京大・口腔外科発、「歯の再生治療」ベンチャーが4.5億円を調達
京都大学歯科口腔外科から始まった製薬スタートアップ企業、トレジェムバイオファーマ株式会社は、歯の再生治療薬の研究開発・上市を目指し、ベンチャーキャピタルなどを引受先とする4.5億円の第三者割当増資を実施した。同社は調達した資金をもとに、臨床試験の前段階である安全性試験に乗り出す。歯の再生治療が当たり前になる世の中は訪れるのか。ベンチャーキャピタルから4.5億円を調達今回、増資の引受先となったのは、京都大学イノベーションキャピタルとアステラス製薬のコーポレートベンチャーキャピタル(CVC:事業会社が行う投資会社)である米アステラスベンチャーマネジメント、新日本科学の創薬支援子会社であるGemseki、京信ソーシャルキャピタル、京都市スタートアップ支援2号ファンドだ。歯科医療に特化した日本発の製薬スタートアップ企業による資金調達は珍しい。同社は今回調達した資金を使って、安全性の確認や医薬品の製造・品質の管理基準であるGMPに沿った製剤準備を進めるとしている。後述するが、まずは先天性無歯症の患者を対象とした治験を計画しており、2024年には開始したい考えだ。研究の内容と今後の展開は?同社は、京都大学大学院医学研究科口腔外科学分野(現:同客員研究員、公益財団法人田附興風会医学研究所北野病院歯科口腔外科主任部長)の髙橋克准教授による歯の再生治療に関する研究をきっかけに2020年5月に創業した。骨形成タンパク質であるBMP等の働きを阻害する分子、USAG-1が歯の発生過程に関与し、USAG-1を抑制する中和抗体によって無歯症モデル動物で欠損歯が回復することを明らかにしたことで、注目が集まった。説明するまでもないが、歯の再生治療が実現すれば、義歯やインプラントなどの欠損補綴に代わる治療法になる可能性を秘めている。同社は現在、先天性無歯症を最初の適応疾患として研究開発を進めている。先天性無歯症は患者が未成年で顎骨が発達期にあるため義歯やインプラントの適用が困難であり、成人するまで根治的な治療法の無い希少疾患だ。現状は成人するまでの長期間を温存療法で耐えるしかなく、歯の欠損が栄養確保と成長に悪い影響を及ぼすため、根治的な治療法の開発が強く望まれている。長期的には、永久歯の後に萌出する第三生歯を発生させる研究も見据えており、高齢者のオーラルフレイル改善に寄与し、健康寿命の延伸に貢献したいと同社は語っている。参考文献『「歯生え薬」の安全性試験へ 京大発新興が4.5億円調達』日本経済新聞, 2022年3月8日(URL)『世界初の歯の再生治療薬を開発 トレジェムバイオファーマ株式会社に投資を実行』PR TIMES, 2022年3月8日(URL)