歯科用語集
2025年10月28日

舌圧

「舌圧」とは?歯科用語の解説と症例を紹介

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定義・語源

舌圧とは、舌が口腔内の他の構造物に対して加える圧力を指す。舌圧は、言語機能や咀嚼、嚥下において重要な役割を果たす。語源は「舌」と「圧」に由来し、舌が物理的に他の部位に対して力を加える様子を表現している。舌圧は、特に小児の発育や口腔機能の評価において重要な指標とされている。舌圧の測定は、臨床現場での診断や治療方針の決定に寄与する。


臨床における位置づけ・判断基準

臨床において舌圧は、口腔機能の評価や治療計画の策定において重要な位置づけを持つ。特に、舌圧が低下している場合、言語発達や食事摂取に影響を及ぼす可能性があるため、早期の評価が求められる。舌圧の測定は、専用の機器を用いて行われ、数値化された結果は、治療の効果を評価するための判断基準ともなる。また、舌圧の正常範囲は年齢や個人差により異なるため、基準値を理解することが重要である。

関連用語・類義語との違い

舌圧に関連する用語には「舌機能」や「口腔圧」がある。舌機能は舌の動きや役割全般を指し、舌圧はその一部であるため、舌機能の評価には舌圧の測定が含まれることが多い。一方、口腔圧は口腔内全体の圧力を指し、舌圧とは異なる概念である。舌圧は特に舌の動きに焦点を当てているため、口腔圧とは区別される。これらの用語を正しく理解することで、臨床での適切な評価と治療が可能となる。

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舌圧の評価と臨床応用。歯科医療における診断と処置のポイント

舌圧の評価と臨床応用。歯科医療における診断と処置のポイント

舌圧の定義と重要性舌圧とは、舌が歯や口腔内の構造に対してかける圧力を指す。これは、口腔機能や咀嚼、発音、飲み込みにおいて重要な役割を果たす。舌圧の評価は、特に小児や高齢者における口腔機能の診断において重要である。舌圧が適切でない場合、食事やコミュニケーションに支障をきたすことがあるため、歯科医師や歯科衛生士はこの評価を通じて、患者の口腔健康を維持するための適切な処置や術式を選択する必要がある。舌圧の測定方法と手順舌圧の測定には、専用の舌圧測定器を使用することが一般的である。測定手順は以下の通りである。まず、患者にリラックスしてもらい、舌圧測定器を舌の中央に置く。次に、患者に舌を押し付けるよう指示し、最大圧を記録する。この際、測定器の位置や患者の姿勢に注意を払い、正確なデータを得ることが重要である。舌圧の測定結果は、口腔機能の評価や治療計画の立案に役立つ。舌圧の異常と関連症状舌圧の異常は、様々な口腔内の症状や疾患と関連している。例えば、舌圧が低下している場合、咀嚼や飲み込みに困難を感じることがある。また、舌圧の低下は、口腔内の筋力低下や神経障害が原因であることが多い。逆に、舌圧が過剰な場合は、歯列に対する圧力が強くなり、歯の移動や歯周病のリスクが高まる可能性がある。これらの症状を理解し、適切な診断を行うことが、歯科医療における重要な役割である。舌圧に関連する処置と術式舌圧の異常に対する処置や術式は、患者の状態に応じて異なる。例えば、舌圧が低下している場合、口腔内の筋力を強化するためのリハビリテーションや、舌の運動訓練が推奨される。また、舌圧が過剰な場合は、歯列矯正や口腔内装置の使用が考慮される。これらの処置は、患者の口腔機能を改善し、生活の質を向上させるために重要である。舌圧評価のメリットとデメリット舌圧の評価には、いくつかのメリットとデメリットが存在する。メリットとしては、舌圧を測定することで、口腔機能の状態を客観的に把握できる点が挙げられる。また、早期に異常を発見することで、適切な処置を行うことが可能となる。一方で、デメリットとしては、測定器の準備や操作に手間がかかること、患者に対して不快感を与える可能性がある点が挙げられる。これらの点を考慮し、舌圧の評価を行うことが重要である。舌圧の評価における注意点舌圧を評価する際には、いくつかの注意点がある。まず、患者の年齢や健康状態に応じて、適切な測定方法を選択することが重要である。また、測定時には患者にリラックスしてもらい、正確なデータを得るための環境を整える必要がある。さらに、舌圧の測定結果を解釈する際には、他の口腔機能や症状との関連を考慮し、総合的な判断を行うことが求められる。舌圧評価の臨床応用と今後の展望舌圧の評価は、今後の歯科医療においてますます重要な役割を果たすと考えられる。特に、高齢化社会においては、口腔機能の維持が生活の質に直結するため、舌圧の評価を通じて早期に問題を発見し、適切な処置を行うことが求められる。また、最新の技術や研究成果を取り入れた舌圧評価の方法が開発されることで、より正確な診断や治療が可能になることが期待される。
1D編集部
2024年6月1日
多様化する機能的矯正装置の懸念と有効性を考える

多様化する機能的矯正装置の懸念と有効性を考える

現在、歯科矯正学の進歩に伴い、矯正歯科治療に用いられる装置は多種多様である。 各種矯正装置の分類方法については可撤式矯正装置、固定式矯正装置顎内固定装置、顎間固定装置、顎外固定装置器械的矯正装置、自然的矯正装置、機能的矯正装置などと分類する方法がある。今回は多様化している歯科矯正装置についてまとめた。機能的矯正装置完全まとめ2022年12月15日(木)、機能的矯正装置をテーマとしたセミナーが開催される。カスタムメイドの機能的矯正装置を中心に、その製作法から治療手順、口腔周囲筋のコントロール、行動変容に至るまで奥羽大学の福井教授に解説いただく。1Dプレミアム会員なら無料で視聴できるので、ぜひこの機会に受講してほしい。1Dプレミアムでセミナーをみる機能的矯正装置とは?機能的矯正装置とは、口腔周囲軟組織の機能的な働きや張力を矯正力として利用することで、顎に整形外科的な変化や歯の移動をもたらす装置であり、myofunctional applianceとも呼ばれる。通常、弾線やエラスティックなどそれ自体で矯正力を発揮する構造を持たない。 現在、筋機能と矯正治療との関係は、矯正力として筋緊張を利用する。矯正力として筋運動を利用する。異常な筋機能を排除し、機能の調和により形態の改善をはかる。という観点から考えられているが、それぞれの理論に従いさまざまな装置や方法が開発され、咬合関係や上下顎の前後的位置関係、垂直的位置関係の改善を目的に使用されている。 装置のバリエーション機能的矯正装置は、装置を口腔内から取り外せるかどうかで固定式矯正装置と可撤式矯正装置に分類され、また固定源を歯に求めるものと口腔粘膜に求めるものとに分けられる。それぞれオーダーメイドのものとレディメイドのものがある。 オーダーメイドの装置オーダーメイドの装置として、患者自らが自由に取り外すことのできない固定式のものはハーブストアプライアンスがある。また、患者自らが自由に着脱できる可撤式のものとしては、アクチバトール、これをより簡素化したビムラー装置やバイオネーター、バイトジャンピングアプライアンス、ツインブロック装置、ファンクショナルレギュレーター(フレンケルの装置)がある。咬合斜面板、咬合挙上板は床矯正装置に咬合斜面や咬合板を形成したもので、一種の機能的矯正装置である。固定源を歯に求めずに口腔前庭の粘膜によって維持する唯一の装置としてはファンクションレギュレーター(フレンケルの装置)があり、その他の装置は歯列負担型である。歯列弓には、唇舌的、頬舌的に口腔周囲筋の作用が働いており、口腔前庭から歯列に加わる力と固有口腔からの舌圧とのバランスがとれたところで歯列弓が形成される。オーダーメイドの装置の最大の利点は、印象採得によって作られた模型をもとに適合性の良好な装置を作れるところである。欠点としては、矯正装置完成までに時間と手間がかかること、低年齢児や非協力児などでは印象採得なども難しいことである。 レディメイドの装置レディメイドの装置としては各社からさまざまな種類が出されているが、マウスピース型矯正装置として上下一体型のプレオルソやマイオブレース、T4K、マルチファミリー、ムーシールドなどがある。口腔機能訓練を同時に行う使用方法もあり、それによってより大きな効果が得られ、後戻りがしにくいとされている。レディメイドの大きな利点としては、既製品で口腔の大きさ別にサイズが各種取り揃えてあるため、装置作成のための技工操作が必要ではなく、それによるタイムロスがないことである。また、口腔内での印象採得が難しい低年齢児や非協力児にも即日使用が可能である。弾性があるため、装置自体が壊れることはまずないこと、使用サイズが適正であれば痛みもなく、口腔筋機能訓練も同時に行うことも可能であり、術者にとっては取り扱いのしやすい装置であるといえる。装置の調整もほとんどないため、通院間隔も長く、遠方から来院される方にも向いている。欠点としては、装置自体に弾性はあるものの、オーダーメイドではないため口腔内での違和感がオーダーメイドと比べると強いことがあげられる。また個々に応じた微細な調整が難しいため、明確な治療のゴールを設定していないと十分な治療結果が認められないことがある。安易に装置を使用するのではなく、適切な分析とそれによる診断をもとに使用されるべきである。矯正力には懐疑的な意見も上記のように機能的矯正装置にはさまざまな種類があり、それぞれの特徴を踏まえ、適切な時期に導入していくことで大きな効果が得られる。機能的矯正装置は混合歯列期に使用されることが多いが、成長に合わせて適切な時期を見極め、使用することが重要である。しかしながら、機能的矯正装置を使用するだけですべての不正咬合に関する問題が解決するわけではないことを念頭に置いておかねばならない。目標とする歯列や咬合を完成させるため、正しい診断と矯正装置の選択は必要不可欠であり、どんな症例でも無理に機能的矯正装置を使用するのではなく、適切な症例を選択し用いることが重要である。機能的矯正装置で矯正をはじめ、治療途中でその方法に限界があった場合は、すぐに診断を見直し、他の方法で対処できる技量の蓄積、または矯正専門医との緊密な連携治療も必要である。機能的矯正装置完全まとめ2022年12月15日(木)、機能的矯正装置をテーマとしたセミナーが開催される。カスタムメイドの機能的矯正装置を中心に、その製作法から治療手順、口腔周囲筋のコントロール、行動変容に至るまで奥羽大学の福井教授に解説いただく。1Dプレミアム会員なら無料で視聴できるので、ぜひこの機会に受講してほしい。1Dプレミアムでセミナーをみる
482 TSUNAGU
2022年11月24日
【著者本人が解説】開口力が小さい場合、嚥下障害のリスクになる

【著者本人が解説】開口力が小さい場合、嚥下障害のリスクになる

歯科医療に求められていること日本は2007年に超高齢社会に突入し、2021年現在、高齢化率は過去最高の29.1%となりました。社会の変化と共に歯科医療では、歯の形態回復を中心とした治療中心型の歯科医療から口腔機能の維持・回復に重点を置いた診療が求められるようになってきています。特に歯科医療においては、咀嚼機能の回復と共に嚥下機能の管理も必要とされています。嚥下というと嚥下造影検査(VF)や嚥下内視鏡検査(VE)、もしくは口腔機能低下症の診断基準のひとつであるEAT-10(Eating Assessment Tool-10)を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。VFやVEは診断に、EAT-10はスクリーニングに用いられ、いずれも誤嚥を防ぎ、安全な経口摂取を維持することが目的となっています。誤嚥のメカニズムとは?嚥下とは舌骨上筋が収縮することで舌骨と甲状軟骨が挙上し、食道入口部の開大により食べ物は食道へと進んでいく過程を指します。舌骨上筋が収縮する力が低下すると、食べ物は咽頭に残留してしまい、誤嚥を引き起こします。そのため嚥下機能を評価する際、舌骨上筋群の筋力は重要な指標のひとつとなります。舌骨上筋の筋力については、これまでVFでしか評価することができませんでした。一方でこの舌骨上筋は舌骨の挙上だけではなく、開口時に下顎骨を下げる働きも持っています。開口力と嚥下障害の関係を解明した論文を発表そこで筆者の所属する東京医科歯科大学摂食嚥下リハビリテーション学分野では、開口力(口を開ける力)を計測する「開口力計」の開発と臨床応用を進めてきました。開口力計の使い方を図に示します。そして筆者らは今回、開口力と嚥下障害の関連を解明し、論文として発表することができました。論文タイトル:Jaw-Opening Force as a Useful Index for Dysphagia: A Cross-Sectional and Multi-Institutional Study掲載誌:Gerontology今回の論文では、2018年11月から2020年1月に大学病院4施設および地域調査2会場を訪れた方のうち、研究への参加に同意した65歳以上の男女計460名を対象としました。全員に対して開口力計を用いて開口力を計測したほか、舌圧、下腿周囲長、握力、体格指数(BMI)の計測および嚥下障害の有無、日常生活動作、既往歴を聴取しました。また対象者の食形態を調査し、食べている食形態によって嚥下障害の度合いを分類するFOIS (Functional Oral Intake Scale)を用いて評価しました。口から食事を摂っていない方、つまり、胃瘻などの経管栄養を利用している方や食形態の調整が必要な方を嚥下障害ありと定義しました。さらに、普通の食事を摂っている方にはEAT-10も行い、飲み込みに関する困難さを抱えている方も嚥下障害ありと定義しました。そして日常生活動作についてはバーセル指数を用い、食事や着替えといった日常の基本的な動作について介助が必要でない方を自立と定義しました。460名のうち、認知症がある方、顎関節症により開口力を計測できなかった方、食形態が明らかでなく嚥下障害の有無を判断できなかった方のデータを除外し、最終的に403名のデータが解析に用いられました。まず403名のデータを元に嚥下障害のある方とない方の特徴を比較したところ、嚥下障害のある方は開口力・舌圧・下腿周囲長・BMI・日常生活動作の5項目について有意に低下していることが分かりました。次に多変量解析を行い、年齢・性別・嚥下障害を引き起こす疾患の有無と舌圧を調整した結果、嚥下障害の有無と有意に関連する因子は「開口力」「下腿周囲長」「日常生活動作」の3項目でした。本研究結果より、開口力が小さいと嚥下障害のリスクとなることが示唆されました。開口訓練の重要性について舌骨上筋は嚥下時の食道入口部の開大や気道防御において重要な役割を果たします。これまで舌骨上筋の筋力を簡易的に評価する手法はなかったのですが、本研究により開口力計を用いて測定される開口力が舌骨上筋の筋力評価を嚥下障害の指標として有用であることが明らかとなりました。開口力は、簡単にかつ身体への侵襲なく計測できることが特徴です。食事中のむせこみや食べ物が喉に残るといった症状を持つ方に対して、開口力を計測することで場所や職種を問わず、嚥下障害や嚥下機能の低下を早期に発見できる可能性があります。また開口力と嚥下障害との関連が明らかになったことから、開口訓練という口を開けるトレーニングを行うことで開口力が増加し、嚥下機能が向上するということも考えられます。
柳田 陵介
2022年7月6日
医科歯科大、嚥下関連筋の加齢変化を解析 サルコペニア予防に光か

医科歯科大、嚥下関連筋の加齢変化を解析 サルコペニア予防に光か

東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科摂食嚥下リハビリテーション学分野の山口浩平特任助教と戸原玄教授の研究グループは、加齢における嚥下関連筋量の変化とその関連因子をつきとめた。研究成果は、国際科学誌 Journal of the American Medical Directors Association (JAMDA)に、2020年11月20 日にオンライン版で発表されている。 嚥下に関わる筋は加齢変化する?嚥下障害は様々な因子で起こるが、舌、舌骨上筋群などの嚥下関連筋の加齢による衰えもその一因であると考えられている。加齢に伴う筋量や筋力の低下、つまりサルコペニアは、転倒や入院などのリスク因子になり、嚥下障害との関連も報告されている。これまでの研究では摂食嚥下障害患者の舌や舌骨上筋群の筋力や機能にばかり注目が集まり、「筋量」自体の調査は進んでいなかった。嚥下障害がない場合、舌や舌骨上筋群はどう加齢変化し、どんな因子が関連するのかは未開であった(図 1)。研究グループは嚥下障害でない成人と高齢者の舌、舌骨上筋群(オトガイ舌骨筋、顎二腹筋前腹)の筋量に着目し、それらの加齢変化と関連する因子について調査した。 男女間の差が明らかに20代から40代までの成人、65歳以上の高齢者合わせて146名を対象者とし、超音波診断装置を用いて、舌、オトガイ舌骨筋、顎二腹筋前腹を観察、さらに専用のソフトウェアで筋断面積を計測した(図 2)。また筋断面積に関連しうる因子として、歯の欠損、体格指数(BMI)、四肢骨格筋量指数を記録した。四肢骨格筋量計測は生体電気インピーダンス法と呼ばれる、ジムなどでも使われている非侵襲で簡易な計測法を用いている。成人群と高齢者群でそれぞれの筋肉の断面積を比較し、加齢、歯の欠損、BMI、四肢骨格筋量指数が当該筋の断面積に関連するかどうかを男女別で統計的に解析した結果、舌断面積は高齢者群の方が成人群よりも大きくなる傾向にあり、舌骨上筋群は加齢で明らかに萎縮していた。男性の舌断面積の解析では加齢以外に、BMI、四肢骨格筋量指数といった全身との関連も認めたが、女性の舌断面積の解析では統計的に有意な結果を得られなかった。顎二腹筋前腹は男女ともに加齢とBMIの関連を認めた。一方でオトガイ舌骨筋は男女ともに加齢のみの関連であり、全身因子の関連は認めず、歯の欠損はいずれの筋量にも関連しなかった。また嚥下関連筋量の意義を検討するために、当該筋の筋力の指標である舌圧、開口力との関係を検討した(図 3)。舌圧は舌筋力の指標、開口力は舌骨上筋群(特にオトガイ舌骨筋)筋力の指標であり、それぞれの圧力を計測。嚥下関連筋と開口筋はおおよそ同じなので、開口力の計測がそのまま嚥下機能の指標としても使えると考えた。高齢者群においては、嚥下関連筋量と舌圧、開口力は相関関係にあることがわかった。一方で成人群においては、嚥下関連筋量と筋力の間には如何なる関係性も認めなかった。つまり高齢者に対する超音波診断装置による筋量評価が有用である可能性と、それぞれの筋肉の加齢変化や関連因子の違いが示される結果となった。 嚥下障害の予防に期待加齢によって舌が大きくなり、舌骨上筋群は明らかに萎縮した。一般的に筋量は加齢によって減少する。筋量低下、筋力低下、身体機能低下を示すサルコペニアは超高齢社会日本における解決すべき課題の一つだ。舌骨上筋群の加齢変化はそのほかの全身の筋肉と同様だが、舌の加齢変化は他の筋肉と明らかに異なり、今後の更なる研究が必要になるとしている。いずれの筋量にも加齢の関連を認め、舌と顎二腹筋はBMIなど全身の因子も関連することがわかった一方、歯の欠損はいずれの筋量にも関連しなかった。これらの点を踏まえると、全身因子が関連する筋肉の筋量を維持するためには、筋肉そのものに対するトレーニング以外にも栄養状態や全身骨格筋量の維持が必要と考えられる。つまり摂食嚥下リハビリテーションの一環として、栄養指導や運動指導が必要になるだろう。一方でオトガイ舌骨筋のように、加齢による関連が強く全身からの影響を受けづらい筋肉は、当該筋に対するトレーニングを集中的に行えば十分に筋量を維持できるのかもしれない。高齢者においては嚥下関連筋肉量の維持が筋力の維持にもつながりうるので、嚥下機能低下の予防となる。摂食嚥下に関わる筋肉の特性を明らかにすることで、筋特異的でオーダメイドな機能低下予防法や摂食嚥下リハビリテーションの確立が期待されている。歯科セミナーなら「1D(ワンディー)」で!日本最大級の歯科医療メディア「1D」では、診療に役立つオンラインセミナーを多数開催中。もっと知りたい臨床トピックから超ニッチな学術トピックまで、参加したいセミナーが見つかります。下記ボタンから、開催中のセミナーを見てみましょう!開催セミナーを見てみる参考文献「 嚥下に関わる舌、舌骨上筋群の加齢変化と関連因子を解明 」― 嚥下関連筋と全身は深く関係する ―, 東京医科歯科大学プレスリリース, 2020.11.24 [PDF]
1D編集部
2021年2月3日
今さら聞けない「オーラルフレイル」

今さら聞けない「オーラルフレイル」

オーラル + フレイルオーラルフレイル(Oral frailty)は、口腔(Oral)と虚弱(frailty)とをかけ合わせた造語だ。加齢により口腔機能の衰え(食物がうまく嚥下できない、口から食物がこぼれる、滑舌が悪くなるなど)を放置していると、全身的な機能低下が進行する。そのため、オーラルフレイルの予防が、全身的なフレイルの予防につながるとしている。東京大学高齢社会総合研究機構の辻哲夫氏・飯島勝矢氏を中心に提唱されている概念である。概念の整理フレイルとは、加齢に伴うさまざまな機能変化や予備能力の低下によって健康障害に対する脆弱性が増加した状態であると理解される。オーラルフレイルにはまだ明確な定義は存在しないが、東京都健康長寿医療センターの研究者で歯科医師の平野浩彦氏は、オーラルフレイルを「加齢に伴うさまざまな口腔環境および口腔機能の変化、さらに社会的、精神的、身体的な予備能力低下も重なり、口腔機能障害に対する脆弱性が増加した状態」であると整理している。オーラルフレイルは近年注目を浴びつつある概念で、2015年には日本歯科医師会が8020運動に加えて新たな国民運動として展開させていくことが決定している。今後ますます、全国的なオーラルフレイルのキャンペーンが企画されていくだろう。日本老年歯科医学界が啓発オーラルフレイルという用語は、日本老年歯科医学会が先導して提唱・啓発を行った経緯がある。同学会は平成25年に「高齢者の口腔機能低下を病名にできるか」というワークショップを開催し、国民が病名を理解しなければならないことと、既にフレイル(Frailty Syndrome)という病名が医科に存在したことを鑑み、「オーラルフレイル」という俗称の使用は適切だ、という提言を行った。またほぼ同時期に、厚生労働省老人保健健康増進等事業「食(栄養)および口腔機能に着目した加齢症候群の概念の確立と概念の確立と介護予防(虚弱化予防)から要介護状態にいたる口腔ケアの包括的対策の構築に関する研究」においても、オーラルフレイルという用語が提示された。オーラルフレイル「4つのフェーズ」オーラルフレイルは、その進行度によって、4つのフェーズに分けることができる。それは「前フレイル期」「オーラルフレイル期」「サルコ・ロコモ期」「フレイル期」だ。詳しくは下図に示す。このように、オーラルフレイルの概念は整理されつつあるものの、まだ明確な定義や診断のためのアルゴリズムが定まっていないのが現状である。現在、オーラルフレイルの診断のためのスクリーニング法としては、以下に示すような検査方法が用いられている。オーラルフレイルのスクリーニング法咬合関係まず、咬合関係はオーラルフレイルのスクリーニング方法として有用である。アイヒナー分類などで欠損様式を分類する方法と、装着している義歯を含めた咬合状態を評価する方法がある。咀嚼能力次に、咀嚼能力の評価もオーラルフレイルのスクリーニングで用いられる。「半年前に比べて堅いものが食べにくくなりましたか」といった質問票で評価する方法と、実際に試料を用いて咀嚼機能を測定したり、咀嚼筋触診などで評価する方法がある。舌機能オーラルフレイルの予防にとって意外と重要なのが舌の機能である。舌は咀嚼・嚥下・構音といった口腔機能において重要な役割を担っている。オーラルフレイルのスクリーニングのための舌機能の評価には、舌圧の測定や挺舌、舌運動などの評価が行われている。嚥下機能次に嚥下機能の評価である。嚥下機能の評価には、問診などによる方法と、実測することによる方法がある。実測評価には、反復唾液嚥下テスト(RSST)、改訂水飲みテスト(MWST)、頸部聴診法などが挙げられる。口腔乾燥オーラルフレイルを評価するうえで、口腔乾燥を定量的に検査することは重要である。口腔乾燥は、咀嚼・嚥下機能の低下を引き起こす。ROAGの評価法などを用いて、口腔内の湿潤度を評価する。診断アルゴリズムが検討課題以上、オーラルフレイルの概念と、そのスクリーニング方法を解説した。特に「オーラルフレイルをいかに診断するのか」という診断アルゴリズムの部分の検討が要求されている。未曾有の超高齢社会を生きる我が国にとって、オーラルフレイルの問題は非常に重要な概念であることは自明である。今後全世界的に高齢化が進んでいくなかで、我が国が先陣を切りオーラルフレイルの概念を打ち立てることで、世界的な高齢社会を生き抜くモデルケースをなり得るのではないだろうか。歯科セミナーなら「1D(ワンディー)」で!日本最大級の歯科医療メディア「1D」では、診療に役立つオンラインセミナーを多数開催中。もっと知りたい臨床トピックから超ニッチな学術トピックまで、参加したいセミナーが見つかります。下記ボタンから、開催中のセミナーを見てみましょう!開催セミナーを見てみる参考文献平野浩彦『オーラルフレイルの概念と対策』日本老年医学会雑誌, 2015.荒井秀典『フレイルの意義』日本老年医学会雑誌, 2014.
1D編集部
2019年10月10日

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