歯科用語集
2025年10月28日

歯式

「歯式」とは?歯科用語の解説と症例を紹介

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定義・語源

歯式とは、歯の配置や形状を示すための記号や図式のことである。主に歯科医療において、患者の歯の状態を把握し、治療計画を立てる際に用いられる。歯式は、国際的にはFDI(国際歯科連盟)によって定められた2桁の数字を用いた方式が広く採用されている。例えば、上顎の右側の第一大臼歯は「16」と表記される。歯式の語源は、歯(は)と形式(しき)を組み合わせたものであり、歯の形状や配置を示す形式を意味する。


臨床における位置づけ・判断基準

臨床において、歯式は患者の口腔内の状態を正確に記録するための重要なツールである。歯科医師は、歯式を用いて患者の歯の本数、種類、状態を把握し、治療方針を決定する。例えば、虫歯や歯周病の進行状況を評価する際にも、歯式が役立つ。また、保険点数の算定においても、歯式に基づく記録が必要であり、適切な治療を行うためには、正確な歯式の理解が不可欠である。

関連用語・類義語との違い

歯式に関連する用語としては、「口腔内写真」や「歯科診断書」が挙げられる。口腔内写真は、視覚的に歯の状態を記録するものであり、歯式とは異なり、患者の口腔内の全体像を捉えることができる。一方、歯科診断書は、診断結果や治療計画を文書化したもので、歯式を基に作成されることが多い。これらの用語は、歯式と連携して使用されることが多いが、それぞれの役割や目的は異なるため、注意が必要である。

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関連ニュース

歯式の理解と活用。歯科臨床における症例と診断のポイント

歯式の理解と活用。歯科臨床における症例と診断のポイント

歯式とは何か歯式は、歯科医療において患者の歯の状態や治療計画を視覚的に表現するための重要なツールである。歯式は、歯の位置、形状、状態を示すために用いられ、特にう蝕や歯周病の診断、治療計画の策定において不可欠である。歯式を正しく理解し、活用することで、患者の口腔内の状態を的確に把握し、適切な処置や術式を選択することが可能となる。これにより、治療の精度が向上し、患者の満足度も高まる。また、歯式は歯科衛生士や歯科医師が患者とのコミュニケーションを円滑にするための手段としても機能する。患者に対して視覚的に説明することで、治療の必要性や手順を理解してもらいやすくなる。歯式の種類と使い方歯式には、主に「国際歯式」と「日本歯式」の2種類が存在する。国際歯式は、歯の番号を用いて各歯を識別する方式であり、世界的に広く使用されている。一方、日本歯式は、歯の位置を示すために、特定の記号や番号を用いる独自の方式である。歯式を使用する際のコツとしては、まず患者の口腔内を観察し、各歯の状態を正確に記録することが重要である。次に、記録した情報を基に、適切な処置や術式を選択するための判断材料とする。また、歯式は治療経過を追跡するためにも活用される。治療後の状態を記録することで、再診時に患者の変化を把握しやすくなる。歯式を用いた診断と症例の分析歯式を用いることで、患者の口腔内の状態を詳細に診断することが可能となる。例えば、う蝕の進行状況や歯周病の程度を視覚的に把握することで、適切な治療方針を立てることができる。症例分析においては、歯式を基にしたデータを蓄積し、過去の治療結果と比較することで、治療の効果を評価することができる。これにより、今後の治療方針や術式の選択に役立てることができる。また、歯式を用いた診断は、患者に対する説明責任を果たす上でも重要である。患者に対して具体的なデータを示すことで、治療の必要性や選択肢を理解してもらいやすくなる。歯式のメリットとデメリット歯式のメリットとしては、視覚的に情報を整理できる点が挙げられる。これにより、患者の口腔内の状態を一目で把握でき、治療計画を立てやすくなる。また、歯式は治療経過を追跡するための有効な手段でもある。一方、デメリットとしては、歯式の記入に時間がかかる場合があることや、誤記入のリスクがあることが挙げられる。特に、複雑な症例においては、正確な情報を記録するために注意が必要である。このため、歯式を使用する際には、正確性を重視し、定期的な見直しや更新を行うことが重要である。歯式の導入と今後の展望歯式の導入は、歯科医療の質を向上させるために不可欠である。特に、デジタル化が進む現代においては、電子カルテとの連携が求められる。これにより、歯式の情報を迅速に共有し、治療の効率を高めることが可能となる。今後は、AI技術を活用した診断支援システムとの連携も期待されている。これにより、歯式を基にした診断がさらに精度を増し、患者に対する最適な治療を提供できるようになるだろう。歯式の活用は、歯科医療の未来においてますます重要な役割を果たすことが予想される。
1D編集部
2024年6月1日
アナログ歯科医院をブッタ斬る!超便利なデジタルカルテの機能に迫る【1D編集部、使ってみました。】

アナログ歯科医院をブッタ斬る!超便利なデジタルカルテの機能に迫る【1D編集部、使ってみました。】

世の中には、歯科医院向けのサービスが無数に存在します。多種多様なサービス、製品の中から自分の歯科医院に合ったものを見つけるのは至難の業でしょう。買ってから「失敗した…」なんて、誰もなりたくありませんよね。そこで1D編集部が総力を上げて、悩める歯科医院に代わってお試ししちゃおうという企画です。今回は歯科医院で一般的に使われている「サブカルテ」をデータ化し、タブレットで使えるようにしたDXツール「Dental eNote®︎」をレビュー。編集部に特別、ではなく一般の歯科医院でも申し込めば使うことができる無料体験版で検証していきますので、気になった方は私たちと同じようにお試しできます。無料体験版を使ってみる編集部〔左:ユースケイシカワ(歯科医師)中央:浅田りさ(歯科衛生士)右:高橋佳奈(歯科助手)〕そもそも「サブカルテ」って必要?ユースケイシカワ(以下:イシカワ):そもそもの話なんですが、サブカルテって使いますか?高橋佳奈(以下:高橋):実は私も使ったことないです…。浅田りさ(以下:浅田):えー!絶対みんな使ってるものだと思ってました。衛生士からしたら必需品ですよ。イシカワ:そうなの?でも確かに、注意事項とか諸々の申し送り事項とか、診療記録とは別にメモ書きは絶対するよね。高橋:あー、嘔吐反射が強いとか、タオルかけないとかを書いたメモは、カルテに挟んでましたね。浅田:あとは、さりげなく雑談した内容も書いてます。浅田:実際、内容を覚えていたことで話が盛り上がって、指名やリコール率が上がってました!イシカワ:なるほどね。でもそれって、カルテに直接書いちゃえばいい話じゃないの?浅田:そうすると、どこに何が書いてあるのか分からなくなったり、字が読めなかったりして、直接聞いた方が早かったりしませんか?イシカワ:あるあるだね(笑)。イシカワ:歯科医師の立場からすると、何かトラブルがあった時、患者さんから請求があればカルテを開示する必要があるから、サブカルテとして別途にしてまとめておくと、本人には伝えにくいデリケートな内容を秘密にできることもメリットな気がするな。高橋:院内で分かりやすいように、患者さんの特徴とかを暗号化している場合もありますもんね。イシカワ:患者さんと信頼関係を築くため、スムーズに業務を行うためにも、重要なコミュニケーションツールの一つとしてサブカルテは使うべきということだね。サブカルテ活用方法についての討論 現代的に変革したクラウド型システム浅田:今って紙とペンを使って手書きで記録している医院が多いと思うんですが、問診票とか治療計画とかの紙をカルテに挟みすぎると収納棚に入らなくなるくらい分厚くなって、保管場所に困りませんか?高橋:分かります。それが原因で紛失して、カルテをいちいち探し回ったり、片付ける手間もかかってたりで、苦労していたこともありました。浅田:必要な時にすぐ出てこないのは、本当に困りますよね。浅田:治療計画表とか患者さんに渡す資料を一から作成することになって、迷惑をかけてしまったこともあります。イシカワ:管理してもしきれないのは問題だよね。でももし、それら全ての悩みを解決する方法があったらどうだろう。高橋:すごく助かります…。イシカワ:「デジタル化」したサブカルテって知ってる?浅田:知らないです!デジタルってことは、紙とペンを使わない、いわゆるペーパーレスでサブカルテを管理できるということでしょうか? イシカワ:そうそう。「Dental eNote®」っていう製品で、クラウド上で全てを管理してくれるから、みんなの悩みや負担を軽減してくれると思うよ。実際に使ってみて、体験してみようか。良いこと尽くめのデジタル化◆多くのテンプレートやアイテムが搭載イシカワ:サブカルテとしてたくさんの情報を管理していく上で、テイストがバラバラだと、後でまとめるのに大変ですよね。イシカワ:決まりきった形式があると楽じゃないですか?確か、それぞれの用途に合わせたテンプレートがあるはずなんですが…。浅田:テンプレート一覧、ありました!多種多様なテンプレート テンプレート例① 問診票(成人用) テンプレート例② カウンセリング記録 高橋:色々なパターンの書式が登録されているから、必要に応じて選んで、それぞれの個人データに差し込むことができるんですね。◆手書きもテキスト文字も、全てが思うままにイシカワ:指でもペンでも良いみたいですが、試しに指で書いてみましょうか。浅田:すごい!何とも言えない書き味で、紙に書く感覚と似てる気がする。自由に手書きができるところが魅力的。高橋:患者さんと会話をしながらメモ書きするときに便利ですね。タイピングが苦手な人でも、手書きすれば良いですし! イシカワ:太さとか色も変わるし、手書き文字を後からテキスト文字に変換することも可能みたいですね。イシカワ:写真や動画の添付だけでなく、音声を入れることなども自由自在にできるそうですよ。高橋:画面が小さなスマートフォンでも、見やすくなりますね。タブレットに記入すると時差なく反映 浅田:ページ外にも文字入力や写真の貼り付けができます。余白がなくなっても、紙のように制限なく気にせず使用できますね。イシカワ:あとは驚くべき機能として、手書きでテキスト文字の入力をすると、適切な言葉の候補が表示される「Dental mazec」というのがあるみたい。イシカワ:約15,000語が搭載されていて、専門用語や入力が面倒な用語を簡単に入力できるんだって。浅田:歯式をワンタッチで書き込めると、焦って適当に書いて、あとで汚すぎて分からなくなるなんてこともなくなりますね。 高橋:手書きでもテキストでも、自分に合った方法で入力することで、ミスを防止できますね。部位の入力もワンタッチで一瞬 ◆ライブ共有でいつでもどこからでも浅田:これ、すごいですね…。タブレットで書いた内容がすぐにスマートフォンに表示されてます!高橋:診療中だと、院内を行き来しながらスタッフと情報共有を行わないといけないので、すぐに共有できるのはありがたいです。イシカワ:法人IDの一つのアカウントでみんなで使用できるから、どんな場所にいても同時に書き込みや編集することもできるみたい。 浅田:そうすると、いくつかの分院で使用していたり、訪問診療などで離れた場だったりしても、スマートフォンやPCがあればどの端末でも知りたい情報をすぐに見ることができますね。浅田:診療時間外にも役立ちそうです。スマートフォンでも見やすいレイアウト ◆すぐに見つかる充実した検索機能浅田:デジタルということは、検索や絞り込みもできるのでしょうか?イシカワ:患者名や患者番号はもちろん、タイトルや作成者名などの項目でできるみたいですね。浅田:本当だ、簡単ですね!あとは事前にノートに日時を設定しておくと、「シェアビュー」という画面に、当日予約している患者さん分の必要な情報だけが、時間通り自動的に表示されるように設定できます。「シェアビュー」一覧 高橋:この機能を使うと、情報が埋もれないですね。管理している多数のサブカルテからすぐに知りたい情報が割り出せて、必要な情報を素早く探し出せるので忙しい診療中に便利な機能ですね。優れた機能の多さに驚く二人 ◆保管場所を確保する必要なし浅田:デジタルで使用するメリットの一番は、やはりカルテ棚に置く必要がなくなることではないでしょうか?高橋:その通りだと思います。しかも空いたスペースに必要な器具器材を置くことができるようになるので、使用する種類が多い歯科医院にとっては、結果としてありがたい話ですよね。 イシカワ:ちなみにDental eNote®では、サブカルテ庫というチームフォルダがあって、そこに患者さんごとのサブカルテが格納されているようです。イシカワ:他にもスキャンボタンをワンプッシュするだけでPDFファイルに変換してくれる、ScanSnapと連携しているから、紙で作られたデータを直接取り込むことができて、移行も手間がかからないみたい。高橋:データの整理整頓にとても便利ですね。浅田:劣化しないで清潔な「美しいサブカルテ」の状態で、1つのノートとして保存管理できるということですね。本当の目的は「本来の業務に集中してもらう」こと浅田:今まで紙のサブカルテしか使ったことなかったけど、こんなに便利なことが多いこと知っちゃったし、デジタルに慣れたらアナログに戻れなさそう(笑)。高橋:今はもうリモートでオンライン診療を行っているくらい、デジタル化が当たり前の時代になっていますもんね。イシカワ:確かにこんなに便利であれば、わざわざ出し入れする必要がないし、忙しい業務時間中や診療時間外にまで探したり整理したりっていう雑務をしなくて良くなるよね。イシカワ:本来の業務に充てられる時間が増えることは、経営の面でもとても助かるんじゃないかな。浅田:結果的に集中して患者さんと向き合えるので、満足度が向上していくことにもつながりますね。高橋:そうすると、医院の経営にも大きなメリットがありそうですね。試してみたら意外と簡単かも?浅田:でも、デジタル化と聞くと「操作が難しそう」というイメージを持つ人も多いと思います。 高橋:使えるかどうか不安だったり、本当に必要なのかとか、自分の医院では役に立つのかという疑問も出てきそうですよね。浅田:そうなると、導入前に疑問や悩みを解決する方法とかないのでしょうか?体験できるとか…。イシカワ:製品版と同じくらい機能が使える、無料体験版があるみたいですね。導入後には、作成したデータをそのまま継続して使用することも可能だそうです。浅田:私も今回使ってみてデジタルの便利さを実感したので、一度は使ってから考えたいなって思います。高橋:実際にスタッフ全員で試してから、導入をぜひ検討してみていただきたいですね。 無料体験版を使ってみる
1D編集部
2023年6月29日
人類は歯を減らして「進化」を遂げた!?

人類は歯を減らして「進化」を遂げた!?

親知らずが生えない人がいる。この事例はなんと、一説によれば、人類の「進化」の過程を示しているというのだ!歯科メディアらしく今回は歯に注目して、霊長目(サルの仲間)から人類の歯の進化の流れを辿り、生き物の壮大な大河ロマンを感じてみよう。霊長目の分類まずここで、トリビア。実はサルは、大きく2つに分類できる。人類の歯の進化を見るにあたって、このトリビアは意外と重要な手掛かりとなる。もう少し細かくご紹介しよう。原猿類字のとおり、原始的なサル。目が大きく夜行性の種が多い。例:キツネザル、スローロリスなど。真猿類原猿類に比べて目が小さく、ほとんどが昼行性の種である。また、肩の可動域が広い。人類に最も近いグループであり、ヒトや類人猿も真猿類に含まれる。例:チンパンジー、ニホンザルなどつまり、原始的かそうでないか?この違いでサルの種類は大きく2つに分けられるのだ。原始的な霊長類の歯は36本キツネザルやスローロリスなどの原始的な霊長類の歯式は切歯2/2、犬歯1/1、小臼歯3/3、大臼歯3/3で、歯の総数は左右上下合わせて36本である。もちろん例外もあるが(※同グループのアイアイは上下左右合わせて18本)、基本的にはヒトよりも歯の数が多いと考えて良いだろう。真猿類の歯はヒトと同じ32本チンパンジーやニホンザルなどの真猿類に関しては過去にも紹介しているが、おさらいすると切歯2/2、犬歯1/1、小臼歯2/2、大臼歯3/3の計32本で、ヒトと同じである。【関連記事】サメの歯は6万本とも。動物版「歯の解剖学」が’面白い(https://oned.jp/posts/3156)原猿類から歯が減った理由は、食性の変化によるものと考えられている。原猿類は甲虫や植物の種子といった固いものも丸ごと食べるが、特に真猿類である類人猿は、そうではない。そのため、歯の数を減らす方向に「進化」したのだ。猿人から原人へ……臼歯列の縮小約420万年前に出現したアウストラロピテクス属の猿人は、500万年前の初期の猿人よりも大型の臼歯を持っていた。しかし、約230万年前に出現する初期の原人(※私たちの祖先であるホモ属)では、臼歯列の縮小化が起こる。大臼歯のサイズ関係も変化した。猿人の時代は第1<第2≦第3(大臼歯)であったが、初期の原人では第1<第2≧第3へと変わり、後期の原人では第1=第2>第3という傾向も現れた。現代人ではさらにこの傾向が進み、一般的には第1>第2>第3または第1≧第2≧第3(大臼歯) という関係が見られる。歯が減った理由は、これもまた食性の変化によるものと考えられている。道具で食べ物を細かくするようになったことや、柔らかい肉を多く摂取するようになったことが影響しているという説だ。原猿類から真猿類における過程と似たような理由で歯の減少が起きていることは、進化という名の大河ロマンのひとつではないだろうか。ヒトはいまも「進化」しているヒトは、歯の本数や容積をも減らして「進化」した。そして今もなお、ヒトは「進化」しつづけている。親知らずが生えないヒトの存在は、食生活の変化に伴った「進化」の過程を示しているのかもしれない。
1D編集部
2023年6月5日
”業界タブー”に挑戦。デンタルシステムズの創業秘話と革新的ビジョンとは?

”業界タブー”に挑戦。デンタルシステムズの創業秘話と革新的ビジョンとは?

第2回目の今回は、岩室社長がデンタルシステムズ株式会社にどのようなビジョンを描かれ、どのような思いで日々製品を作られているのかに注目してお話を伺いました。<第1回目はこちら:元・エンジニア社長が語る、歯科業界でDXが進まない理由>デンタルシステムズ株式会社 代表取締役 岩室圭一社長1D編集部 ユースケイシカワ(以下、イシカワ):今回のインタビューでは、ぜひ社長のお人柄の部分を掘り下げて参りたいと思います。早速ですが、社長はなぜこのようなお仕事をしようと思ったのか、デンタルシステムズさんの創業のきっかけを教えてください。 岩室 圭一 社長(以下、岩室社長):私は元々、一点モノのシステムを受託して作る注文生産型の会社でSEでした。毎回違うシステムを作れるというのは楽しかったのですが、「自分が作ったものが蓄積されて財産にはなっていってないな」と感じていました。せっかく苦労して作り上げたのに一度使えば終わりというのはとても悲しくて、たくさんの人に使ってもらいたいという想いが段々強くなったんです。 そこで「パッケージ製品を作りたい」と当時の会社の上司に何度も伝えたんですが、「売る人やメンテナンスをする人が必要であるから、今は考えられない」という意見しかもらえませんでした。そこで段々と、自分が目指す方向性が会社と違うな。という感覚になり、そこの会社を飛び出しました。 その後、同業の知人と自分が実現したかったパッケージや紙のものを電子化する電子ファイリングの仕組みを作るようになりました。今ではクラウド化とも言われ電子化が当たり前のようになっていますが、当時その時代には、先駆けすぎて周囲の理解を得られず、なかなか売れませんでした。 そんな時、たまたま知り合いから「歯科のレセコンを一緒に作ってみないか」というお誘いがあったのです。しかし私の場合、「歯科ってなんだろう?」「レセコンってなんだろう?」という状態でした。そんなスタートでしたので、開催されていたデンタルショーに行ってみることにしたのです。 そこで「このシステムで300万もするのか…!?」と思うほどレセコンが高額で販売されているのを知りました。私から見れば、そのシステムよりももっと良いモノを作れるぞ!という代物だったのです(笑)イシカワ:コンプレイセンシーの時代ということですね(笑)岩室社長:そうです、そうです。だから「もっと良いものを作れば売れる!」と私の中で心が奮い上がりました。 ただ私は歯科業界の知識が全くなかった。作るからには勉強しなければならず、知り合いの歯科医師に教えてもらいながら歯科治療の流れや仕組みを猛勉強して、そこからどっぷり浸かっていきました。そこからデンタルシステムズ株式会社としての幕開けとなったのです。歯科に対する様々な情報を取り入れながら自分が納得できるレセコンを作れたのは良かったのですが、その束の間、次は営業をどのように行うかという問題が出てきました。 同業他社の多くは、歯科のディーラーさんと一緒に販売しています。しかし、新参者がみんなと同じことをやっても絶対に勝てない、仕入れてくれるわけがないという途方もない状態でした。しかし私は、他者と全く違った売り方をしようと考えた結果…直販しかない!と思い立ったのです。 また、当時のレセコンというビジネスモデルは、6年ごとに買い換えを推奨していました。しかし私は、大した違いはないのにも関わらず、買い換えるのは絶対におかしいと感じていました。 そのようなビジネスモデルを覆すために、「レセコンを一度購入したら、システムのメンテナンスを毎月の保守料のみで行います!永久に使って頂けます!」というデンタルシステムズ株式会社にしかできない新しい形態で売り出していきました。 やはり最初は全く相手にしてくれなかったのですが、私たちの考えをわかってくれる先生たちがポツポツと現れてきて頂けました。その時は本当に感動しました…。 しかし次は、現在使用している他社製品から弊社のレセコンに切り替える際に、データの引き継ぎができないためなかなか売れないという壁にぶつかりました。私は何とかこの問題を解決しようと、最低限どのような必要な情報があれば移行できるのか?ということを、歯科医師の先生と徹底的に話し合いました。 そしてそのデータを移行できるように、A社はこれ、B社はこれ、といった会社ごとのデータ引き抜きツールを作れば良いといった結論になり、レセコンを作り上げるのと同じくらいパワーをかけて開発していきました。新しいメーカーさんから出れば、それに合うように開発します。それを繰返し続けて続けて…今ではもう、日本全国ほとんど全てのメーカーさんに対応した仕組みを生み出すことに成功しています。データをある一定の標準形式にしてしまえば同じツールにできるということです。イシカワ:なるほど…自力でHL7(Health Level 7)と言いますか、標準化するツールを作ってきたような感じですよね。30年前程は僕もあまり詳しくはないのですが、レセプト自体がデータ化して間もなかったわけですよね。本当にクラウドの先駆けとなっているのがデンタルシステムズさんの仕組みなのですね〜。でも全てのものに対応できるよう開発することは、相当困難だったのではないでしょうか?岩室社長:そうですね。データを引き抜く作業、これは本当に苦労しました。コンピュータを紐解いたら01の羅列で、それが商品コードや点数でしかも他社製品ごとに違って無数にあるので、ある意味謎解きでした。今はデータベース化して分かりやすくなっていますが、当時は自力で探し当てなければならないというところが難関で、膨大なデータから地道に推測して、「売るためには〇〇社のデータを引き抜け!!」と夜も寝ずに死に物狂いで作業をしていた記憶があります。 それをやったからこそ今があると思うと、頑張って良かったと心の底から感じています。イシカワ:クラウド化をしようとしたきっかけや、クラウド化することへのこだわりは何だったのでしょうか?岩室社長:データを集中管理したいソフトウェアをサーバーから廃止したいユーザーに自由に好きな端末を選んで使用してもらいたいの主に3つですね。そして何よりも、クラウド化した方がスピード感が全く違って非常に早いという特徴があります。より便利に先生方に使って頂きたい。そんな気持ちで取り組んできました。実は、十数年前くらいからクラウド化したいとは思っていました。しかし、当時はクラウド化するためのツールがレセコンより高すぎて買えなかったという辛い現実がありました。 しかし転機になったのは4年前。現在のWindowsのPower4Gをクラウドに移行できるツールを持っていたある会社と出会いがありました。その時、「価格を抑えてクラウド化できるのはこれだ…!」とお宝を見つけたような感覚でした。十数年間の想いが、ここに叶ったと確信しました。 それから私は会社の全財産を投げ打ってその会社を買収し、今の子会社としました。本当に嬉しかったですね〜〜。イシカワ:すごく運命的な出会いがあったんですね。そのようなクラウド化に強くこだわりの想いをお持ちの社長が、やりがいを感じる瞬間はいつでしょうか?岩室社長:パッケージを作る!と意気込んで前の会社を飛び出した理由でもありますが、一番は使ってくれている先生が喜んでもらえることです。たくさんの人に喜んでもらいたいという想いだけです。 私は直接会って話すことが好きなので、昔はよく現場に行ってそのような嬉しい声をよく伺えていましたが、最近は個々でお会いするのが少なくなりましたが営業チームからそのような話を聞くとやはり嬉しい気持ちになります。 「このレセコンはいいね」「使いやすいね」「最高だね」という声を聞くだけでも、嬉しくて仕方がありません。やっていてよかった、これからもやっていこうと思える瞬間です。イシカワ:この業界において、社長が自分で認識している使命感は何でしょうか?岩室社長:今までタブー視とされていた、データの引き抜きやクラウド化にすることをやってきた経験から、他社がやりたがらないことをやり続ける会社で在りたいと思っています。特にこれからはDXの標準化するために、色々なことにみんなでチャレンジをしていきたいと思います。さらに今後の構想としてあるのが、HPにも記載させて頂いていますが、クラウド上にあるデータと繋げてAIによる診断をしていくことです。AI診断こそ正確で、術者による揺らぎが全くなくなるため、標準化されるというのが非常にメリットなのです。 ちなみに現在「歯式」に関しては既に完成していているので、パノラマ画像をいれたらどのメーカーの製品でも対応できるように他社にもその仕組みをオープンにして、どこのメーカーからも情報を出せるようにしていきたいと思っています。 そうなると、全国のパノラマによるデータが知らず知らずの内にデンタルシステムズに集まってきて、それが厚生労働省の欲しがるようなビックデータとなると予測しています。このような取り組みをすることが、私がデンタルシステムズ株式会社でしなければならない、最後の使命だと思っています。イシカワ:社長が将来思い描いている、デンタルシステムズさんとしてのビジョンをぜひ教えてください。岩室社長:歯科版のM3のような存在となりたいですね。イシカワ:我々の競合となってしまいそうですが…大丈夫でしょうか!?(笑)岩室社長:ですね(笑)ただその意図は、DXの記事の時にもお伝えしましたが、一番強い想いとして色々な会社と一体化するプラットホームを建築したいということです。 私の仕事観や人生観は、最初に勤めた受託会社の社長から、物事の本質を捉えるまでのアプローチの方法問題解決力の大事さをしこたま教えられました。全てがその方の教えでできているくらい、私の真髄にあります。 歯科医療者の問題に対して、デンタルシステムズ株式会社にしかできない形態のサービスを、これからも提供していきたいと思っています。〜番外編〜 ユースケイシカワのインタビュー感想前回に続いて岩室社長のお人柄を掘り下げてきましたが、一言で“パワフル”だなと思いました。自分が良いと思ったこと、世の中のためになると思ったことへの、社長自身の推進力があってこそ今があると感じます。「常識をぶっ壊す」精神はシンパシーを感じざるをえず、一気に距離が縮まったと勝手に思いました。岩室社長のバイタリティに倣って、僕らも全力で業界の発展に貢献していこうと、インタビューを通して再確認しました。改めまして、岩室社長ならびにご協力いただいたデンタルシステムズの皆様に感謝申し上げます。【関連記事】>歯科業界のDXに取り組んでいる、デンタルシステムズ株式会社のオフィスに行ってみた>元・エンジニア社長が語る、歯科業界でDXが進まない理由
1D編集部
2023年2月24日
乳歯・永久歯の「次の歯」生やす?先天性無歯症の治療薬開発から着想

乳歯・永久歯の「次の歯」生やす?先天性無歯症の治療薬開発から着想

「先天性無歯症」治療薬開発に光明か先天性無歯症は、その名の通り先天的に歯のすべてが欠如している状態のことをいう。6本以上の歯の欠損を認める症例が遺伝性とされ、その発症頻度は全人口の0.1%と報告されている。原因遺伝子としてはEDA、MSX1、WNT10A、RUNX2などが同定され、その多くがマウスとヒトで共通である。症候群性先天性無歯症である無汗性外胚葉異形成症は、10万出生あたり15.8人と希少疾患に該当する。先天性無歯症の患者は、顎骨の発達期である幼少期より無歯症となるため、成長期にオーラルフレイルの状態となりやすく、栄養の確保や成長・発育に悪影響を及ぼす。これまで、先天性無歯症には義歯やインプラントによる補綴治療が行われてきた。根治的な治療として、歯の再生治療が検討されているものの、細胞のリソースやコスト、安全性に関する問題で臨床応用までは至っていない状況であった。そこで京都大学や福井大学、愛知県医療療育総合センターを中心とした研究チームは、臨床応用において細胞を用いずに歯の再生が可能な治療薬として、USAG-1タンパクをターゲットとした分子標的薬の開発を試みた。研究成果は、国際学術誌「Science Advances」に掲載されている。フェレットでも第三生歯の誘導に成功先天性無歯症モデルマウスに、過剰歯の原因遺伝子のひとつであるUSAG-1を標的分子とする抗体を腹腔内投与することにより、無歯症が回復することが実験によって示された。また、野生型のマウスでも同じく抗USAG-1抗体を投与し、完全な形の新しい歯を再生することが確認された。USAG-1とは、Uterine sensitization associated gene-1の略語で、別名Sclerostin domain containing 1(SOSTDC1)、ectodin、Wnt modulator in surface ectoderm(WISE)とも呼ばれている。しかし、マウスは乳歯と永久歯の区別がない「一生歯性」で、切歯1本と大臼歯3本という、ヒトの歯とは異なる歯式を持つ動物である。臨床に応用するためには「二生歯性」、すなわち乳歯と永久歯があることや、歯式の近い動物での検証も必要であった。イタチ科の小動物・フェレットは二生歯性であり、歯式もヒトのそれに類似していることから、研究チームはフェレットにもマウス抗USAG-1抗体を投与した。その結果、永久歯の後に萌出する第三生歯を誘導することができたという。永久歯の "次の歯" 生やすゲームチェンジなるか超高齢社会における健康寿命の延伸に向けた先制医療への取り組みは、日本の医療・ヘルスケア戦略の重要な柱である。我が国における歯の欠損を有する患者は、高齢者を中心に約3,000万名以上と報告されている。言うまでもなく、ヒトの歯は大臼歯が一生歯性である以外は二生歯性で、歯数は厳密に制御されているから、一度永久歯を失えば、補綴処置に頼らざるを得ない。研究チームは、本研究から始まる技術を用いて、"永久歯の後継歯(第三生歯)を形成させる" という、歯科医療の常識を覆す「ゲームチェンジング」な治療法の確立を目指す、と語っている。これまで歯の切削や抜歯という行為は不可逆的な侵襲と位置付けられていたが、これが臨床応用されれば、「歯そのものを取り替える」という新しい治療概念が生まれることだろう。今後の研究に期待したい。参考文献Murashima-Suginami, A., Kiso, H., Tokita, Y., Mihara, E., Nambu, Y., Uozumi, R., ... & Takahashi, K. (2021). Anti–USAG-1 therapy for tooth regeneration through enhanced BMP signaling. Science Advances, 7(7), eabf1798.先天性無歯症に対する分子標的薬の開発 −USAG-1を標的分子とした歯再生治療−, 京都大学, <URL>『最新 口腔外科学 第5版』, 榎本昭二ら, 医歯薬出版株式会社, 2017.
宇梶 淳平
2022年1月10日

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