訪問歯科衛生士とは?仕事内容から給料まで徹底解説!

訪問歯科衛生士とは?仕事内容から給料まで徹底解説!

すずき〜
2020年10月10日

一般歯科に比べて世間の認知度がまだまだ低い訪問歯科ですが、こちらの記事では訪問歯科や訪問歯科衛生士について解説していきます。

訪問歯科とは何か?一般歯科との違い

訪問歯科とは、身体的・精神的な理由で歯科医院への通院が難しい患者さんの為に歯科医療従事者が患者さんの元へ訪問し歯科治療や口腔ケアをする制度です。

一般歯科と訪問歯科で異なる点は以下の通りです。

診療する環境

訪問歯科では患者さんが歯科医院まで通院することが困難なケースが殆どの為、歯科ユニットは使用せず、訪問診療用ポータブルユニットを使用します。

訪問診療用ポータブルユニットとは、ハンドピース・スケーラー・バキューム・スリーウェイシリンジが搭載されたスーツケース程の大きさで持ち運び可能なユニットです。

ポータブルユニットを携えて介護施設や患者さんの自宅へ訪問し、ベッドや車椅子など、患者さんの治療の受けやすい姿勢で治療や口腔ケアを行います。

患者さんの層

訪問歯科の対象者は疾病や傷病により通院が困難な患者さんと定められています。要介護状態区分に基づいて判断されるのではなく、歯科医師が個々の症例ごとに判断します。

患者さんの年齢層は主に高齢者で、有病者(通院困難)であり、疾病などにより意思疎通が困難な患者さんが多いです。

訪問するチーム

歯科医院での治療の際は、歯科医師+補助者の歯科衛生士または歯科助手のペアで施術を行うことが多いですが、訪問歯科ではこれらのペアに加えて、もう1つの役割を担うコーディネーターという職種があります。
コーディネーターの業務内容以下の通りです。

  • 訪問先の患者さん・ご家族・施設の方々との打ち合わせ
  • 患者さんとのアポイントの設定・スケジュール調整
  • 訪問先での荷物の運搬と簡単な診療補助
  • 訪問先への移動時の車の運転

基本的には歯科医師・歯科衛生士または歯科助手・コーディネーターのチームで患者さんの元に伺いますが、
治療内容によって、歯科衛生士のみ・歯科医師と歯科衛生士(歯科衛生士がコーディネーターの役割を兼任)のペアで訪問など、どのようなチームで訪問するかは歯科医院により異なります。

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    訪問歯科診療の需要

    令和元年度の厚生労働省「介護保険事業状況報告(年報)」から、要介護(要支援)認定を受けている人口は約669万人と報告されています。高齢化が続く日本では、要介護認定者数の割合はが増加すると推測できるでしょう。

    高齢化率が増加する中、平成29年に実施された「年齢階級別歯科推計患者様数及び受診率」によると70歳代後半をピークに歯科受診率が急速に減少していることがわかります。これは高齢者の歯科治療の多くが外来で行われていて、通院が困難になったことが原因とされています。

    受診率が下がった高齢者はハイリスク群になり、う蝕や歯周病、伴う欠損歯の増加によって口腔機能の低下をもたらします。また元々義歯などで咬合回復していた患者さんはその義歯が使えなくなり、口腔機能、さらに摂食嚥下にまで影響が及んでしまいます。

    このように受診が遠のいてしまった高齢者の多くは要介護者であると考えられます。要介護者の約90%が歯科治療または口腔ケアを必要とされているのに対し、何らかの治療を受けたのは27%と言われています(在宅医療推進会議より)。

    しかし、平成29年11月に開催された中医協総会の報告によると訪問診療を実施している歯科医院は全国で約13,000件と全体の20%以下と、要介護者に対する歯科治療の受け皿が少ないことが見受けられます。近年の診療報酬改定から訪問歯科診療に力を入れていることは明らかですが、人材不足もあり歯科医院が対応しきれていないのが実情でしょう。

    つまり需要に対して供給が足りないのが現状で、今後もその傾向は続く見込みとなっています。訪問歯科衛生士のニーズはますます高まると考えられるでしょう。

    訪問歯科衛生士の役割とは?

    一般歯科と同じく歯周治療に加えて、専門的な口腔ケア・介助者への指導や書類の作成を行います。

    患者さんの自宅に訪問するケース

    患者さんのベッド・椅子などで無理のない姿勢で施術や口腔機能訓練を行います。ご家族などの介助者に対し、患者さんの日頃の様子をヒアリングして、それに基づいた口腔ケア・食形態などの指導をします。

    病院・介護施設に訪問するケース

    病院や施設では入院・利用している多くの患者さんの口腔ケアを行います。その際、口腔衛生の専門家として、患者さんをとりまく医療従事者との打ち合わせや日常の口腔衛生についての指導を行います。

    訪問歯科衛生士のやりがい。どんな人が向いてる?

    向上心のある人

    訪問歯科では一般歯科での知識・技能の他に、高齢者の疾病や嚥下運動・介助などの知識・技能を求められます。一般歯科では経験することの出来ない業務を経験することが出来ます。

    高齢者が好きな人

    患者さんは歯科医院への通院が困難な高齢者です。意思疎通が困難なこともありますが、無理のない範囲でコミュニケーションをとります。施術時にお礼を言ってくれたり、「ありがとう」という感謝の気持ちを伝えてもらえるのが大きなやりがいになります。

    調和重視な人

    訪問歯科はチーム医療とも言われており、医療・歯科・福祉従事者は各々の高い専門性を前提に、情報や目的の共有し、互いに連携し合い、患者さんの状況に対応した医療を届けなければなりません。調和重視な性格は業務を円滑に進める上で非常に重要な素質です。

    訪問歯科衛生士は辛いのか?

    身体的な辛さ

    患者さんへの施術はベッド上や車椅子など、患者さんに無理のない姿勢で行う必要があります。その為、一般歯科で歯科ユニットを使用している時のように施術者の身体に適したポジショニングにすることが困難になります。中腰・立て膝など施術者・補助者の身体に負担のかかる姿勢で、十分に光源が取れない状態で暗い口腔内を診なければなりません。

    また、訪問先への機材搬入や片付けも身体に負担がかかることが考えられます。ポータブルユニットはメーカーにより異なりますが、8〜10キロ程あり、その他口腔ケア用品や歯科材料などを運ぶのも一般歯科とは異なる点です。

    コミュニケーションの難しさ

    訪問歯科では意思疎通をとるのが困難な患者さんが多いため、コミュニケーションの取り方や口腔ケアを行う際に拒絶されることがあり、戸惑いを感じる場合もあります。

    一般歯科と同じ感覚でのコミュニケーションは訪問歯科の患者さんには伝わっていないことも多々あり、マスクを外して顔を見せたり、声のトーンに気を付ける・手を握ってみる等、安心感を与えるコミュニケーションが取れるような工夫が必要です。

    訪問歯科衛生士の求人・給料

    厚生労働省の資料によると、訪問診療の実績がある歯科医院は全国に約68,000中、約13,000医院と少なく、
    一般歯科と比較して訪問歯科の求人は少ないことが分かります。訪問歯科衛生士の求人の特徴は以下の通りとなります。

    外来(一般歯科)と訪問兼任の歯科医院が多い

    一般歯科にて外来の患者さんを診療して、週に数回、訪問に伺う医院が多いようです。

    また、業務未経験の歯科衛生士・歯科助手は一般歯科の診療で基礎的な知識・技能を身につけてから訪問歯科の往診に出てもらう歯科医院が多いです。

    給与は一般歯科と大差なし

    訪問歯科のみ実施している歯科医院でも、一般歯科勤務の歯科衛生士との給与に大きな差はないです。

    働き方を選択しやすい

    訪問歯科の求人は週1〜勤務OKな医院が多く、自身の都合に合わせた働き方が可能です。また、診療時間は一般歯科よりも早い終業時間というのも訪問歯科の求人の特徴です。

    訪問歯科診療の注意点

    訪問歯科診療の注意点は、居宅では当然ですが施設でもほとんどの場合ユニットがないことです。ポータブルユニットでの診療になりますので、まず使い方に慣れる必要があります。

    また訪問歯科診療を受ける患者さんは日常生活動作(ADL)が困難な場合がほとんどで、長時間の開口保持ができないことも多いです。そして認知症や高次脳機能障害を持っている場合、意思疎通がままならず診療に対する協力状態を得ることが難しいこともあります。

    そして居宅に訪問する場合、患者さんのご家族とやりとりすることもあります。歯科医院でも同じですがトラブルにならないようしっかりと説明、同意のもと診療を進める意識が必要です。

    歯科医院とは違う環境の訪問歯科診療では、患者さんをよく観察してコミュニケーションを上手く取りながら診療をスムーズに進める力が求められるでしょう。

    まとめ

    現状、高齢者への歯科診療は外来が中心に行われ、歯科受診率は75〜79歳をピークに、その後急速に減少しています。要介護者の約9割は何らかの歯科治療・専門的口腔ケアが必要であるのに対し、実際に治療を受けたのは約27%というのが実情です。

    訪問歯科では一般歯科にプラスして求められる知識や技能が多いですが、多くの医療・福祉従事者と連携して本当の意味でのチーム医療を行うことができ、需要・やりがいがあります。

    歯科衛生士のキャリアを築いていく上でも訪問歯科衛生士のスキルは大きな価値になります。

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Pratten et al. Physical disruption of oral biofilms by sodium bicarbonate: an in vitro study. Int Jour Dent Hyg. DOI: 10.1111/idh.12162 2. Jose et al. Six-month evaluation of a Sodium Bicarbonate-Containing Toothpaste for Reduction of Established Gingivitis: A Randomized USA-Based Clinical Trial. J Clin Dent 2018;29:33 -39                                        ー「カムテクト」という名称に込められた意味や思いを教えていただけますか?『カムテクト』という名称は、「噛む(カム)」と守ることを意味する「Protect(テクト)」を組み合わせた造語です。この名前には「歯と歯ぐきをしっかり守る」という製品コンセプトが込められています。単なる歯磨剤ではなく、歯周病予防を目的に、歯と歯ぐきの健康をサポートする存在でありたいというブランドの思いを象徴する名前となっています。現在、日本国内には歯ぐきの悩みを抱える人が4,000万人以上いるとされています。『カムテクト』はそのような方々へ、日常のセルフケアで寄り添える存在であることを目指しています。ー『カムテクト』がもつ主要な有効成分や技術的特徴はどんなものですか?『カムテクト』の最大の特徴は、約70%という高濃度で配合された炭酸水素ナトリウムにあります。炭酸水素ナトリウムには、プラークを軟化させ、ブラッシングによる物理的除去をサポートする作用があり、まさに『カムテクト』の処方設計の核と言える存在です。一方、一般的な歯周病予防用歯磨剤では、殺菌成分や抗炎症成分を中心とした「薬効ベースの処方設計」が主流です。歯周病の原因となる菌を抑制・炎症を抑えることに重点が置かれており、プラーク自体を機械的に落としやすくするというアプローチは、あまり重視されていないケースも見受けられます。また、炭酸水素ナトリウムは日本の薬機法上「有効成分」とはみなされておらず、処方上の差別化にはつながりにくいという理由で、競合製品では積極的に使われていないのが現状です。それでもなお、当社が炭酸水素ナトリウムに強くこだわるのは、豊富な科学的エビデンスと国際的な臨床データに裏付けられているからです。こうしたグローバルで培われた処方設計と研究成果を、日本市場向けにローカライズして展開できる点は、他社製品とは一線を画す、当社ならではの大きな強みと言えるでしょう。ー開発にあたり、特に苦労した点や壁となった要因は何でしたか?『カムテクト』の開発においては、処方設計・製造工程の両面で、いくつか大きな課題を乗り越える必要がありました。なかでも、以下の2点は製品化に向けた大きな壁となりました。炭酸水素ナトリウムと他成分の相性問題『カムテクト』は、約70%という高濃度の炭酸水素ナトリウムを配合した特殊処方です。この処方は、プラークの物理的除去をサポートするうえで大きな価値を持つ一方、他の有効成分との相性において化学的な安定性が課題となりました。炭酸水素ナトリウムの性質上、特定の成分と組み合わせるとpH変動や分離、変質などが起こる可能性があり、配合を断念せざるを得ない成分もありました。粘度の高さによる撹拌・充填の難しさ使用感からも実感いただけるように、『カムテクト』は非常に硬めのテクスチャーが特長です。これは高濃度の炭酸水素ナトリウムを含むことによるもので、製造工程において技術的困難が伴いました。・高粘度により、撹拌時に成分が均一に混ざりにくく、有効成分が偏るリスクが発生・粘度が高くなることで、チューブへの充填が困難これらの課題を解決するために、複数の技術的対応が必要でした。ー「カムテクト」ブランドとして、歯科医療者や患者さんに向けて伝えたいメッセージはありますか?『カムテクト』は、歯ぐきの健康に悩むすべての人々を支え、生涯にわたって口腔内に自信を持てる毎日を提供することを使命としています。現在の日本では、成人の約8割* が歯周病の兆候を抱えていると言われています。このような状況において、『カムテクト』は、誰もが手に取りやすい製品であることが、歯周病予防への重要なアプローチであると考えています。ドラッグストアで購入できる身近さと、科学的根拠に裏打ちされた処方。この両立が、日々のセルフケアを支える「続けやすさ」へとつながっています。『カムテクト』が描く歯科医療の未来像は、「歯科医院と患者さんの間に立つ信頼できる架け橋として、セルフケアの質を底上げし、結果的に歯科医療全体のレベル向上に寄与すること」です。このビジョンは、当社が掲げる「ボトムアップ型の健康支援」という企業哲学とも深く結びついています。また、「Deliver better everyday health with humanity.(もっと健康に、ずっと寄り添って)」というパーパスを掲げ、その実現に向けて、製品開発の革新、サイエンスの追求、そして現場との対話を重ねる姿勢を大切にしています。今後も『カムテクト』は、歯科医療者の皆さまとともに、患者さん一人ひとりの健康意識を支えながら、より良い未来の口腔健康の実現に貢献していきたいと考えています。出典元: *令和4年歯科疾患実態調査Haleonヘルスパートナーに登録して患者さん用無料サンプルをオーダーしませんか?Haleonヘルスパートナーとは?Haleonヘルスパートナーは、歯科医療従事者の皆さまに向けて、オーラルヘルスケアに関する最新情報を提供するコミュニティサイトです。日々の診療に役立つコンテンツや、患者さんとのコミュニケーションを支える資料など、さまざまな情報をご利用いただけます。主なサービス内容・ウェブ講演会の無料配信知覚過敏症ケア、歯周病予防、義歯やマウスピースケアなどをテーマとしたウェブ講演会を、いつでも無料で視聴可能。過去の講演ダイジェスト動画もアーカイブで公開されています。・患者さん用無料サンプルの提供歯磨剤の『カムテクト』や『シュミテクト』、義歯・リテーナー洗浄剤の『ポリデント』、義歯安定剤の『ポリグリップ』など、患者さんのセルフケア習慣づくりに役立つ製品サンプルを、オンラインから簡単にオーダー可能です。・患者指導用資材のダウンロード歯周ケアを含む様々なセルフケア指導に活用できる、わかりやすい説明資料や配布用ツールがダウンロード可能です。登録して『カムテクト』患者さん用サンプルをオーダーしませんか?オーダー方法について1. 会員登録(無料)Haleonヘルスパートナーの公式サイトで、必要事項を入力して会員登録を行います。(※登録フォームへの入力後、承認まで最大5営業日ほどかかる場合があります。)2. ログイン後、サンプル依頼ページへアクセス登録完了後、ログインして、専用ページからサンプル申請が可能になります。3. 患者さん用サンプルを選択してオーダー希望のサンプル(例:『カムテクト』)を選択して、注文を完了します。登録や詳細は、以下の公式サイトをご覧ください。公式サイトで詳細を確認する
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    審美歯科のスペシャリストに聞く「接着のカンどころ」

    審美歯科のスペシャリストに聞く「接着のカンどころ」

    デンタルIQの向上によって高まる審美歯科のニーズ近年、国民の健康意識が大幅に向上し、予防歯科の普及とともに、審美歯科へのニーズも急速に高まっています。特に、デンタルIQが向上した患者は、単に機能回復を求めるだけでなく、審美的な仕上がりやメタルフリー治療、矯正治療など、より高度な審美的要求を持つようになっています。こうした患者ニーズの変化に対応するため、歯科医師には高い技術力と信頼性がこれまで以上に求められています。審美歯科治療の分野では、新しい技術や材料を迅速に習得し、エビデンスに基づいた治療を提供することが、患者の期待に応えるために不可欠です。追い風にも感じる「脱パラ」への動き厚生労働省の方針により、金銀パラジウム合金の使用縮小が進み、メタルフリー治療の需要が高まっています。背景には、パラジウムの価格高騰や金属アレルギーへの配慮があり、今後のメタルフリー材料の普及が期待されています。この流れの中で、CAD/CAMシステムによるレジン材料やPEEK冠などの新素材が注目され、審美性向上に寄与しています。特に保険診療での金属使用が減少する中、審美歯科における材料選定は今後さらに重要です。歯科医師には、最新のメタルフリー材料や信頼性の高い接着剤、セメントを適切に活用するスキルが求められています。エビデンスに基づいた材料選びと最新技術の導入が、今後ますます重要となるでしょう。スペシャリストの審美治療を解剖今回は、審美歯科の第一線で活躍されている髙木仲人先生に、審美修復における接着のポイントや、その効果を最大限に引き出すためのZEN®ユニバーサルシステムについて伺いました。ZEN®ユニバーサルシステムは、三井化学が開発したモノマーを採用し、サンメディカルの技術力によって製品化されたユニバーサルタイプの接着システムです。こちらのシステムは、「ZEN®ユニバーサルセメント」と「ZEN®ユニバーサルボンド」の2種類のみで、歯質や金属、ジルコニア、アルミナ、ガラスセラミックス、レジン系材料、さらにはPEEK冠にも接着が可能です。ZEN ユニバーサルセメント/歯科接着用レジンセメント/管理医療機器/認証/305AKBZX00052000ZEN ユニバーサルボンド/歯科用象牙質接着材/管理医療機器/認証/ 305AKBZX00051000髙木先生には、ZEN®ユニバーサルシステムを実際の臨床でどのように活用しているか、プロフェッショナルの視点からその魅力を解説していただきます。左:ワンディー株式会社 編集部 高橋 佳奈 右:門前仲町髙木歯科 院長 髙木 仲人先生Q1: 先生はZEN®ユニバーサルシステム発売後すぐにご使用いただいておりますが、現在の率直なご感想をお聞かせください。最近では、接着対象となるマテリアルが非常に多岐にわたっています。CAD/CAM修復物、PEEK冠、セラミック、ジルコニアなど、さまざまな素材に対応する必要があり、その処置が複雑化してきました。しかし、ZEN®ユニバーサルシステムの場合、アドヒーシブとセメントの2つだけで処置が完了します。このシンプルさが非常に魅力的で、手技が大幅に簡略化され、とても使いやすい製品だと思います。Q2: 接着力や審美性が求められるケースでも使用されていますが、その後の経過はいかがですか?ZEN®ユニバーサルシステムを導入して6ヶ月が経過しましたが、これまでに使用したコンポジットレジンやセラミック、ジルコニア、CAD/CAM修復物、PEEK冠において脱離は一例もなく、非常に順調に経過しています。また、前歯部の審美修復に使用することが多いのですが、被膜が薄いため、マージンラインが見えにくい点がいいです。さらに経過中の着色も一切見られず、審美性の高い修復を提供できています。Q3: 接着性レジンセメントの自動練和型と手練和型の操作性の違いについて教えてください。自動練和型のメリットは、テクニカルエラーを減らせる点と作業時間の短縮です。セメントを手練和する場合、慣れている歯科医師や歯科衛生士、歯科助手が行うとしても、練和の上手さや練和にかかる時間に個人差があります。もし練和が不十分であれば、化学重合がうまく進行せず、ムラが生じることもあります。自動練和はそうしたリスクを大幅に軽減します。さらに、手練和では、練る際や補綴物に入れる際に気泡が混入するリスクがありますが、自動練和の場合、セメントをそのまま注入できるため、気泡が入りにくいです。Q4: ZEN®ユニバーサルセメントは特殊な脱泡装置を使用していますが、ペーストの性状についての感想をお聞かせください。ZEN®ユニバーサルセメントでは、練和されたペーストに気泡が混入しているのを見たことがありません。また、程よい粘性があり、補綴物に入れた際に垂れることもなく、非常に操作性が良いです。硬すぎず柔らかすぎず、ちょうど良いバランスで扱いやすい印象です。Q5: ZEN®ユニバーサルシステムの「DIS™」(Double Initiator System)による重合性能についての印象はいかがでしょうか?今回の「DIS™」システムについてですが、化学重合が非常にアクティブに反応している印象があります。そのため、他社製品と比較しても、化学重合に対する信頼性が高いと感じています。特に、ジルコニアやPEEK冠など光が通らない材料の場合、光による重合はほとんど期待できませんので、化学重合が主な役割を担います。そういった意味では、光が届かない補綴物に対する化学重合の強さは、非常に有利に働くと感じています。Q6: ZEN®ユニバーサルシステムを使用して脱離しにくい理由はどこにあるとお考えですか?脱離しにくい理由は、今回の化学重合システム「DIS™」の反応の良さではないでしょうか。また、アドヒーシブに含まれているタッチキュアも重要な要素です。それぞれのアドヒーシブおよびレジンセメントにおける化学重合成分が非常に強力であるため、脱離を防ぐ効果があると考えています。さらに、アドヒーシブの被膜の厚さが5μmと適度で、薄すぎず厚すぎないため、これらの要素が組み合わさり、脱離のリスクを低減していると感じています。Q7: ZEN®ユニバーサルシステムの経済性についてのご意見をお聞かせください。ZEN®セメントのミキシングチップはデッドボリュームを32%減少させることができるため、メーカーさんが非常に工夫を凝らしていると感じます。ノズルが長すぎると未使用部分が生じますが、逆に短すぎると混合が不十分になり、気泡が混入するリスクがあります。そのため、単純にノズルを短くするのではなく、バランスを考慮した設計がなされていると思います。コストパフォーマンスについては、他社製品と比較しても非常に優れていると感じています。個人的には、接着力の低下を避けるため、ミキシング直後のセメントは使用したくないので、最初の1センチは捨てるようにしていますが、それでも無駄が少ない印象を受けています。Q8: ZEN®ユニバーサルボンドの「被膜の薄さ」や「エアブロー時の操作性」についての印象を教えてください。被膜の薄さは2ステップの製品に比べると約三分の一程度で、特に前歯部の審美修復において、コンポジットレジンやダイレクトボンド、ダイレクトコンポジットラミネートベニアなどを使用する際にメリットがあります。ボンド層が厚いと光が入った時にボンド層が見えてしまうことがありますが、被膜が薄いため、前歯部での審美的な充填が可能だと考えています。また、エアー操作を行う際に粘度が高すぎると、液だまりを起こすことがありますが、このボンドは粘性が適度なため、エアブローがしやすいという印象があります。Q9: CAD/CAM修復物やPEEK冠などの被着体に対する接着結果はいかがですか?CAD/CAM修復物やPEEK冠など、従来は接着が難しかった被着体に対しても、ZEN®ユニバーサルシステムは一貫して優れた接着力を発揮しています。各歯面に対して、なぜこの処理を行う必要があるのか、リン酸エッチングの目的は何か、シランカップリング材入りのMDPを使用する理由について考えることは重要です。しかし、そうした専門的な知識を持つ先生方だけでなく、どのような先生が使用しても一定以上の接着力を発揮できることが大切だと思っています。つまり、ユニバーサルな製品であり、誰が使っても安定した接着力を提供できることが求められます。今回の製品は、どなたが使っても一定以上の接着力を発揮できる点が非常に魅力的です。また、アドヒーシブとセメントの2つだけで良いというシンプルさも、非常にわかりやすいと感じています。Q10: 使用にあたって、術式のポイントやコツがあれば教えてください。コツとしては、被着体側のエアブローを行う際に、強圧でするのではなく、重要なMDPや有効成分を残すように溶媒を揮発させるエアブローを行っていただきたいです。有効成分を残すように注意しながら作業することで、接着力がさらに向上します。e-max インレー症例写真光照射器に関しては、しっかりとカンファーキノンに反応するものを使用することが重要です。また、個人的にはこの製品の化学重合タッチキュアは若干早いと感じています。ですので、セメントアウトを行う際には、仮照射を先に行い、早めにセメントアウトをするのが良いかと思っています。Q11: ZEN®ユニバーサルシステムをご使用後、治療効率や患者さんの反応について教えてください。ZEN®ユニバーサルシステムを使うことで、治療の効率が非常に向上しました。アドヒーシブとセメントの2つを用意するだけでよいので、準備もシンプルです。これによって、準備をするスタッフの負担も軽減されますし、私自身も手順が簡単なので、全体的な治療時間が短縮されます。患者さんにとっても、口を開けている時間や治療そのものが短く済むので、大きなメリットだと感じています。Q12: 最後に、ZEN®ユニバーサルシステムを使って良かった点やお勧めしたいポイントを教えてください。このシステムを使うことで、接着の効果はもちろん、診療時間の短縮にもつながりました。特に、ステップ数を減らせることが大きな魅力です。接着をシンプルに楽しんでいただければと思っています。市場には多くのセメントやボンドが存在しますが、「これだけで十分」と満足していただけるかと思います。セメントに関しては、無駄が少なく、コストパフォーマンスも優れていると実感しています。他社製品と比較した際、オープン価格でも非常にコストパフォーマンスが高いですね。クリニックとしても、単価の経済性があり、必要なものが少ないため、在庫管理も楽になります。さらに、室温保管が可能という点も大きな利点です。冷蔵庫に入れる必要がなく、他社製品では常温保管の指示がないものが多い中で、これは嬉しいポイントです。高木先生がお使いの接着システム ZEN®ユニバーサルシステム の製品情報はこちらから髙木仲人先生のインタビューからも伝わる、ZEN®ユニバーサルシステムの優れた操作性や審美性、強力な接着力。審美歯科のプロフェッショナルが信頼を寄せる接着システムについて、特長や臨床での活用方法をさらに詳しく知りたい方は、こちらから製品情報をご覧ください。製品情報はこちら「ZEN」はサンメディカル株式会社の登録商標です。「DIS」はサンメディカル株式会社の商標です。
    1D編集部
    2024年10月24日
    愛され続け60年。知覚過敏ケアの定番『シュミテクト』を大解剖!

    愛され続け60年。知覚過敏ケアの定番『シュミテクト』を大解剖!

    成人の約30%が罹患していると推計される「知覚過敏」データで見る知覚過敏知覚過敏は日常臨床においてもよく見られる症状ですが、実際に3人に1人が知覚過敏症状を経験しており1,2、若年者*に至っては5人に2人が経験しています。3*18~35歳また成人の2/3が歯周病に罹患していると言われている現代、歯周病罹患患者のうちで知覚過敏症状を発症しているとされる方は60%以上*とされています。冷たいものや甘いものを口にした際に感じる鋭い痛みは、日常生活において大きなストレスとなるため、歯周病だけでなく知覚過敏症状も現代人の口腔内の悩みとして大きい割合を占めていると言えるでしょう。*Haleon調べ知覚過敏の病理・病態カリエスがなく、しみるという訴えがあるとき「知覚過敏」と一言でまとめてしまいがちですが、その定義はエナメル質が摩耗したり歯肉が退縮することによって象牙細管が露出することで生じる一過性の疼痛で、刺激(主として熱,脱水,擦過,浸透圧,化学的刺激)を加えることにより短く鋭い痛みを発するのが特徴です。知覚過敏が発症するケースは多岐に渡りますが、開口した象牙細管の内部にある組織液がさまざまな刺激により動くことにより、閾値が下がり、鋭敏となった象牙細管内の神経終末や象牙芽細胞が興奮し痛みが生じるという動水力学説が一般的に考えられています。Hys症状改善方法の違い知覚過敏の発生機序から考えて、症状改善方法として3つの方法が考えられます。1つめは結晶物を析出させたり、レジン系やグラスアイオノマーセメント系の材料で行う「象牙細管の封鎖」です。次に、グルタールアルデヒドとハイドロキシエチルメタクリレート(HEMA)などを主成分とする各種製品やレーザーなどにより「タンパク質を凝固させることにより細管内組織液が動かないようにする」方法があります。この2つが主にオフィスケアで用いられている方法です。3つめの方法である「知覚鈍麻(閾値上昇)」に関しては、硝酸カリウムを主として有効成分とする製品が知られています。オフィスケア用の製品もありますが、そのほとんどが歯磨剤としてセルフケア用に使用されており、予防も含め、ホームケアとして有効成分が含まれた歯磨剤を普段から使用することによって適切な効果を発揮していきます。市場に溢れる知覚過敏症状の抑制効果を謳った各種材料は、いずれも上記のどれかが(複数の場合もあり)採用されています。参考資料1.Addy M. Int Dent J 2002; 52:367–375.2.Ipsos Claimed Penetration Omnibus. January, 2015.3.West NX et al. J Dent 2013; 41:841–851.知覚過敏には患者さんのセルフケア習慣化も重要なぜセルフケアが重要なのか?適切な診断のもと、知覚過敏症状に対する正しい原因除去を行うことができればほとんどの症状は治まりますが、現実には処置後も続く患者の訴えに困ることもあるかもしれません。そのようなときには、繰り返し同じ知覚過敏症状を抑制する製品を使用したり、異なる製品を用いるしか方法はないのでしょうか?実は、知覚過敏症状を抑制するためには効果的な順番があり、その順序を守らないと望ましい効果が得られないのです。まずは「知覚鈍麻」させた後に「凝固」させ、それから「象牙細管の封鎖」を行うというプロセスで行うのが望ましいでしょう。凝固や象牙細管の封鎖に関する処置を行なった後に知覚鈍麻を行なっても、効果は十分に期待できず、治らない症状に対して次の手がなくなり困ることになるかもしれません。そのため、患者さんの日々のセルフケアによる知覚過敏に対するアプローチも重要になってくるのです。セルフケアの原則は「歯磨き」知覚過敏の主な原因のひとつとしてプラークコントロールの不良が挙げられますが、プラークの付着は象牙細管の開口に関わるため適切なセルフケアによるプラークコントロールは知覚過敏症状抑制の原則となります。また、軽度の知覚過敏症状であれば、酸性食品、飲料の摂取を控えて適切なプラークコントロールを行えば自然に治癒する場合もあり、予防も兼ねて知覚過敏ケア効果のある歯磨剤を使用して歯磨きを行うことが知覚過敏に対する基本的な対処法として考えられます。知覚過敏ケアの定番『シュミテクト』『シュミテクト』は、知覚過敏の症状を予防するための歯磨剤で、海外では『Sensodyne(センソダイン)』と呼ばれ、世界中で高く評価されています。知覚過敏用の歯磨剤の市場規模が拡大する中、『シュミテクト』は特に注目されるブランドであり、2024年1月時点で、18年間連続で売上を伸ばし、市場をリードしています。*歯がしみるのを防ぐ「硝酸カリウム」や、歯肉の炎症を抑える「グリチルリチン酸モノアンモニウム」、う蝕予防に役立つ「高濃度フッ素1,450ppm」も含まれており、知覚過敏症状だけでなく、歯周病、口臭、ホワイトニング、う蝕といった多様なオーラルケアニーズにも対応しています。*インテージSRI+ハミガキ市場2023年5月~2024年4月累計販売金額シェア(「シュミテクト」シリーズ計)『シュミテクト』研究員にインタビュー『シュミテクト』の歴史と『シュミテクトプラチナプロテクト EX』の開発秘話今回は、Haleonジャパン株式会社のオフィスに実際に伺い、研究開発担当の中谷 遼太朗氏に、『シュミテクト』の歴史と、新商品の『シュミテクトプラチナプロテクトEX』の開発秘話についてお伺いしました。Haleonジャパン株式会社 研究開発担当 中谷 遼太朗氏── まずは、シュミテクトの歴史について教えていただけますか?はい、シュミテクトの歴史は非常に長いです。まず、1961年にアメリカとイギリスで『Sensodyne original』として誕生しました。その後、1980年に、硝酸カリウムを含む初の歯磨剤『Sensodyne F』が登場し、臨床的に知覚過敏症状抑制効果が証明され、画期的な製品として大きな注目を集めました。1992年には、日本で初めて硝酸カリウムを配合した『シュミテクト』が発売され、それ以来、多くの方に愛用されています。さらに進化を続け、2024年3月には『シュミテクトプラチナプロテクトEX』が新たに発売されました。── 新製品『シュミテクトプラチナプロテクトEX』の開発に至った背景をお聞かせください。ワンディー株式会社 編集部・高橋 佳奈これまでのシュミテクト製品は、知覚過敏症状に対する有効成分として硝酸カリウムを主に配合していました。従来の製品でも十分に効果を発揮していましたが、より広範囲のユーザーに効果を届けたいという思いから、今回の『シュミテクトプラチナプロテクトEX』では新たに、有効成分の乳酸アルミニウムを加えました。これにより、より幅広いニーズに応えることができる、さらに効果的なケアを実現する製品が完成したと考えています。『シュミテクトプラチナプロテクトEX』の特徴とエビデンス── 『シュミテクトプラチナプロテクトEX』の主な特徴について教えていただけますか?先ほどもお伝えしたのですが、『シュミテクトプラチナプロテクトEX』は、硝酸カリウムと乳酸アルミニウムという2つの有効成分を配合しています。硝酸カリウムは歯髄神経の過敏性を鎮めることで、内側からの知覚過敏症状を軽減します。一方、乳酸アルミニウムは露出した象牙細管の穴を塞ぎ、唾液中のリン酸イオンと結びついてリン酸アルミニウムとして結晶化し、外側からの刺激を防ぎます。Haleonジャパン株式会社 メディカルアンドサイエンスアフェアーズ オーラルヘルス研究員 金山 昌氏このダブルの効果により、「鈍麻」と「封鎖」の両面から知覚過敏にアプローチします。さらに、寝ている間が知覚過敏ケアに有効な時間であることに着目し、こちらの『プラチナ プロテクトEX 集中ナイトケア』を開発しました。就寝前に使用していただくことで、長時間有効成分が歯にとどまり、象牙細管をしっかり封鎖し、外からの刺激を防ぎます。この他にも、歯周病予防のために、抗炎症作用を持つ「グリチルリチン酸モノアンモニウム(MAG)」、う蝕予防として「高濃度フッ素」が含まれており、知覚過敏の症状を防ぐだけでなく、歯周病やう蝕予防にも効果的なケアが行えます。── 『集中ナイトケア』の効果を示すエビデンスはありますか?ナイトケア製品は、象牙細管の封鎖効果が8時間後に2倍以上増加することが研究データで確認されています。このデータは、ナイトケアとして就寝前に使用することで、長時間にわたり知覚過敏をケアできることを示しています。さらに、これだけではなく、当製品は耐酸性の効果も持ち合わせています。酸性のクエン酸溶液を用いた実験では、封鎖物が流されず、酸に対して強い保護層が形成されることが証明されました。── 製品の信頼性については、どのような点が重視されていますか?当社では「信頼されるサイエンス」を理念に掲げ、科学的根拠に基づいた製品開発を行っています。法律で義務付けられていないことでも、品質保証のために社内の厳しい基準を設けています。たとえば、私たちの歯磨剤は全て、品質保証期間を通じて、フッ素がう蝕予防に有効な形(遊離フッ素)として製品に存在することを担保しています。また、新たに配合した乳酸アルミニウムは酸性の成分ですが、歯磨剤のpHをを中性に保ちながら有効成分の効果を最大限に発揮できるように設計されています。これは高度な技術であり、成分同士の相互作用を考慮しつつ効果を保つためのバランスを取ることが求められます。このような徹底した品質管理と研究開発の取り組みが、実際に製品を使用したお客様から「効果を実感した」「知覚過敏症状が改善した」といった評価を得ることにつながっていると考えています。Haleonヘルスパートナーに登録する3つのメリット!Haleonヘルスパートナー(旧:GSKヘルスパートナー)ではオーラルヘルス、特にセルフケアに関する知識を深めるためのコンテンツや、歯科医療従事者の日々の臨床をサポートする情報を提供するプラットフォームです。著名な講師が登壇。臨床に役立つ情報をウェブ講演会で無料配信!象牙質知覚過敏症、歯周病、義歯安定剤や義歯洗浄剤、口腔内装具用洗浄剤に関するウェブ講演会を無料でご視聴いただけます。過去のウェブ講演ダイジェスト 動画もご覧いただけます。 患者さん用無料サンプルでセルフケアを習慣化!診療がスムーズに患者さんのセルフケア習慣化をサポートするための患者さん用製品サンプルをご依頼いただけます。歯磨剤(シュミテクト・カムテクト)や義歯安定剤、義歯・口腔内装具用洗浄剤などインターネットから簡単に患者さん用サンプルをオーダーいただけます。日々の臨床にお役立てください。製品情報と患者さん用資材ダウンロード製品情報や、セルフケアの指導に活用していただける患者さん用資材をダウンロードいただけます。ぜひ、こちらよりアカウント登録をして申し込んでみてはどうでしょうか。無料で登録する
    1D編集部
    2024年9月27日
    「8割の歯科医師が将来性を感じている」。訪問歯科診療の実態調査を実施

    「8割の歯科医師が将来性を感じている」。訪問歯科診療の実態調査を実施

    DSヘルスケアグループ(代表・CEO:寒竹 郁夫)のデンタルサポート株式会社(本社:千葉県千葉市、代表取締役:草深 多計志)は、1D会員の歯科医師に対し「訪問歯科診療に対する意識調査」アンケートを実施した。調査内容期  間:2024年5月30日~2024年6月30日対  象:「1D」に会員登録している歯科医師有効回答:419名調査方法:WEBアンケート60%以上の歯科医院が訪問歯科診療に取り組んでいる一方で、訪問先施設への加算協力の実施は半数以下。約80%の歯科医師が「訪問歯科診療はまだ伸びる」と将来性を感じていると回答した。調査の詳細は以下の通り。調査結果の概要① 訪問歯科診療の実施状況60%以上の歯科医院で訪問歯科診療を実施しており、担当医は理事長・院長が多い。訪問メンバーの構成は歯科医師+歯科衛生士が多い。歯科衛生士が口腔ケアのみで訪問している歯科医院は約30%約60%の歯科医院が、訪問先施設への加算協力をおこなっていない。② 訪問歯科診療の実施に感じている課題は、器具機材の準備と体制整備。③ 約80%の歯科医師が「訪問歯科診療はまだ伸びる」と将来性を感じている。調査結果の詳細訪問歯科診療の実施状況60%以上の歯科医院で訪問歯科診療を実施している。月に1回以上実施している歯科医院の割合は46.8%。医院として訪問歯科診療の実地状況訪問の際のメンバー構成訪問歯科診療の担当医口腔ケアのみで歯科衛生士が訪問しているか訪問先施設への加算協力の現状機材は何を準備しているか(実施日数別の持参機材)開始するにあたって大変だったこと<訪問の際のメンバー構成><訪問先施設への加算協力の現状>訪問歯科診療を実施するうえでの課題<訪問歯科を実施している医院>現在の課題実施状況に満足しているか<訪問歯科診療を実施していない医院>60%以上の歯科医院は、これから新たに訪問歯科診療を始めることを考えていない。始めたいと思う条件は「経営にプラスになるなら」。訪問歯科診療を始めたいと思うかどのような条件であれば始めたいか始めるにあたっての疑問点・不安<訪問歯科診療への考え方>訪問歯科診療への熱量(関心度)将来性をどのように考えるか訪問歯科診療の勉強会で学びたい内容<訪問歯科診療の将来性>アンケート結果の全文はこちら
    1D編集部
    2024年9月5日

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