歯科用語集
2025年10月28日

プロービングデプス

「プロービングデプス」とは?歯科用語の解説と症例を紹介

PICK UP
【便利】歯科用語をイッパツ変換できるユーザー辞書を無料配布
【速報】令和8年度診療報酬改定の骨子判明:歯科はプラス0.31%、物価高・賃上げへの「二段構え」の支援策が柱に

定義・語源

プロービングデプスとは、歯周ポケットの深さを測定するための指標である。この用語は、英語の「probing depth」に由来し、歯周病の診断や治療において重要な役割を果たす。プロービングデプスは、歯周病の進行度を評価するために、歯科医師や歯科衛生士が使用する。通常、プローブと呼ばれる器具を用いて、歯肉の縁から歯周ポケットの底までの距離を測定する。測定値はミリメートル単位で表され、健康な歯周組織では1~3mm程度が理想とされる。


臨床における位置づけ・判断基準

臨床において、プロービングデプスは歯周病の診断や治療計画の立案において不可欠な指標である。特に、プロービングデプスが4mm以上の場合、歯周病のリスクが高まるとされ、5mm以上になると重度の歯周病が疑われる。これに基づき、歯科医師は適切な治療方法を選択し、患者に対する指導を行う。さらに、プロービングデプスの測定は、治療後の経過観察にも利用され、治療効果を評価するための重要なデータとなる。


関連用語・類義語との違い

プロービングデプスに関連する用語として、歯周ポケットや歯周病が挙げられる。歯周ポケットは、歯と歯肉の間に形成される隙間であり、プロービングデプスはその深さを示す指標である。また、歯周病は歯周組織の炎症を伴う疾患であり、プロービングデプスの測定はその診断において重要な役割を果たす。これらの用語は密接に関連しているが、プロービングデプスは具体的な測定値を指すのに対し、歯周ポケットや歯周病はより広範な概念である。


1Dプレミアム
1Dプレミアム

関連ニュース

プロービングデプスの理解と臨床応用。歯科診断における重要な指標と処置のポイント

プロービングデプスの理解と臨床応用。歯科診断における重要な指標と処置のポイント

プロービングデプスとは何かプロービングデプスは、歯周病の診断において重要な指標である。これは、歯周ポケットの深さを測定することで、歯周組織の健康状態を評価するための手法である。通常、プロービングデプスはミリメートル単位で測定され、正常な状態では1~3mmとされる。これを超える場合、歯周病の進行が疑われ、適切な処置が必要となる。プロービングデプスの測定は、歯科衛生士や歯科医師が行う診査の一環であり、患者の口腔内の健康状態を把握するために欠かせない手順である。特に、歯周病の早期発見や進行度の評価において、プロービングデプスは非常に有用な指標となる。プロービングデプスの測定手順プロービングデプスの測定は、特定の手順に従って行うことが重要である。まず、患者に対して適切な説明を行い、リラックスした状態で測定を開始する。次に、歯周プローブを使用して、各歯の歯周ポケットの深さを測定する。プローブを歯肉縁に対して垂直に挿入し、ポケットの最深部まで到達することが求められる。測定は、通常、各歯の4つの面(頬側、舌側、近心、遠心)で行い、その結果を記録する。これにより、歯周病のリスク評価や治療計画の策定に役立てることができる。注意点として、プロービングデプスの測定は、患者の痛みや不快感を最小限に抑えるよう配慮する必要がある。また、測定結果は、他の診断情報と組み合わせて総合的に評価することが重要である。プロービングデプスの臨床的意義プロービングデプスは、歯周病の診断において非常に重要な役割を果たす。深いポケットは、歯周病の進行を示す指標であり、適切な処置が必要であることを示唆する。例えば、プロービングデプスが4mm以上の場合、歯周病の治療が必要とされることが多い。また、プロービングデプスの測定は、治療効果の評価にも利用される。治療後に再測定を行うことで、治療の成功度や今後の管理方針を決定するための重要なデータとなる。さらに、プロービングデプスは、患者の口腔衛生状態や生活習慣の改善に向けた指導にも役立つ。定期的な測定を通じて、患者自身が自分の口腔内の健康状態を理解し、改善に向けた意識を高めることができる。プロービングデプスに関連する処置と術式プロービングデプスの測定結果に基づいて、さまざまな処置や術式が考慮される。例えば、軽度の歯周病が疑われる場合、スケーリングやルートプレーニングが推奨される。これにより、歯周ポケット内のプラークや歯石を除去し、炎症を軽減することができる。一方、プロービングデプスが深い場合や、重度の歯周病が疑われる場合には、外科的処置が必要となることもある。歯周外科手術や再生療法などが考慮され、患者の状態に応じた適切な治療計画が策定される。これらの処置は、患者の口腔内の健康を回復させるために重要であり、プロービングデプスの測定結果を基にした判断が求められる。プロービングデプス測定時の注意点とコツプロービングデプスの測定を行う際には、いくつかの注意点がある。まず、プローブの挿入角度や力加減に注意し、患者に不快感を与えないよう配慮することが重要である。また、測定は一貫性を持って行うことが求められ、同じ条件下での測定が望ましい。さらに、測定結果は正確に記録し、他の診断情報とともに総合的に評価することが必要である。定期的な測定を行うことで、患者の口腔内の健康状態を把握し、適切な治療や管理を行うための基礎データを得ることができる。これらのポイントを踏まえ、プロービングデプスの測定を行うことで、より良い歯科診療を提供することが可能となる。
1D編集部
2024年6月1日
【歯周治療ガイドライン】導入から3年の歯周病重症化予防治療(P重防)。SPTとの違いは?

【歯周治療ガイドライン】導入から3年の歯周病重症化予防治療(P重防)。SPTとの違いは?

歯周病重症化予防治療(P重防)は、2020年に導入された継続管理の考え方であり、歯周病の重症化予防、新たな歯周病発症部位の早期発見、良好な歯周組織環境の長期にわたる維持を目的としている。スケーリングやスケーリング・ルートプレーニング後あるいは歯周外科治療後の歯周病検査の結果、プロービングデプスが4mm未満に改善したが、歯肉に炎症または BOPが認められる場合を「進行予防」の状態にあると判定し、歯周病の進行を抑制するために行う継続的管理である。これにより歯肉炎から歯周炎への移行や歯周炎の重症化を抑制できる。従来、歯周病の継続管理は、中等度から重度の治療過程が対象であったが、P重防が導入されたことで、歯肉炎を含んだ軽度の患者も継続管理の対象となった。メインテナンス、SPTとの違いは?P重防は、モチベーションの維持、プラークコントロールの強化、スケーリング・ルートプレーニング、専門的機械的歯面清掃などが治療の主体となる。以下に、P重防の適応となる進行予防と診断した場合と、その他の状態との治療内容の違いを示す。再評価検査による判定継続管理移行前の再評価検査は、初診時の歯周病検査項目と原則的に同じ内容で行う。この検査結果とリスクファクターの有無などを総合的に考慮したうえで、歯周治療の効果と病状を判定する。あるいは「治癒」のいずれかの状態にあるかを判定し、P重防、SPT、メインテナンスに移行する。プロービングデプスが4mm未満となり炎症を認めない場合を「治癒」とし、メインテナンスを開始する。一方、プロービングデプスが4mm未満に改善しても歯肉に炎症が残存する場合を「進行予防」としている。このステージでは歯周病が進行する可能性が高いため、「進行予防」の部位では定期的なP重防を行う必要がある。また、4 mm以上の歯周ポケットや軽度の動揺、根分岐部病変などが残存するが炎症を認めない場合、臨床的に病状が安定していると考え「病状安定」とする。しかし、このステージでは歯周病が再発する可能性が高いことから、「病状安定」の部位に対しては、その後も患者を適切な間隔で来院させ、サポーティブペリオドンタルセラピー(supportive periodontal thera- py:SPT,病状安定期治療)を続けることが重要になる。継続した患者管理であるメインテナンスやP重防、SPT を行い、回復した口腔の健康を長期間維持することが大切である。効果判定と状態変化への対応プラークコントロールを含む患者の協力状態や歯周組織の状態にもよるが、P重防では一般的に、1-3ヶ月ごとのリコールが望まれる。P重防の期間中、病状の悪化や4mm以上のポケットの出現が認められた場合は、P重防を中断し、歯周基本治療や歯周外科処置による対応を行うか、 サポーティブペリオドンタルセラピー(SPT)へ移行する。注意すべきポイント歯周病の主因子である細菌性プラークは、口腔内に常在する。また、適切な歯周治療を行っても深い歯周ポケットや根分岐部病変が残存する場合もあること、長期間でみると全身的因子の影響を受けることもあることなどから、歯周炎は再発の可能性が高い。そのため、歯周治療後、それぞれの状態を維持できるように患者のモチベーションを高め、プラークコントロールを中心とした日常生活上の指導を基盤とするメインテナンス、SPTやP重防を行い、歯科医学的な立場から継続的な管理を行うことが最も重要である 。P重防はあくまでも「進行予防」P重防の枠組みでの治療は、専門家が行うプロフェッショナルケア(専門的ケア)と患者本人が行うセルフケア(ホームケア)の両輪で行われるものであり、いかに悪化しないように予防管理していくかが重要である。来院のたびに歯石などがべったりとついているような状態では、いずれリスクは大きくなり、「進行予防」の枠から出ていくことになる可能性が高い。P重防の適応患者は、プロービングデプスが4mm未満に減少したが、歯肉には炎症が若干残存する「進行予防」の状態である。状態を悪化させないように、ホームケアのレベルをあげるなど、患者自身のモチベーションを維持するように、歯科医院側も意識して行っていく必要がある。参考文献特定非営利活動法人日本歯周病学会. 歯周治療のガイドライン2022.(PDF)
482 TSUNAGU
2023年3月20日
歯周病が安定した後、機能回復には何を選択すべきか?

歯周病が安定した後、機能回復には何を選択すべきか?

歯周病患者の口腔機能回復治療の必要性は、歯質の欠損、歯の欠損、歯の動揺、さらに咬合・咀嚼機能や審美性の低下などによって生じる。この治療は、適切な咬合・咀嚼機能や審美性を回復するだけでなく、長期的に歯周組織を安定させて機能を維持するために大切であり、同時に歯周組織の炎症や咬合性外傷を誘発しないように配慮することが重要である。今回は口腔機能回復治療における治療選択について解説する。口腔機能回復治療とは?歯周病によって失われた口腔機能を回復するため、歯周外科治療後に行う治療の総称で、修復・補綴治療、矯正治療、インプラント治療などが含まれる。流れとしては以下の図の通りである。中等度以上に進行した歯周炎では歯周組織の支持能力の低下のため、細菌感染に対する配慮と咬合性外傷に対する配慮が不可欠となる。このため、歯周基本治療中に動揺歯の固定を目的とした補綴装置による連結固定が必要な場合や、可撤性部分床義歯になる場合も多く、進行した歯周病患者の修復・補綴治療は健常な患者に比較して困難であることが多い。歯周治療は、これらの問題点をクリアし、歯科治療の目的の一つである口腔機能回復をはかることが重要である。治療選択のために考慮すべきポイント1)検査項目歯周組織に炎症や咬合性外傷を誘発しないことや、歯周組織が安定した状態を維持できる口腔環境を整備することが重要であり、そのために、細菌感染、炎症や咬合性外傷に関する検査を重視しなければならない。細菌感染、炎症や組織破壊に関連する検査としては、口腔衛生状態(O'Leary のプラークコントロールレコード)、プロービングデプスとプロービング時の出血があげられる。また、咬合性外傷に関連する検査項目としては、エックス線画像(歯槽骨の吸収、歯根の長さ、歯根膜腔の拡大)、歯の動揺度、フレミタス(咬合接触時のわずかな振動)、残存歯数、残存歯の配置、咬合(ブラキシズムの有無,咬合力の強さなど)がある。2)動揺歯の治療に対する考え方動揺の原因が炎症なのか早期接触やブラキシズムなどの外傷性咬合が関与しているのか、注意深く判断すべきである。睡眠時のブラキシズムは最大咬合力を超えるという報告もあり、睡眠時のブラキシズムも含めて過度の外傷力に対する処置が重要である。歯の動揺が著しい場合は、歯周基本治療において咬合調整や暫間固定が必要な場合もあるが、基本的にはプラークコントロールやスケーリングを優先し、これらの治療後においても動揺が残存して機能的に障害がある場合などは、咬合調整や暫間固定を行い、動揺度など歯周組織の変化を評価したうえで、永久固定の必要性と範囲を判定したり、オクルーザルスプリントを製作したりする。3)暫間固定と歯周治療用装置(プロビジョナルレストレーション)による固定細菌感染に対する治療の後に歯の動揺がある場合、暫間固定を行って固定の方法や範囲を検討する。永久固定を行う場合、とくに歯周組織破壊が進行している症例では残存歯の支持力が減少しているため、補綴装置が細菌感染や咬合性外傷の原因とならないかを経時的に検査する必要がある。このような場合、歯周治療用装置による固定は、暫間的に咬合、審美性を回復するだけでなく、清掃性、補綴装置の形態、残存歯の保存の適否などを評価できる。補綴装置の形状や固定の範囲などの検討後、予知性の低い歯や動揺の大きな歯の保存の適否の評価も可能である。補綴治療法の選択と注意点1)歯冠修復(永久固定)歯周基本治療が終了しても、歯の動揺が原因で咀嚼機能の低下あるいは快適な咀嚼機能などが発揮されない場合や、咬合性外傷が依然として存在している場合で、暫間固定では強度が不十分な場合には永久固定を行う。永久固定を目的とした歯冠修復を行う際には種々の問題点や注意点がある。 支台歯の形成、印象の精度、模型製作の問題点、補綴装置の適合性や咬合、合着用セメントの種類、 根管治療の必要な場合は根管治療の問題点も生じる。補綴装置の歯間鼓形空隙、カントゥアなどもプラークコントロールを容易に行えるように製作すべきである。歯間鼓形空隙、カントゥアが適切でない場合はう蝕の危険性が増加する。また、咬合力が強い場合には、永久固定を行う際にどの範囲で固定を行うのかを歯周治療用装置(プロビジョナルレストレーション)や暫間固定などを行って慎重に決定すべきである。固定範囲を誤ると、固定歯や他の残存歯に咬合性外傷を引き起こすことになるだけでなく、補綴装置の脱落や破損などがみられる。補綴装置の長期の維持のためには脱落や破損を減少させる必要があり、とくに咬合力が強い場合は、外傷性咬合に対する配慮が重要である。 2)欠損歯列への対応 歯の欠損がある場合、固定性ブリッジや可撤性義歯、歯の移植、インプラントにより補綴治療を行う。欠損部を補綴することは、歯列の連続性や咬合を確保して残存歯への咬合性外傷を回避するためにも重要である。また、欠損になった理由を知ることは良好な予後を得るために重要である。歯周病が原因で欠損を生じたのであれば咬合性外傷が関与していたのかを知る必要がある。その場合には、咬合に対する対応について十分に配慮する必要がある。外傷性咬合を伴わない大臼歯の遊離端欠損症例では、大臼歯部は補綴治療を行わずに小臼歯までの咬合である短縮歯列でも許容される場合がある。(1)ブリッジブリッジによる補綴は、支台歯のみで咬合力が負担されるため、欠損の範囲や残存歯の分布、支台歯の歯周組織の状態を考慮して設計し、支台歯が負担過重にならないように配慮することが大切である。適切に設計されたブリッジは、固定効果により咬合性外傷の回避に有効となる。(2)可撤性部分床義歯欠損の範囲や残存歯の数、対合歯の位置や数などを考慮して義歯の設計をしていくが、設計によっては鉤歯への負担や咬合性外傷の誘発などがあり、残存歯と義歯粘膜への咬合力 の負担の割合などを慎重に決定すべきである。安定した部分床義歯の条件としては支持(垂直的移 動への配慮)、把持(水平的移動への配慮)、維持(離脱への対応)があるが、口腔清掃性にも配慮した設計が必要となる。また、安定した義歯は鉤歯への負担を減じることができるが、残存歯の負担能力を十分に考慮したうえで設計することが必要である。(3)インプラントインプラントは支持力が大きいため、残存歯の咬合負担を軽減できる場合が多い。また、隣在歯の切削などを伴う固定を回避することもできる。しかし、インプラントの対合歯に外傷力として働くことがあり、咬合力が強い場合には注意が必要である。天然歯からインプラント周囲組織への歯周病原細菌の感染が考えられるので、残存歯の歯周治療は重要である。(4)歯の移植歯の移植には、移植歯の選択、移植部位、移植の技術など、その予後を考えるうえで複雑な因子が関与している。とくに移植歯の抜去時に建全な歯根膜を可及的に多く残す必要がある。矯正治療による対応1)歯列不正 歯列不正には、歯周病罹患前から存在する歯列不正と、歯周病や習癖などにより引き起こされた歯列不正がある。いずれの場合も、プラークコントロールを困難にするようなケースでは、口腔衛生管理を行いやすい環境をつくる目的で、また、咬合干渉など咬合性外傷の原因となるようなケー スでは、咬合異常を改善する目的で矯正治療を行う。 2)矯正治療による歯周組織のリモデリング傾斜や挺出を生じ、咬合性外傷を合併している歯には骨縁下欠損が存在することがある。このような骨縁下欠損に対して歯周治療後に適切な矯正力(アップライト、挺出、圧下など)を加えることで骨欠損の改善が生じることがある。また、骨吸収を起こした歯を挺出させることで骨のレベルリングを行うことも可能である。この観点から矯正治療を単に歯の移動の手段としてではなく歯周組織の環境改善の手法として活用することは意義がある。口腔機能回復治療の意義歯周病患者の口腔機能回復は、歯周治療の一環としても極めて重要で、歯周病患者の補綴治療は、補綴予定部位の当該歯の病状安定後または治癒後に行うことが望ましい。口腔機能回復治療は決してゴールではなく、終わってからが本当の意味でのスタートである。その点をよく認識し、口腔内の健康維持のために適切なメインテナンスを行っていく必要がある。参考文献特定非営利活動法人日本歯周病学会. 歯周治療のガイドライン2022.(PDF)
482 TSUNAGU
2023年3月13日
【デンタルIQ】歯学部入学によって歯科疾患は予防できるのか?

【デンタルIQ】歯学部入学によって歯科疾患は予防できるのか?

歯学部では、未来の歯科医師育成のために日々教育が行われている。歯学部に通う学生は、日々の試験やCBT、歯科医師国家試験に向けて相当な量を勉強している。歯学部での6年間のうち、序盤は基礎的な生物学や全身解剖学、生理学などを学ぶが、学年が上がるにつれて歯や口腔顎顔面領域に関する事柄を学ぶことが多くなる。当たり前の話だが、歯学部生のデンタルIQは、6年間で飛躍的に向上する。もしデンタルIQが歯科疾患の予防につながるのであれば、歯学部生は歯科疾患にかかりにくいということになる。この仮説は正しいのかどうか、松本歯科大学が行った研究をご紹介したい。なお、以前1Dでは「進級」と「ブラキシズム」の関係に関する研究をご紹介している(『1Dニュース:「進級」と「ブラキシズム」:歯学部生、進級するほどブラキサーに』)。歯学部生は本当にデンタルIQが高くて歯科疾患になりにくいのか松本歯科大学の研究チームは、2011年度から2013年度に入学した歯学部生のうち、研究対象になった101名の歯学部生に1年次と4年次に健康診断を実施し、全身疾患の有無、身長、体重、BMI、血圧、現在歯数、未処置歯数、処置歯数、欠損歯数、DMFT歯数、CPI(プロービングデプスと臨床的アタッチメントレベル)を調査した。平成28年度歯科疾患実態調査において、4mm以上の歯周ポケットを有する者の割合は15〜24歳では17.6%、25〜34歳では32.4%である。松本歯科大学の1年生の数値は25.4%であり全国平均より高かったものの、4年次では17.8%で全国平均に近い結果まで下がった。つまり歯科医学を勉強するにつれて、ブラッシング方法や歯周疾患についての学習が進みセルフケアの能力が高まったか、歯科医院を受診して歯周治療を受けたものと考えられる。なお、臨床的アタッチメントレベルには有意差は認められなかった。う蝕については、1年次と4年次では有意差が認められ、未処置歯数が減少し、処置歯数が増加した。全身状態では、1年次と4年次で比較した際に血圧が増加していたものではBMIが増加していた。昼休みに歯を磨く文化ここからは筆者の私見を交えて考察をしていく。筆者は歯学部生時代は編入生で、文系大学を卒業してから歯学部に入学した。思い返せば、文系大学の在籍時には昼休みに歯を磨く学生は、よほど美意識が高いか健康志向の強い学生以外、ほとんど見なかった。しかし歯学部では、昼休みに学生が歯を磨いている光景は珍しくない。また、歯学部では教室の移動がほとんどなく、個別のロッカーが与えられている場合が多いというのも、昼休みに歯を磨きやすい要因ではあるだろう。一般的な文系大学では選択式の授業が大半であるため移動教室が多く固定のロッカーはない場合が多い。そんなわけで、歯学部に入ってから昼休みに歯を磨く学生が多いのにびっくりした覚えがある。しかし本研究の結果からは、必ずしもデンタルIQが歯科疾患の予防に著効するということは読み取れない。今後の患者指導に活かすポイントが見つかれば幸いである。参考文献佐故竜介, 出分菜々衣, 田口明, 尾﨑友輝, 窪川恵太, & 吉成伸夫. (2022). 歯科大学生 101 名の血圧とう蝕未処置歯数, 歯周ポケット深さおよび Body Mass Index との関連について: 入学時および 4 年時の追跡調査. 日本歯科保存学雑誌, 65(2), 164-173.
宇梶 淳平
2022年7月10日

関連用語

レジン修復 (238)

PICK UP
【便利】歯科用語をイッパツ変換できるユーザー辞書を無料配布
【速報】令和8年度診療報酬改定の骨子判明:歯科はプラス0.31%、物価高・賃上げへの「二段構え」の支援策が柱に
1D SNS
掲載情報について

1D(ワンディー)は、歯科医師・歯科衛生士・歯科技工士向けの情報が集まる、日本最大級の専門メディアです。

トップレベルの臨床家・研究者からオンラインで学べる「歯科セミナー」や、臨床・経営・ライフスタイルの最新情報が収集できる「歯科ニュース」など、多彩な歯科医療コンテンツを配信しています。

本サイトは、歯科医療関係者(歯科医師・歯科衛生士・歯科技工士・歯科助手・歯科学生等)を対象に、歯科医療の臨床・研究・経営等に関する情報を集約したものです。歯科医療関係者以外の一般の方に対する情報提供を目的としたものではないことをご了承ください。

また、本サイトで提供する情報について細心の注意を払っておりますが、内容の正確性・完全性・有用性等に関して保証するものではありません。詳細は利用規約をご覧ください。

SNS
1D - 歯科医師/歯科技師/歯科衛生士のセミナー視聴サービスなら
© 2026 1D inc.