第2回目の今回は、岩室社長がデンタルシステムズ株式会社にどのようなビジョンを描かれ、どのような思いで日々製品を作られているのかに注目してお話を伺いました。
デンタルシステムズ株式会社 代表取締役 岩室圭一社長1D編集部 ユースケイシカワ(以下、イシカワ):今回のインタビューでは、ぜひ社長のお人柄の部分を掘り下げて参りたいと思います。早速ですが、社長はなぜこのようなお仕事をしようと思ったのか、デンタルシステムズさんの創業のきっかけを教えてください。
岩室 圭一 社長(以下、岩室社長):私は元々、一点モノのシステムを受託して作る注文生産型の会社でSEでした。毎回違うシステムを作れるというのは楽しかったのですが、「自分が作ったものが蓄積されて財産にはなっていってないな」と感じていました。
せっかく苦労して作り上げたのに一度使えば終わりというのはとても悲しくて、たくさんの人に使ってもらいたいという想いが段々強くなったんです。
そこで「パッケージ製品を作りたい」と当時の会社の上司に何度も伝えたんですが、「売る人やメンテナンスをする人が必要であるから、今は考えられない」という意見しかもらえませんでした。そこで段々と、自分が目指す方向性が会社と違うな。という感覚になり、そこの会社を飛び出しました。
その後、同業の知人と自分が実現したかったパッケージや紙のものを電子化する電子ファイリングの仕組みを作るようになりました。今ではクラウド化とも言われ電子化が当たり前のようになっていますが、当時その時代には、先駆けすぎて周囲の理解を得られず、なかなか売れませんでした。
そんな時、たまたま知り合いから「歯科のレセコンを一緒に作ってみないか」というお誘いがあったのです。しかし私の場合、「歯科ってなんだろう?」「レセコンってなんだろう?」という状態でした。そんなスタートでしたので、開催されていたデンタルショーに行ってみることにしたのです。
そこで「このシステムで300万もするのか…!?」と思うほどレセコンが高額で販売されているのを知りました。私から見れば、そのシステムよりももっと良いモノを作れるぞ!という代物だったのです(笑)
イシカワ:コンプレイセンシーの時代ということですね(笑)
岩室社長:そうです、そうです。だから「もっと良いものを作れば売れる!」と私の中で心が奮い上がりました。
ただ私は歯科業界の知識が全くなかった。作るからには勉強しなければならず、知り合いの歯科医師に教えてもらいながら歯科治療の流れや仕組みを猛勉強して、そこからどっぷり浸かっていきました。そこからデンタルシステムズ株式会社としての幕開けとなったのです。
歯科に対する様々な情報を取り入れながら自分が納得できるレセコンを作れたのは良かったのですが、その束の間、次は営業をどのように行うかという問題が出てきました。
同業他社の多くは、歯科のディーラーさんと一緒に販売しています。しかし、新参者がみんなと同じことをやっても絶対に勝てない、仕入れてくれるわけがないという途方もない状態でした。しかし私は、他者と全く違った売り方をしようと考えた結果…直販しかない!と思い立ったのです。
また、当時のレセコンというビジネスモデルは、6年ごとに買い換えを推奨していました。しかし私は、大した違いはないのにも関わらず、買い換えるのは絶対におかしいと感じていました。
そのようなビジネスモデルを覆すために、「レセコンを一度購入したら、システムのメンテナンスを毎月の保守料のみで行います!永久に使って頂けます!」というデンタルシステムズ株式会社にしかできない新しい形態で売り出していきました。
やはり最初は全く相手にしてくれなかったのですが、私たちの考えをわかってくれる先生たちがポツポツと現れてきて頂けました。その時は本当に感動しました…。
しかし次は、現在使用している他社製品から弊社のレセコンに切り替える際に、データの引き継ぎができないためなかなか売れないという壁にぶつかりました。私は何とかこの問題を解決しようと、最低限どのような必要な情報があれば移行できるのか?ということを、歯科医師の先生と徹底的に話し合いました。
そしてそのデータを移行できるように、A社はこれ、B社はこれ、といった会社ごとのデータ引き抜きツールを作れば良いといった結論になり、レセコンを作り上げるのと同じくらいパワーをかけて開発していきました。
新しいメーカーさんから出れば、それに合うように開発します。それを繰返し続けて続けて…今ではもう、日本全国ほとんど全てのメーカーさんに対応した仕組みを生み出すことに成功しています。データをある一定の標準形式にしてしまえば同じツールにできるということです。
イシカワ:なるほど…自力でHL7(Health Level 7)と言いますか、標準化するツールを作ってきたような感じですよね。30年前程は僕もあまり詳しくはないのですが、レセプト自体がデータ化して間もなかったわけですよね。本当にクラウドの先駆けとなっているのがデンタルシステムズさんの仕組みなのですね〜。でも全てのものに対応できるよう開発することは、相当困難だったのではないでしょうか?
岩室社長:そうですね。データを引き抜く作業、これは本当に苦労しました。コンピュータを紐解いたら01の羅列で、それが商品コードや点数でしかも他社製品ごとに違って無数にあるので、ある意味謎解きでした。
今はデータベース化して分かりやすくなっていますが、当時は自力で探し当てなければならないというところが難関で、膨大なデータから地道に推測して、「売るためには〇〇社のデータを引き抜け!!」と夜も寝ずに死に物狂いで作業をしていた記憶があります。
それをやったからこそ今があると思うと、頑張って良かったと心の底から感じています。
イシカワ:クラウド化をしようとしたきっかけや、クラウド化することへのこだわりは何だったのでしょうか?
の主に3つですね。そして何よりも、クラウド化した方がスピード感が全く違って非常に早いという特徴があります。より便利に先生方に使って頂きたい。そんな気持ちで取り組んできました。
実は、十数年前くらいからクラウド化したいとは思っていました。しかし、当時はクラウド化するためのツールがレセコンより高すぎて買えなかったという辛い現実がありました。
しかし転機になったのは4年前。現在のWindowsのPower4Gをクラウドに移行できるツールを持っていたある会社と出会いがありました。その時、「価格を抑えてクラウド化できるのはこれだ…!」とお宝を見つけたような感覚でした。十数年間の想いが、ここに叶ったと確信しました。
それから私は会社の全財産を投げ打ってその会社を買収し、今の子会社としました。本当に嬉しかったですね〜〜。
イシカワ:すごく運命的な出会いがあったんですね。そのようなクラウド化に強くこだわりの想いをお持ちの社長が、やりがいを感じる瞬間はいつでしょうか?
岩室社長:パッケージを作る!と意気込んで前の会社を飛び出した理由でもありますが、一番は使ってくれている先生が喜んでもらえることです。たくさんの人に喜んでもらいたいという想いだけです。
私は直接会って話すことが好きなので、昔はよく現場に行ってそのような嬉しい声をよく伺えていましたが、最近は個々でお会いするのが少なくなりましたが営業チームからそのような話を聞くとやはり嬉しい気持ちになります。
「このレセコンはいいね」「使いやすいね」「最高だね」という声を聞くだけでも、嬉しくて仕方がありません。やっていてよかった、これからもやっていこうと思える瞬間です。
イシカワ:この業界において、社長が自分で認識している使命感は何でしょうか?
岩室社長:今までタブー視とされていた、データの引き抜きやクラウド化にすることをやってきた経験から、他社がやりたがらないことをやり続ける会社で在りたいと思っています。特にこれからはDXの標準化するために、色々なことにみんなでチャレンジをしていきたいと思います。
さらに今後の構想としてあるのが、HPにも記載させて頂いていますが、クラウド上にあるデータと繋げてAIによる診断をしていくことです。AI診断こそ正確で、術者による揺らぎが全くなくなるため、標準化されるというのが非常にメリットなのです。
ちなみに現在「歯式」に関しては既に完成していているので、パノラマ画像をいれたらどのメーカーの製品でも対応できるように他社にもその仕組みをオープンにして、どこのメーカーからも情報を出せるようにしていきたいと思っています。
そうなると、全国のパノラマによるデータが知らず知らずの内にデンタルシステムズに集まってきて、それが厚生労働省の欲しがるようなビックデータとなると予測しています。このような取り組みをすることが、私がデンタルシステムズ株式会社でしなければならない、最後の使命だと思っています。
イシカワ:社長が将来思い描いている、デンタルシステムズさんとしてのビジョンをぜひ教えてください。
岩室社長:歯科版のM3のような存在となりたいですね。
イシカワ:我々の競合となってしまいそうですが…大丈夫でしょうか!?(笑)
岩室社長:ですね(笑)ただその意図は、DXの記事の時にもお伝えしましたが、一番強い想いとして色々な会社と一体化するプラットホームを建築したいということです。
私の仕事観や人生観は、最初に勤めた受託会社の社長から、物事の本質を捉えるまでのアプローチの方法問題解決力の大事さをしこたま教えられました。全てがその方の教えでできているくらい、私の真髄にあります。
歯科医療者の問題に対して、デンタルシステムズ株式会社にしかできない形態のサービスを、これからも提供していきたいと思っています。
前回に続いて岩室社長のお人柄を掘り下げてきましたが、一言で“パワフル”だなと思いました。
自分が良いと思ったこと、世の中のためになると思ったことへの、社長自身の推進力があってこそ今があると感じます。
「常識をぶっ壊す」精神はシンパシーを感じざるをえず、一気に距離が縮まったと勝手に思いました。
岩室社長のバイタリティに倣って、僕らも全力で業界の発展に貢献していこうと、インタビューを通して再確認しました。
改めまして、岩室社長ならびにご協力いただいたデンタルシステムズの皆様に感謝申し上げます。