歯科医師国家試験と歯科技工士国家試験「同時ダブル受験」してみた感想
歯科医師国家試験の合格率は、70%程度だ。不合格になった受験生の多くは浪人をすることになるが、浪人は重ねれば重ねるほど合格率が下がるというデータもあり、受験生にとっては死活問題である。【関連記事】▶︎ 【ルポ】歯科医師国家試験、多浪生の現実 - 1D(ワンディー)ただ、歯科医師国家試験に合格しなければ歯科医療の現場に出れない、というわけではない。実は、歯学部を卒業すれば歯科技工士国家試験を受験することができる。卒業見込みでも受験できるため、歯科医師国家試験との同年受験も可能だ。歯科医師国家試験の浪人生が歯科技工士国家試験を受験することについては、メリットもある。特に、浪人生が手に職を付けることができる点が大きいだろう。歯科技工士国家試験の合格率は約95%であり、歯科医師国家試験よりも合格できる確率が高い。ペーパーテストの出題範囲も歯科医師国家試験の出題範囲に内包されているため、勉強方法は同じで済む。歯科技工士の免許を取得して歯科技工士として働きつつ、1年後に歯科医師国家試験へ再挑戦も可能である。同時ダブル受験してみた筆者は今年、歯学部を卒業した歯科医師国家試験受験生である。歯科医師国家試験に落ちることを覚悟していたわけではないが、歯科技工の勉強もしてみたいと思い、歯科医師国家試験と歯科技工士国家試験を同時受験してみた。歯科技工士国家試験の準備は?まずは、出願である。歯科技工士国家試験は、一般財団法人歯科医療振興財団に願書を請求することから始まる。この願書の請求は、出願締切の1週間前までには終わらせておきたい。願書を請求すると、歯科医療振興財団から受験案内と願書が送られてくる。これは比較的すぐに送られてくる。受験案内には何を用意するべきかが書かれた紙が挟んである。ここでピーソ―のプライヤーとヤングのプライヤーを用意する必要があることを初めて知る。ワイヤー屈曲の課題があるためだ。他にも、歯型彫刻の課題がある。これにはラバーボウルや、彫刻刀を持っていく必要がある。筆者は受験案内には書かれていなかったエバンスを勝手に持参したが、当日試験監督には止められなかった。次に送られてきた願書に記入する。ここで卒業(見込)証明書と大学から印をもらった証明写真を一緒に出すことになる。12月半ばの締切の日までにこれを出すことになる。この際に、銀行で歯科技工士国家試験の受験料・30,000円を振り込む必要がある。学生にとっては痛い出費である。歯科医師国家試験の受験料・18,900円よりも高いのだ。歯科技工士国家試験の対策は?歯科技工士国家試験は、4択のペーパーテスト80問と、実技試験からなる。ペーパーテスト対策は下の写真のような問題集をやり込めば十分だろう。技工操作や小児歯科の保隙装置の勉強は、かなり詳しく、わかりやすく書いてある。歯科医師国家試験の対策にも役立ちそうだ。実技試験は先述のワイヤー屈曲と歯型彫刻の他に、歯冠のスケッチがある。筆者は歯科医師国家試験が1月末に終わったあと、2月にワイヤー屈曲やスケッチの練習をした。学部の2年生や3年生のころの実習を思い出して懐かしい気がしてきた。2月中旬になると、歯科医療振興財団から受験票が送られてくる。今年度の東京の受験会場は日本歯科大学だった。いよいよ歯科技工士国家試験当日これが受験会場である日本歯科大学である。実習用の教室ではなく、講義用の教室で受験した。午前が実地試験、午後がペーパー試験である。実地試験は2時間という時間制限のなかで、スケッチ・ワイヤー屈曲・歯型彫刻の3つを終わらせなければならない点が難しかった。筆者は試験時間があと10分足りなければ咬合面が平らな歯型彫刻を提出していただろう。実地試験が終わり、周囲にいた受験生の出来を見たが、やはり上手であった。昼休みを挟み、ペーパー試験を受ける。正直に言えば、歯科医師国家試験よりは簡単である。ただし、歯科材料分野の問題は去年の歯科技工士国家試験より難化したらしい。歯科医師国家試験で出題されれば正答率が半分くらいになりそうな問題だった。個人的には、歯科医師国家試験では「腕時計は必ず腕に付けてください」と言われたのに、歯科技工士国家試験では「腕時計は机に置いてください」と言われたのが最も謎であった。このような細かいルールは統一されていないようだ。歯科技工士国家試験に合格したらさて、筆者は歯科医師国家試験と歯科技工士国家試験どちらも受験したわけだが、どちらにも合格した場合のメリットはほとんど無いと言ってよい。歯科技工士法第17条で「歯科医師または歯科技工士でなければ,歯科技工を業としてはならない」との条文があるため、歯科医師は歯科技工をできるからだ。メリットがあるとすれば、歯科医師国家試験に不合格で、歯科技工士国家試験が合格だった場合だ。まず、歯科技工士としての職を得ることができる。仕送りをもらいながら浪人していた受験生も、自立できるようになる。それでも、歯科医師になりたいという希望がある場合は、歯科医師国家試験の受験資格は失われないため、また来年度に挑戦すれば良いだけの話なのである。歯科技工士国家試験以外も受験できる歯学部を卒業すると、歯科技工士国家試験の他にも臨床検査技師国家試験を受験することもできる。筆者も受験しようと少し調べてみたものの、歯科医師国家試験の知識で解ける問題数は、全体の半分以下であると感じた。気になる方は厚生労働省のウェブサイトに過去問が記載されているのでそれを参考にしてもよいだろう。それに加え、臨床検査技師国家試験は例年、歯科医師国家試験の約2〜3週間後に実施されるため、勉強する時間がほとんどない。現状、歯科医師国家試験の受験生におすすめなのは歯科技工士国家試験であると言える。個人的には、臨床検査技師国家試験もいつか受験してみようと思っている。その際にはまた記事を寄稿してみたい。歯科臨床を学ぶなら、1D(ワンディー)で!1D(ワンディー)では、歯科臨床をオンラインで学べる高クオリティなセミナーがたくさん!ぜひ一度、興味あるセミナーを探してみてください。オンラインセミナー一覧を見る