「食の多様性」は口腔の健康のセンターピンである

文・構成:ミホ | 投稿日: 2020年02月16日
私たちは食事をするとき、さまざまな食材を組み合わせて多くの栄養素を摂取している。そのため、栄養摂取量を評価する際は、多様な食品群・栄養素から構成される食事の質を評価することも重要である。

食事の質を評価する指標として、「多様な食品を摂取すること(食事の多様性)」がある。これをスコア化するための方法はいくつかあるが、この記事ではそれらを用いた調査と、そこからわかったことを紹介しよう。

「食事の多様性」を見る方法3つ

食事の多様性をスコア化する、代表的な3つの方法は以下である。

①DVS:食品摂取の多様性得点
以下それぞれに点数を付けて合計点(10点満点)で評価を行う。ほぼ毎日食べる・・・1点、それより低い頻度で食べる・食べない・・・0点とする。

【10食品群】
  • 肉類
  • 魚介類
  • 卵類
  • 牛乳
  • 大豆製品
  • 緑黄色野菜類
  • 海藻類
  • 果物
  • いも類
  • 油脂類

②FDSK-11:食多様性スコア
以下それぞれに点数を付けて合計点(11点満点)で評価を行う。1週間に一度以上食べるもの・・・1点、それより低い頻度で食べる・食べない・・・0点とする。

【11食品群】
  • 穀類
  • いも類
  • 野菜類
  • 肉類
  • 乳製品
  • 魚介類
  • 豆・豆製品
  • 海藻類
  • 果実類
  • 種実類

「多様な食品を摂取できていないこと」のスクリーニング色が強く、また海外での調査を見据えて「穀類」を評価項目に加えているのが特徴である。

③HEI:食事の質の指標
以下の項目に分けて点数を付けて合計点(100点満点)で評価を行う。

  • 野菜類
  • 果実類
  • 豆類
  • 穀類
  • 乳製品
  • 肉類
  • 油脂類

など。HEIはアメリカで用いられている食事の質の指標である。

調査①「健康習慣」と食事の多様性

【対象者】
地域在住の高齢者

【調査内容・条件】
  • 健康習慣が歯の喪失・歯周病リスクへ与える影響を評価
  • 6年間の前向きコホート研究のもと実施

【調査方法】
4つの健康習慣
  • たばこを吸わない
  • 定期的に運動する
  • 適正な体重を保つ
  • 多様な食品を摂取する
これらのうち、実践している数がいくつあるかを評価。
  • 0〜1個
  • 2個
  • 3個
  • 4個

この数と歯の喪失・歯周病リスクとの関連を調査した。なお健康な食事の評価にはDVSを用いた。

【調査結果】
実践している健康習慣の数と、歯の喪失・歯周病リスクは反比例の関係にあることがわかった。具体的には実践している健康習慣の数が0〜1個の群を1とすると、4つすべて実践している群では歯の喪失リスクは0.41、歯周病のリスクは0.34にも低下することがわかった。

調査②「歯数」と食事の多様性

【対象者】
地域在住の高齢者252名(平均年齢81.2歳、男性84名・女性168名)

【調査内容・条件】
  • FDSK-11を使用し、食事の多様性と現在歯数の関連を調査
  • 無歯顎者は除外

【調査方法】
対象者を現在歯数
  • 20本以上
  • 10〜19本
  • 1〜9本
の3つに分け、男女別に
  • FDSK-11スコア
  • FDSK-11と咬合支持・義歯適合の関連
を比較。

【調査結果】
  • 女性において、現在歯数が少ないほどFDSK-11スコアが有意に低い
  • 義歯の適合に問題を感じている群は、咬合支持が維持されている群よりFDSK-11スコアが有意に低い

「義歯の適合」と食事の多様性

【対象者】
50歳以上4820名の米国国民

【調査方法】

対象者を現在歯数
  • 18本以上
  • 18本未満で義歯の適合に問題がないと感じている群
  • 18本未満で義歯の適合に問題があると感じている群
の3つに分けHEIスコアを比較。

【調査結果】
  • 義歯の適合に問題があると感じている群はHEIスコアが有意に低い
  • 現在歯数18本以上の群・義歯の適合に問題がないと感じている群の間には有意差がなかった

3つの調査からわかったこと

3つの調査からわかったことは以下である。

  • 多様な食品摂取を確保することは、身体機能や認知機能を維持するだけでなく、口腔疾患のリスクをも抑制すること
  • 定期的に歯のメンテナンスを行い、義歯の適合・機能を維持していれば食事の質が保たれること
  • 食事の多様性は、健康習慣の維持を並んで口腔疾患を予防するための重要な因子であること

また別の調査では、口腔の痛みや咀嚼困難、嚥下困難を感じている者はHEIスコアが低いということもわかっている。

口腔内状態が悪いと栄養摂取に影響を与えるという研究はよく目にする。ただこれらの調査により、口腔の健康はそれだけではなく食事の多様性・質にも影響を与えていることが示された。

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参考文献

  • 深井穫博 編「健康長寿のための口腔保健と栄養をむすぶエビデンスブック」医歯薬出版, 2019
  • 愛し野内科クリニック, 愛し野塾第189回うつ病と食事療法, URL, 参照2019-12-01
  • 黒谷佳代, 食事バランスガイドの有用性, URL, 参照2019-12-01
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