歯科用語集
2025年10月28日

フッ化物イオン

「フッ化物イオン」とは?歯科用語の解説と症例を紹介

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定義・語源

フッ化物イオンとは、フッ素(F)が一価の陰イオンとして存在する形態である。化学式はF⁻であり、フッ素は周期表の17族に属するハロゲン元素である。フッ化物は、主にフッ化ナトリウム(NaF)やフッ化カルシウム(CaF₂)などの化合物として存在し、歯科領域では特に虫歯予防において重要な役割を果たす。フッ化物イオンは、歯のエナメル質に取り込まれることで、再石灰化を促進し、酸による脱灰を抑制する効果がある。これにより、虫歯の発生リスクを低下させることができる。


臨床における位置づけ・判断基準

フッ化物イオンは、歯科臨床において虫歯予防のための重要な成分として位置づけられている。特に、フッ化物を含む歯磨き粉やフッ化物塗布、フッ化物洗口などが推奨されている。日本の歯科保険制度においても、フッ化物塗布は保険適用となっており、特定の条件を満たす患者に対して行われる。判断基準としては、患者の年齢、虫歯のリスク、口腔衛生状態などが考慮される。フッ化物の使用は、特に虫歯リスクが高い子供や高齢者に対して効果的であるとされている。

関連用語・類義語との違い

フッ化物イオンに関連する用語としては、フッ素、フッ化物、フッ化物塗布などがある。フッ素は元素そのものであり、フッ化物はフッ素が他の元素と結合した化合物を指す。フッ化物塗布は、フッ化物を直接歯に塗布する治療法であり、虫歯予防に特化している。これらの用語は、フッ化物イオンの効果や使用方法を理解する上で重要であり、臨床現場での適切な判断に寄与する。

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知覚過敏の患者さんに白さを提案する選択肢『新・シュミテクト』

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『シュミテクト』使ったことありますか?『シュミテクト』というブランドを、ご存知ない歯科医療従事者はほとんどいないでしょう。知覚過敏用歯磨剤として広く知られ、テレビCMやドラッグストアでの露出も多く、患者さんからの認知度も非常に高いブランドです。一方で、「名前は知っているけれど、自分では使ったことがない」「患者さんに勧めたことはない」という声も少なくありません。高い認知度と信頼感があるからこそ、今あらためて使用してみる、診療の中で提案してみる価値があるのではないでしょうか。近年、美容医療への関心の高まりとともに、年齢や性別を問わず「白い歯=清潔感」という意識が浸透しています。一方で、「ホワイトニングはしみそうで怖い」「なるべく低侵襲に歯の白さを保ちたい」といったニーズも見られます。実際に、オフィスホワイトニング実施後に、知覚過敏症状を訴える患者さんに遭遇された経験をお持ちの先生がいらっしゃるのではないでしょうか。また、オフィスホワイトニング後に着色を防ぐ方法について、相談を受けたことがあるかもしれません。こうした患者さんに対して『シュミテクト』は知覚過敏を防ぎながら、「白さを保つ」サポートとなる製品です。とくに、知覚過敏の予防+ホワイトニング効果+ステインの再付着抑制の3点を兼ね備えた製品は、患者さんの潜在的ニーズに的確に応える提案となります。知覚過敏症状ケアにプラスして患者さんのニーズや症状に応えるラインナップ『シュミテクト』シリーズは、知覚過敏症状ケアを軸に、多様なニーズに応えるラインナップを展開しています。より知覚過敏症状が気になる患者さんへ『シュミテクトプラチナプロテクトEX』。ステインが気になる患者さんへ『シュミテクトフューチャーホワイトケア』。知覚過敏症状と歯周病を予防したい患者さんに『シュミテクト歯周病ダブルケアEX』など、目的や症状に応じて選択できるのが特長です。こうした豊富な選択肢があることで、患者さん一人ひとりの悩みに寄り添ったセルフケアの提案が可能になります。昨今の「美意識」トレンドと歯科に求められるニーズ近年、美容医療の普及やSNSの影響により、口元の美容への関心が広く一般化しています。中でも、清潔感のある口元は第一印象を大きく左右する要素として認識され、性別や年代を問わず、ホワイトニングや矯正治療への関心が高まり続けています。しかし、こうした審美的なニーズは、患者さんから積極的に語られることは多くありません。「聞かれたら答える」「希望されたら案内する」といった受け身の対応では、患者さんの本音や潜在的な関心を見逃してしまう可能性があります。治療にとどまらず、口元の美しさに対する潜在的なニーズをくみ取る姿勢が、これからの歯科診療に求められる重要な対応力のひとつといえるでしょう。ホワイトニング導入のきっかけとして紹介できる『シュミテクト』多くの患者さんがオフィスホワイトニングに関心を持っている一方で、実際に歯科医院でホワイトニングの施術を受ける方は限られています。その背景には、患者さんの潜在的なニーズを歯科医療従事者が十分に引き出せていないという課題があると考えられます。そこで、問診やカウンセリングの中で「歯の色や白さについて気になることはありますか?」といった問いかけを行い、患者さんの審美的な関心を引き出すことが効果的です。その導入手段として有効なのが、日常のセルフケアに無理なく取り入れられる歯磨剤の提案です。患者さんのホワイトニングに対する潜在ニーズをとらえた新商品『シュミテクト フューチャーホワイトケア』が今年3月、全国のドラッグストアで発売されました。知覚過敏症状ケアと歯を白くする効果の両立を目指して開発されたこの製品は、ホワイトニングに対する関心がありながら、一歩を踏み出せない患者さんのニーズに応える選択肢となり得ます。まずはセルフケアで歯を白くすることに興味を持ってもらい、より本格的なホワイトニング治療へとつなげていく。『シュミテクト フューチャーホワイトケア』は、そうした段階的なアプローチをサポートする製品です。期待の新製品『シュミテクトフューチャーホワイトケア』『シュミテクト フューチャーホワイトケア』は、歯を白くする機能に着目しながら、知覚過敏ケアにも配慮して開発された歯磨剤です。現代の生活者の多様なニーズに寄り添った処方設計がなされています。白さを実感、平均2シェード白くなる1日2回のブラッシングによる標準的歯磨剤との比較試験では、『シュミテクト フューチャーホワイトケア』8週間の使用で、歯の色調がブリーチシェードガイドで2シェード改善されたことが認められています。毎日のセルフケアの中で目に見える変化があることで、患者さんの満足度向上につながります。歯の色調がベースラインから中央値で2段階改善着色除去効果は約7倍『シュミテクト フューチャーホワイトケア』は、ステインの除去効果に優れています。特に、食品や飲料による日常的なステインに対してアプローチできる処方であり、標準的歯磨剤と比較して約7倍のステイン除去効果が確認されています。 対照歯磨剤比およびベースライン比で統計的に有意に減少(4週目および8週目、いずれも p<0.0001)白さを長く保つ「未来着色バリア処方」『シュミテクト フューチャーホワイトケア』では、「未来着色バリア処方」を採用しています。ステインを落とすだけではなく、再付着を抑制し、白さをより長く保てる状態へと導きます。これは、未来のステイン形成に着目した処方として注目されています。  知覚過敏の人も安心、低研磨性の処方設計歯面へのダメージに配慮した、低研磨性の処方設計にもこだわっています。海外他社製品と比較したヒト象牙質摩耗試験では、海外他社製品と比較して低研磨性が確認されており、知覚過敏の患者さんに安心して提案できる、やさしさを備えたホワイトニング歯磨剤* となっています。* 歯の表面の着色を除去し、歯本来の白さを引き出すことに着目した歯磨剤ヒト象牙質標本を使用し、ブラッシング機械で150gの荷重により1500回ブラッシング処置。赤色が濃いほど摩耗が深いことを意味するう蝕予防にもアプローチ『シュミテクト フューチャーホワイトケア』には、高濃度フッ素(フッ化ナトリウム1,450ppm)が配合されており、う蝕予防にも対応した設計となっています。さらに、単にフッ素の含有量に注目するだけでなく「有効なフッ化物(遊離フッ化物イオン)」がしっかりと利用できる状態で残存するよう設計されている点が大きな特長です。唾液中に溶け出した遊離フッ化物イオンは、エナメル質のハイドロキシアパタイトと反応してフルオロアパタイトを形成し、歯質を強化することでう蝕リスクを低下させます。シュミテクトシリーズを含むHaleon社の歯磨剤は、この遊離フッ化物イオンの濃度が品質保証期間内に保持できるよう開発されています。審美性と口腔内の健康維持を両立させる、ハイブリッド処方な歯磨剤になっています。このように、『シュミテクトフューチャーホワイトケア』は、歯の白さを引き出す、ステインを除去する、再付着を予防する、知覚過敏にやさしい、う蝕予防もできるといった複合的な機能を1本にまとめた多機能歯磨剤です。患者さんの関心が高まる「白さ」というテーマに、知覚過敏へのやさしさという安心感を添えて提案できる、いま注目すべき製品といえるでしょう。Haleonヘルスパートナーに登録して患者さん用無料サンプルをオーダーしませんか?知覚過敏は、診察中に患者さんから訴えが出にくい症状のひとつです。国内の調査では、3人に1人が知覚過敏を経験¹'²しているにもかかわらず、そのうち約46%が歯科医師に相談していない³'⁴というデータがあります。これは知覚過敏が 一時的で我慢できると感じやすく、「いつものこと」「治らないもの」といった誤解が、相談されにくい要因になっていると考えられます。しかし、知覚過敏を放置することで「飲食を楽しめなくなった」「歳をとったと感じた」など、生活の質(QOL)への影響が生じることも明らかになっています。こうした現状を踏まえると、歯科医療従事者が積極的に症状を引き出し、適切なケアへと導く姿勢が重要になっています。知覚過敏と診断したタイミングでセルフケア製品を紹介し、実際に試してもらうことは、患者さんの理解と行動変容を促すうえで非常に効果的です。その第一歩としておすすめしたいのが、Haleonヘルスパートナーの活用です。会員登録を行うことで『シュミテクト』患者さん用サンプルを無料でご利用いただけます。歯科医院でのプロフェッショナルケアに加え、適切なセルフケアを組み合わせることで、患者さんのQOL向上につなげていくことが可能です。参考文献:1.Addy M. Int Dent J 2002: 52:367-375.  2. Ipsos Claimed Penetration Omnibus. January, 2015.  3. Gillam DG. Clin Oral Investig 2013: 17:21-29.  4. Jeandot J et al. Clinic (French) 2007: 28:379-384.  5. GSK data on file. Sensitive Teeth and Attitude Study. 2008.Haleonヘルスパートナーとは?Haleonヘルスパートナーは、歯科医療従事者の皆さまに向けて、オーラルヘルスケアに関する最新情報を提供するコミュニティサイトです。日々の診療に役立つコンテンツや、患者さんとのコミュニケーションを支える資料など、さまざまな情報をご利用いただけます。主なサービス内容・ウェブ講演会の無料配信知覚過敏症ケア、歯周病予防、義歯やマウスピースケアなどをテーマとしたウェブ講演会を、いつでも無料で視聴可能。過去の講演ダイジェスト動画もアーカイブで公開されています。・患者さん用無料サンプルの提供『シュミテクト』や『カムテクト』など、患者さんのセルフケア習慣づくりに役立つ製品サンプルを、オンラインから簡単にオーダー可能です。・患者指導用資材のダウンロード知覚過敏症ケアを含む様々なセルフケア指導に活用できる、わかりやすい説明資料や配布用ツールがダウンロード可能です。登録して『シュミテクト』患者さん用無料サンプルをオーダーしませんか?1. 会員登録(無料)Haleonヘルスパートナーの公式サイトで、必要事項を入力して会員登録を行います。(※登録フォームへの入力後、承認まで最大5営業日ほどかかる場合があります。)2. ログイン後、サンプル依頼ページへアクセス登録完了後、ログインして、専用ページからサンプルのご依頼が可能になります。3. 患者さん用サンプルを選択してオーダー希望のサンプル(例:『シュミテクト』)を選択して、注文を完了します。登録や詳細は、以下の公式サイトをご覧ください。公式サイトをチェックする
1D編集部
2025年7月29日
フッ化物イオンの臨床応用:歯科治療における処置と症例の判断ポイント

フッ化物イオンの臨床応用:歯科治療における処置と症例の判断ポイント

フッ化物イオンの定義とその重要性フッ化物イオンは、フッ素が水に溶けた形で存在する陰イオンであり、歯科領域においては特にう蝕予防に重要な役割を果たす。フッ化物は、歯のエナメル質を強化し、酸に対する耐性を向上させることで、う蝕の発生を抑制する効果がある。特に、フッ化物イオンは、歯の再石灰化を促進し、初期う蝕の進行を防ぐため、歯科医師や歯科衛生士にとって欠かせない知識である。フッ化物イオンの使い方と処置方法フッ化物イオンの使用方法には、主にフッ化物洗口、フッ化物塗布、フッ化物含有製品の使用がある。フッ化物洗口は、特に学校や地域の健康促進プログラムで広く用いられており、定期的な使用が推奨される。フッ化物塗布は、特にリスクの高い患者に対して行われ、歯科医院での施術が必要である。フッ化物含有製品は、歯磨き粉やうがい薬として市販されており、日常的な口腔ケアに取り入れることができる。フッ化物イオンのメリットとデメリットフッ化物イオンのメリットには、う蝕予防効果の高さや、再石灰化促進作用が挙げられる。これにより、特に小児や高齢者など、う蝕リスクの高い患者に対して有効な予防策となる。一方で、過剰摂取によるフッ素中毒や、歯のフッ素症といったデメリットも存在するため、適切な使用量を守ることが重要である。フッ化物イオンの症例と診断ポイントフッ化物イオンの効果を実感する症例として、初期う蝕の患者や、う蝕の再発リスクが高い患者が挙げられる。診断においては、口腔内の視診やX線検査を通じて、う蝕の進行状況を把握することが重要である。フッ化物イオンの導入にあたっては、患者の年齢や口腔衛生状態を考慮し、適切な処置を選択することが求められる。フッ化物イオンの導入における注意点フッ化物イオンを導入する際には、患者のフッ化物に対する感受性や、既往歴を確認することが重要である。また、フッ化物の使用に関する教育を行い、患者自身が適切に使用できるように指導することも大切である。特に小児に対しては、誤飲を防ぐための注意が必要であり、保護者への説明も欠かせない。フッ化物イオンの今後の展望フッ化物イオンの研究は進展しており、今後も新たな製品や施術方法が開発されることが期待される。特に、フッ化物の効果を最大限に引き出すための新しいアプローチや、リスクの高い患者に対する個別化された治療法が求められている。歯科医師や歯科衛生士は、最新の情報を常にアップデートし、患者に最適な治療を提供することが求められる。
1D編集部
2024年6月1日
「う蝕の地域差」は水道水が原因?東京医科歯科大が調査

「う蝕の地域差」は水道水が原因?東京医科歯科大が調査

松山祐輔准教授ら(東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科健康推進歯学分野)は、「水道水中の天然フッ化物濃度が高い地域の子どもはう蝕が少ない」ということを明らかにしました。具体的には、水道水中の天然フッ化物濃度が0.1ppm高くなるごとに、う蝕治療経験のある子どもが3%減少することがわかりました。水道水フロリデーションと天然フッ化物水道水フロリデーションとは、水道水中のフッ化物イオン濃度を意図的に調整することです。長い歴史があり、う蝕予防効果と安全性が科学的に証明されているため、アメリカやオーストラリアなど諸外国では広く実施されています。(米国歯科医師会2018)。市販フッ素関連用品や歯科医院での歯面塗布など、フッ化物応用の普及度を考慮した上で、安全にう蝕予防ができる濃度(0.7〜1.0ppm程度)が適用されます。日本ではこの水道水フロリデーションは実施されていません。ただ水道水にはもともと天然のフッ化物が含まれます。土壌などの違いによりその濃度には地域差があり、この濃度の高低がう蝕の発生に影響することが知られています。そこで本研究では、水道水に含まれる天然のフッ化物濃度と、その地域の子どものう蝕の関連を着眼点としました。研究方法日本の子どもを対象とした、追跡調査を行いました。調査期間:5.5歳から12歳までの間調査内容:対象期間中の各年におけるう蝕治療経験の有無。各年・各地域の水道水フッ化物濃度は水道統計から取得回答数:34,998人(202,517件)回答者:保護者その他:平均所得や歯科医院密度を含む個人・家庭・地域レベルの共変量を調整し、Cross-classified multilevel Poisson回帰分析で分析研究結果水道水中の天然フッ化物濃度:平均0.0887ppm水道水中の天然フッ化物濃度とう蝕治療を受けた割合    0.10ppm未満:35.0%    0.10〜0.19ppm:35.4%    0.20〜0.29ppm:33.4%    0.30ppm〜:32.3%う蝕治療を受けた子どもの割合:もっとも多かったのは7歳(40.3%)、もっとも少なかったのは12歳(24.9%)これらから、水道水中のフッ化物濃度の高い市区町村に住む子どもは、う蝕治療を受ける割合が低いということがわかりました。すべての共変量を調整した結果、水道水中の天然フッ化物濃度が0.1ppm増加するごとに、う蝕治療を受ける子どもの割合が3.3%低下しました。今後う蝕は世界でもっとも多い病気で、日本でも子どもの3人に1人以上がう蝕に罹患しています。諸外国では水道水フロリデーションが実施され、約60カ国4億人以上がその恩恵を受けています。しかし日本では現在、フッ化物配合歯磨剤が広く普及している一方で、水道水フロリデーションは実施されていません。本研究により、現在の日本においても水道水中のフッ化物濃度とう蝕の関連が明らかになりました。これは見方を変えると、水道水中のフッ化物濃度の違いが、う蝕の地域差の原因になっているとも言えます。水道水フロリデーションは蛇口をひねるだけで利用でき、その恩恵は各家庭の経済状況に左右されません。つまり経済格差による健康格差の縮小にも有用な方法であり、このようなう蝕予防施策が日本でも推進されることが望まれます。参考文献東京医科歯科大学 プレスリリース「 水道水中の天然フッ化物濃度が0.1 ppm高いと子どものう蝕が3%少ない 」【松山祐輔 准教授】(URL)
1D編集部
2023年9月4日
【まず歯間部に塗るだけ!】う蝕予防法、薬効を高める歯磨き方法

【まず歯間部に塗るだけ!】う蝕予防法、薬効を高める歯磨き方法

東京歯科大学・衛生学講座の佐藤涼一講師、杉原直樹教授は、スウェーデンのイエテボリ大学Dowen Birkhed名誉教授との共同研究により、歯磨剤の量やフッ化物イオン濃度を変えずにう蝕予防効果や薬効を高めることのできる新たな歯磨き方法(PTD法)を開発した。本研究成果は、2022年10月17日(米国東部時間)付で、「PLOS ONE」のオンライン版にて発表された。今回はこの論文「Comparison of interproximal delivery and flow characteristics by dentifrice dilution and application of prepared toothpaste delivery technique」を紹介したい。研究背景と経緯歯磨剤のフッ化物濃度の上限が1450ppmFへ変更され、多くのメーカーから高濃度フッ化物配合歯磨剤が発売されている。歯磨剤の化学的清掃効果やフッ化物の作用を高めるためには、歯間部などのハイリスク部位に薬剤がなるべく長時間とどまることが重要となる。しかし、歯磨剤の希釈による物理的な特性変化やハイリスク部位に送達する方法は、薬用成分や組成と比較してあまり検討されていない。本研究は歯間部を再現したモデル実験系を構築し、希釈による歯磨剤粘度の変化とう蝕ハイリスク部位でのウォッシュアウトの関係を明らかにすることを目的に研究を実施された。また、歯磨剤の量やフッ化物濃度を変えずにう蝕予防効果や薬効を高めることのできる歯磨き方法(PTD法)開発を目指した。PTD法と研究成果PTD法はブラッシング開始前に歯ブラシや指を用いて歯磨剤を低希釈の状態で歯間部に押し込み、その後は普段通りの方法で2分間ブラッシングするだけの簡易な方法である。イエテボリ法とは異なり、うがいの制限も必要なく手技の難易度も低いため、うがいの回数が多い日本人に受け入れやすく低年齢児や高齢者への適用も可能なトゥースペーストテクニックである。本研究により、歯磨剤が濃度57%(x1.75)以上に希釈された場合、粘度の急激な低下によってハイリスク部位から早期にウォッシュアウトされ、う蝕予防効果が低下する可能性があることが明らかとなった。また、ブラッシング終了時まで歯磨剤を歯間部にとどめておくためには、最低でも濃度50% (x2.00)までの希釈に抑える工夫が必要であることが示唆された。PTD法を応用した場合、従来法よりも歯磨剤の歯間部送達率が増加し、その後のブラッシング時にもハイリスク部位で高い粘度と濃度を保つことができることが明らかになった。世界で2つ目のトゥースペーストテクニック本研究により、歯磨剤の希釈による粘度変化とう蝕ハイリスク部位の歯磨剤残存率について、また、歯磨剤が口腔内で1.75 倍以上に希釈されると歯みがきの早期に歯間部から流れてしまい、う蝕予防効果が低下する可能性があることが明らかにされた。これにより、歯磨剤を歯間部に塗ってから歯磨きを始めるだけで、歯磨剤の成分をより有効に使うことができる。1995年にShogren.K教授とBirkhed.D教授が開発したイエテボリ法に続く、世界で2つ目のトゥースペーストテクニック(歯磨剤の有効活用を主眼とした歯磨き技術のこと)となった。参考文献東京医科歯科大学プレスリリース. 日本の労働者における日常生活のストレスと口腔の健康の関係性 .(URL)
482 TSUNAGU
2023年7月17日
【ぶっちゃけレビュー】ユニシェードフローを使ってみた結果

【ぶっちゃけレビュー】ユニシェードフローを使ってみた結果

2022年7月21日に松風から発売されたユニバーサルシェードのコンポジットレジン「ユニシェードフロー」。ペーストタイプは昨年2月に発売されており、今回フロアブルタイプが追加された。試供品が筆者バイト先の歯科医院にたまたまあったので、発売から2ヶ月以上経っており需要は少ないと思うが個人的な興味のままレビューしてみたい。2年前にはトクヤマデンタルが「オムニクロマ®︎」を発売し、ユニバーサルシェード市場が盛り上がって来たのかもしれない。その時は稚拙ながらかなり早い段階でレビューできていたので、比較材料として読んでいただきたい。【関連記事】>シェードのないCR「オムニクロマ®︎」使ってみてわかった衝撃の実力はちなみに、前回も今回も商品のPRではなく、一銭ももらっていない。そのため個人的な意見でネガティブなことも言っているが、結構真面目に紹介しているので全然案件にしていただいても構わないと思う。お金ください。「ユニシェード」の仕組みおそらくユニバーサルシェードを実現するために「高透光性」であることが必要とされる。そして歯冠修復材料として強度を保つために、フィラーの量は減らせない。そうなってくると自然と極小のフィラーをたくさん使う、効率を考えて形状は球体に、というロジックが考えやすい。おそらく「オムニクロマ®︎」とほぼ同じ仕組みで実現しているのだろうが、別にマネでもパクリでもなく物理的な構造上そういうものなのだろう。球状のナノフィラーを用いることで訪れるメリットの一つが「表面の滑沢性」だ。砕いて説明すれば「ちっちゃいし丸いのでボコボコしづらい」ということで、未重合層を除去するだけで滑沢だし、研磨も短時間で済むらしい。イメージ図にある「S-PRGフィラー」というのが松風独自の技術で、フッ化物イオンを含む6種類のイオンが徐放される特殊なフィラーだ。抗プラーク付着性だったりエナメル質の脱灰を抑制したり報告されている。松風はこの「S-PRGフィラー」が高透光性かつ吸収した光を拡散する性質があり、ユニバーサルシェード化する説明している。“忖度しない”レビュー開始前回との比較になるが、公式発表のシェードサンプルがこちら。この画像で分かる通り「ユニシェード」は光照射前後で色調の変化がないことを特徴として挙げている。なので全て充填・硬化後のモックが用意されている。実際に使ってみた感覚でいうと、確かにそこまで変化しなかったと思う。前回同様、抜去歯(大臼歯・小臼歯)をそれぞれⅠ・Ⅱ級窩洞に形成し充填前後を記録、撮影は松風のアイスペシャルC-IVを使用した。ちなみにアイスペシャルは非常に簡単でいい感じに写真が撮れる。案件お待ちしております。比較対象のコンポジットレジンには、バイト先で普段使用している同社従来品の「ビューティフィル フロー プラス X」を用い、今回はある程度シェードテイクしたという想定でA2を選択した。まずは大臼歯から。形成も写真の撮り方も下手くそで申し訳ないが、記録として一応載せておく。全くう蝕のない歯だが小窩裂溝う蝕と仮定しⅠ級窩洞を形成。そして充填後が以下の通り。ぱっと見の感想は「白い」といった感じ。元々の歯牙が滅菌済みでもありかなり白いこともあるが、A2がだいぶクリーム色に見えるほどユニシェードは白く感じた。周辺歯質との調和という点では(従来品に比べ)ユニシェードに軍配といったところだ。ただオムニクロマ®️と比較して特筆した差があるとは思えなかった。どちらも透明度が高く、シェードはかなり明るいのが現段階での印象だ。続いて小臼歯もやってみる。小臼歯は左右でⅡ級窩洞を形成し検証。「直接修復なら外開きの窩洞にする必要ないだろ」というごもっともな意見も聞こえてきそうだがあくまで検証なので多めにみてほしい。形成した後に遊離エナメルがあったりした方が面白そうと気づいたが後の祭りだし、形成中に一部ボロッとチッピングしたこともあったと言い訳しておく。充填後はこう。やはりユニシェードの明るさが目立つ。そして気持ち程度だがオムニクロマ®︎に比べグラデーションに劣るというか、中心部と辺縁隆線の色の違いがややフラットに見えた。側面観がこちら。隣接面が見えることは臨床的にほぼないので問題になることはないが、従来CRとあまり変わらない結果になった。境界はしっかり見え、周辺歯質との調和もそこそこといったところだ。操作性がアドバンテージにここまで色調の点で評価してきたが、実際に使ってみて感じたのは操作のしやすさだ。オムニクロマ®︎はペーストでもやや流動性が高く、少しモタつくとのっぺりしてしまう印象だった。実はオムニクロマ®︎のフローも手元にあり、口腔内でも使用したことがあるがハイフローとまではいかないもののかなり流れやすかった。その点ユニシェードはゼロフロータイプのため、付形性は非常に良い。フロアブルレジンでもストレスなく咬頭を作ることができた。また特徴にもあった「表面の滑沢性」は写真からも見てとれると思う。実際驚いたのは研磨せず放置して1週間後にふと見てみるとユニシェードは光沢感を増していた。カタログにもコンポマスターで15秒研磨すればいいとあったが、そのポテンシャルが見えた。ただコンポマスターの研磨性能が高すぎるだけな気もする。気になるコストパフォーマンスはユニシェードフローの標準価格は2.2gで3,200円、対するオムニクロマフローは3gで4,800円とコスパ対決ではユニシェードが優位な結果に。従来品が2,800円なのを考えるとやはり少々高級品ではあるが、利益率は上がっている。全国の歯科医師が保険診療でどこまで審美的にこだわっているか疑問であり、ある程度の質を保つという意味であればこれ1本あれば十分だと思う。逆にとことんこだわるならば各種シェードを用意しておく必要がある。審美性をどこまで重視するかの価値観で変わってくるが、一般診療所レベルでは高コスパ商品だろう。今がユニバーサルシェードの黎明期トクヤマデンタル、松風に限らず、ジーシーやクラレノリタケからもユニバーサルシェードのコンポジットレジンは発売されている。各社の持ち味を活かして切磋琢磨している、いわば黎明期だろう。正直なところ筆者の個人的な価値観で、まだ「これ1本」とまではいかない。実際に口腔内で使用もしてみているが、明るさが目立つため症例を選んでいる。現状シェードの暗い歯には使う勇気がない。当然世の中の全ての製品を試したわけではないので偉そうなことは言えない。機会があれば入手してテストしたいところなので、今度院長にお願いしてみる。この技術が進歩していけば、誰が使っても、どんな歯に対しても適した”ユニバーサル”の名の如く標準化された材料になる。近い将来、シェードが無くなっていることを期待したい。参考文献「ビューティフィル ユニシェード フロー 製品紹介ページ」, 株式会社松風(URL)
ユースケ イシカワ
2022年10月10日

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