メンデルの法則「優性・劣性遺伝」から「顕性・潜性遺伝」に用語変更
日本医学会は2022年1月24日、メンデルの法則(優劣の法則)で用いられる「優性遺伝・劣性遺伝」という名称の改訂する方針を定めた。改訂の内容は以下の通り。優性遺伝と劣性遺伝に代わる推奨用語について 「優性遺伝」「劣性遺伝」に代わる推奨用語は、それぞれ「顕性遺伝」「潜性遺伝」とする。従来の表記は、(優性遺伝)、(劣性遺伝)として、括弧書きで表記する。これらの用語は、本来、遺伝形式を示す用語であり、「顕性遺伝(優性遺伝)」「潜性遺伝(劣性遺伝)」と、遺伝形式として明記することが必要と考えられることから、4文字の用語として推奨用語を示す。5年程度の期間を経た後は推奨用語に移行する。(注)顕性(優性)、潜性(劣性)はそれぞれ遺伝形式を示す表現であることから、推奨用語としてはそれぞれ「遺伝」を付与した「顕性遺伝」「潜性遺伝」として使用するものとする。引用:日本医学会, 「優性遺伝と劣性遺伝に代わる推奨用語について(結果報告)」, 2022年1月24日日本医学会では、遺伝形式を表す「優性遺伝」「劣性遺伝」という医学用語を「顕性遺伝(優性遺伝)」「潜性遺伝(劣性遺伝)」と表記することについて意見の募集を行い、令和3年8月27日付にて「優性遺伝と劣性遺伝に代わる推奨用語について」分科会からの意見回答で138学会中「賛成136学会、保留2学会、反対0学会」の回答を経て改訂に至った。名称変更に至った背景「優性遺伝」「劣性遺伝」は遺伝形式を指す言葉として、医学領域では過去100年間にわたり用いられてきたが、これらの用語は「優劣」という語感を伴いやすいこともあり、古くから誤解や偏見を招きやすいという議論がされてきた。2017年9月にこれらの用語の見直しに関する提案が新聞報道で大きく取り上げられ、用語の変更は医学・医療のみならず社会や教育現場への影響も大きいことが懸念された。これを受けて日本医学会は2017年12月に「遺伝学用語改訂に関するワーキンググループ(WG)」を発足し、会議や公開シンポジウム、アンケートを行い、関連学会と広く協議。世論の流れもあり今回の改訂に踏み切った。教育の場ではすでに変わっている今回は医学側の正式な名称変更だが、教育現場ではすでに変更が進んでおり、文部科学省によると、2021年度に中学校の全ての教科書で「顕性・潜性」の用語が主として使われるようになっている。一律に従来の記載が削除されたわけではなく、「顕性(優性)・潜性(劣性)」と記載したり、注釈で補足する教科書もあるとのことだが、高校でも2022年度から新たな学習指導要領が適用となるのに合わせ、22年度から使用される理科の教科書での表記が「優性・劣性」から「顕性・潜性」に一斉に改訂されるそうだ。歯科医学との関連は?メンデルの法則といえば、第110回歯科医師国家試験で必修問題の正答となったのも記憶に新しい(*)。今年(第115回)の試験でもし設問されたとしても旧称が用いられると思うが、来年度以降は新名称が使用される可能性が高い。単一遺伝子病に関連するのはどれか。1つ選べ。(110C002)a. 染色体数の異常b. メンデル遺伝形式c. 常染色体の構造異常d. 性染色体の構造異常e. 胎生期ウイルス感染解答:b*第110回歯科医師国家試験C問題2問目歯科医師国家試験に限らず、メンデルの法則は基礎的な知識なのでいつ出題されてもおかしくない。初等教育で「優性遺伝」「劣性遺伝」と習ってきた今後5年間の国家試験受験生は、新たな名称に焦らないよう準備しておこう。参考文献日本医学会, 『「優性遺伝」「劣性遺伝」を「顕性遺伝(優性遺伝)」「潜性遺伝(劣性遺伝)」と表記することについて:パブリックコメントの募集』, 2020年1月21日(URL)HUFFPOST, 『中学理科「優性・劣性」から「顕性・潜性」に。遺伝の用語、2021年度から一斉変更』, 2021年04月20日(URL)