歯科用語集
2025年10月28日

歯科衛生士法

「歯科衛生士法」とは?歯科用語の解説と症例を紹介

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定義・語源

歯科衛生士法とは、歯科衛生士の業務や資格、教育に関する法律である。この法律は、歯科衛生士が患者に対して行う口腔衛生指導や予防処置の重要性を認識し、専門的な知識と技術を持つ人材を育成することを目的としている。語源としては、「歯科」は口腔内の健康を守る分野を指し、「衛生士」は衛生を保つ専門職を意味する。法の制定は、歯科医療の質向上と患者の健康促進に寄与することを目指している。


臨床における位置づけ・判断基準

臨床において、歯科衛生士法は歯科衛生士の業務範囲を明確に定義している。具体的には、口腔内の清掃、フッ素塗布、歯周病予防などが含まれる。判断基準としては、患者の口腔内の状態やニーズに応じた適切な処置を行うことが求められる。また、歯科医師との連携を密にし、チーム医療の一環として機能することが重要である。これにより、患者に対してより質の高い歯科医療を提供することが可能となる。

関連用語・類義語との違い

関連用語としては、「歯科衛生士」「口腔衛生」「予防歯科」などが挙げられる。歯科衛生士は、歯科衛生士法に基づいて資格を取得した専門職であり、口腔衛生を保つための具体的な業務を行う。一方、口腔衛生は、歯科衛生士が実施する業務の一部であり、より広範な概念である。予防歯科は、歯科医療の中で病気を未然に防ぐためのアプローチを指し、歯科衛生士法に基づく業務がその一環として位置づけられる。これらの用語は、歯科衛生士法の枠組みの中で相互に関連しながら、患者の健康を守る役割を果たしている。

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歯科衛生士法の理解と実践。歯科臨床で役立つ教育制度とその影響

歯科衛生士法の理解と実践。歯科臨床で役立つ教育制度とその影響

歯科衛生士法の定義と目的歯科衛生士法は、歯科衛生士の資格取得や業務内容を定めた法律である。この法律は、歯科衛生士が患者に対して行う処置や診査、教育の基準を明確にし、歯科医療の質を向上させることを目的としている。具体的には、歯科衛生士は口腔内の健康を維持するための予防処置や、患者への指導を行う役割を担っている。この法律に基づく教育制度は、歯科衛生士の専門性を高めるために重要であり、臨床現場での実践に直結する知識と技術を提供する。歯科衛生士の業務内容とその重要性歯科衛生士は、主に予防処置や口腔衛生指導を行う専門職である。具体的には、歯石除去やフッ素塗布、ブラッシング指導などが含まれる。これらの処置は、う蝕や歯周病の予防に寄与し、患者の口腔内の健康を保つために不可欠である。また、歯科衛生士は患者とのコミュニケーションを通じて、健康教育を行う役割も果たしている。患者が自らの口腔内の健康を理解し、適切なケアを行うための情報提供は、歯科医療の質を向上させる要素となる。歯科衛生士法に基づく教育制度の概要歯科衛生士法に基づく教育制度は、専門学校や大学でのカリキュラムを通じて実施されている。これにより、歯科衛生士は必要な知識と技術を習得し、国家試験を受験する資格を得る。教育課程では、解剖学や生理学、病理学、歯科衛生学などの基礎知識に加え、臨床実習を通じて実践的なスキルを身につけることが求められる。このような教育制度は、歯科衛生士が臨床現場で即戦力として活躍できるようにするための重要な基盤となっている。歯科衛生士法の影響と今後の展望歯科衛生士法は、歯科医療の質を向上させるための重要な法律であり、今後もその役割はますます重要になると考えられる。特に、予防歯科の重要性が高まる中で、歯科衛生士の専門性が求められる場面は増加している。また、最新の研究や技術の進展に伴い、歯科衛生士の業務内容も変化していく可能性がある。これに対応するためには、継続的な教育や研修が不可欠であり、歯科衛生士法の改正や見直しも視野に入れる必要がある。歯科衛生士法に関する注意点と課題歯科衛生士法に基づく業務には、いくつかの注意点や課題が存在する。まず、法律の理解不足や教育制度の不備が、歯科衛生士の業務に影響を及ぼすことがある。また、歯科衛生士の業務範囲が明確でない場合、歯科医師との連携が不十分になることもある。これにより、患者に対する適切な処置や指導が行えないリスクが生じるため、法律の理解と業務の明確化が求められる。まとめ:歯科衛生士法の意義と臨床への応用歯科衛生士法は、歯科衛生士の業務を規定し、歯科医療の質を向上させるための重要な法律である。教育制度を通じて専門性を高めることが求められ、臨床現場での実践に直結する知識と技術を提供する。今後も、歯科衛生士法の理解を深め、業務の質を向上させるための取り組みが必要である。これにより、患者の口腔内の健康を守るための重要な役割を果たすことができるだろう。
1D編集部
2024年6月1日
それって意味あるの? 歯科医院に潜む謎ルール① 

それって意味あるの? 歯科医院に潜む謎ルール① 

働きやすい職場とは何か?一言で言えば、それは「縛り(しばり)」のない環境だろう。自分の思うままに、あるがままに働ける場所。そんな環境を提供できる企業が、今や優良企業として「ホワイト」に色づけられている。しかしながら、歯科医ではいわゆる「謎ルール」がいまだ数多く蔓延っているようだ。コンビニより多いと言われる歯科医院では、それぞれ独自のルールが取り決められ、その独自性、悪く言えば常識では考えられない劣悪規則に、歯科医従事者らは苦しめられていると聞く。今回はそのような悪名高き「歯医者の謎ルール」を集めて裁いてみた。評価基準方法としては、SNSや1D社内の現役歯科医療関係者らから謎ルールを集め、それらを以下の評価基準で点数をつけていく感じだ。●理不尽度  ★★★★★ルールの理不尽さを示す。「明確な根拠もないし、それ院長の気まぐれで作っただろ!」●特殊度   ★★★★★ルールがいかに特殊かを示す。「他の医院、会社ではありえない!」●意味不明度 ★★★★★ルールの意味不明さを示す。「存在が謎過ぎる!」●時勢不一致度★★★★★ルールがいかに時代遅れかを示す。「現代にこんな凝り固まった規則が⁉」  それぞれ5点、合計20点満点でルールの謎さを表す。得点が高いほうが謎さマシマシだ。今回は21位から11位まで順に見ていこう!21位 7pt 「意味のない朝礼を行う」理不尽度  ★特殊度   ★★意味不明度 ★★時勢不一致度★★誰も何も聞いていないのに淡々と行われる朝礼。さらにはその日に起こった良いこと、新しいことを発表しあうGood&New も行う歯医者もあるのだとか。連絡の場としての重要性をある程度理解出来るため謎度は低いが、やはり面倒くさすぎる! お話の短い校長先生は人気だったはずだよね?18位 8pt 「歯科助手はネイルOKだけど衛生士はダメ」理不尽度  ★★特殊度   ★★意味不明度 ★★時勢不一致度★★「歯科衛生士は患者さんの口の中に手を入れるから」という明確な理由があったため謎度はやや低め。しかし結局その上からグローブをするのだから、どうせネイルしていても変わらないのではという疑問点も。そもそも歯医者さんの爪をじっくり観察する患者さんなどあまりいないのでは? 「痛みか眠気に耐えるので必死です!」18位 8pt 「太ったバイト医が出勤すると冷房が22度に設定されている」理不尽度  ★★★特殊度   ★★意味不明度 ★時勢不一致度★★謎ルールというよりもはや怪奇現象。たとえ26度くらいに戻したとしても、いつの間にか22度に。冷房設定温度をめぐる熾烈な闘いがそこにある! 彼らは冷房が常に唸りをあげていないと気が済まないようだ。しかしそれもそのはず、肥満の場合はエネルギーを使う量が多かったり、脂肪による保温効果が高かったり(通称:ミートテック)、基礎代謝が高かったりと列記とした理由がそこにある。ここは妥協して、寒がりが厚着をすることで乗りきるしかないのかもしれない。18位 8pt「歯科医師会からの連絡はFAX」理不尽度  ★★特殊度   ★意味不明度 ★★時勢不一致度★★★今どきFAXかよ、というのが正直な感想。ちなみに米国の国立博物館では「骨董品」として展示されたことがあるらしい。しかし、日本のビジネスでは未だ根強い人気を保ち続けているのも現状だ。その理由として、手書きによる人間らしさが残るからだとか。確かに無機質な電子メールに比べて印象は良い。加えてハンコが使えるため、より法的な文書になるといった利点がある。まだまだFAXとのお付き合いは長いかもしれない。15位 9pt 「歯科衛生士のユニフォームに院長の好み出がち」理不尽度  ★★特殊度   ★★意味不明度 ★★時勢不一致度★★★謎ルールというよりは、むしろあるあるである。院長の好み(センス)が自身に適合しているのであれば、好ましい職場になること間違いないのだが、そうでないこともまた多く…。学生の制服に、メイド服。はたまたナース服かセーラー服。本来縛りを与えるはずのユニフォームが、男性諸君の妄想を無限大に膨らませるとは何とも皮肉なことだろうか。魅惑の根源に、院長の嗜好が介入しないはずもなく…。15位 9pt 「トイレに行く時は存在しないユニット番号を指して行く報告をする」理不尽度  ★★特殊度   ★★意味不明度 ★★★時勢不一致度★★「○○番行ってきます~!」 女性が「お花摘み」を報告するのと同じ要領だ。ちなみに「お花を摘む」という隠語は登山用語からきているそうだ。和式トイレで用を足す姿が、花を摘んでいるさまに見えるからだとか。この男性版はキジを撃つ猟師の姿をなぞらえて、「雉打ち」。いまや有名になりすぎて隠語の役目を果たしてないまでもある。そこで、幻のユニット番号を報告するという手法を取ったのだろう。なお、この謎ルール回答者は従っていない。15位 9pt 「医院によってカルテの情報共有の仕方がばらばら」理不尽度  ★★特殊度   ★★意味不明度 ★★★時勢不一致度★★おこなったことや注意点、次回診る人への申し送り等々を書き込むカルテ。書き方が全国統一されていないせいで慣れるまで時間がかかるのだ! 特にバイトで多くの医院を転々とするのであればなおさら。詳しく教えてくれないこともある。デジタル化とともに全医院、統一してくれたっていいじゃないか。11位 10pt 「新人トレーニングは休憩時間に行われる」理不尽度  ★★★特殊度   ★★意味不明度 ★★時勢不一致度★★★何ともグレーな謎ルール。休憩時間に休憩できないとは何事だろう。「生姜焼き定食、生姜焼き抜き」とさして変わりない。むしろご飯とみそ汁がついてくるだけありがたいほうだ。しかし、労働省は「研修・教育訓練」について「業務上義務づけられていない自由参加のものであれば」「労働時間に該当しません」と定めている。あくまで本人の意思に基づいた新人トレーニングなら法的に問題ないのだ。休憩も立派な仕事だよ(ボソッ)。11位 10pt 「髪の毛を染めてもいいけどハイライトは入れてはいけない」理不尽度  ★★★特殊度   ★意味不明度 ★★★時勢不一致度★★★お決まりのブラック校則系謎ルールがやってきた。「清潔感がなくなるから」というのが理由だとか。髪染めがありならば、もはや清潔感も何も関係ないのではと感じてしまう。確かに少しちゃらけた雰囲気が出るのは否めないのだが、それもお洒落の1つである。髪に気をかけている以上不清潔だとは言い難いだろう。「むしろ院長先生の綺麗なハイライト(まばら白髪)こそ気をかけるべきです!」11位 10pt 「歯科助手なのに印象採取や仮封をしている」理不尽度  ★★★特殊度   ★★意味不明度 ★★時勢不一致度★★★謎ルール以前に資格のない歯科助手が行うのは歯科衛生士法違反! 実際に歯科医師と歯科助手が逮捕されるという事件も起きている。多忙な中ついつい歯科助手の手も借りたくなってしまうかもしれないが、互いに今後のキャリアを失いかねないので、法に従うことを心がけるべきだ。11位 10pt「男子更衣室は、無い」理不尽度  ★★★特殊度   ★★意味不明度 ★★時勢不一致度★★★男子更衣室がないのなら、どこで着替えればよいのやら。歯科衛生士の99%が女性ということもあり、男性スタッフに優しくない環境が少なからずあるようだ。しかしそんな環境は歯医者に限らず、昔から経験してこなかっただろうか。「男子ー、早く着替えてー!」と焦らされ、しまいには着替え途中にも拘わらず入ってきてしまう女子。小中高と男子には更衣室が与えられず教室で着替えることが多かったのではないか。男女平等について考えさせられる。今回はここで終了!まだまだ半分だが、なんと納得のできない謎ルールが多いこと。次回はこれらを上回る謎さを期待できる。必見!!
1D編集部
2023年10月24日
歯科衛生士が照射ボタンを押すだけなら、診療の補助じゃないの?

歯科衛生士が照射ボタンを押すだけなら、診療の補助じゃないの?

手が離せない歯科医師に「エックス線撮影しておいて」と言われ、歯科衛生士が言われるがままに照射ボタンを押すーー。これは「診療の補助」に当たるのではないか。当たらないとしたら、その法的根拠は何なのか。歯科衛生士は、「予防処置」「歯科診療の補助」「歯科保健指導」の業務を担う。これは歯科衛生士法第2条に規定されている。前提として歯科衛生士とは、歯科医師が行う「歯科医行為」の一部を歯科医師に代わって行うことができる職種である。今回は「歯科診療の補助」について、特にエックス線の照射ボタンを押すことがこれに該当するのかについて、詳しく解説していこう。 「歯科診療の補助」とは?「歯科診療の補助」は抽象的な概念だ。「診療の補助」と聞くとバキュームを持ったりセメントを練和したりといった補助的行為が連想されるが、それだけではない。 「どこまでが診療の補助なのか?」という認定は、法律上はっきりと規定することは難しい。歯科医療の枠組みや歯科衛生士教育の水準も常に変化しているなかで、その時々の社会通念に合わせて「歯科診療の補助」というやっかいな概念を解釈していかなければならないのである。 歯科衛生士法第13条の2には、「歯科医行為の禁止」として次のような文言がある。 第13条の2 歯科衛生士は、歯科診療の補助をなすに当つては、主治の歯科医師の指示があつた場合を除くほか、診療機械を使用し、医薬品を授与し、又は医薬品について指示をなし、その他歯科医師が行うのでなければ衛生上危害を生ずるおそれのある行為をしてはならない。ただし、臨時応急の手当をすることは、さしつかえない。「絶対的歯科医行為」と「相対的歯科医行為」「歯科診療の補助」の法的な取り扱いについて、詳しく考えていこう。歯科医師の業務は、絶対的歯科医行為と相対的歯科医行為とに大きく分けられる。 「絶対的歯科医行為」とは、法的に歯科診療の補助を行えることを定められた職種(歯科衛生士や看護師・准看護師・保健師・助産師、臨床検査技師、言語聴覚士、診療放射線技師など)の知識やスキルを超え、絶対的に歯科医師が行わなければ危害を生じる恐れのある行為をいう。 一方で「相対的歯科医行為」は、歯科医師の業務から絶対的歯科医行為に該当する業務を差し引いた行為のことである。歯科衛生士法における絶対的歯科医行為と相対的歯科医行為についてまとめたものを下図に示しておく。 歯科診療の補助は、相対的歯科医行為である。歯科医師の指示のもと、歯科衛生士は歯科診療の補助を行う。この診療の補助に関する指示は、その時々の状況や個々のケース、歯科衛生士の技能に応じて内容が変わっていくものである。 エックス線撮影は「診療の補助」ではないのか?冒頭でも触れたように、ここで疑問に残るのは、エックス線の撮影は「診療の補助」に当たらないのか、ということだ。 実態として、歯科衛生士や歯科助手にエックス線の照射をさせている歯科医院は存在するし、2019年には大阪の歯科医院で摘発もされている。 「照射ボタンを押すだけなら診療の補助で良いのでは?」という疑問を抱く方も少なくないだろう。エックス線の照射ボタンを押すことが診療の補助であると見なされれば、歯科衛生士によるエックス線撮影が可能となる。 診療放射線技師法を見ていくと...エックス線撮影は、医師・歯科医師・診療放射線技師の独占業務である。これは診療放射線技師法第24条に規定されている。 第24条医師、歯科医師又は診療放射線技師でなければ、第二条第二項に規定する業をしてはならない。第2条第2項この法律で「診療放射線技師」とは、厚生労働大臣の免許を受けて、医師又は歯科医師の指示の下に、放射線を人体に対して照射(中略)することを業とする者をいう。一方で、同法には次のような規定も存在する。 診療放射線技師は、第二条第二項に規定する業務のほか、保健師助産師看護師法(中略)の規定にかかわらず、診療の補助として、次に掲げる行為を行うことを業とすることができる。一 磁気共鳴画像診断装置その他の画像による診断を行うための装置であつて政令で定めるものを用いた検査(医師又は歯科医師の指示の下に行うものに限る。)を行うこと。二 第二条第二項に規定する業務又は前号に規定する検査に関連する行為として厚生労働省令で定めるもの(医師又は歯科医師の具体的な指示を受けて行うものに限る。)を行うこと。診療放射線技師法には、「エックス線の照射」に加えて「診療の補助」についても規定がある。両者は、診療放射線技師法によって法的に明確に区別されているのである。したがって、エックス線撮影は診療の補助の一環として行うことはできない。言うまでもないが、予防処置や歯科保健指導の一環として歯科衛生士がエックス線撮影を行うことも、合理的に考えて不可能である。エックス線が「特別」な理由エックス線の撮影・放射線の被爆には、電離放射線障害防止規則(電離則)をはじめとするいくつもの規制が敷かれているように、特別な注意が必要である。 歯科医院ではエックス線撮影はもはや日常の一部であり、照射ボタンを押すことにいちいち躊躇っていては診療が進まない。 しかし、見かけ上は単にボタンを押しているだけのように見えたとしても、患者さんは被爆をしているのである。読者の皆さんはこうした違法行為はしていないと思うが、エックス線照射は単にボタンを押す行為ではないということを、いま一度考えてみても良いのかもしれない。(注:本記事は、2020年10月18日に当社メディアに掲載された記事を再掲したものです。)参考文献『歯科六法コンメンタール 歯科関連法律の逐条解説』社会歯科学会 編著, ヒョーロン・パブリッシャーズ, 2018.
1D編集部
2022年8月14日
歯科医療、すべての歴史を「365日」で表してみた

歯科医療、すべての歴史を「365日」で表してみた

歯科医療のすべての歴史を、「365日 = 1年」というスケールで表してみると、意外な発見がある。歯科医療史を身近なものに感じていただけたら幸いである。歯科医療のはじまり、元旦0時歯科医療の歴史は、紀元前1700年頃にさかのぼる。歯科医療のはじまりは、エジプト医学『パピルス・エーベルス』での、歯痛や歯肉の炎症に対する薬物治療法に関する記述が初出であると言われている。同時期の『パピルス・スミス』には、脱臼した下顎の整復固定術についての記載もある。エジプト医学は、インダス文明から生まれたインド医学と融合して、のちにヒポクラテス(B.C.4世紀頃)らを輩出したギリシア医学を形成することになる。これを元旦・1月1日の午前0時0分に置いて、歯科医療史の主要なできごとについて振り返ってみよう。古典的な医学理論が完成ガレノス(A.D 129〜A.D 216)は、医学に関する膨大な書物を残した。彼の著作『ガレノス全集』は近代に至るまでの1400年間、医学の聖典として扱われた。もちろん現代の医学体系と比べると誤りも多いものの、自然観察では足りない概念を実験で補った点が今日でも評価されている。ガレノスによる歯科医療の記述は、歯の解剖の詳解や、歯痛は「歯自身の痛み」と「歯肉の痛み」に分けられること、う蝕、歯牙漂白法、抜歯、髄腔穿通法など多岐にわたる。髄腔穿通法は現在でも行われている感染根管に対する穿通法である。そんなガレノスによる古典医学理論の完成は、歯科医学の勃興から1900年後のことである。既に時刻は、7月6日の深夜1時20分頃になっている。中世ヨーロッパからルネサンスへルネサンス以前の中世ヨーロッパの医学・歯科医学は、学問的な発展が少なく、停滞期であったと言える。この時代、「歯抜き師」や「歯科施術者(Dentature)」という職業が存在したという文献は存在するものの、不明な点が多い。歯抜き師に至っては街の広場にいたという記述もある。この時点で、10月16日の20時30分頃。まだ記事の冒頭だが、年末になってきた。ルネサンスでは、前時代と比べ自然科学の重要性が提唱され、歯科医学も科学としての道を歩み始めた。特にレオナルド・ダ・ヴィンチ(1452〜1519)とミケランジェロ(1475〜1564)は、人体を表現するために解剖学を探究し、それが新しい医学研究へとつながった。ダ・ヴィンチの『解剖図譜』には、歯の解剖に関する詳細な記述もある。ルネサンス期における歯科医学者として、アルコラーニ(生年不明〜1460)とビーゴ(1460〜1525)が挙げられる。アルコラーニはペリカンという抜歯器具や、金箔充填について言及している。またビーゴは、う蝕をノコギリやヤスリなどで除去し、金箔充填をすることを推奨している。ビーゴは、ローマ教皇ユリウス2世に招かれ、金箔充填を施したと言われている。この時代は、床屋外科医(当時は床屋で外科的処置が施されていた)や歯抜き師が「抜歯」を標榜し、実臨床を行っていた。また、大道香具師やニセ医者など技術的・学問的裏付けのない者が歯科医業を行っており、混沌とした時代だったようである。この時代は、だいたい11月5日の午前中あたりだ。近代歯科医学への道が開く前出のガレノスは「下顎骨が2つある」と主張していたが、ヴェサリウス(1514〜1564)は下顎骨が1つの骨であることを観察した。ヴェサリウスは近代解剖学の祖であり、歯の解剖学にも多大な功績を残した。歯と骨を初めて区別したこと、歯髄腔が歯に対する栄養を供給すること、智歯抜歯における切開の重要性などが主な功績である。しかし「歯は一生にわたって萌出し続ける」「永久歯は乳歯の歯根から発生する」などの誤った見解も多かった。この時代は、コロンボ(1516〜1559)による歯根膜の発見、エウスタキオ(1502〜1574)によるエナメル質・象牙質の区別、レーヴェンフック(1632〜1723)による口腔内細菌の発見(それまでう蝕は "歯の虫" が原因と考えられていた)など、近代歯科医学に続く研究が花開いた。この時代の日本では、和歌山県で世界最古の義歯が発見されている。1538年4月に没した中岡テイのもので、木でできた全部床義歯であった。木床義歯は日本独自の文化であり、その後江戸時代の鎖国時代に職人による精巧な手作業によって独自の発展を遂げた。ルネサンス後の17世紀頃、近代国家が力を持つようになると、医療も国家により統制されるようになった。1685年には、ドイツ・ベルリンに良いて医術令が発布され、歯科医学の実施者にも試験による認定を受けさせることになった。同時期にフランス・パリでも歯科医師の試験が開始された(現実的には試験は形骸化していたとの指摘もある)。職業としての歯科医師の誕生である。これが、11月28日の10時45分頃の話だ。フォシャールの登場それから時は流れ、近代歯科医学の父、フォシャール(1678〜1761)が登場する。フォシャールは歯科医師を単なる歯抜き師から独立した職業としての立場を確立し、歯科医学自体の義務と歯科医師の仕事、その名称をはっきりさせた。フォシャールの『歯科外科医ー歯に関する論文(1746)』では、う蝕の切削や窩洞形成、部分床義歯・全部床義歯に関する記述がなされている。さらに、歯肉の疾患を予防するためには歯石除去と根面滑沢化が必要であると考え、予防歯科医学を主張した。歯科用ユニットが作られたのもこの頃で、彼による開発である。同時期の出来事としては、18世紀最大の外科医・ハンター(1728〜1793)による犬歯・小臼歯の命名(彼の私塾の門下生には天然痘ワクチンを発見したエドワード・ジェンナーがいる)、ボンウィル(1833〜1899)による咬合器の開発などがある。近代歯科医学の誕生、時刻は既に、12月14日の昼頃である。世界初の歯学部が設立される1840年、米国にボルチモア歯科医学校が設立され、卒業した者にはDoctor of Dental Surgery(D. D. S)の称号が与えられるようになった。これに続いて、1859年にイギリス・ロンドンにメトロポリタン歯科医学校、1867年にハーバード大学歯学部、1884年にベルリン大学に歯科医師養成学校が誕生した。日本においては、1890年に高山紀齋(1850〜1933)によって高山歯科医学院が創設された。高山歯科医学院は1899年に血脇守之助(1870〜1947)に譲渡され、東京歯科医学校を経て現在の東京歯科大学に発展している。現代歯科医学に続く研究が出現ブラック(1836〜1915)の名を知らない歯科医師はいないだろう。彼は独学で歯科医師となり、21歳で歯科医院を開業した。窩洞形成の標準的原則である「ブラック窩洞」があまりにも有名だが、歯のフッ素症(斑状歯)、抜歯時の笑気麻酔応用、予防拡大の概念など、さまざまな分野で近代歯科医学の確立に貢献した。レントゲン(1845〜1923)によるエックス線の発見もこの頃である。1895年のことだ。1年で表すと12月19日の深夜0時15分となる。レントゲンの発見からわずか8ヶ月後、ケルズ(1856〜1928)によりエックス線が歯科医療に応用された。一方その頃日本では...アメリカを中心に現代歯科医学に続く研究が出現していたこの頃、日本は江戸時代であった。鎖国政策の影響からか、お歯黒や木床義歯、房楊枝など独特な文化が栄えた。歯痛が起こると、民衆は祈祷や厄除けに頼った。当時、浅草寺などの人が多く集まる場所には、歯痛に対する薬や歯磨剤、抜歯や木床義歯などを売る商人が存在していたという。1867年、明治新政府が誕生し、日本は近代化に舵を切ることになる。1875年には医務条例により医術試験規則が出され、小幡英之助(1850〜1909)が最初の歯科専門医となった。当時は身分上・制度上ともに歯科医師という職種は存在せず、医師の範疇で歯科医業が行われていた。しかし1884年、医業を行う者と歯科医業を行う者とが別の身分制度を確立すべき端緒が開かれ、医籍とは別に歯科医籍が誕生した。時刻は12月17日の深夜になっている。歯科医師法の公布をめぐる争い1899年、東京帝国大学医学部の関係者を中心とする明治医会は、医師法案を発表し、「歯科医師には本法を適用しない」とした。こうした医師側の情勢を鑑みて、当時の全国的歯科医師団体である大日本歯科医会は、独自の立場から歯科医師に関する特別法、すなわち歯科医師法を1904年9月27日に決定した。中心となって動いていたのは高山紀齋、血脇守之助、伊澤信平、広瀬武郎ら。一方の医師法案は1906年に第二十二回帝国議会に提出されたため、大日本歯科医会は歯科医師法案を急遽提出することを決め、衆議院に提出された。歯科医師法案は衆議院、貴族院において一部修正された上で、同年3月に通過成立し、医師法と同時交付された。歯科医師の身分を定める歯科医師法は、政府から与えられたものではなく、私塾や師弟制度から生まれたものであるというユニークな歴史がある。前述のように1890年に高山歯科医学院(現在の東京歯科大学)が創設されたが、1907年には中原市五郎(1867〜1941)によって共立歯科医学校(現在の日本歯科大学)が設立される。1911年には大阪歯科医学校(現在の大阪歯科大学)、1920年には東洋歯科医学専門学校(現在の日大歯学部)、1928年には東京高等歯科医学校(現在の東京医科歯科大学)が設立された。この頃の時刻は、12月22日の早朝あたりである。戦後、現代歯科医療の時代へ12月22日の午後には、さまざまな歯科医学に関する専門学会が誕生した。歯科医師法の制定や歯科医学教育体制の充実に伴う変化だろう。1902年には日本歯科医学会が創設され、1918年の日本歯科口腔科学会(現在の日本口腔科学会)、1926年の矯正歯科学会(現在の日本矯正歯科学会)、1931年の日本補綴歯科学会、1935年の口腔外科学会(現在の日本口腔外科学会)へと続いた。第二次世界大戦の終戦後は、GHQによる占領政策で医療制度は大きく変化した。当時の医師・歯科医師は戦時末期に急増しており養成期間も短期であったことから、その資質向上が課題となった。これまでは許認可のある大学・専門学校を卒業すれば無試験で医師・歯科医師の免許を得ることができたが、国家試験の合格が免許要件となったのもこの頃である。歯科衛生士法は、1948年に保健師助産師看護婦法とともに制定された。1年で表すと12月24日、クリスマスイブの朝である。1955年には歯科技工士法が制定され、歯科医師・歯科衛生士ともに歯科三職種の身分が明確化された。この頃のできごととして特筆すべきは、ブローネマルク(1929〜2014)によるオッセオインテグレーションの発見(1952)と、それに伴うデンタルインプラントの開発だろう。これがちょうどクリスマスイブからクリスマスに日付が変わる頃の話だ。歯学部の新設ラッシュが始まる1960年代に入ると、歯科医師不足の風潮もあいまって、全国各地で歯学部が新設されるようになった。最も新しい歯学部は1980年に開設された岡山大学歯学部と長崎大学歯学部である。両大学の開設は、1年というスケールで表すと12月27日の朝8時00分である。歯科医師臨床研修が義務化されたのは2006年だ。これは、12月29日の夜21時である。この日から現在を表す12月31日23時59分までのあいだで、歯科医師過剰問題の議論、アライナー矯正の誕生、全身の健康との関連に関するエビデンス蓄積などのできごとが発生した。紀元前1700年から受け継がれる歯科医療・歯科医学の歴史を振り返ってみると、昨今の医療技術の発展は凄まじいスピードであることが見てとれるだろう。現代を生きる歯科医療者として、日々知識やスキルのアップデートをしていかなければならない。
1D編集部
2022年1月16日

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