【1D的セミナーログ】「小児のう蝕」のエビデンスとテクニックの実際
先日、1Dでは日本歯科大学生命歯学部小児歯科学講座の名生幸恵先生をお招きし、『よくあるギモンをスッキリ解説”こどもむしば学” エビデンスに基づいた手技と実際』と題したWebセミナーを行った。当日は多くの歯科医師の方々が参加し、質問も多く盛況となった。本記事では、そのセミナーの内容をかいつまんで解説する。なお「1Dプレミアム」では、月額9,800円の定額で1Dが開催するセミナーや講義動画が見放題となる。歯科医師・歯科衛生士の方は、ぜひご加入いただきたい。1Dプレミアムの詳細を見てみる今話題の「ECC」とは?私たち歯科医療者は、乳歯う蝕による問題点をよく知っている。しかし、その問題点をどれほど患者さんに伝えることができるだろうか。小児う蝕の中でも近年特に注目されているのが、「ECC(Early Childhood Caries:早期小児う蝕)」という概念だ。ECCとは「6歳未満の小児に1歯面以上の齲窩の有無を問わない齲蝕、あるいは齲蝕を原因とする欠失や充填が存在すること」と定義されている。IAPDのバンコク宣言では、ECCの対応として下記を挙げている。ECC認知度の向上2歳までのシュガーフリーフッ素配合歯磨剤で一日2回の歯磨き1歳までに予防的指導を行う日本国内では18%がECCに罹患している(平成28年歯科疾患実態調査)ことがわかっており、小児歯科医療に従事していない歯科医療従事者もよく知っておくべき事柄である。 小児を取り巻く環境を整えよう小児歯科、成人の歯科診療と比較してさまざまなことに対応しなければならない。それは、乳歯の解剖学的な性質などの口腔内の環境だけでなく、診療室内の環境や小児を育てる親御さんとのコミュニケーションや教育を含めた点など多岐にわたる。一般的な手技の中で、重要な項目として「接着」がある。小児は防湿が非常に難しいことが多く、接着するための窩洞形態も工夫が必要である。例えば、接着力を強めるために窩縁斜面を付与したり、隣接面の切削の際に歯肉出血もより注意したりする必要がある。また、永久歯と同じ幅のマトリックスを使用するとコンポジットレジンの修正が大変になることがしばしばで、幼若永久歯で安易に研磨をすると歯質を切削してしまうこともあるため、最低限の形態修正や研磨になるようにする必要性もあることを考慮したい。当然、そのような理想的な修復ができないこともあるため、ARTやHall techniqueも含めた手段も選択肢として持っておく必要性があるだろう。 保護者との関わり方について小児歯科では、患者は小児であるが保護者との関係性も非常に重要である。それは、治療対象は小児であるが、説明を受けたり小児の管理を行ったりするのが保護者だという特殊性がある。特に小児に対しては、EBM・自分の実力のみならず、小児の限界や保護者の理解力などの要因も大いに受けるためできる限りの治療をしているが、最悪の場合このようになる可能性があるということも予測して伝えておくことも保護者との良い関係を保つ上で重要になるだろう。