【1D的セミナーログ】なぜ、歯科医師は診断がニガテなのか?
先日、1Dでは東京医科歯科大学歯学部附属病院歯科総合診療部講師の礪波 健一先生をお招きし、『”地獄”の総合診断トレーニング 〜歯科大病院で実際にあった”誤診”5,000症例に基づく、ほぼ全編クイズ形式による「参加型」超特訓セミナー〜』と題したWebセミナーを行った。当日は多くの歯科医師の方々が参加し、質問も多く盛況となった。本記事では、そのセミナーの内容をかいつまんで解説する。セミナーは今からでも視聴できるため、関心がある方はぜひご視聴いただきたい。講義動画(120分)を視聴するなぜあなたは、診断がニガテなのか?私たち歯科医師は、診断という行為に対して苦手意識を持っていることが多い。なぜか。歯科医師は外科的な手技を生業としているため、診断よりも治療が主体で、常に早急な判断を求められている、ということがひとつの理由であろう。しかし、昨今では単一の病態ではなく、複合的な病態を抱えて来院する患者さんが増えている。そうした患者さんたちにどのようにアプローチしていくかを考えることが、これからの時代を生きる歯科医師に必要な視点である。「速い」診断と「遅い」診断代表的な診断法として、2つの考え方がある。1つは「スナップ診断」という手法で、パターン認識に基づく直感的診断のことを指す。症状や所見の組み合わせのパターンで、経験に基づく "名人芸" とも言える芸当である。スナップ診断は、スピード感はあるものの正確さに乏しい部分がある。2つ目は「仮説演繹法」「臨床推論」という手法で、主に内科医が用いることが多い。この手法は診断に時間がかかるため、一般的な歯科診療には向いていないとも考えられる。それでは、歯科診療に適しているような、スピード感・正確さがある程度担保されるような考え方はあるのだろうか。蹄の音が聞こえたら、シマウマではなく馬を探せその答えは、「オッカムの剃刀」という考え方にある。オッカムの剃刀とは、思考節約の原理とも言い換えられる。ある事柄を説明するためには、必要以上に多くを仮定するべきではない、という考え方である。「蹄の音が聞こえたら、シマウマではなく馬を探せ」。つまり、パターンから最もありそうな事柄を選択するという考え方である。逆に、ひとつでもパターンから外れるものが見つかれば、仮説を棄却できる。つまり、自分が見ている枠組みをダイナミックに変更し、別の視点から見る必要性があるということである。自らの思考の枠組みを超えられるか?例えば「歯茎が痛い」を主訴に来院した患者がいたとする。打診痛やPPD、画像検査などのルーティン検査で特に異常を認めなかった場合、不定愁訴として片付けて良いものだろうか。場合によってはブラッシング圧が強い事による擦過傷かもしれないし、アロディニアによるものかもしれない。この時に、自らが持っている枠組みを超え、別の視点を導入することが重要だ。自分の持っている診断体系について、最初のアプローチは同じでも構わないが、それが棄却できると考えた場合は、別の視点から見てみることも重要である。治療がなかなかうまく進まない患者さんに対して、「病態」だけにフォーカスするだけではいけない。患者さんは何を期待しているのか、その期待の背景にある不満はなにか、不満を解決できるスキルが自分にあるのか、といったことも考えながら診療に望む。このことが、真に患者さんと向き合い、治療をうまく進めるきっかけになることだろう。 期間限定でセミナー動画が視聴可能本セミナーの視聴お申込みは下記ボタンから可能である。日々の診断や治療で悩みを抱えている先生方は、ぜひご視聴いただきたい。講義動画(120分)を視聴する