根管充填しなくても予後は変わらないという研究結果
日常診療においては、治療の意義を改めて考え直す機会は多くない。型通りの作業になってしまいがちである。例えば、今さら根管充填の意義について疑う歯科医療者も少ないだろう。しかしながら、根管充填に関しては確固たる意義がないとする論文も実は存在する。アメリカの南カリフォルニア大学とイランのテヘラン大学の共同研究では、根管充填の意義を再度調べた結果、根管充填は治癒に寄与しないと結論づけているのだ。本記事ではこの論文を踏まえて、根管充填の意義についてリポートする。根管充填に意味はないのか?南カリフォルニア大学とテヘラン大学のチームは研究で犬の歯に穴を開け、抜髄し、根管を口腔と42日間交通させた。口腔内の菌が根尖に病変を生み出したところで感染根管治療を行った。対照群はガッタパーチャとシーラーで側方加圧充填をし、実験群は側方加圧充填をせずにそのままにし、対照群・実験群ともに根管と口腔内の環境が交通しないように、根管と歯冠部を遮断した。190日後に犬を安楽死させ、根尖部を病理組織切片で観察した。すると、対照群(根管充填をした群)と実験群(根管充填をしてない群)では、根尖部の病変の治癒には有意差がなかったのである。つまり、根管充填自体は根尖部の病変の治癒にはあまり寄与していないことが示唆される。それでも根管充填をなぜやるのか論文の結論は以下のような結論で終わっている。根尖部の病変の治癒は根管充填ではなく、ほとんど根管の拡大と洗浄によるものであり、根管充填は口腔内の微生物が再び根管に入らないように再発防止のために行っていることである、と。もっと言うと、根管充填が上手くいった、いかないということは二の次であるということだ。例えば、根尖部が1mm充填されていないとしていてもあまり問題はない。大事なことは根管がしっかりと拡大され、清掃されたということであり、根管充填は根管と歯冠が封鎖されていれば良いことになる。このとき、問題になるのはシーラーの存在である。シーラーは硬化時に収縮するため、その収縮によって歯冠からの微小漏洩の原因になってしまう。収縮しないシーラー?この問題を解決するために、近年注目されているのはMTAセメントを成分に含んだシーラーを使用することである。MTAセメントは硬化時膨張するので、シーラーとしてしようすることで緊密な充填ができるとされている。今後はMTAセメントを含んだシーラーを使用するのが主流になるかもしれない。歯科セミナーなら「1D(ワンディー)」で!日本最大級の歯科医療メディア「1D」では、診療に役立つオンラインセミナーを多数開催中。もっと知りたい臨床トピックから超ニッチな学術トピックまで、参加したいセミナーが見つかります。下記ボタンから、開催中のセミナーを見てみましょう!開催セミナーを見てみる参考文献Sabeti, M. A., Nekofar, M., Motahhary, P., Ghandi, M., & Simon, J. H. (2006). Healing of apical periodontitis after endodontic treatment with and without obturation in dogs. Journal of endodontics, 32(7), 628-633.エンドドンティクス 第2版, 興地隆史ら, 株式会社永末書店, 2018.興地隆史, 韓臨麟, 重谷佳見, & 吉羽邦彦. (2012). MTA の理化学的・生物学的特性と臨床. 日本歯内療法学会雑誌, 33(1), 3-13.