歯科用語集
2025年10月28日

CAD/CAM冠

「CAD/CAM冠」とは?歯科用語の解説と症例を紹介

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定義・語源

CAD/CAM冠とは、Computer-Aided Design(CAD)およびComputer-Aided Manufacturing(CAM)を用いて製作される歯科用の冠のことである。CAD技術により、患者の口腔内のデジタルデータを取得し、コンピュータ上で設計を行う。次に、CAM技術を用いて、設計された冠を材料から自動的に加工する。これにより、高精度で適合性の良い冠が短時間で製作可能となる。CAD/CAM冠は、主にセラミックやジルコニアなどの材料で作られ、審美性と耐久性に優れている。


臨床における位置づけ・判断基準

CAD/CAM冠は、臨床現場において多くの利点を提供する。特に、短期間での製作が可能であるため、患者の待機時間を短縮できる点が評価されている。また、精密な設計により、適合性が向上し、二次的な虫歯や歯周病のリスクを低減することができる。判断基準としては、患者の口腔内の状態や冠の適応症、使用する材料の特性を考慮する必要がある。保険点数については、CAD/CAM冠は特定の条件下で保険適用となるため、事前に確認が必要である。

関連用語・類義語との違い

CAD/CAM冠に関連する用語としては、従来の手作業による冠(手作り冠)や、3Dプリンティングによる冠が挙げられる。手作り冠は、技工士の技術に依存するため、製作に時間がかかることが多い。一方、3Dプリンティング冠は、CAD/CAM技術を応用した新しい製作方法であり、より迅速な製作が可能であるが、材料や適応症において異なる特性を持つ。これらの用語との違いを理解することで、臨床現場での適切な選択が可能となる。

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「技工士がいなくなるのは本当か」。1Dの対談動画は、この問いを正面から立てる。司会の石川氏の答えは短い。「本当だと思いますね」(263秒)。ただし、すぐに「先10〜15年は必要なくなることはないんではないかと思うんですよ」(275秒)と続ける。減ることと、要らなくなることは別の話だ、という整理である。この話題は、歯科医院の側では「技工所の人手の問題」として聞き流されやすい。だが対談をたどると、論点は途中から発注する側、つまり歯科医院の仕事のやり方へ移っていく。本記事では、確かめられる数字と出演者の見立てを分けながら、その移り方を追う。減り方と年齢は、統計で確かめられるAI企業を運営する松岡氏は、技工士の数は「もう明らかに減っているんですよね」(91秒)と言い、高齢化が進んでいること、65歳以上が「5人に1人」という状況(123秒)、新規参入が減っていること(127秒)を挙げる。この部分は一次資料で確認できる。厚生労働省の令和6年衛生行政報告例によれば、2024年末の就業歯科技工士は31,733人で、前回(2022年末)から1,209人、率にして3.7%減った。年齢階級別では65歳以上が19.3%で最も多い区分になっている。「5人に1人」という言い方は統計と合う。入口の側も細い。歯科技工士国家試験の合格者は、2025年2月実施の回で684人(受験者733人)、2026年2月実施の回で722人(同792人)だった。一方、対談に出てくる平均年齢、免許保有者数と歯科医師数の比較、養成校の過去の校数といった数字は、今回は照合しきれなかったため本文では使わない。確かなのは、働く人が減り、その年齢層が上に厚いという構造のほうである。「いなくなる」と「仕事がなくなる」は違うでは、技工の仕事そのものはなくなるのか。石川氏の見立ては、需要は「それほど変わらない」(307秒)というものだ。理由として挙げるのは臼歯部の2級修復で、難易度が高く、コンポジットレジンの耐久性を考えると間接修復が望ましいと言われている(291〜299秒)。だから間接修復を担う技工士は必要になる、という順序である。これは出演者の臨床上の見解として受け取っておきたい。同時に、石川氏はAIとデジタルが技工の工程を大きく変えうることも認める。デジタルで印象を採り、院内でミリングまで済ませる1日治療の例(323〜339秒)、咬合面のデザインを3次元モデル上で組み立てられること(347〜355秒)。そのうえで、触った感覚を再現する部分は技工士の手作業に残るだろう、とも述べる(451〜459秒)。置き換わる工程と残る工程を分けて考えよう、という立場だ。減る理由は、技工所の努力不足だけではない松岡氏が強調するのは業界の構造である。仕事の源泉は「患者が歯科医院に来ること」であり(387秒)、技工所は「ある種下請けのような位置関係」(391秒)に置かれる。売上の上限が決まっているため、薄利多売にならざるを得ない(395〜399秒)。技工所は約2万件あり(407秒)、長く働くしかなく、高齢化で新しい機材も入れられない(411〜415秒)。歯科技工所の数は先の統計で20,278か所なので、「約2万」は実数とほぼ一致する。その先の見通しとして、松岡氏は二つの方向を挙げる。職人気質の技工士が付加価値の高い自費の補綴物を熟練の技で作る道と、機材を導入できる大型の技工所に集約される道だ(467〜481秒)。どちらに進むかは予測であり、確定した話ではない。医院の側の実感も語られる。石川氏は勤務先で一人で営む技工所に依頼しているといい(171秒)、新しい設備投資は「なかなか出来ないんですよ」(179秒)というやりとりが続く。CAD/CAM冠が中心になれば、医院としては別の技工所を検討したくなるのが現場の感覚だ、とも話す(187〜199秒)。依頼先が設備を更新できないことが、医院の選択を変えていく。ここに発注側の判断が入り込んでいる。医院から出ていく紙が、技工所の手間になっている対談の終盤、松岡氏は「歯科技工指示書って未だに紙じゃないですか」(527秒)と切り出す。石川氏も「僕は未だに紙ですから」(539秒)と応じ、複写式の用紙に書いて渡していると話す。その用紙は技工所が作って用意し、管理もしなければならない(551〜559秒)。松岡氏はこれを「明らかなDXの余地」(563秒)と呼ぶ。ただし、指示書だけを電子化しても意味がない、とも言う(595秒)。画面には「それらが全部つながったときにDXの価値が生まれる」(599秒)というテロップが出る。石川氏の言い換えでは、予約台帳、カルテ、傷病名、技工指示が連携すれば、形成の記録から「来週7番のインレーセット」「納品」までがつながる(615〜627秒)。だからアポイントまでデジタル化しないと意味がない(631秒)。技工所が減る話は、医院の予約と記録の仕方の話に着地する。院長が先に確かめられることここからは編集部の整理である。対談は、技工所を選べば解決するとも、デジタル化すれば技工士不足が止まるとも言っていない。言っているのは、技工の受け手と出し手が同じ流れの両端にいる、ということだ。そう読むと、医院で先に確かめられることがある。いま依頼している技工所は、誰が担い、何年先まで続けられる体制か。納期や再製作のやりとりに、医院側の紙や電話が何回挟まっているか。指示書に書いている情報は、カルテや予約の記録とどれだけ重複しているか。いずれも、技工所に問い合わせる前に院内で数えられる。技工士の数が減る流れを、一つの医院が変えることはできない。それでも、受け手が減るなかで「出す側の手間」を減らすことは、医院が自分で決められる範囲に残っている。元動画を見る歯科技工士がいなくなる!?【AI×デジタル】で激変する歯科業界(2025年7月3日公開)
1D編集部
2026年10月9日
CAD/CAM冠の臨床応用とそのメリット・デメリット。歯科医師・歯科衛生士が知るべき処置と症例の判断ポイント

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CAD/CAM冠の定義と基本的な理解CAD/CAM冠とは、コンピュータ支援設計(CAD)とコンピュータ支援製造(CAM)を用いて製作される歯冠のことを指す。この技術は、歯科臨床において高精度な補綴物を迅速に製作するために用いられる。CAD/CAM冠は、通常の印象採取や石膏模型を必要とせず、デジタルスキャンによって得られたデータを基に製作されるため、患者にとっても負担が少ない。CAD/CAM冠の処置手順と術式CAD/CAM冠の製作には、いくつかの手順がある。まず、患者の口腔内をデジタルスキャンし、3Dデータを取得する。次に、専用のソフトウェアを用いて冠の設計を行い、その後、CAM装置を使用して材料を削り出す。最終的に、冠を患者の口腔内に装着する。この一連の流れは、従来の方法に比べて迅速かつ正確であるため、臨床現場での導入が進んでいる。CAD/CAM冠の症例と診断のポイントCAD/CAM冠は、特にう蝕や歯の破折などによる欠損部位に対して有効である。症例によっては、従来の補綴物よりも短期間での治療が可能であり、患者の満足度も高い。診断においては、欠損の程度や周囲の歯の状態を正確に評価することが重要である。これにより、最適な治療計画を立てることができる。CAD/CAM冠のメリットとデメリットCAD/CAM冠の最大のメリットは、製作時間の短縮と高精度なフィット感である。これにより、患者の治療回数を減少させることができる。一方で、デメリットとしては、初期投資が高額であることや、技術習得に時間がかかることが挙げられる。また、材料によっては強度が不足する場合もあるため、適切な材料選択が求められる。CAD/CAM冠導入の注意点とコツCAD/CAM冠を導入する際には、機器の選定やスタッフの教育が重要である。特に、デジタルスキャンや設計ソフトの操作に習熟することが求められる。また、患者への説明も重要であり、CAD/CAM冠の利点や治療の流れをしっかりと伝えることで、患者の不安を軽減することができる。まとめ:CAD/CAM冠の臨床での活用法CAD/CAM冠は、現代の歯科治療において非常に有用な技術である。高精度な補綴物を迅速に製作できるため、患者の負担を軽減し、治療の効率を向上させることが可能である。歯科医師や歯科衛生士は、この技術を理解し、適切に活用することで、より良い治療結果を得ることができるだろう。
1D編集部
2024年6月1日
【歯科セミナー】来週のセミナーラインナップをご紹介

【歯科セミナー】来週のセミナーラインナップをご紹介

皆さんこんにちは、1D編集部です。この記事では、1Dが主催するまもなく開催予定の注目オンラインセミナーを3つ、ご紹介していきます。興味があるセミナーがあれば、ぜひお気軽にお申し込みください。1Dプレミアム会員であれば、月額¥9,800でセミナー&講義動画が見放題。いずれのセミナーも、追加料金一切なしで無料にてお申し込みいただけます。1Dプレミアムの詳細を見る下歯槽神経、舌神経損傷の診断と治療 神経麻痺に関係する解剖や診断の仕方、注意点親知らずの抜歯後、神経損傷なんてないと思っていませんか?抜歯時の電気メスの利用や、解剖をよく理解しないまま抜歯をした結果、舌神経を損傷した事例も存在します。神経麻痺が起きたことは、患者から言われないと分かりません。麻痺のレベルによっては、いくら時間が経過しても治らないこともあります。神経の走行を正しく理解し、どのような状態の歯を抜歯すると神経麻痺の可能性があるのかを知ることで防げる神経麻痺は多いのです。このセミナーでは、神経麻痺に関係する解剖や診断の仕方、処置中の注意点などを東京歯科大学名誉教授・客員教授、同大学千葉歯科医療センター長補佐、亀田総合病院 顧問である柴原 孝彦先生に解説していただきます。麻痺が起きてから「知らなかった」では済まされません。患者も術者も不幸にならないために、正しい知識を身につけましょう。詳細・お申込みはこちらイチからわかる睡眠時無呼吸 病因論からスクリーニング、治療のポイントまで一挙解説閉塞性睡眠時無呼吸の潜在患者は約500万人と推計され、現代ではメジャーな疾患となっています。国民の認知度も上がり、すでに内科を受診している患者や、歯科医院に相談に来る患者も増えてきました。しかし全身的なリスクや合併疾患への影響など、まだ歯科医療者側の認知が低いのも事実。オーラルアプライアンスなど口腔領域と密接に関係するからこそ、疾患に対する深い理解と適切な対応が求められます。「どんな症状?」「保険請求はできる?」「装置の製作法は?」この機会にまとめて解決しておきましょう。このセミナーでは、閉塞性睡眠時無呼吸をテーマに、疾患の定義と病因から、スクリーニングと診断、リスクや患者指導、オーラルアプライアンスの製作に至るまで⼤阪⻭科⼤学の奥野先生に解説していただきます。現代社会で活躍する歯科医療者の、必携知識です。詳細・お申込みはこちらCAD/CAM時代の接着歯学 補綴物・修復物セットに欠かせないポイント「CAD/CAM冠は脱離しやすい」。ではCAD/CAMインレーは?補綴物・修復物にトラブルが生じる代表的な原因の一つとして「接着不良」が考えられるでしょう。使用するセメント、そして操作によって大きく変わります。トラブルを最小限にするためには、補綴物それぞれに適した装着手技を丁寧に行うことが大切です。またトラブルを招くもう一つの原因として「調整」も挙げられます。適切な咬合付与が行われなければ脱離や破折が生じるだけでなく、歯質にも影響が出てしまいます。「接着レジンセメント正しく使えてる?」「CAD/CAMによる補綴装置の特徴は?」「仮着は必要?」一言にセットといえど、身に付けるべき要素は膨大です。このセミナーでは、補綴物・修復物の合着をテーマに材料別の特性から適切なセメントの選択、正しい接着操作、仮着の目的と方法、調整と研磨、新たに保険収載されたCAD/CAMインレーに至るまで東京歯科大学の野本先生に解説いただきます。なんとなくの補綴物セット、やめましょう。詳細・お申込みはこちら他にもオンラインセミナーを多数開催中1D(ワンディー)では、他にも歯科医療者向けのオンラインセミナーを多数開催しています。開催予定のセミナーの一覧は、下記ボタンから見ることができます。ぜひ1Dでセミナーに参加して、知識アップ・スキルアップをしていきましょう。開催中のセミナーを見てみる
1D編集部
2023年4月15日
CAD/CAMインレーの適合性に関する考察

CAD/CAMインレーの適合性に関する考察

昨年保険収載されたCAD/CAMレジンインレー。金パラをはじめとした金属の価格高騰から”脱メタル”の傾向が見え隠れしている。しかしCAD/CAMを応用した修復(補綴)には懐疑的な意見もあるのが現実だ。実際、術者のスキルによって精度が異なることは往々にして起こっている。対して保険診療内での審美性の向上やコスト面など、CAD/CAMレジンがもたらすメリットもあり、適切に使用されれば有益な技術であることも間違いない。日々の診療に取り入れながら、精度を保つには何が必要か。日本デジタル歯科学会誌に掲載された研究からそのポイントを紹介したい。保険治療への導入の経緯CAD/CAMシステムを用いたハイブリッドレジンブロック削合による歯冠補綴は平成26年4月の保険適用以降、令和2年9月には上下顎前歯部においてもCAD/CAM冠による歯冠補綴は保険適用となり、歯冠修復治療の1つの治療オプションとして広く普及した。保険診療においては12%金銀パラジウム合金を用いたメタルインレーの需要は多く未だ主流であるが、近年の審美性に対するニーズの高まりや金属アレルギーの発症、貴金属価格高騰による歯科用合金の価格の上昇などの問題を解決するため、ハイブリッドレジンブロックを用いたCAD/CAMインレーが令和4年4月から保険治療に導入された。メタルインレーとの違い現在のCAD/CAM冠用ハイブリットレジンブロックは、従来のコンポジットレジンに比較して強度は大きく向上し、重合率も非常に高く、フィラー含有量を増加させることも可能であり、強度の補償された安定した材料である。加えて、審美性も高く、12%金銀パラジウム合金に比べ、材料費が安定しているため、安定した価格での供給が可能となる。一方、従来のロストワックス法によるメタルインレーでは、製作者の経験や技量がインレーの適合に影響を受けやすく、鋳込まれる合金は、融解合金が凝固するときの凝固収縮が生じ、鋳造時に使用する埋没材や埋没条件、鋳型の保管条件も鋳造体の精度に影響を及ぼす。これらの点は、CAD/CAM システムを応用することで解決し得る。また、メタルインレーでは、鳩尾形や側室など窩洞形態の付与も必要であるが、脆性材料であるハイブリットレジンでは窩洞の基本形態も大きく異なると考えられる。さらに内側性と外側性の部位が混在するインレーでは、 CAD/CAM 冠とは異なり、特有の設定条件が必要と思われる。CAD/ CAMインレーの適合には何が影響を及ぼすのか?インレー体の適合に影響を及ぼし得る支台歯の窩洞形態とセメントスペース条件について、基礎的検討を行った研究結果から以下のことが示唆された。臼歯部 CAD/CAM 冠の支台歯辺縁形態は、スキャニングが困難であるジャンピングマージン、ショル ダー形成は好ましくないとされ、アンダーカット、 鋭利な切縁、マージン部の凹凸がなく全体的に丸み のある形態が推奨されている。インレーにおいても、CAD/CAM 冠と同様に支台歯をスキャニングし切 削加工するため、鋭利な形態や凹凸は避けるべきと考えられ、窩洞形成は、窩縁斜面を付与せず、窩壁 を適宜に外開きにし、線角を丸めるような形態とし、適切なセメントスペースを設定することで良好な 適合性が得られる。浅水 啓輔ら, CAD/CAM 冠用ハイブリットレジンの切削加工による臼歯部CAD/CAM インレーの適合性に関する基礎的検討. より引用窩洞形態とセメントスペース値で決まるCAD/ CAM インレーの適合性は、窩洞形態とセメントスペース値によって影響を受ける。メタルインレー窩洞のように窩洞内に鋭角部が多く存在すると、スキャニングや STL データ、 切削加工時のエラーを生じ、適合性に影響を及ぼすことが推察される。そのため、CAD/CAM インレーの窩洞形成は、窩縁斜面を付与せず、窩壁を適宜に外開きにし、線角を丸めるような形態を付与し、適切なセメントスペース値を設定することで良好な適合が得られることが推察されている。参考文献浅水 啓輔, 小川 徹,  佐々木啓. CAD/CAM 冠用ハイブリットレジンの切削加工による臼歯部CAD/CAM インレーの適合性に関する基礎的検討. 日本デジタル歯科学会誌. 12-2. 88. 2022. (PDF)
482 TSUNAGU
2023年2月4日
価格高騰が続く”金パラ”の歴史を振り返る

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「金(ゴールド)」は昔からジュエリーなど高級品や資産として扱われていることはご存じだろう。しかし近年、歯科材料としてメジャーなパラジウムが高騰し「金」の価格に差し迫る勢いでいる。今回は高級品となってしまった「金パラ」の歴史を振り返り、これから歯科材料はどうなっていくのか考察する。金パラとは?金パラとは歯科用金属材料の一種で、正式には「歯科鋳造用12%金銀パラジウム合金」である。ご存知の通り、インレーやクラウンによく使われる保険適用の歯科金属の一つであり、歯科治療では欠かせないものである。その組成は、 安価な金属である銀を主成分として、 パラジウムと金が腐食・変色防止、 銅が融点低下と強化の役割を果たし、脱酸剤として亜鉛が添加された合金である。液相点が1000℃ 以下で溶融が容易であり、 熱処理硬化性を有し、 クラスプなど弾性を要求される補綴用材料としても使用可能な機械的性質を備えている。保険制度を維持するため作られた歯冠修復材料として理想的な材料は金合金である。しかしながら、日本の国民皆保険制度では、すべてを金合金で賄うことは到底できない。そのため、代用合金として日本で長期にわたって汎用されてきたのが金銀パラジウム合金であり、歯科医療においては補綴装置作製用の万能合金だ。だが、生体に対する問題も少なくない。そもそもの導入されることになった経緯は、戦後の物資の乏しい時代に「安く大量に手に入る金属」だからであり、人体への影響など安全性に疑問が残るまま健康保険に指定されたものである。戦後、日本経済が復興したら金合金などに見直されるはずであったが、戦後80年近く経った現在も見直されないまま使用されているのが現状だ。アレルギーの問題一部の国では、為害性があるとして子どもや女性にパラジウムを使った金属を使うことが禁じられている国もある。たとえば、ドイツの保健省は、歯科業界に対して「幼児及び妊婦向けには歯科治療で水銀、銅、銀アマルガム、パラジウム合金を使用しない」ように勧告している。スウェーデンでも「パラジウムは妊婦と小児には完全に使用禁止」である。しかしながら、日本では金銀パラジウム合金がアレルギーなど全身への悪影響を起こす可能性があることを認識しつつ、歯科用合金の使用を認めている。これが今の社会保険制度の現実である。世界情勢による影響金、白金に代表される貴金属は投機の対象にもなり、社会情勢によって価格が変動する。1980年代にオイルショックとともに金が高騰し、歯科材料としてニッケルクロム合金が使用され、世界中で金属アレルギーが問題になった。日本では金銀パラジウム合金を頻用していたので影響は小さかったが、その後ロシアの政情不安でパラジウム価格が急高騰したことにより、金銀パラジウム合金の経済的優位性が失われた。さらに、近年の世界情勢により金、白金、パラジウムなどの貴金属の価格はかつてないほどに急騰し、歯科材料としての貴金属系合金の使用が困難になりつつある。そのような中で、世界的には脱貴金属の動きが高まっている。新たな材料の開発と普及このような流れのなかで、CAD/CAM技術の普及とともにセラミックスが伸びている。なかでも、とりわけジルコニアが透光性の改良とともに急速に普及している。日本では、保険収載材料として金銀パラジウム合金に替わり、コンポジットレジンを利用したCAD/CAM冠、さらにチタン鋳造冠が注目されている。また、従来の技術操作をあまり変更せず使用可能で、 パラジウムを減少または含まない合金の開発に期待が寄せられている。 しかし、 クラスプなど高強度を要求される場合は、 パラジウムを15%以上含有しないと機械的性質が満たされない。あるいはパラジウムを5%に減らした合金では、金を30%以上含有しなければ銀の硫化を効果的に抑制することが困難であり、 従来の金銀パラジウム合金に匹敵する耐変色性が得られないなどの報告もある。今後期待される材料として、今まで以上に生体組織への適合性が要求されることから、生体組織に適合するスマート材料の開発が急務である。
482 TSUNAGU
2023年1月13日

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