歯科用語集
2025年10月28日

要介護高齢者

「要介護高齢者」とは?歯科用語の解説と症例を紹介

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定義・語源

要介護高齢者とは、日常生活において自立が困難であり、介護を必要とする高齢者を指す。日本の介護保険制度においては、65歳以上の高齢者が対象となり、身体的または精神的な障害により、介護が必要な状態にあることが定義されている。要介護度は1から5までの5段階に分類され、要支援の状態も含めて、介護サービスの必要度を示す指標となる。要介護高齢者の増加は、超高齢社会における重要な課題であり、医療や介護の現場での対応が求められている。


臨床における位置づけ・判断基準

臨床において、要介護高齢者は特に歯科医療の提供において重要な位置を占める。高齢者は口腔内の健康状態が全身の健康に影響を与えるため、定期的な歯科検診や治療が必要である。判断基準としては、要介護度や口腔内の状態、全身の健康状態を考慮し、適切な治療計画を立てることが求められる。また、要介護高齢者に対しては、訪問歯科診療や口腔ケアの重要性が増しており、医療チームとの連携が不可欠である。

関連用語・類義語との違い

要介護高齢者に関連する用語には、「要支援高齢者」や「介護保険制度」がある。要支援高齢者は、日常生活において一部の支援が必要な状態を指し、要介護高齢者よりも軽度の介護が求められる。また、介護保険制度は、要介護高齢者や要支援高齢者に対して、介護サービスを提供するための制度であり、医療機関や介護施設との連携が重要である。これらの用語は、介護の必要度やサービスの内容において異なるため、正確な理解が求められる。

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現在、高齢者の要介護者は75歳以上の5人に1人となり、そのために通院が困難になり、多くの歯科クリニックで高齢者の来院数が減少している。患者の減少を防ぐために、歯科医院経営においては外来診療だけでなく、訪問歯科診療を活用することが重要だと考えられるが、訪問歯科診療の導入はハードルが高いと感じる歯科医師も多く、なかなか活用できていない現状がある。そんな中、2024年4月24日にデンタルサポート株式会社歯科事業部コンサルティングチームの丹澤淳二講師より、訪問歯科診療での”勝ち方”についての講演が行われた。本記事では、訪問歯科診療のおける患者を増やし医業収入を伸ばす方法として、認知度を高める介護サービスの理解連携を図るなど、講演で語られた重要なポイントをかいつまんで紹介する。訪問歯科診療で勝つ=患者が集まる歯科医院ビジネスにおいて、売り上げを上げるための考え方は次の公式で表せる。集客×成約×単価=売上訪問歯科診療に当てはめると、「集客=認知を高める必要がある」「成約=紹介を受けて問い合わせに繋げる」「単価=結果として診療をすることになる」と理解する必要がある。まず、集客の部分でもっとも大切な「認知」だが、訪問歯科診療を全く知らない患者に向け、どう情報提供し認知度を高めるかがポイントになる。外来と訪問の違いを理解する認知度を高めるためには、私たち歯科医療従事者が「対象患者・診療場所・患者説明・保険種類・ 診療点数」の5つを例に、外来と訪問の違いを理解しておく必要がある。外来対象患者・・・通院できる人診療場所・・・院内治療説明・・・患者本人保険種類・・・医療保険診療点数・・・初診再初診(267点・58点)訪問歯科診療対象患者・・・通院できない人診療場所・・・介護施設、病院、自宅など治療説明・・・患者本人、家族、施設のスタッフや本人を取り巻く関係者保険種類・・・医療保険、介護保険など診療点数・・・歯科訪問診療料(1,100点・410点・310点・160点・95点)異なる点も多いが、まず「診療場所」と「治療説明」に着目してほしい。介護施設や病院であれば、施設長や生活相談員、ケアマネジャー、医師や看護師、自宅であれば、他医療従事者や介護事業者など、患者(ひとり)に対し、歯科の必要性を理解してもらわなければならない。また歯科医療者側は患者に提供されているサービスを個別に把握する必要がある。そしてそれぞれに合った歯科医療の提供と他職種との連携が必須だ。介護サービスの理解前述の通り、訪問歯科診療における患者は基本的に介護サービスを受けており、その理解は非常に重要になる。主に提供されている介護サービスは大きく3つに分けられる。居宅施設地域密着型それぞれの詳細は以下の通りだ。居宅サービス訪問サービス訪問介護訪問入浴介護訪問看護訪問リハビリテーション居宅療養管理指導通所サービス通所介護通所リハビリテーション短期入所サービス短期入所生活介護短期入所療養介護施設サービス介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)介護老人保健施設介護療養型医療施設(2024年3月末に廃止、4に統合)介護医療院特定施設入居者生活介護地域密着型サービス訪問・通所型サービス小規模多機能型居宅介護夜間対応型訪問介護定期巡回・随時対応型訪問介護看護認知症対応型サービス認知症対応型通所介護認知症対応型共同生活介護(グループホーム)施設・特定施設型サービス地域密着型特定施設入居者生活介護地域密着型介護老人福祉施設入居者生活介護(地域密着型特別養護老人ホーム)その他のサービスとして、福祉用具貸与特定福祉用具販売住宅改修費支給居宅介護支援(ケアプラン)がある。このような多種多様なサービスを個々の要介護者が利用している。全てを把握する必要はないが、患者として訪問する対象者がどういったサービスを受けているかを理解し、それぞれの対応が求められる。介護サービスを理解し、複数のサービス事業者へ広報することで認知を広がり、集患につながるため訪問歯科診療を始めるにあたって欠かせないポイントだ。集患の鍵は多職種との連携サービス事業者等の認知を獲得できたとして、どう紹介してもらうかが集患の具体的な鍵になる。「多職種に歯科の必要性は理解されているか?」この課題に対しては歯科医院からの情報提供不足も原因だと考えられている。また厚労省調査より、歯科治療や口腔管理が必要だと判断された要介護高齢者は64.3%だったが、過去1年以内に歯科受診した要介護者はわずか2.4%に止まり、居宅系サービスにおいて歯科治療が必要な利用者57.8%に対し、73.8%は定期的に歯科を受診していないという結果がみられた。以上のことから、訪問歯科診療の必要性が理解されていない、歯科医院が多職種と連携できていないため需要に対して明らかに供給不足となってしまっていることが分かる。この課題を解消するために、外来で取り組める施策として院内掲示用ポスターの設置、告知用パンフレット、ダイレクトメールや情報交換誌などを活用することが大切だ。周囲との連携を図り、認知を拡大することで家族や知人を経由した紹介に繋がり、集患にレバレッジを聞かせることができる。認知を高める×連携を図る=患者紹介この効果を意識した対策をデンタルサポート株式会社では提案している。訪問歯科導入PLAN設定で売上up!これから訪問歯科診療を導入する先生及び、すでに訪問歯科診療を導入している先生が訪問歯科診療で他院との差別化し、どれくらいの売上を得られるか、デンタルサポート株式会社では緻密なシミュレーションのもと提案している。デンタルサポート株式会社では過去にも多くのシミュレーションと改善実績を誇り、様々なケースにおける歯科医院をサポートしてきた。本記事を読んで、もっと医院の売上を伸ばす方法を探したい訪問歯科診療における集患について学びたい施設・職員との連携や取り組みについて詳しく知りたいといった疑問や興味が沸いた先生は、ぜひ下のボタンからお申し込みいただきたい。無料で相談する
1D編集部
2024年8月15日
要介護高齢者における歯科治療の重要性と具体的な処置・術式の解説

要介護高齢者における歯科治療の重要性と具体的な処置・術式の解説

要介護高齢者の歯科治療の必要性要介護高齢者は、身体的な制約や認知機能の低下により、口腔ケアが困難になることが多い。これにより、う蝕や歯周病のリスクが高まり、全身の健康にも悪影響を及ぼす可能性がある。したがって、歯科医師は要介護高齢者に対して特別な配慮をもって治療を行う必要がある。特に、定期的な診査や診断を通じて、早期に問題を発見し、適切な処置を行うことが重要である。要介護高齢者の口腔内の健康を維持することは、生活の質を向上させるためにも欠かせない要素である。要介護高齢者における主な症状とその診断要介護高齢者に見られる主な症状には、口腔乾燥症、歯周病、う蝕、義歯の不適合などがある。これらの症状は、日常生活における食事や会話に支障をきたすことが多い。診断においては、視診や触診に加え、必要に応じてX線検査を行うことが推奨される。特に、歯周病の進行具合を把握するためには、定期的な診査が不可欠である。これにより、適切な治療方針を立てることが可能となる。要介護高齢者に対する具体的な処置と術式要介護高齢者に対する処置としては、歯のクリーニングやう蝕の治療、歯周病の管理が挙げられる。特に、歯周病に対しては、スケーリングやルートプレーニングが有効である。また、義歯の調整や新規作成も重要な処置であり、患者の口腔内の状態に応じた適切な術式を選択することが求められる。これにより、患者の快適さを向上させ、食事摂取の質を改善することができる。要介護高齢者の歯科治療における注意点要介護高齢者の治療においては、身体的な制約や認知機能の低下に配慮したアプローチが必要である。治療中のストレスを軽減するために、リラックスできる環境を整えることが重要である。また、治療後のフォローアップも欠かせない。定期的な訪問診療や口腔ケアの指導を行うことで、患者の口腔内の健康を維持することができる。要介護高齢者における歯科治療のメリットとデメリット要介護高齢者に対する歯科治療のメリットは、口腔内の健康を維持し、全身の健康を促進することである。適切な処置を行うことで、生活の質を向上させることができる。一方で、治療に伴うリスクや合併症も考慮する必要がある。特に、全身疾患を抱える患者に対しては、治療方針を慎重に検討することが求められる。要介護高齢者への歯科治療の導入方法要介護高齢者への歯科治療を導入する際には、まず患者の状態を正確に把握することが重要である。医療チームとの連携を強化し、患者に最適な治療計画を立てることが求められる。また、患者やその家族に対して、治療の目的や手順を丁寧に説明することで、治療への理解を深めることができる。これにより、患者の協力を得やすくなり、治療の成功率を高めることができる。
1D編集部
2024年6月1日
【認知症患者の義歯臨床】新義歯製作と義歯修理・調整、どちらを優先すべき?

【認知症患者の義歯臨床】新義歯製作と義歯修理・調整、どちらを優先すべき?

超高齢社会に突入している日本では、有病者に対する歯科治療のニーズが高まっている。中でも認知症患者の診療にあたるシーンは多いだろう。認知症患者に対してリリーフや咬合調整といった小規模な義歯調整であれば問題になることは少ないが、新義歯製作や義歯形態が変わってしまうような大きな修理・調整を行った場合、新しい義歯に適応できなくなる場合がある。今回は認知症患者への対応の中で「義歯調整」に焦点を当て、ガイドラインを基に考察してみる。義歯調整は有効か?一般的な診療に対し日本補綴歯科学会のガイドラインでは、義歯床が不適合、かつ下顎位・咬合高径・咬合関係が誤っており、調整により改善しない場合には新義歯製作が必要としている。認知症患者や要介護高齢者に対し、新義歯製作と修理・調整とを直接比較した論文は存在しない。しかし、介護力強化型病院に入院中の要介護高齢者を対象として義歯製作時期と義歯の使用率を調査した報告(※1)では、入院前に義歯を製作していたすべての人が入院後も使用していたのに対し、入院後に義歯を製作した人の使用率は低く、さらに認知症患者ではその差は顕著であったとされている。またBritish Society of GerodontologyとBritish Society for Disability and Oral Healthのガイドライン(※2)でも、義歯を再製作する場合には、義歯に対する受容性の観点から複製義歯などを使い旧義歯の特徴を踏襲しつつ、徐々に形態を整えていくべきであるとされている。一方で、新義歯製作をした場合と修理・調整のみの場合の比較において、使用率以外のもの、つまり咀嚼や嚥下などの機能的な観点や栄養摂取、食事内容などをアウトカムとする報告は見られない。これらの点より、義歯修理・調整の方が新義歯製作よりも有効であるとする確たる根拠はない。しかし装着して使用できる義歯が存在するのであれば、まず調整・修理を行うことが推奨されている。さらに新義歯を製作する必要が生じた場合には、認知症の重症度認知症患者の義歯診療ガイドライン2018/一般社団法人日本老年歯科医学会(※3)や進行度を考慮に入れた上で現義歯の特徴を生かしながら徐々に新義歯製作を行うことが奨められる。認知症患者だからこそ配慮を患者本人や家族・介護職からは新義歯製作に対する期待は大きい。一方で、中等度・重度認知症患者において新義歯を製作しても、新義歯に適応できない場合が認められる。認知症患者においては義歯に対する受容性が低下している可能性を認識し、使用している義歯が口腔内で機能している場合には、受容できている義歯の状態や経過をよく検討しその優位点と欠点をより慎重に見極めることが必要だ。また義歯修理・調整においても装着している義歯の優位点を失わないように適切に対応することが求められるだろう。歯科セミナーなら「1D(ワンディー)」で!日本最大級の歯科医療メディア「1D」では、診療に役立つオンラインセミナーを多数開催中。もっと知りたい臨床トピックから超ニッチな学術トピックまで、参加したいセミナーが見つかります。下記ボタンから、開催中のセミナーを見てみましょう!開催セミナーを見てみる参考文献前田直人, 坂本隼一, 兒玉直紀, 沖 和広, 柴田豊文, 曽我恵子, 白髭智子, 西川悟郎, 皆木省吾:高齢者施設における認知症および寝たきり状況と義歯使用状況の関連:予備的研究, 日本補綴歯科学会誌, 4(4):419~426, 2012. 【Ⅳb】Fiske J, Frenkel H, Griffiths J, Jones V; British Society of Gerodontology. British Society for Disability and Oral Health.:Guidelines for the development of local standards of oral health care for people with dementia, Gerodontology., 23(Suppl. 1):5~32, 2006.【A】認知症患者の義歯診療ガイドライン2018, 一般社団法人日本老年歯科医学会
ユースケ イシカワ
2022年8月29日
「4時間の離床」で摂食嚥下機能が維持できることが明らかに

「4時間の離床」で摂食嚥下機能が維持できることが明らかに

東京医科歯科大学の研究チームは、要介護高齢者の離床時間と全身の筋肉量・摂食嚥下機能との関連を調査し、65歳以上の要介護高齢者に対する摂食嚥下リハビリテーションとして離床が有効であり、少なくとも4時間、可能であれば6時間以上離床すると全身の筋肉量が保たれ、摂食嚥下機能が良い傾向にあることを明らかにした。摂食嚥下機能や全身の筋肉量を保つための離床時間の目安を示したのは、本研究が初めてとなる。研究の成果は、2022年4月13日に学術誌であるGerontologyのオンライン版に掲載されている。ADLが低下した高齢者では機能維持が困難に摂食嚥下機能は、口腔周囲の摂食嚥下関連筋群だけでなく、背筋などの体幹の筋肉量や筋力と関連する。健常な高齢者が高齢者が摂食嚥下関連筋群の機能低下を防ぐために運動等を行い、嚥下障害の予防・改善に寄与している。しかし、日常生活動作(Activity Daily of Living: ADL)が低下した高齢者においては、身体能力の低下により摂食嚥下機能を維持するための運動を行うことが困難であるため、解決策のブレークスルーが求められていた。研究チームは、過去に要介護高齢者に対するアプローチのひとつとして、離床が摂食嚥下機能と関連することを示したが、要介護高齢者の離床時間と全身の筋肉量との関連や、全身の筋肉量および摂食嚥下機能を維持する具体的な離床時間についての検討は不十分であった。今回の研究では、その点において明らかにされている。「離床」が摂食嚥下機能の維持につながる研究の対象となったのは、首都圏に在住しており、かつ東京医科歯科大学病院の摂食嚥下リハビリテーション科から訪問診療を行ったADLが自立していない要介護高齢者。年齢や性別、BMI、ADL(3つのグループに分類)、併存疾患、服薬種類数、離床時間(3段階に分類)を調査した。さらに、生体インピーダンス法で身体の筋肉量(四肢骨格筋指数・体幹筋指数)を算出し、摂食嚥下機能はFOIS(Functional Oral Intake Scale)の指標を用いて評価した。データの解析は、筋肉量および摂食嚥下機能について、離床時間別の群間で差があるかどうか、1元配置分散分析およびKruskal-Wallis検定を用いて検討した。交絡要因調整のため、目的変数を筋肉量とした重回帰分析を行い、四肢骨格筋と体幹の筋肉量に関連する要因を調べた。また、目的変数を摂食嚥下機能とした順序ロジスティック回帰分析を行い、摂食嚥下機能に関連する要因を調べた。すると、離床時間が0~4時間の人に比べ、4時間以上の人は四肢骨格筋量と摂食嚥下機能が保たれていたことが明らかになった。さらに離床時間が6時間以上の人は、四肢骨格筋に加えて体幹の筋肉量が多く、常食に近い食事を取っていた。要介護高齢者の全身の筋肉量は離床により保たれ、摂食嚥下機能は離床時間と体幹の筋肉量と関連することが解明された。重力負荷を除いたモデルマウスの研究では、特別な運動をさせなくても、自分の体重を支えるという負荷を毎日、1日複数回与えると、筋肉量およびタイプ1筋線維の割合が維持されることが報告されている。つまり、「筋肉を働かせて自分の体重を支える」という行為により、廃用による筋委縮を防ぐことが可能である可能性が高い。ヒトでも同様に、離床して車椅子等に座り、重力に抵抗する時間を設けたことで全身の筋肉量が維持された可能性があるという。また、食事の形態が常食に近付くにつれて咀嚼が必要だが、咀嚼するためには覚醒と体幹機能が重要だ。6時間以上の離床で覚醒状態が安定しやすいことがわかっており、同研究から6時間以上の離床で体幹の筋肉量が保たれていることから、離床時間によって摂食嚥下機能に差が生じたと考えられる。今後の研究の展開とは?これまでに報告されている離床時間と全身の筋肉量および摂食嚥下機能についての研究は、ADLが自立した人を対象とした研究が多かった。ADLが自立していない要介護高齢者で離床時間が異なる群を比較し、全身の筋肉量や摂食嚥下機能との関連を調査したのは今回の研究が初めてとなる。要介護高齢者の摂食嚥下リハビリテーションとして離床を勧める際、これまでは科学的根拠をもって離床時間の目安を伝えることができなかった。しかし、同研究成果により、少なくとも4時間、可能であれば6時間以上離床することで全身の筋肉量が保たれ、摂食嚥下機能が良い傾向にあることが示された。同知見により、要介護高齢者に対して訓練指導の代わりに日常生活に離床を取り入れる指導をする際、具体的な目標を設定することができるようになる。例えば、離床時間が0~4時間の人は車椅子上で食事を取ることを目標に、4~6時間の人は食事等の生活動作以外の余暇時間(テレビを見る等)も車椅子上で過ごすことを目標に、環境を整えるのが良いという。「今後は、要介護高齢者がより効果的に体幹の機能を維持する方法の検討や、離床時間と摂食嚥下機能の因果関係を検証する予定だ」と、研究グループは述べている。参考文献Ishii M. · Nakagawa K. · Yoshimi K. · Okumura T. · Hasegawa S. · Yamaguchi K. · Nakane A. · Tamai T. · Nagasawa Y. · Yoshizawa A. · Tohara H. Time Spent Away from Bed to Maintain Swallowing Function in Older Adults, Gerontology, 2022.04.13.『要介護高齢者の離床時間、全身の筋肉量および摂食嚥下機能の関連―食べる機能維持に役立つ離床時間は?』東京医科歯科大学プレスリリース, 2022年4月15日.
1D編集部
2022年4月21日
【問】歯科訪問診療における口腔外科処置の適応はどこまでか?

【問】歯科訪問診療における口腔外科処置の適応はどこまでか?

要介護状態になると、歯科医院の受診は困難となる。歯科医院の受診が困難となることで、口腔疾患が放置されてしまう。それにより悪化した要治療歯が、歯性感染症や全身におよぶ感染症につながるケースも少なくない。歯科訪問診療においても、認知機能や背景疾患に伴う全身の健康管理の観点から、口腔外科処置の適応を見極めることが重要である。特に、患者本人や介護者が管理しやすい口腔内環境を整備することは、これからの超高齢社会で歯科訪問診療を担う歯科医師・歯科衛生士にとって、重要な役割のひとつである。ただし、歯科訪問診療には独自の「制約」がある。本記事でこれから解説をしていくように、訪問現場という「環境」について、必ず考慮しておく必要があるのである。歯科訪問診療の外科処置として妥当な範囲は?厚生労働科学研究『地域包括ケアシステムにおける効果的な訪問歯科診療の提供体制等の確立のための研究』では、歯科訪問診療における口腔外科処置の適応について、高い技術度・正確性や厳密な滅菌処置を要する術式(歯肉剥離掻爬術など)については適応しないとしているが、歯性感染症や全身におよぶ感染症の一因となるリスクが高いと判断される場合、「その緊急性や術後侵襲を考慮した上で対応すべき」と述べられている。歯科訪問診療における外科処置として妥当と思われる範囲には、簡単な抜歯や歯槽骨整形術、歯槽膿瘍の口腔内消炎処置、口腔外消炎処置、顎関節脱臼非観血的整復術などが該当すると言われている。また、インプラント周囲炎により動揺をきたしたインプラント構造物の除去についても、インプラントからの感染症のリスクを考え、抜去するケースも考えられる。いずれの場合でも、患者の病態や認知機能などを総合的に考え、必要な設備の整った施設での治療が望ましいと判断した場合には、ためらうことなく病院歯科または歯科口腔外科での処置を勧めるべきであることには変わりがない。外科処置を行う時間はどれくらいが適正か?歯科訪問診療は、患者の状態が安定した時間帯に行うことが望ましい。1回の処置に必要な診療時間は、もちろん患者の状態にも依存するが、30分〜1時間以内が適切であると考えられる。診療の頻度は、これも当然ながら治療内容により変化するものの、安定した状態にある場合は、「1週間に1回程度」が目安であろう。また、外科手術後処置等30分以内での処置であっても、不必要に繰り返すべきではない。歯科訪問診療における「抜歯」術あれこれ歯科訪問診療の口腔外科処置において、最も頻出の処置は「抜歯」のケースである。要介護者に対する抜歯の適応は、大枠としては自立した成人と変わらない認識で問題ない。ただその上で、治療への理解度や新義歯装着時の受け入れなど、歯科治療の受療能力をはじめ、ADL(日常生活動作)、歯科受診の頻度といった生活環境などを勘案事項として、抜歯術を行うかどうかを慎重に検討する必要がある。歯科医学的な抜歯適応は「う蝕が著しく進行し保存・修復処置が不可能である歯」「動揺の著しい歯」「急性炎症症状をたびたび引き起こす歯」などである。しかし先述の報告書では、「歯科医師の本来の職務は歯の保存であり、安易な抜歯術の適応は戒めるべき」であると解説している。また、認知症の高齢者において、自然脱落してしまった歯を誤嚥し肺炎をきたした報告もある。その一方で、不明熱において未治療歯を抜歯し改善した報告もあり、口腔内環境の悪化は全身に及ぶ感染症の一因としても検討しなければならない。また、残存歯による口腔粘膜損傷(びらん,潰瘍,切傷,擦過傷など)を生じるケースも多く、特に認知症高齢者では、粘膜保護の面からも、抜歯の適応について考える必要もあるだろう。歯科訪問診療にスポットライトを超高齢社会における地域包括ケアシステムを構築するなかで、歯科訪問診療の推進が重要であることは自明である。しかし、歯科訪問診療に関しては、歯科医療者や学生に対する現行の教育が十分ではない場合も多く、また歯科訪問診療に関するエビデンスも十分であるとは言いがたい。歯科訪問診療に関するエビデンスの充実、教育体制の整備などをさらに拡充していくことが、今後も高齢化が進む我が国において求められていくだろう。参考文献厚生労働科学研究費補助金 地域医療基盤開発推進研究事業『地域包括ケアシステムにおける効果的な訪問歯科診療の提供体制等の確立のための研究(令和)元年度 総括研究報告書』研究代表者 戸原 玄, (令和)2(2020)年4月.歯科訪問診療における基本的考え方(2004年)日本歯科医学会2) 在宅歯科医療の基本的考え方 2016一般社団法人 日本老年歯科医学三宅正彦:15 口腔外科手術法,口腔外科学(大木秀郎,近藤壽郎,坂下英明,外木守雄,三宅正彦 編),第5版,p.348,学建書院,東京,2016高佐 顕之, 中山 雅之, 坂東 政司, 中曽根 悦子, 水品 佳子,平野 利勝, 右藤 智啓, 中澤 晶子, 鈴木 恵理, 間藤 尚子, 中屋 孝清, 細野 達也, 山沢 英明, 杉山 幸比古:気道異物症例の臨床的特徴 摘出に難渋した症例に関する考察. 気管支学, 34:6~10, 2012.小畑 真, 今渡 隆成, 飯田 彰, 石田 義幸, 小野 智史, 戸倉 聡, 川田 達:歯性感染病巣治療後不明熱が改善された要介護高齢者の一例, 老年歯医, 21:114~117, 2006.
1D編集部
2022年3月20日

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