【速報】チタンクラウン、保険収載へ:「パラ外し」の布石か
令和2年6月1日から「チタンおよびチタン合金による大臼歯歯冠修復物」が保険収載となった(保医発0529第1号)。本件は遡ること2017年に日本歯科理工学会から提案されたことに始まる。その後、令和元年度第3回診療報酬調査専門組織・医療技術評価分科会にて、保険医療材料制度等に準じて対応を行うと評価されたものの、令和2年度4月の改定には入らず、同年6月1日より保険収載となった。 診療点数は?診療点数は以下の通りである。 製作点数1200点 + 材料点数66点= 1266点 全部金属冠による歯冠修復を目的として大臼歯に使用した場合に限り算定できる。 純チタン2種の全部金属冠により大臼歯の歯冠修復を行った場合は、区分番号「M015-2」に掲げるCAD/CAM冠に準じて算定する。 CAD/CAM冠と同じ製作点数だが、その根拠はどこにも示されてはおらず適切に原価計算された結果であるかは疑問が残る。金銀パラジウム合金の全部金属冠の製作点数が454点であることから3倍弱の点数であり高コストな補綴物であることが伺える。 また、撤去する際には以下が適用となる。純チタン2種の全部金属冠の除去については、「3著しく困難なもの」により算定する。 純チタン2種とは?通知文書(保医発0529第1号)によると以下のように定義される。 次のいずれにも該当すること。 (1) 薬事承認又は承認上、類別が「歯科材料(1)歯科用金属」であって、一般的名称が「歯科鋳造用チタン合金」であること。 (2) JIS H4650第2種に適合するものであること。 (3) 大臼歯の全部金属冠による歯冠修復に用いるものであること。JIS(日本産業規格)によると、純チタンは99%以上の成分がチタンだが、N,C,H,Fe,Oが微量含まれそれによって1-4種に分類されている。今回保険に収載される材料はこの中の2種である。歯科用のチタンは真新しいものではなく、これまでもインプラントや金属床義歯のメタルフレームに用いられてきた。 歯科技工技士泣かせの補綴物?製作点数が比較的高いことから、“機材が高い”もしくは“製作難易度が高い”ことが予想される。製作にはチタン専用の鋳造気や埋没材が必要であり、販売価格を確認してみると300万円以上であり非常に高価であった。また一般的でない機材のため所有しているラボが多くことが原因だろうか、関連機材が売り切れているとの噂話を耳にした。さらに、SNS上で歯科技工士の声を見ていくと、製作することが非常に難しいという投稿を散見する。 具体的に見ていくと、チタンは高融点であるため鋳造収縮が非常に大きい1.5-1.6%程度適切な適合を得るためには経験値が必要活性の高い金属のため鋳巣が入りやすい研磨しても光にくいロウ着やレーザー溶接が困難でありエラーのリカバリーができないという点があげられた。さらに、今回の金属材料が鋳造用と定義されていることから、CADCAM技術を用いてチタンを直接ミリングし製作することはできない。チタンの鋳造を習熟していないラボは相当な苦労になることが予想され、ラボ間の協力が必須になるだろう。「パラ外し」への布石かチタンクラウンは、実際に導入され、実際に流行るのだろうか。例えば、数年前に導入された高強度ファイバーブリッジはその後使っているとの声を聞かない。新しい技術としてみると、この二の舞となる可能性は否定できない。すでにドクターからはセット時の操作や噛摩について不安視する声が上がっているが、5ヶ月間の経過観察では噛摩はみられないという文献もあった。 一方で、高騰するパラジウムの代替材料と考えれば積極的に使用するドクターがいてもおかしくはない。加えてアレルギーの制限もないことから流行る可能性は多いにあることが十分にあり得る。また、高騰するパラジウムは医療財政を圧迫しているのはいうまでもないことから、厚労省がパラジウムを保険診療から外していくための第一手を見てもおかしくはないだろう。 今後の動向に注目である。歯科セミナーなら「1D(ワンディー)」で!日本最大級の歯科医療メディア「1D」では、診療に役立つオンラインセミナーを多数開催中。もっと知りたい臨床トピックから超ニッチな学術トピックまで、参加したいセミナーが見つかります。下記ボタンから、開催中のセミナーを見てみましょう!開催セミナーを見てみる参考文献保医発0529第1号(URL)保医発0529第4号(URL)純チタン・クラウンの補綴学的考察(日本補綴歯科学会雑誌' 84 年28巻5号 p. 860-867)