歯科用語集
2025年10月28日

外傷性咬合

「外傷性咬合」とは?歯科用語の解説と症例を紹介

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定義・語源

外傷性咬合とは、外的な力が歯や顎に加わることによって生じる咬合の異常を指す。具体的には、外傷や事故によって歯が破損したり、顎関節に影響を及ぼしたりすることが含まれる。語源は「外傷」と「咬合」の組み合わせであり、外的要因によって咬合が変化することを示している。咬合の異常は、歯科治療において重要な要素であり、適切な診断と治療が求められる。


臨床における位置づけ・判断基準

臨床において外傷性咬合は、患者の咬合状態を評価する際の重要な指標となる。外傷による咬合の変化は、顎関節症や歯周病のリスクを高める可能性があるため、早期の診断と治療が必要である。判断基準としては、外傷の程度、咬合の変化、痛みの有無、顎の可動域などが考慮される。これらの要素を総合的に評価し、適切な治療計画を立てることが重要である。

関連用語・類義語との違い

外傷性咬合に関連する用語としては、顎関節症や歯の外傷が挙げられる。顎関節症は、顎関節に関連する痛みや機能障害を指し、外傷性咬合がその原因となることがある。一方、歯の外傷は、外的な力によって歯が破損することを意味し、外傷性咬合の一部として考えられる。これらの用語は相互に関連しているが、外傷性咬合は咬合の異常に特化した概念であるため、注意が必要である。

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外傷性咬合の診断と処置。歯科臨床で役立つ症例と術式の判断ポイント

外傷性咬合の診断と処置。歯科臨床で役立つ症例と術式の判断ポイント

外傷性咬合の定義と臨床的意義外傷性咬合とは、外的な力によって歯や顎に生じる咬合の異常を指す。これには、事故やスポーツによる外傷、歯の不適切な位置、または不適切な咬合関係が含まれる。外傷性咬合は、歯の破損や歯周組織の損傷を引き起こす可能性があり、早期の診断と適切な処置が求められる。特に、外傷後の咬合異常は、患者の機能や審美に影響を与えるため、歯科医師はその重要性を理解し、適切な対応を行う必要がある。外傷性咬合の症状と診断方法外傷性咬合の症状には、咬合痛、歯の動揺、顎の開閉障害、さらには顎関節の痛みなどが含まれる。診断には、詳細な病歴の聴取と臨床検査が不可欠である。特に、咬合の評価には咬合器を用いた咬合関係の確認が重要であり、必要に応じてレントゲン検査を行うことも推奨される。これにより、歯の位置や顎の関節の状態を正確に把握し、適切な処置を計画することが可能となる。外傷性咬合の処置と術式外傷性咬合の処置には、咬合調整、歯の再植、歯冠修復、または矯正治療が含まれる。咬合調整は、咬合の不均衡を改善し、患者の機能を回復させるために行われる。歯の再植は、外傷により脱臼した歯を元の位置に戻す手術であり、適切なタイミングで行うことが成功の鍵となる。また、歯冠修復や矯正治療は、外傷後の歯の位置や形態を修正するために必要な術式である。これらの処置は、患者の咬合機能を回復させるだけでなく、審美的な側面にも配慮したアプローチが求められる。外傷性咬合の症例と治療のコツ外傷性咬合の症例には、スポーツによる外傷、交通事故、または転倒によるものがある。これらの症例では、初期の対応が重要であり、迅速な診断と処置が患者の予後に大きく影響する。治療のコツとしては、患者の痛みを軽減し、咬合の安定を図ることが挙げられる。さらに、患者への説明を丁寧に行い、治療の目的や手順を理解してもらうことも重要である。これにより、患者の不安を軽減し、治療への協力を得やすくなる。外傷性咬合における注意点とメリット・デメリット外傷性咬合の処置においては、いくつかの注意点が存在する。まず、外傷の程度に応じて適切な処置を選択することが重要である。また、咬合調整や矯正治療を行う際には、長期的な予後を考慮し、患者の生活の質を向上させることを目指すべきである。メリットとしては、適切な処置により咬合機能が回復し、患者の生活の質が向上することが挙げられる。一方で、デメリットとしては、処置に伴う痛みや不快感、さらには治療期間の長さが患者にとっての負担となることがある。これらの点を考慮し、患者に最適な治療計画を立てることが求められる。
1D編集部
2024年6月1日
【1D的セミナーログ】歯の動揺はなぜ起こり、どう対処するのか?

【1D的セミナーログ】歯の動揺はなぜ起こり、どう対処するのか?

先日、1Dでは歯周病専門医・指導医である斎田寛之先生をお招きし『歯の動揺はなぜ起こり、どう対処するのか? 動揺歯のコントロールと固定のバリエーション』と題したWebセミナーを行った。1Dでは本セミナーの他にも、多数の歯科臨床セミナーを開催している。プレミアム会員であれば追加料金ナシでセミナーや講義動画が見放題となるため、歯科医師・歯科衛生士の方はぜひご活用しただきたい。1Dプレミアムでセミナーを視聴する本記事ではセミナー内容をかいつまんで解説する。構成は、1.歯の動揺はなぜ起こるのか? 2.動揺歯の評価 3.動揺歯の固定 4.症例から見る動揺歯への対応 の4項目に分かれており、斎田先生の臨床経験に基づいて実践的な説明がなされた。歯の動揺はなぜ起こるのか?歯周病が進行すれば、動揺が起こることは想像に難くない。しかし、歯の動揺の原因はこれだけではない。さまざまな外傷性咬合によって起こる歯根膜の拡大、歯肉や歯根膜の炎症による組織圧の向上は歯を挺出させる原因にもなる。単根か複根か、歯冠歯根比によっても状況は変わる。動揺はあくまで結果であり、その原因を探ることが重要である。動揺歯の評価動揺歯の評価として有名なのはMIllerの分類である。0度は0.2㎜以内の水平的動揺、1度は0.2〜1㎜以内の水平的動揺、2度は1〜2㎜の水平的動揺、3度は2㎜以上の水平的動揺、垂直的動揺である。では、2度であったら問題なのか?セミナー内でも詳しい解説があるが、急速に1度から2度になっているのか、2度のまま継続して安定しているのかが問題であり、動揺の結果だけをみているのでは意味がない。動揺歯の固定動揺している歯があるからといって、何も考えずに固定を選択してはいけない。もちろん緊急の残間固定や咬合調整は必要である。しかしながら、歯周組織の炎症のコントロールをした後に残る動揺に対しては、生理的動揺の範囲内か、病的動揺なのかを診断して状況に応じた対応を取る必要がある。揺れている歯を固定するだけが動揺への対応ではなく、かかる力のコントロールも重要なのだ。固定方法では、実際にどうやって固定するのか?固定には一次固定と二次固定がある。一次固定は、連結する装置が固定性のものであり、二次固定は連結する装置が可撤性のものである。どちらを選ぶかは欠損形態等の条件から考える必要があり、状況に応じて固定方法を選択していく。固定法の選択に関しては、症例を通じての考え方や実際の臨床例も提示してあり、実践で役立つ内容になっている。症例から見る動揺歯への対応一次固定、二次固定を行った症例をそれぞれ提示してあり、中には長期間に及ぶものもある。環境や条件の異なるバラエティに富んだ症例から得られる内容は、非常に充実したものであり、誰しも一度は悩んだことのある動揺歯への対応法を網羅的に学ぶことができる。臨床に役立つセミナーなら1Dプレミアムこの他にも、1Dではさまざまな臨床・学術セミナーを配信中である。配信中のラインナップや1Dプレミアムの詳細は、下記ボタンからご覧いただきたい。1Dプレミアムでセミナーを視聴する
1D編集部
2023年7月13日
歯周病が安定した後、機能回復には何を選択すべきか?

歯周病が安定した後、機能回復には何を選択すべきか?

歯周病患者の口腔機能回復治療の必要性は、歯質の欠損、歯の欠損、歯の動揺、さらに咬合・咀嚼機能や審美性の低下などによって生じる。この治療は、適切な咬合・咀嚼機能や審美性を回復するだけでなく、長期的に歯周組織を安定させて機能を維持するために大切であり、同時に歯周組織の炎症や咬合性外傷を誘発しないように配慮することが重要である。今回は口腔機能回復治療における治療選択について解説する。口腔機能回復治療とは?歯周病によって失われた口腔機能を回復するため、歯周外科治療後に行う治療の総称で、修復・補綴治療、矯正治療、インプラント治療などが含まれる。流れとしては以下の図の通りである。中等度以上に進行した歯周炎では歯周組織の支持能力の低下のため、細菌感染に対する配慮と咬合性外傷に対する配慮が不可欠となる。このため、歯周基本治療中に動揺歯の固定を目的とした補綴装置による連結固定が必要な場合や、可撤性部分床義歯になる場合も多く、進行した歯周病患者の修復・補綴治療は健常な患者に比較して困難であることが多い。歯周治療は、これらの問題点をクリアし、歯科治療の目的の一つである口腔機能回復をはかることが重要である。治療選択のために考慮すべきポイント1)検査項目歯周組織に炎症や咬合性外傷を誘発しないことや、歯周組織が安定した状態を維持できる口腔環境を整備することが重要であり、そのために、細菌感染、炎症や咬合性外傷に関する検査を重視しなければならない。細菌感染、炎症や組織破壊に関連する検査としては、口腔衛生状態(O'Leary のプラークコントロールレコード)、プロービングデプスとプロービング時の出血があげられる。また、咬合性外傷に関連する検査項目としては、エックス線画像(歯槽骨の吸収、歯根の長さ、歯根膜腔の拡大)、歯の動揺度、フレミタス(咬合接触時のわずかな振動)、残存歯数、残存歯の配置、咬合(ブラキシズムの有無,咬合力の強さなど)がある。2)動揺歯の治療に対する考え方動揺の原因が炎症なのか早期接触やブラキシズムなどの外傷性咬合が関与しているのか、注意深く判断すべきである。睡眠時のブラキシズムは最大咬合力を超えるという報告もあり、睡眠時のブラキシズムも含めて過度の外傷力に対する処置が重要である。歯の動揺が著しい場合は、歯周基本治療において咬合調整や暫間固定が必要な場合もあるが、基本的にはプラークコントロールやスケーリングを優先し、これらの治療後においても動揺が残存して機能的に障害がある場合などは、咬合調整や暫間固定を行い、動揺度など歯周組織の変化を評価したうえで、永久固定の必要性と範囲を判定したり、オクルーザルスプリントを製作したりする。3)暫間固定と歯周治療用装置(プロビジョナルレストレーション)による固定細菌感染に対する治療の後に歯の動揺がある場合、暫間固定を行って固定の方法や範囲を検討する。永久固定を行う場合、とくに歯周組織破壊が進行している症例では残存歯の支持力が減少しているため、補綴装置が細菌感染や咬合性外傷の原因とならないかを経時的に検査する必要がある。このような場合、歯周治療用装置による固定は、暫間的に咬合、審美性を回復するだけでなく、清掃性、補綴装置の形態、残存歯の保存の適否などを評価できる。補綴装置の形状や固定の範囲などの検討後、予知性の低い歯や動揺の大きな歯の保存の適否の評価も可能である。補綴治療法の選択と注意点1)歯冠修復(永久固定)歯周基本治療が終了しても、歯の動揺が原因で咀嚼機能の低下あるいは快適な咀嚼機能などが発揮されない場合や、咬合性外傷が依然として存在している場合で、暫間固定では強度が不十分な場合には永久固定を行う。永久固定を目的とした歯冠修復を行う際には種々の問題点や注意点がある。 支台歯の形成、印象の精度、模型製作の問題点、補綴装置の適合性や咬合、合着用セメントの種類、 根管治療の必要な場合は根管治療の問題点も生じる。補綴装置の歯間鼓形空隙、カントゥアなどもプラークコントロールを容易に行えるように製作すべきである。歯間鼓形空隙、カントゥアが適切でない場合はう蝕の危険性が増加する。また、咬合力が強い場合には、永久固定を行う際にどの範囲で固定を行うのかを歯周治療用装置(プロビジョナルレストレーション)や暫間固定などを行って慎重に決定すべきである。固定範囲を誤ると、固定歯や他の残存歯に咬合性外傷を引き起こすことになるだけでなく、補綴装置の脱落や破損などがみられる。補綴装置の長期の維持のためには脱落や破損を減少させる必要があり、とくに咬合力が強い場合は、外傷性咬合に対する配慮が重要である。 2)欠損歯列への対応 歯の欠損がある場合、固定性ブリッジや可撤性義歯、歯の移植、インプラントにより補綴治療を行う。欠損部を補綴することは、歯列の連続性や咬合を確保して残存歯への咬合性外傷を回避するためにも重要である。また、欠損になった理由を知ることは良好な予後を得るために重要である。歯周病が原因で欠損を生じたのであれば咬合性外傷が関与していたのかを知る必要がある。その場合には、咬合に対する対応について十分に配慮する必要がある。外傷性咬合を伴わない大臼歯の遊離端欠損症例では、大臼歯部は補綴治療を行わずに小臼歯までの咬合である短縮歯列でも許容される場合がある。(1)ブリッジブリッジによる補綴は、支台歯のみで咬合力が負担されるため、欠損の範囲や残存歯の分布、支台歯の歯周組織の状態を考慮して設計し、支台歯が負担過重にならないように配慮することが大切である。適切に設計されたブリッジは、固定効果により咬合性外傷の回避に有効となる。(2)可撤性部分床義歯欠損の範囲や残存歯の数、対合歯の位置や数などを考慮して義歯の設計をしていくが、設計によっては鉤歯への負担や咬合性外傷の誘発などがあり、残存歯と義歯粘膜への咬合力 の負担の割合などを慎重に決定すべきである。安定した部分床義歯の条件としては支持(垂直的移 動への配慮)、把持(水平的移動への配慮)、維持(離脱への対応)があるが、口腔清掃性にも配慮した設計が必要となる。また、安定した義歯は鉤歯への負担を減じることができるが、残存歯の負担能力を十分に考慮したうえで設計することが必要である。(3)インプラントインプラントは支持力が大きいため、残存歯の咬合負担を軽減できる場合が多い。また、隣在歯の切削などを伴う固定を回避することもできる。しかし、インプラントの対合歯に外傷力として働くことがあり、咬合力が強い場合には注意が必要である。天然歯からインプラント周囲組織への歯周病原細菌の感染が考えられるので、残存歯の歯周治療は重要である。(4)歯の移植歯の移植には、移植歯の選択、移植部位、移植の技術など、その予後を考えるうえで複雑な因子が関与している。とくに移植歯の抜去時に建全な歯根膜を可及的に多く残す必要がある。矯正治療による対応1)歯列不正 歯列不正には、歯周病罹患前から存在する歯列不正と、歯周病や習癖などにより引き起こされた歯列不正がある。いずれの場合も、プラークコントロールを困難にするようなケースでは、口腔衛生管理を行いやすい環境をつくる目的で、また、咬合干渉など咬合性外傷の原因となるようなケー スでは、咬合異常を改善する目的で矯正治療を行う。 2)矯正治療による歯周組織のリモデリング傾斜や挺出を生じ、咬合性外傷を合併している歯には骨縁下欠損が存在することがある。このような骨縁下欠損に対して歯周治療後に適切な矯正力(アップライト、挺出、圧下など)を加えることで骨欠損の改善が生じることがある。また、骨吸収を起こした歯を挺出させることで骨のレベルリングを行うことも可能である。この観点から矯正治療を単に歯の移動の手段としてではなく歯周組織の環境改善の手法として活用することは意義がある。口腔機能回復治療の意義歯周病患者の口腔機能回復は、歯周治療の一環としても極めて重要で、歯周病患者の補綴治療は、補綴予定部位の当該歯の病状安定後または治癒後に行うことが望ましい。口腔機能回復治療は決してゴールではなく、終わってからが本当の意味でのスタートである。その点をよく認識し、口腔内の健康維持のために適切なメインテナンスを行っていく必要がある。参考文献特定非営利活動法人日本歯周病学会. 歯周治療のガイドライン2022.(PDF)
482 TSUNAGU
2023年3月13日
【歯科セミナー】歯科衛生士向けも!まもなく開催の注目のセミナー3選

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皆さんこんにちは、1D編集部です。この記事では、1Dが主催するまもなく開催予定の注目オンラインセミナーを3つ、ご紹介していきます。興味があるセミナーがあれば、ぜひお気軽にお申し込みください。かかりつけ歯科医のための「小児のキホン」「小児の治療って、なんか難しい」こんな風に思い込んでいませんか?確かに成人の治療とは異なる、小児特有の知識が求められる場面もあります。「定期検診では実際に何を見ればいいの?」「子どもの歯肉炎、どう治療すればいい?」実際にその場面に直面すると、悩んでしまうことも多いでしょう。しかし、小児歯科のベーシックな知識を押さえておけば、小児だからといって臆することなく、診療に臨むことが出来ます。このセミナーでは、小児歯科の中でも特に重要な「う蝕・歯周病・歯列咬合」について押さえておくべきポイントから、チェアサイドでの小児患者の対応法、さらには最新のトピックスに至るまで、小児歯科のキホンを大阪大学の仲野先生に叩き込んでいただきます。明日の診療から、小児診療が楽しくなること間違いなしです。詳細・お申込みはこちらなぜ、あなたの歯周治療は失敗するのか?あらゆる歯周病治療は「診断」からはじまります。原因は細菌性プラークによるものなのか、外傷性咬合によるものなのか。さらに、全身性因子や生活習慣の影響も考慮する必要があります。歯周組織破壊の進行スピードはどうか?炎症は全体的に広がっているのか、それとも限局的なのか?ポイントをおさえた適切な診断が、適切な治療計画立案に繋がり、質の高い歯周治療の実現をもたらします。このセミナーでは、歯周治療の成否を決める「診査・診断・治療計画」に焦点を当て、実際の症例をもとに押さえておくべきポイントから、診療の流れと”効果の出る”歯周治療の勘所をレクチャーします。歯科診療のベースとなる、歯周治療をマスターしましょう。詳細・お申込みはこちらようこそ、メンテ沼へ。だいじなんデス、メインテナンスメインテナンス、日々「なんとなく」こなしていませんか?例えば、毎日行うプロービング。正確なプロービングこそ歯周治療成功の大前提であり、必ず押さえておく必要があります。さらに、歯周組織検査の結果を根拠を持って読み解くスキルも身につけておかなければ、歯周治療の成否を正しく評価できません。また最近低侵襲の歯面清掃法として注目を浴びているエアアブレージョンについて、適切な手技のポイントを理解出来ていますか?このセミナーでは、正確なプロービングの手技のポイント、 歯周基本検査について理解するための鍵となる「BOP」の正確な知識、そして最近低侵襲の歯面清掃法として注目を浴びているエアーアブレージョンのコツ、短時間で確実にクリーニングするためのポイントなど、全2回にわたってメインテナンスのポイントを徹底解説します。さあ、ようこそ「メンテ沼」へ。詳細・お申込みはこちら他にもオンラインセミナーを多数開催中!1D(ワンディー)では、他にも歯科医療者向けのオンラインセミナーを多数開催しています。開催予定のセミナーの一覧は、下記ボタンから見ることができます。ぜひ1Dでセミナーに参加して、知識アップ・スキルアップをしていきましょう。開催中のセミナーを見てみる
1D編集部
2022年6月5日
細かすぎて伝わらない、ジルコニアの材料学

細かすぎて伝わらない、ジルコニアの材料学

自費診療における歯冠修復材料といえば、e-maxかジルコニアの二択ではないだろうか。かつての長石系陶材やそれらを前装に用いたいわゆるメタボンは、もはや時代錯誤の代物となった。金属を鋳造するようにリチウム2ケイ酸ガラスをプレスして製作するプレスセラミックス、俗称IPS e.max press ®︎(以下、e.max、ivoclar vivadent社)は、高い審美性と強度から10年程前から急速に需要を高めたが、現在ではさらに高い強度を有すジルコニアが主役の座を奪ったと言っても過言ではない。しかしながら、ジルコニアといっても他のセラミックスと何が違うのか?どうして強度が高いのか?と疑問をお持ちの方も少なくないのではないだろうか。とりあえずジルコニアを勧めるのではなく、材料の基本的性質を熟知した上で有意義に臨床応用してほしいと思い、筆者は本記事のオファーを受けた。読者の方にはいささか基本事項ばかりで恐縮ではあるが、“細かすぎて伝わらない、ジルコニアの材料学" と題して、ジルコニアの材料学的性質を解説、私なりに考察したので、今一度確認のつもりでご拝読頂きたいと思う。ジルコニアはZrではないジルコニア(ZrO2)は原子番号40の金属であるジルコニウム(Zr)と酸素との化合物であり、セラミックスすなわち陶材などと同じ無機材料である。例えばアルミニウム(Al)とアルミナ(Al2O3)がそうであるように、ZrとZrO2は元素的には同じでも、化合物としての性質は全く別物である。ジルコニア(Zr)と書かれているのをよく見かけるが、決してそうではないので是非表記にも注意してほしい。ジルコニウムは元素の周期表を見るとわかるがTi元素の真下に位置し、金属としては性質が似ており生体適合性も良好である。この金属のジルコニウムは言うまでもなく金属色を呈すが、酸化物のジルコニアは白色あるいは結晶構造(原子の並び方)により透明である。ジルコニアの特徴は機械的強度が非常に高く、耐摩耗性にも優れるという点であり、金属材料や硬組織の代替材料として歯科材料学者が夢見てきた白い金属 “ホワイトメタル” とも称される。医療用としては1990年代から人工股関節の骨頭として応用されており、実は歴史のある材料である。ジルコニアの生体適合性は非常に良い。アレルギーはもちろんなく、材料表面にプラークが付着しづらいという報告もありインプラントアバットメントをはじめ、近年欧米ではフィクスチャーとしても臨床応用が始まっている。歯科用ジルコニアは部分安定化ジルコニアここからはアカデミックな内容になるが、なるべく端的にわかりやすく解説したい。ジルコニアは存在する温度によって結晶構造が変化する(図1)。結晶構造が斜めに傾いている単斜晶、直方体の正方晶、立方体の立方晶の3パターンである。ジルコニアのCADCAMブロックを作る場合、原料の粉末から成型し焼成を行う際に温度変化が起こるので結晶構造の変化(相転移という)を伴う。この相転移の際に約4.6%の体積収縮あるいは膨張が起こる。この変化が、材料を破壊せず繰り返し焼成し生産、歯の形に成形するのに厄介だった。歯科用に使用するためには結晶構造を安定化する必要があったわけである。そこで登場するのがイットリウム(Y)やセリウム(Ce)などといった安定化元素である。ジルコニアは室温では歯科で使うには弱い単斜晶の状態であるが、安定化元素の酸化物を部分的に添加すると、室温でも強い正方晶あるいは立方晶の形で安定に存在させることができる。これが部分安定化ジルコニアと呼ばれるもので、歯科用のジルコニアはこの部分安定化ジルコニアのことであり、最初に本邦で認可が下りたのはイットリア添加型正方晶部分安定化ジルコニア(Y-TZP,従来型ジルコニア)である。Y-TZPの他の種類として、イットリアの代わりにセリアをアルミナと複合化させて配合させたCe-TZPがKZR-CAD NANOZR®︎(ナノジルコニア)と称して現在もYAMAKIN(株)から販売されている(当初はPanasonicから販売)。ジルコニアはなぜ強いか100%正方晶で安定化させたジルコニア(TZP)はブリッジのコア等の強度が必要とされる部位に使用されてきたアルミナ陶材よりもはるかに硬く、曲げ強さはセラミックスでありながら1200~1500 MPaと金属材料に匹敵し、約350 MPaであるe.maxを大きく上回る。さらに、破壊靭性値についてもアルミナ陶材の2〜5倍程度あり、破壊しづらい(表)。ジルコニアがこのような優れた機械的性質を有す主たる理由は“応力誘起相変態”と呼ばれるジルコニア特有の現象に起因する(図2)。ジルコニアでは応力が付与され亀裂が生じると、その周囲の結晶構造が正方晶から単斜晶に変化する。前述したようにこの相転移に伴い体積が膨張するため亀裂の隙間を埋める結果となる(図3)。すなわち、ジルコニア自体が結晶構造の変化によって亀裂の進展を防ぎ、従来のセラミックスにはない高靭性を発揮するのである。このように物理的生物学的に過酷な環境である口腔内に適した新材料として高強度ジルコニアが脚光を浴びることとなった。しかしながら、従来型TZPは多結晶体であり光を散乱、屈折させるため陶材に比べ透明性が低いことが問題であり、モノリシック(一つの材料で構成する単層の歯冠修復物)では臼歯部にしか使用できなかった。よって、審美領域に使用する際はジルコニアをコアやフレームに用い、その上からレイヤリングあるいはe.maxをプレスした装置が使用されることが多かった。当時、ジルコニアとレイヤリングした材料の弾性係数の差などによって、コアのジルコニア自体は強いものの上物のチップなどが問題とされ、結局モノリシックe.maxの方が壊れないとの見解も多くあった。審美修復で使用されている自費ジルコニアの正体100%立方晶で安定化させたジルコニア(CZP: キュービックジルコニア)は、いわゆる透明な人工ダイヤモンドのことだ。CZPの曲げ強さは300MPa以下とY-TZPより低く、単独では歯科用には使われていない。近年、100%正方晶ジルコニアの問題点である白すぎる色調を解決するために、この透明性の高いCZPを配合させモノリシックでも審美修復に使用できる高透光性ジルコニアが開発され様々なシェードが用意されるようになった。CZPの配合によって機械的性質は低下するが、それでも600MPa以上で従来型ジルコニアより弱いものの、e.maxを凌ぎ必要な強度は担保されている、という形だ。つまりここまでをまとめると、現在我々が歯科医院で提供しているジルコニアとは、相転移による破壊を防ぐためにイットリアなどの安定化元素を部分的に配合させ安定させた結晶構造を持つ正方晶部分安定化ジルコニアに立方晶部分安定化ジルコニアを一部に混ぜたもの(臼歯部用にCZPを含まないものもある)=高透光性ジルコニアなのである。材料学者が思うジルコニアレストレーションの臨床的考察筆者は、現在材料学に没頭する前には大学院を含めて補綴学を専攻していた。臨床経験としては若輩であり大変恐縮であるが、基礎研究の傍ら歯科臨床に従事している一歯科医師としてジルコニアレストレーションの臨床応用について少し考察してみたいと思う。まずは高い強度が与えうる影響について考えてみたい。前述したように商品によってCZPの配合量が異なるため症例や適応歯によって材料の使い分けが必要である。とりわけ臼歯部に用いた場合、その硬さによって対合歯や顎関節への影響を考慮しなければならない。咬合と顎位の関係はナソロジーで議論されてきたように非常に複雑で普遍的なことは言えないが、ジルコニアが顎咬合系に与える影響で一つ言えそうなことは、良い意味でも悪い意味でも周囲組織と裏腹に摩耗などの変化が極めて起こりづらいということである。つまり残存歯や咬合高径の変化によって、咬合の支柱になり得る反面、経年的に外傷性咬合の引き金ともなり得るかもしれない。この諸刃の刃とも言える材料の周囲の変化をよく見極めるためにもジルコニア装着者の長期のメインテナンスは必須事項であろう。対合歯の摩耗に関しては、仕上げ研磨をラボレベルでしっかり行っていれば問題ないという考え方が主流であるが、調整後また再研磨させるのも手間であるし、口腔内での調整が困難である。また接着に関して言えば、ジルコニア表面にはMDPが効果的であると報告されているが、既存の材料と比べると材料学的に接着力は十分とは言えないだろう。ジルコニアは我が国におけるメタルフリー化へのプロセスにも合致しており大変注目を浴びている。近年の目覚しいジルコニアの普及は,体積変化を正確に計算して加工ができるCADCAMとデジタル技術発展の恩恵に他ならない。歯科界の風潮を考えるとこの先20年、ジルコニアは歯冠修復材料の主役になっていくだろう。私自身、ジルコニアレストレーションには肯定的でも批判的でもない。白いのに金属に匹敵するぐらい丈夫な材料は他にはないし、患者の希望と相まって予知性のある補綴治療が可能と予測されたならジルコニアレストレーションも躊躇しない。しかしながら、ジルコニアは歯科材料としては日が浅い材料であり長期予後に科学的に不明な点があることを忘れてはならない。セラミックスである以上、脆性的で金属材料に比較するとたわまないため、十分にその特性に注意し臨床応用しなければならないと考えている。すべての材料に共通して言えるが、大切なことは常に新しい情報をアップデートし、ネガティブな側面を無視せずに症例を選ぶことであると私は考えている。歯科セミナーなら「1D(ワンディー)」で!日本最大級の歯科医療メディア「1D」では、診療に役立つオンラインセミナーを多数開催中。もっと知りたい臨床トピックから超ニッチな学術トピックまで、参加したいセミナーが見つかります。下記ボタンから、開催中のセミナーを見てみましょう!開催セミナーを見てみる
廣田 正嗣
2020年7月4日

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レジン修復 (238)

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