【論文ナナメ読み】矯正装置で歯周病細菌が増える?広島大が細菌叢を研究
世間的に、矯正装置によって歯周病のリスクが上がることは前から言われている。患者に対してそう説明している矯正科医も多いだろう。でもそのエビデンスは意外にも確立されていなかった。プラークコントロールの良し悪しが因子となることは当然だが、それは矯正装置を使用していなくても同じだ。実際に矯正装置が歯周病のリスク因子になるのか、広島大学歯科矯正学の谷本教授らによる国立感染症研究所薬剤耐性研究センターとの共同研究から論文を紹介する。細菌叢を解析同研究チームは、広島大学病院で矯正治療を受けた患者を対象に次世代シークエンサーを用いた細菌叢解析を行った。その結果、口の細菌叢は矯正装置を着けることで大きく変化していたことがわかったという。次世代シークエンサーとは、数百万のDNA分子の配列決定を短時間で行うことができる装置で、近年のDNAシークエンス技術の進歩に伴い、細菌叢の研究は飛躍的に発展している。この研究では71人の患者が選ばれ、それぞれの装置装着前、装着後、装置撤去時の縁上プラークと唾液を採取し、次世代シークエンサーで解析された。DNAシークエンスによって判明した事実その結果、プラーク、唾液の両方において、難培養細菌(*)であるSaccharibacteria(TM7)や PrevotellaやCamplylobacterといった嫌気性菌が増加していることが明らかとなった。矯正装置を着けることで変化する細菌叢は、健康な口から歯周病へと移行していく状態と類似していることが判明したことになるという。これまでは特定の菌のみが研究の対象であったが、次世代シークエンサーの発明によって幅広い菌種を一度に調べることが可能になったことがこの研究のポイントである。今後は矯正治療が終わって数年後、数十年後の細菌叢の変化を調べることが課題になるようだ。*実験室で培養できない細菌。近年まで存在すら知られていなかったが、DNAシークエンス技術の進歩に伴ってその存在が明らかになった。Invisalign GOを使いこなすためのセミナーが開催11月2日(水)、Invisalign GOを用いたGP向け前歯部矯正セミナーが開催される。部分矯正の基本的な知識からInvisalign GOにおける症例選択、実際の症例から流れと注意点が学べるセミナーとなっているため、これからアライナーを習得したい先生はぜひ受けてみてはいかがだろうか。1Dプレミアム会員は無料で受講できるのでこの機会に知識を身につけておいて損はないはずだ。1Dプレミアムでセミナーをみる参考文献Kado, I., Hisatsune, J., Tsuruda, K., Tanimoto, K., & Sugai, M. The impact of fixed orthodontic appliances on oral microbiome dynamics in Japanese patients. Scientific reports, 10(1), 1-11. 2020(URL)