【論文ナナメ読み】矯正治療の痛みをアロマで軽減する研究が面白い
矯正治療で必ず起こる弊害の「痛み」。人によっては眠れなかったり食事ができなくなったりと、長期にわたる治療ながらQOLに大きく影響する。痛みは治療後、通常4日程度で軽減していくそうだが、ストレスで治療に消極的になったり、痛みを伴うというウワサを聞いて矯正治療を諦める人も少なくない。痛み止めを処方したり、低出力レーザーを当てるなど、痛みを軽減する方法はいくつかあるが、今回はアロマテラピーの効果で痛みの緩和ができるか検証した論文を紹介したい。アロマに痛み軽減の効果があれば、患者が自宅で使用することもできるし、矯正治療と同時にリラックスできるという新しい体験を提案できる、面白い試みだ。「矯正治療の痛み軽減&期間短縮」セミナー開催!2022年8月10日(水)20:00〜、矯正治療の痛みをコントロールし治療期間を短縮する方法を解説するセミナーが開催。講師には矯正専門医であり、吉本クリエイティブエージェンシー所属のお笑い芸人でもある陳 明裕先生が登壇。面白く学べる120分になること間違いなし!もちろんプレミアム会員なら無料で受講可能です!セミナー詳細をみる歯間離開が必要な患者48名で検証被験者は北海道大学病院歯科診療センター矯正歯科に通院し、マルチブラケット装置による矯正治療を行う予定で、上顎第一大臼歯にバンドを装着するために歯間離開を必要としている患者48名で、平均年齢は26歳5カ月±9歳4カ月の男性19名、女性29名だ。大臼歯間にセパレーターを用いた歯間離開の期間は2日間とし、歯間離開直後、48時間後(T48)、48.5時間後(T48.5)、49時間後(T49)に自発痛および打診時疼痛をVAS(Visual Analogue Scale)により評価。打診には同一歯科医師がペリオテストを用いて打診刺激とした。アロマオイルとしては1%のエッセンシャルオイル(ラベンダーまたはペパーミント)、プラセボ群には精製水をスプレーで2回噴霧したガーゼを2枚のマスクで挟み下顎に装着、吸入法でアロマテラピーを行った。その際の自発痛および打診時疼痛のVASを30分ごとに記録。アロマテラピー施行中には無侵襲血中酸素モニタを前頭部に左右対称になるように装着し、脳内の血液中の酸化・還元ヘモグロビン量を1時間モニタした。またアロマテラピー開始前と直後に Prole of Mood States(POMS)のアンケートで、①緊張‒不安、②抑うつ‒落ち込み、③怒り‒敵意、④活気、⑤疲労、⑥混乱の六つの気分尺度を測定した。ちなみに使用した精油は原産国フランスのラベンダー、原産国アメリカのペパーミントだそうだ。アロマテラピーの効果は?ラベンダーオイルを吸入した群ではT48とT48.5の比較で有意に(p<0.05)効果がみられたがT48とT49、T48.5とT49の間では有意差はみられなかった。また後半の30分では痛みが悪化した被験者がいた。ペパーミントオイルを吸入した群ではT48とT48.5(p<0.01)、T48とT49(p<0.01)の間で有意に高い効果がみられたが、T48.5とT49の間では有意差はみられなかった。打診時痛についても同様にT48〜T49で有意に効果がみられ、プラセボ群では全ての時間において有意差がなかった。また、ラベンダー群・ペパーミント群・プラセボ群の3群をPOMS6項目のアロマテラピー前後の差を計算し、ANOVAで比較検討したが、有意差はなかった。結論としては、歯科矯正治療における歯痛緩和にアロマテラピーが有効であることが示唆された。特にペパーミントによるアロマテラピーのほうが長時間有効であり、ラベンダーは短時間での効果は期待できるものと考えられた。手軽に取り入れられる緩和法に母集団の少ない検証ではあるものの、一定の有用性はみられると思う。少なからず不安やストレスを感じながら歯科医院に通う患者にとって、アロマでリラックスできるなら気持ち的にだいぶ変わるはず。何よりアロマオイルを吸うだけの簡便で害の少ない方法であり、コストもかけず手軽に準備できるので、一種のホスピタリティとして取り入れてもいいのではないか。矯正治療の痛みをコントロールするには?2022年8月10日(水)20:00〜、矯正治療の痛みをコントロールし治療期間を短縮する方法を解説するセミナーが開催。講師には矯正専門医であり、吉本クリエイティブエージェンシー所属のお笑い芸人でもある陳 明裕先生が登壇。面白く学べる120分になること間違いなし!もちろんプレミアム会員なら無料で受講可能です!セミナー詳細をみる参考文献金子知生, 大塚麻衣, 飯田順一郎, 歯科矯正治療時の歯痛緩和に対するアロマテラピーの有用性, Japan Journal of Aromatherapy Vol. 17, No. 1, 2016(PDF)