「食の多様性」は口腔の健康のセンターピンである
私たちは食事をするとき、さまざまな食材を組み合わせて多くの栄養素を摂取している。そのため、栄養摂取量を評価する際は、多様な食品群・栄養素から構成される食事の質を評価することも重要である。食事の質を評価する指標として、「多様な食品を摂取すること(食事の多様性)」がある。これをスコア化するための方法はいくつかあるが、この記事ではそれらを用いた調査と、そこからわかったことを紹介しよう。「食事の多様性」を見る方法3つ食事の多様性をスコア化する、代表的な3つの方法は以下である。①DVS:食品摂取の多様性得点以下それぞれに点数を付けて合計点(10点満点)で評価を行う。ほぼ毎日食べる・・・1点、それより低い頻度で食べる・食べない・・・0点とする。【10食品群】肉類魚介類卵類牛乳大豆製品緑黄色野菜類海藻類果物いも類油脂類②FDSK-11:食多様性スコア以下それぞれに点数を付けて合計点(11点満点)で評価を行う。1週間に一度以上食べるもの・・・1点、それより低い頻度で食べる・食べない・・・0点とする。【11食品群】穀類いも類野菜類肉類乳製品魚介類卵豆・豆製品海藻類果実類種実類「多様な食品を摂取できていないこと」のスクリーニング色が強く、また海外での調査を見据えて「穀類」を評価項目に加えているのが特徴である。③HEI:食事の質の指標以下の項目に分けて点数を付けて合計点(100点満点)で評価を行う。野菜類果実類豆類穀類乳製品肉類油脂類など。HEIはアメリカで用いられている食事の質の指標である。調査①「健康習慣」と食事の多様性【対象者】地域在住の高齢者【調査内容・条件】健康習慣が歯の喪失・歯周病リスクへ与える影響を評価6年間の前向きコホート研究のもと実施【調査方法】4つの健康習慣たばこを吸わない定期的に運動する適正な体重を保つ多様な食品を摂取するこれらのうち、実践している数がいくつあるかを評価。0〜1個2個3個4個この数と歯の喪失・歯周病リスクとの関連を調査した。なお健康な食事の評価にはDVSを用いた。【調査結果】実践している健康習慣の数と、歯の喪失・歯周病リスクは反比例の関係にあることがわかった。具体的には実践している健康習慣の数が0〜1個の群を1とすると、4つすべて実践している群では歯の喪失リスクは0.41、歯周病のリスクは0.34にも低下することがわかった。調査②「歯数」と食事の多様性【対象者】地域在住の高齢者252名(平均年齢81.2歳、男性84名・女性168名)【調査内容・条件】FDSK-11を使用し、食事の多様性と現在歯数の関連を調査無歯顎者は除外【調査方法】対象者を現在歯数20本以上10〜19本1〜9本の3つに分け、男女別にFDSK-11スコアFDSK-11と咬合支持・義歯適合の関連を比較。【調査結果】女性において、現在歯数が少ないほどFDSK-11スコアが有意に低い義歯の適合に問題を感じている群は、咬合支持が維持されている群よりFDSK-11スコアが有意に低い「義歯の適合」と食事の多様性【対象者】50歳以上4820名の米国国民【調査方法】対象者を現在歯数18本以上18本未満で義歯の適合に問題がないと感じている群18本未満で義歯の適合に問題があると感じている群の3つに分けHEIスコアを比較。【調査結果】義歯の適合に問題があると感じている群はHEIスコアが有意に低い現在歯数18本以上の群・義歯の適合に問題がないと感じている群の間には有意差がなかった3つの調査からわかったこと3つの調査からわかったことは以下である。多様な食品摂取を確保することは、身体機能や認知機能を維持するだけでなく、口腔疾患のリスクをも抑制すること定期的に歯のメンテナンスを行い、義歯の適合・機能を維持していれば食事の質が保たれること食事の多様性は、健康習慣の維持を並んで口腔疾患を予防するための重要な因子であることまた別の調査では、口腔の痛みや咀嚼困難、嚥下困難を感じている者はHEIスコアが低いということもわかっている。口腔内状態が悪いと栄養摂取に影響を与えるという研究はよく目にする。ただこれらの調査により、口腔の健康はそれだけではなく食事の多様性・質にも影響を与えていることが示された。歯科セミナーなら「1D(ワンディー)」で!日本最大級の歯科医療メディア「1D」では、診療に役立つオンラインセミナーを多数開催中。もっと知りたい臨床トピックから超ニッチな学術トピックまで、参加したいセミナーが見つかります。下記ボタンから、開催中のセミナーを見てみましょう!開催セミナーを見てみる参考文献深井穫博 編「健康長寿のための口腔保健と栄養をむすぶエビデンスブック」医歯薬出版, 2019愛し野内科クリニック, 愛し野塾第189回うつ病と食事療法, URL, 参照2019-12-01黒谷佳代, 食事バランスガイドの有用性, URL, 参照2019-12-01