悩んでいる先生の背中を後押しする目的でも、常にメディアや広告で情報配信はし続ける必要があると考えています。== 過去にWeb広告会社を経営されていた経験を元に、投資判断をされているということですね。 積極的な投資判断ができるもう一つの理由は、本気で「デンタルフィットネス」が歯科医院経営に欠かせないと確信しているからです。私が経営をしているしん治歯科医院でも、当たり前ですが「デンタルフィットネス」を取り入れています。経営上の成長曲線は30年以上、常に右肩上がり。嬉しいことに毎年増収増益で、スタッフ数も増えています。2022年で、売上は約7億、スタッフ数は75名になりました。自分自身の医院経営が順調であることが、コンサルコンテンツを御提供する上で何よりもエビデンスになると考えているため、顧客(歯科医院)に対してしっかりと価値提供できる自信があります。== なるほどですね!次回は、しん治歯科医院の経営状況と今後の展望についてもより詳しくお伺いさせてください!ありがとうございました。インタビューに応じてくださった高橋代表次回第8期の事前予約も受付可、お問い合わせは早めに!短期間で急速に導入医院の増えた「デンタルフィットネス」。その凄さは、高橋さんの思いやしん治歯科の実績だけでなく、実際の導入された医院が短期間に経営を改善、成長させているという実績もあるからだと感じました(参考記事『予防で年商1億円!とある開業医の「デンタルフィットネス」成功までの軌跡』)。3ヶ月に1回募集を受け付けているデンタルフィットネス導入コンサルティングは、次は第8期の募集が開始されます。時期は2023年3月頃開始予定だそうです。先行予約も可能とのことなので、ご興味のある方は是非お問い合わせください!お問い合わせする
1D編集部
2022年12月8日
インプラントオーバーデンチャー vs 全部床義歯、臨床&エビデンスの実際

インプラントオーバーデンチャー vs 全部床義歯、臨床&エビデンスの実際

我が国における無歯顎患者の割合は年々減少しているものの、高齢者の人口は増加しており、総数で見ると無歯顎患者数は依然として多い。欧米諸国では長きにわたり、無歯顎患者の欠損補綴治療の第一選択は全部床義歯であったが、2002年のマギル声明において「下顎無歯顎患者の補綴歯科治療には2本のインプラント体支持によるインプラントオーバーデンチャー(IOD)を第一選択として用いるべきである」という提言がなされ、以後積極的にインプラントオーバーデンチャーが用いられるようになっている。さらに、2009年のヨーク声明では「下顎インプラントオーバーデンチャーは従来の全部床義歯と比較して、患者満足度ならびにQOLに関して優れていることを、現時点で得られる多くの科学的根拠が示している」との声明が発表され、マギル声明を強く後押しする形となった。一方、日本では諸外国との平均寿命の違い、治療費用や費用対効果、さらに解剖学的制限を考慮すると「インプラントオーバーデンチャーが無歯顎患者の欠損補綴治療の第一選択である」とは単純には言い切れない。さらに全部床義歯のみが保険収載されていることもあいまって、日本では現在でも全部床義歯が第一選択となっている。【もっと詳しくインプラントオーバーデンチャーを知りたい先生へ】1D歯科セミナー『インプラントオーバーデンチャー、臨床の実際  〜いま必要なIODの理論&テクニック〜』が開催。詳細&お申し込みはこちらから お願いします。インプラントオーバーデンチャーの大原則とは?インプラントオーバーデンチャー(IOD)という用語は、従来 "Implant-retained overdenture(インプラント体維持オーバーデンチャー)" または "Implant-supported overdenture(インプラント体支持オーバーデンチャー)" という意味である。つまり、インプラントオーバーデンチャーにおけるインプラント体は、埋入されたインプラント体を支台とした可撤性義歯の維持(義歯の離脱力に抵抗する作用)または支持(義歯の沈下に抵抗する作用)を果たしていた。しかし近年、"Implant-assisted overdenture(インプラント補助オーバーデンチャー)" という用語が用いられている。インプラント体は可撤性義歯を補助するために用いられていることを示しており、つまりインプラントオーバーデンチャー治療においても従来の有床義歯補綴治療がベースとなることをくれぐれも留意すべきである。下顎インプラントオーバーデンチャーの役割治療効果のアウトカムとして、患者満足度、口腔関連QOL、全身健康QOLなどを称する「主観的評価項目(患者立脚型アウトカム)」と、補綴物やインプラント体の生存率、歯槽骨・インプラント体周囲または顎堤の骨吸収の進行度、咬合力、咀嚼能率、栄養状態など、数値化できる項目が挙げられる「客観的評価」が用いられる。主観的評価項目について、下顎全部床義歯およびインプラントオーバーデンチャー装着患者の患者満足度について調べた全てのランダム化比較試験をメタアナリシスによって解析したところ、全部床義歯の群に比べてインプラントオーバーデンチャーの群の方が、義歯装着後に有意に満足していることが示されていた。また、客観的評価については、咀嚼能力、咬合力、食品嗜好など、多くの項目においてインプラントオーバーデンチャー群の方が全部床義歯群より有意に高かったことが報告されている。上顎インプラントオーバーデンチャーのエビデンスは?マギル声明にもあるように「インプラントオーバーデンチャーと言えば、下顎」と考えがちであるが、実際の臨床においては上顎にもインプラントオーバーデンチャーは適用されている。しかし、上顎インプラントオーバーデンチャーに関して上顎全部床義歯と比較した際の有効性について、下顎インプラントオーバーデンチャーほど興味を示す臨床家は少ないとされており、上顎インプラントオーバーデンチャーに関するデータは圧倒的に不足していると言える。まとめ今回の記事では、全部床義歯と比較した際のインプラントオーバーデンチャーの有効性について、文献的レビューを基に検証した。その結果、下顎に関してはインプラントオーバーデンチャーを適用することで無歯顎患者の患者立脚型アウトカムだけでなく、口腔機能も改善できると言える。しかし、上顎に関してはインプラントオーバーデンチャーの科学的根拠が不足しているため、上顎インプラントオーバーデンチャーの有効性については判定できなかった。今後、上顎インプラントオーバーデンチャーに関するエビデンスが増加することを期待したい。また、上下顎ともにインプラントオーバーデンチャーを有効的に用いるためには、従来の全部床義歯治療を基本とした適切なインプラント設計を心がける必要がある。歯科セミナーなら「1D(ワンディー)」で!日本最大級の歯科医療メディア「1D」では、診療に役立つオンラインセミナーを多数開催中。もっと知りたい臨床トピックから超ニッチな学術トピックまで、参加したいセミナーが見つかります。下記ボタンから、開催中のセミナーを見てみましょう!開催セミナーを見てみる
1D編集部
2021年4月5日
フッ化物塗布後30分の飲食禁止はマストなのか?

フッ化物塗布後30分の飲食禁止はマストなのか?

フッ化物塗布後の飲食30分禁止とよく言うが、これは正しいのだろうかとふと思った。確かに何となく長く置いてたほうが効果は高くなりそうだし、他の歯科医師も言ってるから間違いなさそうだが…30分というワードだけが独り歩きしているように感じた。フッ化物歯面塗布について フッ化物塗布はご存知の通り、米国・予防医療研究班による歯科疾患予防のガイドライン(1988年)においても齲蝕予防に対して、根拠の質Ⅰ、勧告の強さAと最高のエビデンスレベルを誇っている。 フッ化物洗口より費用対効果が悪いなどの議論の余地はあるが今回は触れない。飲食30分禁止は正しいのか?フッ化物塗布後の洗口について論文を二つほど見ていきたい。まずは1986年のThe American Academy ofPediatric Dentistryを見てみよう。At the conclusion of the 30-min period, the demineralized enamel from the patients who were not permitted to rinse, eat, or drink contained 13.85 ~g F/mm3. At this time, a significantly lower amount of fluoride (8.13 ~g F/mm3) was observed in patients who rinsed with tap water and were permitted to eat or drink during the 30-min postapplication period. This differential in the fluoride content of the demineralized enamel between the 2 treatment regimens persisted throughout the 21-day period and the differences were statistically significant at each sampling time.Conclusion Significantly greater amounts of fluoride deposition in demineralized enamel were observed when patients were not permitted to rinse, eat, or drink for 30 min following the fluoride treatment. This difference in fluoride deposition was apparent throughout the 3-week test period. An increase in the hardness of the lesions, indicative of remineralization, was observed with both fluoride application procedures.フッ化物処理後30分、 すすぎと飲食が許可されていなかった場合に、脱灰されたエナメル質に著しく多量のフッ化物沈着が観察された。 フッ化物沈着の違いは3週間のテスト期間全体を通して明らかであった。硬度の増加、再石灰化は両方のフッ化物塗布手順で観察された。とある。すすぎ、飲食をした場合のフッ化物の濃度は、30分群の58.7%の割合となっている。また、1997年の口腔衛生学会雑誌では、フッ化物歯面塗布に関する研究 : 塗布要領の再検討 第III報にてフッ化物歯面塗布術式のうち,塗布後の洗口・飲食禁止時間を再検討する目的で,in situモデルを用いてAPF溶液(9,000 ppm F^-,pH3.6)4分作用アパタイトペレットの口腔内浸漬実験を行った。その結果,8時間浸漬後のペレット中の残留フッ素量は,すべての群でAPF溶液作用直後群の半量に減少していた。浸漬群間では洗口開始時間が早かった0分群,10分群は他の群に比較して残留フッ素量は少なかったが,一般にいわれている洗口・飲食禁止時間の30分群を基準に残留フッ素量を比較すると,0分群でも表層から内層に向かって一様に30分群の80%の割合でフッ素が確認された。各浸漬群の酸抵抗性試験では,すべての群で対照群に比べて耐酸性獲得が認められた。また脱灰時間が長くなると,洗口開始時間が早い群は遅い群に比べてカルシウム溶出が多く認められたが,それらの群もAPF作用直後群との間には差はみられなかった。以上のことから30分間の洗口・飲食禁止時間短縮の可能性が示唆された。この研究では「洗口・飲食禁止時間の30分群を基準に残留フッ素量を比較すると、0分群でも表層から内層に向かって一様に30分群の80%の割合でフッ素が確認された。」とあり、「30分間の洗口・飲食禁止時間短縮の可能性が示唆された。」と結論づけている。なぜ30分が定着しているのか?そのルーツを探った。フッ化物応用は班状歯の原因調査からスタートしている。1920年代後半〜日本では、正木正らが斑状歯の流行調査を行い、西日本、温泉地帯、花崗岩と石灰岩の産地に多いこと、斑状歯の流行地域ではう蝕が少ないことを発見した。 1942年にフッ化物歯面塗布によるう蝕予防の有効性は、CheyneやBibbyにより、初めて報告された。 1969年にはWHOが加盟国に対してフッ化物応用を実施するように勧告した。その後、日本でフッ化物は1970年より日本歯科医師会が積極的応用を推奨するなど地域歯科保健施策の一環として取り入れられ始めた。 飲食30分禁止のルーツは1970年前後にあるだろうと検索し、 1966年の厚生省医務局歯科衛生課: 弗化物歯面局所塗布実施要領を見つけた。薬液の塗布塗布のねらいは、歯面をなるべく長く弗化物溶液に浸潤させることにある。このため歯面を三分間以上何回も薬液を十分浸した小綿球等でぬりつける。この際小窩裂溝や隣接面には特に注意する。塗布直後約三○分間は、洗口させないで、つばをはかせる程度にとどめるようにする。なお、使用器材としては別表(一)に示すものを用いる。とあった。この要領が日本のフッ化物塗布後30分の飲食禁止のルーツだといえる。しかしこの要領のルーツが海外の研究にもあるはずだ。もし見つけた人はコメント欄で教えてほしい。考察 フッ化物歯面塗布は0分より30分の方が効果が高いのは間違いない。 この記事のリサーチをするまでは、0分と30分の間にはもっと効果に差があると思っていた。しかしこの記事を書き終えた今、フッ化物塗布後30分の飲食禁止は、すべての患者にとってベストの飲食禁止時間とは言えないと考える。フッ化物塗布を嫌がる幼児や小児は多くいると思う。自分の子供の健康を願い、歯科医師、歯科衛生士に言われた30分の飲食不可の約束を守り、泣き喚こうが30分飲食させない親もいるだろう。そういった行為によって歯科嫌いな人間が多く生まれ、定期検診や口腔管理を怠るようになってしまっては、本末転倒である。30分の飲食禁止が”必ず”では無い事、患者によっては飲食禁止時間をアレンジする必要があるかもしれない。歯科セミナーなら「1D(ワンディー)」で!日本最大級の歯科医療メディア「1D」では、診療に役立つオンラインセミナーを多数開催中。もっと知りたい臨床トピックから超ニッチな学術トピックまで、参加したいセミナーが見つかります。下記ボタンから、開催中のセミナーを見てみましょう!開催セミナーを見てみる参考文献The effect of rinsing with water immediately after a professional fluoride gel application on fluoride uptake in demineralized enamel: an in vivo study George K. Stookey, PhD Bruce R. Schemehorn, MS Catherine A. Drook, LDH, BS Becky L. Cheetham, CDA <URL>弗化物歯面局所塗布実施要領について<URL>フッ化物歯面塗布に関する研究 : 塗布要領の再検討 第III報<URL>
gyan
2020年5月20日

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