歯科用語集
2025年10月28日

往診

「往診」とは?歯科用語の解説と症例を紹介

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定義・語源

往診とは、医療従事者が患者の自宅や施設に出向いて診療を行うことを指す。特に歯科においては、訪問歯科診療とも呼ばれ、主に高齢者や障害者など、通院が困難な患者に対して行われる。語源は「往く」と「診る」の合成語であり、患者のもとへ赴く診療行為を示している。往診は、患者の生活環境における口腔衛生の維持や、治療の継続を目的とした重要な医療サービスである。


臨床における位置づけ・判断基準

往診は、特に在宅医療の一環として位置づけられ、患者の状態や生活環境に応じた柔軟な対応が求められる。判断基準としては、患者の健康状態、通院の可否、治療の必要性などが挙げられる。往診を行う際には、事前に患者の口腔内の状態を把握し、必要な器具や材料を準備することが重要である。また、往診においては、患者とのコミュニケーションが特に重要であり、信頼関係を築くことが治療の成功に寄与する。

関連用語・類義語との違い

往診に関連する用語としては、「訪問診療」や「訪問歯科診療」がある。訪問診療は、医師が行う診療全般を指し、往診はその中の歯科に特化した形態である。また、往診と似た概念に「在宅医療」があるが、在宅医療はより広範な医療サービスを含むため、往診はその一部である。これらの用語の違いを理解することで、臨床現場での適切な用語選択が可能となる。

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往診の重要性と実践。歯科臨床での処置と症例に基づく判断ポイント

往診の重要性と実践。歯科臨床での処置と症例に基づく判断ポイント

往診の定義とその役割往診とは、患者の自宅や施設に歯科医師が出向き、診察や治療を行うことを指す。特に高齢者や障害者、通院が困難な患者にとって、往診は重要な医療サービスである。往診の役割は、患者の生活の質を向上させることにあり、必要な処置を適切に行うことで、口腔内の健康を維持することが可能となる。往診の実施には、患者の症状や状態を正確に診断する能力が求められる。また、往診を通じて得られる情報は、患者の全体的な健康状態を把握する上でも重要である。これにより、適切な治療計画を立てることができ、患者にとってのメリットが大きい。往診における処置と術式往診では、一般的な歯科治療に加え、特有の処置や術式が求められる。例えば、口腔内の清掃やう蝕の治療、義歯の調整などが挙げられる。これらの処置は、患者の状態に応じて柔軟に対応する必要がある。往診の際には、患者の口腔内の状態を正確に把握するための診査が不可欠である。特に、視覚的な診断が難しい場合には、触診や聴診を活用することが重要である。また、往診では、患者の生活環境や心理的な要因も考慮しながら、適切な術式を選択することが求められる。これにより、患者にとってのデメリットを最小限に抑えつつ、効果的な治療を実施することが可能となる。往診の症例と判断ポイント往診においては、さまざまな症例が存在する。例えば、重度のう蝕や歯周病を抱える高齢者、義歯の不適合に悩む患者などが挙げられる。これらの症例に対しては、適切な診断と処置が求められる。症例ごとに異なる判断ポイントが存在するため、歯科医師は臨床経験を活かし、柔軟に対応する必要がある。特に、患者の痛みや不安を軽減するための配慮が重要であり、これにより患者の信頼を得ることができる。また、往診の際には、患者の家族や介護者とのコミュニケーションも重要である。治療方針や注意点をしっかりと説明することで、患者の理解を深め、治療の効果を高めることができる。往診のメリットとデメリット往診には多くのメリットがある。まず、患者が通院することなく、必要な治療を受けられる点が挙げられる。これにより、特に高齢者や障害者にとっての負担が軽減される。また、患者の生活環境を直接観察できるため、より適切な治療計画を立てることが可能となる。一方で、往診にはデメリットも存在する。例えば、診療環境が整っていない場合、必要な器具や材料を持参する必要があるため、治療の幅が制限されることがある。また、患者の状態によっては、緊急対応が難しい場合もある。これらのメリットとデメリットを理解し、適切にバランスを取ることが、往診を成功させるための鍵となる。往診を導入する際の注意点往診を導入する際には、いくつかの注意点がある。まず、往診を行うための法的な要件や保険制度について理解しておくことが重要である。特に、往診に対する保険適用の条件を把握することで、患者に対して適切な情報を提供できる。また、往診を行う際には、患者のプライバシーや安全を確保するための配慮が必要である。患者の自宅や施設での診療においては、感染対策や衛生管理が特に重要である。さらに、往診を行う際には、チーム医療の観点から、他の医療従事者との連携も考慮する必要がある。これにより、患者に対してより包括的な医療サービスを提供することが可能となる。
1D編集部
2024年6月1日
アスピリン喘息による死亡。歯科医師の責任が問われた事例と問われなかった事例

アスピリン喘息による死亡。歯科医師の責任が問われた事例と問われなかった事例

歯医者から帰ってテレビ見ていたら、苦しくなって……平成2年3月のある日の午後2時半、福岡県のある歯科医院で左上の智歯抜歯が行われた。抜歯後には、ロキソニン(鎮痛抗炎症剤)、レクトーゼ(消炎酵素剤)、ケフレックス(抗菌薬)が処方され、患者はそれを服用した。患者は家に帰りしばらくはテレビを見ていたが、同日午後3時半ころ、喘息の発作を起こし始めたので、発作を鎮静させるための吸入を二回行った。しかし、発作はおさまらず、顔色が赤黒くなり始め、下腹部を両手で押さえながらトイレに駆け込み、しばらくして同所で意識を失い、「ドン」という音とともに転倒した。患者の妻は歯科医師に対して、すぐに連れて行くので見てくれと頼んだが、緊急を要するので近所の呼吸器専門の医師に往診を依頼した。呼吸器専門の医師が到着したときには、患者はうつ伏せで倒れており、顔面はチアノーゼを呈し、心臓は停止していた。心臓マッサージを施したが蘇生はしなかった。同日5時半、患者は死亡したと判断された。問診書には書いてあった患者は予診録にはきちんと喘息の既往を書いていた。「あなたの体質は?」の項については「特異体質 ぜんそく」に、「使えない薬は?」の項については「ピリン系薬剤」に各々丸印をつけ、さらに「今までにかかった病気は?」の項については「ぜんそく」と自ら記入した。予診録を見た被告は、患者に対して喘息の状態を問診したところ、患者は、自分には喘息の持病があり、ピリン系の薬剤で喘息の発作が起こる旨答えた。それにも関わらず、歯科医師はアスピリン喘息の概念、ロキソニンがアスピリン喘息を惹起すること及びロキソニンをアスピリン喘息又はその既往歴のある患者に投与してはいけないことについては全く知らなかった。それ故に、アスピリン喘息で患者は死亡してしまったのだ。当時の裁判所は担当した歯科医師がアスピリン喘息を知らなかったことについてこのように結論づけている。アスピリン喘息は、呼吸器やアレルギー疾患の専門医の間では既に昭和55年ころから注目されるようになっていたものであり、また、本件事故当時、ロキソニンの使用説明書や医学文献にアスピリン喘息についての記載があったことからすると、歯科医師であっても、アスピリン喘息に関する知識を修得することは容易であったと認めざるをえないばかりでなく、前記医師の業務の特殊性及び薬剤が人体に与える副作用等の危険性に鑑みれば、右認定のアスピリン喘息に関する知識が福岡市内の開業歯科医師の間では一般的に定着するに至っていたとはいえないなどの事情は被告に課せられていた研鑽義務を何ら軽減するものではないことは明らかである。投与における注意義務を怠って 漫然とロキソニンを投与したとして、歯科医師の不法行為責任が認められ担当歯科医師は約2000万円の損害賠償を命ぜられた。同じアスピリン喘息の死亡ケースで、歯科医師の責任が問われなかった事例先の事例とは反対に、歯科で処方された薬物をきっかけにアスピリン喘息により患者が死亡した事例でも、歯科医師の責任問われなかった場合もある。群馬県のとある歯科医院で平成10年同じ様に、歯科医師が処方した薬物がトリガーとなり発症したアスピリン喘息で死亡したケースの裁判の判決はこうであった。男性は非ステロイド性抗炎症薬の投与によって誘発される気管支喘息(ぜんそく)「アスピリン喘息」を患っている可能性があった。患者への解熱鎮痛薬ロキソニンの投与は禁じられているが、同診療所で治療後、処方されたロキソニンなどを服用。間もなく心肺停止状態になり21日後に死亡した。 判決で裁判長は、(1)男性はそれまでアスピリン喘息と診断されたことがない(2)以前、非ステロイド性抗炎症薬を処方され服用したと思われるが異常はなかったことから、ロキソニン投与によって重い発作を引き起こすことは予見できなかったとして、担当医師の過失を認めず、男性の死亡との因果関係も認められないと判断した。つまり、きちんと問診を取ること、予診録にしっかり記録すること、そして必要である医学的知識をきちんと学ぶことが歯科医師として求められていることであることがここから分かる。歯科医院における死亡事故セミナー開催歯科医院における死亡事故をケースから学ぶオンラインセミナーが開催決定。講師は法歯学者の佐藤慶太先生(鶴見大学歯学部教授)。興味がある方は、ぜひご参加ください。セミナーの詳細を見てみる参考文献福岡地方裁判所 平成2年(ワ)2216号 判決, 大判例, <URL>, 2020年8月23日閲覧前橋地裁平成24年8月31日判決,アスピリン喘息の可能性ある患者のロキソニン服用後死亡事案で請求棄却報道, 弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ, <URL>, 2020年8月15日閲覧後藤隆志, & 一戸達也. (2012). 気管支喘息を有する患者に対する歯科治療時の注意点を教えてください.
宇梶 淳平
2022年8月13日
「在宅歯科医療の基本的考え方」日本老年歯科医学会が新たに公開

「在宅歯科医療の基本的考え方」日本老年歯科医学会が新たに公開

日本老年歯科医学会は、在宅歯科医療がより適正に行われることを目指して、在宅歯科医療の基本的考え方についてのペーパーを公開した。「在宅歯科医療の基本的考え方 2016」がある。当時から約6年間が経過し、高齢化のさらなる進展、新型コロナウイルスの蔓延、ICTの進歩などがあり、アップデートが必要となった。日本老年歯科医学会では、在宅歯科医療委員会で検討を行い、常任理事会・理事会での議論んを経て、本年版の「在宅歯科医療の基本的考え方2022」を策定した。往診、訪問診療、在宅医療…。説明できますか?同ペーパーでは、在宅医療の定義について、まず「往診」と「訪問診療」に分けられる、としている。往診とは、「依頼時のみ実施される緊急対応で、外来診療の延長線上に位置する」もの。一方で訪問診療とは、「長期的な医療計画のもとに実施される、外来診療とは異なる」ものだ。さらに、在宅歯科医療の基本的な概念として、下記のポイントが挙げられると指摘する。在宅歯科医療の適応は、担当歯科医師の裁量により患者ごとに判断する在宅歯科医療は地域の「かかりつけ歯科」が担当することが望ましい在宅歯科医療は医学的に適切かつ安全で、良質な歯科医療を提供しなければならない歯科医療の提供方法には、外来診療、病棟(入院)診療そして在宅歯科医療の選択肢があることを理解し、患者(および家族)の希望にも配慮して、個別に適応を判断して対応する在宅歯科医療の対象患者とは?続いて、在宅歯科医療の対象となるのは、どういった患者だろうか。同ペーパーによれば、介護施設に入所してたり入院しているなどの通院が困難な患者や、生活環境での対応が必要もしくは望ましいと判断される患者、または自宅や宿泊施設での療養を余儀なくされている(あるいは希望している)感染症関連患者などが、在宅歯科医療の対象になるとしている。なおいずれの場合でも、疾病や障害の程度で決めるのではなく、心身や家族・介護者の支援状況、生活・療養環境の状態を個別に勘案して決定する必要があるとしている。「生活の場」で診療を行うということ在宅歯科医療が行われる場は、当然ながら患者自身の「生活の場」が中心となる。在宅歯科医療は外来診療の単なる持ち込みではなく、患者の「生活の場」に診療環境を構築することで実施可能となるのである。しかし、「生活の場」は通常の外来における診療環境よりも、衛生レベルが一段階低いものになるという点には留意しなければならない。衛生レベルは、在宅歯科医療の適切な診療範囲の決定において重要な要素のひとつだ。歯科医療者には、個々の生活の場の状況に応じた感染予防策が求められている。在宅歯科医療を行う歯科医療者に求められていること在宅歯科医療を行う術者には、3つの要素が求められていると、同ペーパーでは指摘されている。この3つの要素に関する基本的な知識や技能、態度を有していることが求められている。外来診療感染予防多職種連携在宅歯科医療では、診察から検査、処置、手術、投薬、医学管理、リハビリテーションといった対応が含まれている。在宅歯科診療における連携在宅歯科診療を行う上では、下記の点における連携が必要である。地域の医療・介護・福祉関係機関と密に連携する。地域の在宅歯科医療専門歯科はかかりつけ歯科医(かかりつけ診療所)と連携する。在宅歯科医療の範囲を超えた検査、手術等は高次医療機関と連携する。在宅歯科医療は歯科以外も含めた多職種と連携することを前提として実施する。本記事で解説を行った項目を意識して、在宅歯科診療を行っていきたいものである。
1D編集部
2022年3月29日
訪問歯科衛生士とは?仕事内容から給料まで徹底解説!

訪問歯科衛生士とは?仕事内容から給料まで徹底解説!

一般歯科に比べて世間の認知度がまだまだ低い訪問歯科ですが、こちらの記事では訪問歯科や訪問歯科衛生士について解説していきます。訪問歯科とは何か?一般歯科との違い訪問歯科とは、身体的・精神的な理由で歯科医院への通院が難しい患者さんの為に歯科医療従事者が患者さんの元へ訪問し歯科治療や口腔ケアをする制度です。一般歯科と訪問歯科で異なる点は以下の通りです。診療する環境訪問歯科では患者さんが歯科医院まで通院することが困難なケースが殆どの為、歯科ユニットは使用せず、訪問診療用ポータブルユニットを使用します。訪問診療用ポータブルユニットとは、ハンドピース・スケーラー・バキューム・スリーウェイシリンジが搭載されたスーツケース程の大きさで持ち運び可能なユニットです。ポータブルユニットを携えて介護施設や患者さんの自宅へ訪問し、ベッドや車椅子など、患者さんの治療の受けやすい姿勢で治療や口腔ケアを行います。患者さんの層訪問歯科の対象者は疾病や傷病により通院が困難な患者さんと定められています。要介護状態区分に基づいて判断されるのではなく、歯科医師が個々の症例ごとに判断します。患者さんの年齢層は主に高齢者で、有病者(通院困難)であり、疾病などにより意思疎通が困難な患者さんが多いです。訪問するチーム歯科医院での治療の際は、歯科医師+補助者の歯科衛生士または歯科助手のペアで施術を行うことが多いですが、訪問歯科ではこれらのペアに加えて、もう1つの役割を担うコーディネーターという職種があります。コーディネーターの業務内容以下の通りです。訪問先の患者さん・ご家族・施設の方々との打ち合わせ患者さんとのアポイントの設定・スケジュール調整訪問先での荷物の運搬と簡単な診療補助訪問先への移動時の車の運転基本的には歯科医師・歯科衛生士または歯科助手・コーディネーターのチームで患者さんの元に伺いますが、治療内容によって、歯科衛生士のみ・歯科医師と歯科衛生士(歯科衛生士がコーディネーターの役割を兼任)のペアで訪問など、どのようなチームで訪問するかは歯科医院により異なります。訪問歯科診療の需要令和元年度の厚生労働省「介護保険事業状況報告(年報)」から、要介護(要支援)認定を受けている人口は約669万人と報告されています。高齢化が続く日本では、要介護認定者数の割合はが増加すると推測できるでしょう。高齢化率が増加する中、平成29年に実施された「年齢階級別歯科推計患者様数及び受診率」によると70歳代後半をピークに歯科受診率が急速に減少していることがわかります。これは高齢者の歯科治療の多くが外来で行われていて、通院が困難になったことが原因とされています。受診率が下がった高齢者はハイリスク群になり、う蝕や歯周病、伴う欠損歯の増加によって口腔機能の低下をもたらします。また元々義歯などで咬合回復していた患者さんはその義歯が使えなくなり、口腔機能、さらに摂食嚥下にまで影響が及んでしまいます。このように受診が遠のいてしまった高齢者の多くは要介護者であると考えられます。要介護者の約90%が歯科治療または口腔ケアを必要とされているのに対し、何らかの治療を受けたのは27%と言われています(在宅医療推進会議より)。しかし、平成29年11月に開催された中医協総会の報告によると訪問診療を実施している歯科医院は全国で約13,000件と全体の20%以下と、要介護者に対する歯科治療の受け皿が少ないことが見受けられます。近年の診療報酬改定から訪問歯科診療に力を入れていることは明らかですが、人材不足もあり歯科医院が対応しきれていないのが実情でしょう。つまり需要に対して供給が足りないのが現状で、今後もその傾向は続く見込みとなっています。訪問歯科衛生士のニーズはますます高まると考えられるでしょう。訪問歯科衛生士の役割とは?一般歯科と同じく歯周治療に加えて、専門的な口腔ケア・介助者への指導や書類の作成を行います。患者さんの自宅に訪問するケース患者さんのベッド・椅子などで無理のない姿勢で施術や口腔機能訓練を行います。ご家族などの介助者に対し、患者さんの日頃の様子をヒアリングして、それに基づいた口腔ケア・食形態などの指導をします。病院・介護施設に訪問するケース病院や施設では入院・利用している多くの患者さんの口腔ケアを行います。その際、口腔衛生の専門家として、患者さんをとりまく医療従事者との打ち合わせや日常の口腔衛生についての指導を行います。訪問歯科衛生士のやりがい。どんな人が向いてる?向上心のある人訪問歯科では一般歯科での知識・技能の他に、高齢者の疾病や嚥下運動・介助などの知識・技能を求められます。一般歯科では経験することの出来ない業務を経験することが出来ます。高齢者が好きな人患者さんは歯科医院への通院が困難な高齢者です。意思疎通が困難なこともありますが、無理のない範囲でコミュニケーションをとります。施術時にお礼を言ってくれたり、「ありがとう」という感謝の気持ちを伝えてもらえるのが大きなやりがいになります。調和重視な人訪問歯科はチーム医療とも言われており、医療・歯科・福祉従事者は各々の高い専門性を前提に、情報や目的の共有し、互いに連携し合い、患者さんの状況に対応した医療を届けなければなりません。調和重視な性格は業務を円滑に進める上で非常に重要な素質です。訪問歯科衛生士は辛いのか?身体的な辛さ患者さんへの施術はベッド上や車椅子など、患者さんに無理のない姿勢で行う必要があります。その為、一般歯科で歯科ユニットを使用している時のように施術者の身体に適したポジショニングにすることが困難になります。中腰・立て膝など施術者・補助者の身体に負担のかかる姿勢で、十分に光源が取れない状態で暗い口腔内を診なければなりません。また、訪問先への機材搬入や片付けも身体に負担がかかることが考えられます。ポータブルユニットはメーカーにより異なりますが、8〜10キロ程あり、その他口腔ケア用品や歯科材料などを運ぶのも一般歯科とは異なる点です。コミュニケーションの難しさ訪問歯科では意思疎通をとるのが困難な患者さんが多いため、コミュニケーションの取り方や口腔ケアを行う際に拒絶されることがあり、戸惑いを感じる場合もあります。一般歯科と同じ感覚でのコミュニケーションは訪問歯科の患者さんには伝わっていないことも多々あり、マスクを外して顔を見せたり、声のトーンに気を付ける・手を握ってみる等、安心感を与えるコミュニケーションが取れるような工夫が必要です。訪問歯科衛生士の求人・給料厚生労働省の資料によると、訪問診療の実績がある歯科医院は全国に約68,000中、約13,000医院と少なく、一般歯科と比較して訪問歯科の求人は少ないことが分かります。訪問歯科衛生士の求人の特徴は以下の通りとなります。外来(一般歯科)と訪問兼任の歯科医院が多い一般歯科にて外来の患者さんを診療して、週に数回、訪問に伺う医院が多いようです。また、業務未経験の歯科衛生士・歯科助手は一般歯科の診療で基礎的な知識・技能を身につけてから訪問歯科の往診に出てもらう歯科医院が多いです。給与は一般歯科と大差なし訪問歯科のみ実施している歯科医院でも、一般歯科勤務の歯科衛生士との給与に大きな差はないです。働き方を選択しやすい訪問歯科の求人は週1〜勤務OKな医院が多く、自身の都合に合わせた働き方が可能です。また、診療時間は一般歯科よりも早い終業時間というのも訪問歯科の求人の特徴です。訪問歯科診療の注意点訪問歯科診療の注意点は、居宅では当然ですが施設でもほとんどの場合ユニットがないことです。ポータブルユニットでの診療になりますので、まず使い方に慣れる必要があります。また訪問歯科診療を受ける患者さんは日常生活動作(ADL)が困難な場合がほとんどで、長時間の開口保持ができないことも多いです。そして認知症や高次脳機能障害を持っている場合、意思疎通がままならず診療に対する協力状態を得ることが難しいこともあります。そして居宅に訪問する場合、患者さんのご家族とやりとりすることもあります。歯科医院でも同じですがトラブルにならないようしっかりと説明、同意のもと診療を進める意識が必要です。歯科医院とは違う環境の訪問歯科診療では、患者さんをよく観察してコミュニケーションを上手く取りながら診療をスムーズに進める力が求められるでしょう。まとめ現状、高齢者への歯科診療は外来が中心に行われ、歯科受診率は75〜79歳をピークに、その後急速に減少しています。要介護者の約9割は何らかの歯科治療・専門的口腔ケアが必要であるのに対し、実際に治療を受けたのは約27%というのが実情です。訪問歯科では一般歯科にプラスして求められる知識や技能が多いですが、多くの医療・福祉従事者と連携して本当の意味でのチーム医療を行うことができ、需要・やりがいがあります。歯科衛生士のキャリアを築いていく上でも訪問歯科衛生士のスキルは大きな価値になります。歯科セミナーなら「1D(ワンディー)」で!日本最大級の歯科医療メディア「1D」では、診療に役立つオンラインセミナーを多数開催中。もっと知りたい臨床トピックから超ニッチな学術トピックまで、参加したいセミナーが見つかります。下記ボタンから、開催中のセミナーを見てみましょう!開催セミナーを見てみる
すずき〜
2020年10月10日
歯科治療による死亡事故 File.02:訪問歯科での感染根管治療で...

歯科治療による死亡事故 File.02:訪問歯科での感染根管治療で...

超高齢化社会を迎え、訪問歯科診療のニーズは年々高まっている。これから更に高齢化が進み、歯科医院に通えなくなる患者も増えると予想される。しかし、訪問診療が患者のQOLを必ず上げるとは限らない。本記事では、訪問診療で感染根管治療を受け患者が死亡した一例を取り上げる。処置の詳細、なぜ死亡したか、今後私達はどう対応するべきかを考察したい。事故の経緯67歳の男性(以下、Bさんとする)。糖尿病による慢性腎不全で週2回の透析を受けていて、肝硬変の既往があった。平成15年12月某日、Bさんは下顎右側第一大臼歯の疼痛を主訴に訪問診療を受けた。診療に当たった歯科医師は所見から根尖性歯周炎と診断、感染根管治療を行った。診療時に異変は見られなかったが当日夜、右側顎下部に疼痛が生じた。その後Bさんは食欲低下、全身倦怠感を訴え、翌日に救急搬送された。救急搬送されたときの状態は以下の通りである。バイタルサイン体温:36.9°C血圧:86/60mmHg脈拍:90/分意識レベル:Japan coma scale(JCS) I-3 (刺激しないでも覚醒している状態だが、自分の名前、生年月日が言えない。)局所所見右側頬部から頸部にかけてびまん性腫脹があった。発赤なし。触診で同部に熱感があり、圧痛が著明であった。X線所見X線CTでは右側頬部から下顎部にかけて皮下軟組織の腫脹があった。下顎部の肥厚した皮下軟組織内にガス像を認めた。初診時の臨床検査所見白血球数:12074/mm3赤血球数:2.61万/mm3血色素量:8.0g/dlヘマトクリット値:25.1%PLT:19.2万/μlCRP:23.88mg/dlざっとみると、白血球数やCRPが高く炎症の所見がみられ、右側顎下部は腫脹し、X線でもガスが中に溜まっていることが分かる。<臨床診断>右側急性下顎骨骨炎ならびに頸部蜂窩織炎画像:日本有病者歯科医療学会雑誌よりBさんは即日入院となり抗菌薬が投与されたが、入院翌日には血圧低下、意識の混濁が見られた。動脈血ガス分析からpH:7.289、PCO2:23.2mmHg、PO2:91.8mmHg、代謝性アシドーシスを認めた。動脈血培養および閉鎖膿からMRSAが分離培養された。X線写真では右側顎下部のさらなる腫脹、ガス像の増大がみられ、右側耳下腺も変形していた。以上より臨床症状と合わせて敗血症と診断された。薬剤を変更し、透析の管理も行うために腎臓内科に転科となった。徹底した全身管理と局所洗浄、ドレナージを追加したがCRPは高いままで炎症は収まらなかった。これ以上の回復は見込めないと判断し、透析を中止、数日後Bさんは死亡した。死因はカリウム、尿酸の増加による心不全であった。訪問診療がゆえのリスク通常、感染根管治療で死亡するリスクは殆どないはずだ。神経の治療を前にして「遺書書いてなかったな…」などと思う患者はいないだろう。しかし、事実としてBさんは「歯の根っこの治療」のあとで体調が悪くなり、その1ヶ月後には死亡してしまった。健常者の場合一時的な菌血症に止まり敗血症に移行することは稀である。しかしBさんは糖尿病性腎症に罹患し、易感染状態であったことから重篤化してしまった可能性が高い。また早期にメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)が検出されたことから、処置による感染も否定できない。訪問診療は患者のベットサイドに往診し処置することが求められているため、衛生面に置いて良好な環境が得られるとは言えない。そして患者はBさんのように有病者であることが一般的とも言え、病歴の聴取と全身管理にはより一層の注意が必要だと、改めて考えさせられる例となった。要因が重なったことにより起こった悲劇かもしれないが、誰にでも遭遇し得る状況だということを覚えておきたい。根管治療と言えど観血処置である以上、徹底した問診と医科への対診、最大限の環境整備、全身疾患に配慮した処置と感染対策が求められる。そして何よりも”訪問診療”にこだわりすぎず、臨機応変に患者と向き合うことが大切ではないだろうか。歯科セミナーなら「1D(ワンディー)」で!日本最大級の歯科医療メディア「1D」では、診療に役立つオンラインセミナーを多数開催中。もっと知りたい臨床トピックから超ニッチな学術トピックまで、参加したいセミナーが見つかります。下記ボタンから、開催中のセミナーを見てみましょう!開催セミナーを見てみる参考文献藤井景介, 今井謙一郎, 都丸泰寿, 内藤実, 坂田康彰, 福島洋介, ... & 依田哲也. (2005). 訪問歯科診療における感染根管処置後に発症した敗血症の 1 例. 有病者歯科医療, 14(2), 81-86.
宇梶 淳平
2020年6月16日

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