歯科用語集
2025年10月28日

亢進

「亢進」とは?歯科用語の解説と症例を紹介

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定義・語源

「亢進」とは、特定の生理的または病理的な状態が通常よりも高まることを指す用語である。語源は「亢」という字が「高まる」という意味を持ち、「進」は「進む」ことを示すことから、全体として「高まることが進む」というニュアンスを持つ。歯科領域においては、特に歯周病や口腔内の炎症に関連する症状の亢進が見られることが多い。例えば、炎症が亢進すると、腫れや痛みが増加し、治療方針に影響を与えることがある。亢進は、臨床現場での診断や治療において重要な指標となる。


臨床における位置づけ・判断基準

臨床において「亢進」は、患者の症状や病態を評価する際の重要な要素である。例えば、歯周病の進行に伴い、歯肉の炎症が亢進することがある。この場合、歯科医師は炎症の程度を評価し、適切な治療計画を立てる必要がある。判断基準としては、臨床所見や患者の自覚症状、さらには画像診断や検査結果が考慮される。亢進が見られる場合、早期の介入が求められるため、歯科衛生士もその重要性を理解し、患者への指導やケアに活かすことが求められる。


関連用語・類義語との違い

「亢進」と関連する用語には「増悪」や「悪化」があるが、これらは微妙に異なる意味を持つ。「増悪」は病状が悪化することを指し、亢進は特定の症状や状態が高まることを強調する。一方、「悪化」は全体的な病状の進行を示すため、亢進とは異なるニュアンスを持つ。また、「亢進」は生理的な反応としても用いられることがあり、例えば、ストレスによる心拍数の亢進などが挙げられる。これに対し、歯科領域では主に病理的な状態に関連して使用されることが多い。


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亢進の理解と歯科臨床における応用。症例と処置の判断ポイント

亢進の理解と歯科臨床における応用。症例と処置の判断ポイント

亢進とは何か?その定義と臨床的意義亢進とは、通常の生理的な状態や機能が過剰に活動することを指す。歯科領域においては、特に歯周病や口腔内の炎症に関連する症状として現れることが多い。例えば、歯周ポケットの深さが増加することや、歯肉の腫脹が見られる場合、亢進が疑われる。亢進の理解は、診断や治療方針を決定する上で重要であり、適切な処置を行うための基盤となる。亢進の症状と診断方法亢進に関連する症状は多岐にわたるが、特に歯周病においては、歯肉の出血、腫れ、痛み、さらには歯の動揺などが挙げられる。診断には、臨床的な診査が不可欠であり、歯周ポケットの測定やレントゲン検査が行われる。これにより、亢進の程度や原因を特定し、適切な治療計画を立てることが可能となる。亢進に対する処置と術式亢進に対する処置は、主に歯周治療や口腔内の衛生管理が中心となる。具体的には、スケーリングやルートプレーニングといった非外科的処置が基本である。これに加えて、必要に応じて外科的な介入が行われることもある。術式の選択は、亢進の原因や程度に応じて判断されるため、十分な診断が求められる。亢進のメリットとデメリット亢進の理解と適切な処置を行うことには、いくつかのメリットがある。まず、早期に問題を発見し、適切な治療を行うことで、歯の喪失を防ぐことができる。また、患者の口腔内の健康を維持するためにも重要である。一方で、亢進の処置にはデメリットも存在する。例えば、過剰な処置が患者に不快感を与えることや、治療に伴うコストが発生することが挙げられる。亢進に関する注意点とコツ亢進に対する処置を行う際には、いくつかの注意点がある。まず、患者の状態を十分に把握し、個々のニーズに応じた治療計画を立てることが重要である。また、治療後のフォローアップも欠かせない。患者に対しては、口腔衛生の重要性を理解させることが、再発防止に繋がる。さらに、最新の研究やガイドラインを常に確認し、知識をアップデートすることも大切である。亢進の症例と臨床での応用亢進に関連する症例は多く、実際の臨床現場では様々な状況に直面することがある。例えば、慢性的な歯周病患者において、亢進が見られる場合、定期的なメンテナンスが必要となる。また、急性の炎症が発生した場合には、迅速な処置が求められる。これらの症例を通じて、亢進の理解を深め、臨床での応用力を高めることが求められる。まとめ:亢進の理解がもたらす臨床的利益亢進の理解は、歯科医師や歯科衛生士にとって非常に重要である。適切な診断と処置を行うことで、患者の口腔内の健康を維持し、歯の喪失を防ぐことができる。今後も亢進に関する知識を深め、臨床での応用力を高めていくことが求められる。
1D編集部
2024年6月1日
顎関節の退行性病変に関わる新規分子の同定に成功

顎関節の退行性病変に関わる新規分子の同定に成功

北海道大学大学院歯学研究院の飯村忠浩教授(薬理学教室)と北川善政教授(口腔診断内科学教室) らの研究グループは、国立国際医療研究センター病院の丸岡 豊副院長(歯科・口腔外科診療科長)らとの共同研究により、女性の顎関節退行性病変に関わる分子としてCCL5(*1)を同定した。 これまで、顎関節の退行性病変は、臨床での診査・問診や画像検査でしか評価をすることができず、病態の進行を予測・評価することは困難であった。そのため、客観的にこの病態を評価できるバイオマーカーの発見が望まれていた。今回、研究グループは、比較的進行した顎関節退行性病変(いわゆる進行性下顎頭吸収症と考えられる症例)の患者血清を解析し、CCL5という分子が患者の血清において上昇していることを明らかにした。 またCCL5だけでなく、血清や尿中の骨代謝に関わる分子や炎症性分子の量も同時に解析し、比較的進行した顎関節の退行性病変において、比較的若い女性患者では骨代謝のわずかな亢進が、高齢の女性患者では炎症性変化の亢進が、この病気に関与することを解明した。 本研究のさらなる発展により、血清中のCCL5量や他のバイオマーカー(*2)を組み合わせた臨床検査によって、顎関節の退行性病変の予測や診断、予後の診断、さらには新たな治療法の開発に繋がるとのことだ。 顎関節の退行性病変(左図)と健常者群と患者群での血清CCL5濃度の比較(右図) 左図は患者の下顎を後ろから見たところ。左側の下顎頭に比べて右側の下顎頭(矢印で示す)は大きく吸収され変形している。血清中のCCL5濃度は患者群では、健常者群よりも3~4倍程度高い(右図)。 本研究成果は、2023年2月1日(水)公開の International Journal of Molecular Sciences にオンライン掲載されている。 顎関節の退行性病変顎関節の退行性病変は、顎関節を構成する下顎骨関節突起の病的な吸収に伴う形態変化を特徴とし、口腔顔面痛や顎を動かした際の雑音、口の開け閉めの困難を引き起こす多因子性の疾患である。この病変には、若年者に特発性に生じる例や顎変形症の手術後に生じる例、老化に伴う骨や関節疾患として生じる場合、リウマチなどの自己免疫疾患との関連として生じる場合など多様な背景が考えられる。また、女性に多く発症することが知られている。この病気が進行すると、咬み合わせの変化や顔貌の変形をもたらし、顎口腔領域の機能性・審美性ともに障害される。 CCL5とTNFαの定量比較国立国際医療研究センター病院歯科・口腔外科を受診し、進行した顎関節の退行性病変(いわゆる進行性下顎頭吸収症)と診断された女性患者(17人、10~70歳台)及び対象健常者(17人、10~70歳台)から、採血・採尿し、血清中のCCL5の量を抗体免疫学的測定法(*3)より定量比較した。同時に血清及び尿中の骨代謝関連分子、血清中の炎症性分子であるTNFαの量を比較検討した。 研究の結果、患者群では血清CCL5の量が、健常者群に比較して3〜4倍に上昇していた。患者の年齢構成を、42歳以下(若年群)と43歳以上(高齢群)に分けて比較検討した結果、若年群での血清 CCL5 量の上昇は、骨代謝に関連する分子群の上昇と相関していた。また高齢群では、血清 CCL5 量の上昇は、炎症性分子の上昇と関連していた。これまでの本研究グループの基礎研究から、血液中の CCL5 は骨や関節を吸収する破骨細胞という細胞の活性を高めることが解明されていた(図1)。従って今回の研究成果から、このCCL5の体内増加が顎関節の退行性病変の発症に関わることが考えられた。さらに、比較的若い女性患者では骨代謝のわずかな亢進が、一方で高齢の女性患者では炎症性変化の亢進が、この顎関節の病気に関与することが明らかになった(図2)。 参考図図1  破骨細胞の分化とCCL5の役割  破骨細胞は、骨や軟骨を吸収する細胞で、古い骨や関節組織を置き換えるために重要な細胞。しかし、この細胞の数が増えたり機能が過剰に高まったりすると、骨や関節の病気を引き起こす。破骨細胞は、数個の細胞(破骨細胞前駆細胞)が融合して大きなアメーバ様の細胞(破骨細胞)になり、骨や軟骨を吸収できるようになる。CCL5は、破骨細胞表面のCCR5という分子(受容体)に結合して、破骨細胞の機能を高める。 図2  今回の成果から明らかになった、顎関節の退行性病変の病態 顎関節の退行性病変は、多因子性の疾患であることが知られていた。今回の研究結果では、10〜40 歳台の患者では、わずかに骨代謝が高まっていた。また、40〜70 歳台の患者では、全身の炎症性変化が高まっていることがわかった。さらにこの病態には顎関節への強い機械的負荷が関与することが知られている。これらの病態が関連し合い、体内でのCCL5が増加し、この病気に関与していると考えられる。 用語解説(*1)CCL5C-Cケモカインリガンド−5 のこと。ケモカインは、炎症が生じた組織で産生が高まり、その場所にリンパ球を呼び寄せる活性がある。CCL5はその一つ。また、本研究グループにより骨の健康維持や病気にも関与することが明らかになっている。 (*2)バイオマーカー 診断や治療成績の評価に有用な生体由来の分子のこと。特に、血液や尿、唾液などに含まれる分子を指す場合が多い。 (*3)抗体免疫学的測定法抗原―抗体反応の原理を用いて特定の生体分子の量を測る方法。血液や尿などからの臨床検査でも用いられている。 参考文献飯村忠浩教授ら.顎関節の退行性病変に関わる新規分子の同定に成功 〜顎関節の退行性病変のバイオマーカーとして新たな臨床検査や治療法の開発に期待〜 .北海道大学 PRESS RELEASE.2023.(PDF)
1D編集部
2023年5月22日
岡山大学、「舌の動きの衰え」とフレイルが関連することを発見

岡山大学、「舌の動きの衰え」とフレイルが関連することを発見

岡山大学の研究チームは、フレイルになりやすい人の特徴として「舌の動きの衰え」が関連していることを明らかにした。高齢者の健康寿命を延伸するために、舌の動きのトレーニングや衰えの予防などが有効である可能性が示唆されている。本研究成果は、2022年1月にスイスの学術雑誌・International Journal of Environmental Research and Public Healthに掲載されている。今さら聞けない「フレイル」とは?研究の解説に入る前に、「フレイル(虚弱)」という概念についてご紹介しておこう。フレイルとは、年齢とともに身体や精神の力、社会的つながりが弱くなった状態のことを表す概念である。フレイルのまま放置すると、疾患にはかからずとも介助・介護が必要な状態になる可能性が高くなるとされる。しかし、フレイルは適切に対応をすることで予防・改善することができるとされており、特に口腔の機能もフレイルに関係する重要な器官であることが指摘されている。日本老年医学界による定義(2014)によれば、フレイルとは下記の概念のことである。高齢期に生理的予備能が低下することでストレスに対する脆弱性が亢進し、生活機能障害、要介護状態、死亡などの転帰に陥りやすい状態で、筋力の低下により動作の俊敏性が失われて転倒しやすくなるような身体的問題のみならず、認知機能障害やうつなどの精神・心理的問題、独居や経済的困窮などの社会的問題を含む概念「舌の動き」とフレイルとの関連研究チームは、岡山大学病院の歯科・予防歯科部門を受診した60歳以上の患者を対象にフレイル評価を行い、健康と判断された人を2年間にわたって追跡調査した。2年後に健康のままだった人とフレイルになった人とにどのような違いがあるかを分析したところ、フレイルになった人は、すでに舌の動きが衰えていたことが明らかになった。具体的に言えば、「タ」の1秒間に発音できる回数が少ない人は、2年後にフレイルになりやすいという結果であった。舌の動きが衰えることによって、コミュニケーションの障害や栄養摂取の障害などが引き起こされ、フレイルに影響している可能性が示唆された形だ。口腔機能から健康長寿を作るこのことから研究チームは、「舌の動きは訓練をすることにより維持・改善できると言われているため、舌の動きが衰えないようしっかり動かすことでフレイルを予防できるかもしれない」と語っている。本研究について、筆頭著者である竹内倫子講師(岡山大学病院歯科・予防歯科部門)は、「身体の健康と口腔の健康はつながっている。元気な身体で楽しい人生を過ごすためにも、う蝕や歯周病といった疾患に注目するばかりでなく、口腔の機能の面も大事にしていただきたい」と語っている。今後の研究にも注目が集まる。参考文献Noriko Takeuchi, Nanami Sawada, Daisuke Ekuni, Manabu Morita, Oral Factors as Predictors of Frailty in Community-Dwelling Older People: A Prospective Cohort Study, International Journal of Environmental Research and Public Health, 10.3390/ijerph19031145, 2022.1.22.『フレイルになる人は 2 年前に舌の動きが衰えていた!』岡山大学プレスリリース, 2022年3月17日.
1D編集部
2022年3月27日
【クッキリわかる】歯性上顎洞炎、ベストプラクティス

【クッキリわかる】歯性上顎洞炎、ベストプラクティス

歯性上顎洞炎は歯科と耳鼻科の両方で治療しており、治療方針も施設毎に異なる疾病である。外科治療を必要とする場合は、口腔外科単独で手術するケースもあれば、耳鼻科と連携して手術するケースもあり、確実な知識とスキルを必要とする。本記事では、歯科医院において歯性上顎洞炎に対応するための基礎知識を整理していく。歯性上顎洞炎の概要1943年、Bauewによって最初に上顎副鼻腔炎(MSDO)と呼ばれる。それ以降、疾患としての認識が広まった。Abrahamsらは、上顎臼歯部の感染が60%で上顎洞病変を示したMattilaは、根尖部周囲骨炎の約80%の歯に洞粘膜過形成が見られた。大林らは、感染症患者の71.3%に上顎洞粘膜の変化を認めた。Melenらは、慢性細菌性上顎洞炎の244症例の患者198例の研究で、症例の40.6%に歯の病因を発見。Mailletらは、上顎洞炎と一致する所見を有する82のCBCTより50%以上が歯性であると結論付けた。 Bomeliらは、副鼻腔疾患が重症である程、原因歯を有し、それが86%もあると発見した。松本らは、片側性副鼻腔炎の症例の72%に歯性の原因があることを発見した。歯性上顎洞炎の発生率は上顎洞病変の10〜12%と比較的頻度の高い疾患で増加傾向にあると言われてるが、依然歯に原因がある副鼻腔炎の診断は、見落としや誤診が多いのが現状である。見落としの結果、耳鼻科で行われるESS(内視鏡下副鼻腔手術)だけを行った後も再発をし、抜歯及びESS再手術となったケースも存在し、Longhiniらは見逃されている歯性上顎洞炎はESS術後の再発の危険因子であると報告している。歯性上顎洞炎の原因と症状、診断とは?歯性上顎洞炎の原因は、主に下記の3点である。根尖性歯周炎の拡大抜歯時穿孔(上顎第一大臼歯、第二大臼歯)異物の混入歯性上顎洞炎の特徴や症状としては、下記が挙げられる。片側性原因歯動揺原因歯部歯肉頬移行部の炎症患側の偏頭痛前額部痛、頬部痛鼻閉・後鼻漏歯性上顎洞炎の診断、読影、臨床検査について歯性上顎洞炎を診断する要素としては、下記を診るべきである。病歴の聴取(副鼻腔疾患や歯科治療歴) 副鼻腔症状:鬱血、鼻閉、後鼻漏、顔面痛、悪臭口腔内症状:原因歯の生死判定、fistelの有無、根尖圧痛の有無画像及び臨床検査(洞粘膜変化、原因歯の歯根周囲の所見の有無)エックス線画像において歯性上顎洞炎を診断するための所見には、主に下記がある。原因歯の歯槽硬線の消失上顎洞底線の消失上顎洞不透過性亢進(=液面形成)上顎洞粘膜の肥厚臨床検査の所見としては、下記が挙げられる。鼻の評価:22項目副鼻腔評価尺度(SNOT-22)、副鼻腔炎の主症状の有無、中鼻道の内視鏡的所見(浮腫、ポリープ、化膿)の有無。患側鼻閉感、鼻粘膜や下鼻甲介の発赤・腫脹、後鼻漏、味覚異常の有無。歯髄および根尖組織の歯内療法評価:温度診、電気歯髄診、打診、触診、プロービング、動揺度検査。患側犬歯、歯肉頬移行部から頬部、眼窩下部にかけての発赤、熱感、疼痛、浮腫性腫脹の有無。炎症評価:血液検査。発熱、全身倦怠感の有無。上顎洞粘膜繊毛機能評価:上顎洞内に造影剤を注入し、その排泄機能を数日後に調べる。歯性上顎洞炎に対するベストプラクティス歯性上顎洞炎の治療について、急性の場合と慢性の場合とに分けて解説を行う。急性の場合急性の歯性上顎洞炎の場合の治療・対処法は下記である。抗生剤、解熱鎮痛剤、栄養補給、安静消炎処置(炎症が洞内に留まっている場合):未処置歯・根管処置歯であれば経過観察。根尖病変・歯根嚢胞があれば原因歯抜去、ドレナージ、洞内洗浄消炎処置(炎症が洞外に波及している場合):骨膜炎や頬部蜂窩織炎は通常の切開保護床装着なお耳鼻科の場合は、消炎治療(抗菌薬、解熱鎮痛)や補助的治療(抗アレルギー薬、鼻粘膜充血改善薬)やドレナージ(上顎洞穿刺・洗浄)を行う。慢性(3ヶ月以上経過)の場合慢性の歯性上顎洞炎の場合の治療・対処法は下記である。原因歯治療:未処置歯・根管処置歯であれば経過観察→歯根部処理 or 抜歯原因歯治療:根尖病変・歯根嚢胞があれば原因歯抜去、ドレナージ、洞交通部からの洗浄、保護床装着抗生剤(マクロライド少量長期療法)+消炎酵素剤上顎洞炎根治術(Caldwel-Luc法、Denker法)洞口腔瘻閉鎖術なお耳鼻科の場合は、マクロライド少量長期療法や、鼻漏や鼻閉、疼痛などの症状や画像所見(洞内陰影残存)がなければ経過観察を行う。症状や画像所見がある場合は、内視鏡下副鼻腔手術(ESS)を行う。歯性上顎洞炎の対応で留意すべきこととは?歯性上顎洞炎の対応については、下記の項目に留意すべきである。画像検査はパノラマX線、デンタル検査に加え、CBCTは必ず併用し、確実な画像診断をすべき。初期治療として抜歯を行ったが再発してしまい、ESSを行なった症例もあり、必ずしも抜歯が第一選択ではない。根管治療が完了している場合、ESSを初期治療として行なった症例での短期的な上顎洞炎のコントロールが可能。外科的介入は根管治療完了後にすべき。耳鼻咽喉科医と歯内療法専門医との間の協力的な取り組みが重要。参考文献歯性上顎洞炎に対する内視鏡下鼻内手術時の原因歯処置 佐藤公則 耳鼻臨床 99:12;1029~1034, 2006歯性上顎洞炎の画像診断モダリティと治療方針に関する比較検討 桐広樹ら 頭頸部外科 28(1):39〜44,2018Maxillary Sinusitis of Endodontic Origin AAE ポジションステートメント
Imani
2022年3月3日
上市から約10年、バルクフィルレジン「真の実力」は?

上市から約10年、バルクフィルレジン「真の実力」は?

4-5mmの厚さまで一括で重合できる「バルクフィルレジン」。積層充填の工数が減り、CR修復の効率化が期待され2010年代中盤には大きな話題を呼んだ。上市から約10年が経ち、さぞ一般化されているかと思いきや筆者が臨床現場で見る機会は多くない。失敗作だったのか、というとそんなこともなさそうで、しっかりとした機械的性質のレビューもなされている。筆者が知らないだけかもしれないが、なぜ大きな転換期を迎えていないのか、従来のリプレイスには及ばないのか。今回はバルクフィルレジンについて、あくまで論文ベースにはなるがその有用性を改めて考えてみたい。そもそもバルクフィルレジンとは?ご存知の方は多いと思うが、大きな窩洞へのCR充填の際、一般的には2mm程度の積層充填が推奨されている。最適な重合を得るために設けられている、製品ごとの光硬化深度と照射時間にしたがって操作するわけだが、従来のものでは厚さ2mmに対し10-20秒の光照射と深い窩洞に対しては操作時間の延長、つまりチェアタイムの延長がペインになっていた。チェアタイムの短縮を目指し開発されたバルクフィルレジンは、光透過性を亢進させることで厚さ4-5mmまで一括充填を可能にし、歯科医院においてポピュラーな処置であるCR充填の効率化を実現した。手技の効率化やテクニックによって短縮できる時間はあるが、CRの硬化を端折ってしまえば未重合による接着不良や不均一な重合収縮により予後が悪くなってしまう。その絶対的な「時間」に寄与した開発はまさしくテクノロジーによる補完だ。このテクノロジーがなぜ普及しないのか、物性に問題があるのか、材料学的なレビューをみていきたい。機械的性質に問題は?いくつかの文献を探ってみたが、機械的強度は従来のものと同等あるいはそれ以上、耐摩耗性も問題なく、重合収縮率は有意に小さく収縮応力の発生も緩やか、などネガティブな要素は見つからなかった。強いていうならば「金属モールドを使用した場合、最も応力が集中する窩洞隅角部にレジン内部の亀裂が発生した」という結果が得られているため、メタルインレーの破折に対し補修修復を行った場合亀裂が生じるかもしれない。しかし補修修復の範囲なのであればバルクフィルレジンを使用する必要はないだろう。2012〜2019年までのレビューを一通り検索したが、材料単体でみた場合に棄却する理由は見当たらない気がする。すでに広まっているかもしれないし、広まるべき技術冒頭でも言った通り筆者が知らないだけかもしれないが、なぜ広まっていないのか。それだけ従来のCRが優れているのか。逆に必要以上の積層充填を行うことで収縮ストレスは大きくなり、過度な照射を繰り返せば重合収縮応力も大きくなる。臨床的にもむしろ少ない充填回数で修復できる方が歯質に対して望ましいわけだ。であれば価格がネックか。一般販売価格を調べたところ3,000〜5,000円で流通しており、従来のCRとほぼ変わらない。同価格帯でチェアタイムが短縮できるのであればコストパフォーマンスに優れているのも明白だ。しかし製品をみていく中で見えてきた問題がシェードだ。圧倒的にシェードが少ない。もしくはデンティン色とユニバーサルしかない物が多い。光透過性が高いことから昨年話題になったオムニクロマ®︎(関連記事:シェードのないCR「オムニクロマ®︎」使ってみてわかった衝撃の実力は)のような効果で厳密なシェード選択の必要がないのかもしれないが、審美性を重視する場合には用いられないだろう。また大きい窩洞での充填を考えた場合、ほぼ大臼歯を想定していることから審美面の優先度を低くしている可能性もある。これはロジカルであり、致し方ない部分でもあるだろう。特に機械的強度を担保する上でもフィラーの含有率は重要であり、バランスが取りにくい点でもある。改めて調べてみたことで普及しずらい理由も見えてきた。直接修復の利点は審美性も確保できることであり、実際に修復するとなるとバルクフィルレジンに加えてシェードの豊富なレジンを用意する必要があり、結局重ねて充填する操作も残る。であれば従来のものでチェアタイムが長かろうと大きな差は生まれないという判断になりそうだ。しかし技術的には素晴らしいもので、今後審美面でも進化していく可能性は大いにある。そしてその開発にはまず現行のものが普及し、データが蓄積され、改善点を洗い出していくことが必要だ。まだ広まっていないとしたら、ぜひ一度使ってみて、たくさん批判していただきたいと思う。その先に理想的な形が待っているはずだ。歯科セミナーなら「1D(ワンディー)」で!日本最大級の歯科医療メディア「1D」では、診療に役立つオンラインセミナーを多数開催中。もっと知りたい臨床トピックから超ニッチな学術トピックまで、参加したいセミナーが見つかります。下記ボタンから、開催中のセミナーを見てみましょう!開催セミナーを見てみる参考文献神谷直孝, 神谷昌宏, バルクフィルコンポジットレジンの効果初期における重合収縮応力の発生挙動と窩洞切断面の観察, 日歯保存誌 63 (1) : 14-21, 2020 [PDF]辻本暁正, 鈴木崇之, バルクフィルコンポジットレジンの機械的諸性質, 日歯保存誌 57 (2) 162-169, 2014 [PDF]株式会社ジーシー, 新規コンポジットレジンの耐摩耗特性, p81, 日本歯科保存学会2014年度秋季学術大会(141回)[PDF] 森俊樹, 上野貴之, 熊谷知弘, 株式会社ジーシー, 窩底部からの一括充填を可能にするグレースフィルバルクフローの粘度特性, 日本歯科保存学会2019年度秋季学術大会(151回)[PDF]森俊樹, 上野貴之, 熊谷知弘, コンポジットレジンの光学特性が硬化深度に及ぼす影響, 第74回日本歯科理工学会学術講演会, 2019 [PDF]吉川孝子, 光重合型レジン修復物の重合収縮応力緩和効果を有する修復技法に関する研究, 東京医科歯科大学歯学部, 1998 <URL>
ユースケ イシカワ
2021年2月23日

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レジン修復 (238)

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