ロシアに供給を依存するパラジウム、ウクライナ情勢を受け価格急騰
歯科医療者にとっては馴染みの深い金属の一種、パラジウム。「金銀パラジウム合金(通称:金パラ)」として、歯科治療でも使用されている。パラジウムはこの十数年、自動車触媒や電子工業などの産業向け需要が高まっており、この数年では投資需要も増加していた。その影響からか、歯科業界ではパラジウムの価格高騰が懸念されていた。2017年頃は1gあたり3,000〜4,000円程度で推移していた価格は、昨年春には1gあたり10,000円を超えた。価格変動の背景にはロシア情勢パラジウムは、世界全体の供給量の約50%(約110トン)をロシアに依存している。緊迫を高めるウクライナ情勢をめぐり供給懸念が広がり、先月から買いが殺到し価格が急騰している。2021年5月、パラジウムは史上最高値を付けた。これもロシアの鉱山大手の浸水事故による供給懸念が一因であった。識者によれば、ウクライナ情勢がさらに発展しロシアからのパラジウムの供給が滞った場合、最高値を再び更新する可能性も否めないという。需要の8割占める自動車業界の動向も一方で、需要サイドではニーズが小さくなっているという見方もある。昨年以降、新型コロナウイルスの拡大や半導体不足により、自動車大手の減産が相次いでいるためだ。自動車の排ガスを浄化する触媒に、パラジウムが数g単位で使われている。パラジウムの需要の80%は自動車産業が占め手織り、その価格形成において自動車業界の影響を大きく受けるのだ。また長期的には、自動車業界における脱炭素に向けた電動化の動きも、パラジウムの需要が抑制される一因になるだろう。今後も動向に注視が必要パラジウムは、金やプラチナ(白金)などの貴金属と比べると市場が小さいため、わずかな強弱材料でも価格が反応するという特徴がある。価格の先行きを予測することは難しい金属とされており、当然われわれ歯科医療者はそれを予測する術を持たない。パラジウムの価格急騰で、歯科医院の経営者は頭を抱えている。今後もウクライナ情勢や自動車業界の動向、また供給の約3割を占める南アフリカの動向などを注視しながら、継続して発信を続けていく。参考文献『金パラはどこから来て、どこへ行くのか?』青木 秀馬, 1D(ワンディー), 2020年11月21日.『プラチナ投資のエッセンス パラジウムとは:プラチナ及びパラジウム投資への手引き(URL)』 World Platinum Investment Council, 2020.3.