歯科診療 YES or NO ?
4月に入り、日本でも新型コロナウイルス感染症(以下COVID-19)の流行も本格的な勢いを見せてきた。それに伴い、歯科診療所の運営・診療体制にも様々な議論があるだろう。先日、テキサス大学医療科学センターは論文形式でCOVID-19流行期における歯科診療への提言をだした。しっかりとした論文として出しているからこそ、信頼のできる情報源なのではないかと筆者は考える。この記事では、その論文を翻訳し以下に要約する。そして記載されている「患者を診察するかどうか」のフローチャート、「患者への問診票」の日本語訳版をPDF形式で配布することとした。感染防止の基本原則COVID-19は飛沫感染、接触感染で罹患する。社会的距離(ソーシャルディスタンス)を保つことが重要である。COVID-19の原因ウイルス(以下、SARS-CoV-2)は、飛沫により汚染された非生物の物体にもある程度の時間生存する。そのため手洗いは最も重要である。SARS-CoV-2はアンギオテンシン変換酵素受容体に付着する能力があり、唾液腺ではSARS-CoV-2が多く存在するため、唾液中にも多く含まれる。つまり唾液が飛沫となる歯科の環境は感染のリスクが高いと言える。まずはスクリーニングをテキサス大学の論文では患者が来院する前に電話(もしくはメール)でのスクリーニングを推奨している。聴取のポイントは以下の3つに絞っている。COVID-19に罹患している人、もしくは疑わしい人と接触があったかCOVID-19が流行している地域への渡航歴があるか現在、熱、咳の症状があるかその病状は緊急性が高いか?電話やメールでのスクリーニングを実施したのち、その患者にどう対応するかについても提言されており、フローチャートは以下のようになっている。スクリーニングを受けずに来院した患者には問診表に記入してもらうよう対応する。COVID-19に罹患しているかどうかのスクリーニングと現在の症状について書いてもらい、診察が必要な緊急性の高い状況か判定する。待ち時間には非接触式の体温計で体温を測ると良い。また、COVID-19に感染していると疑われる患者が来た場合には十分に換気した診療室で、他の患者から6フィート(182cm)以上離すべきである。診察に臨む場合は多くの歯科医院は物資の不足で必ずしも全ての事ができるわけでなはい。しかしながら、感染リスクを最小限に留めながら診察するために、以下の対策を推奨している。(一部は参考文献2を参考に書いた。)スタンダードプレコーションに則った診察を行う。ガウン、グローブ、フェイスシールド、マスクを装着する。術者は適切な術前の手洗いをする。すでに発表されている研究でSARS, MARSの原因となったコロナウイルスにはポビドンヨードが有効だと結果が出ているため、術前に患者にポビドンヨード系含嗽剤で含嗽させることが有効だと考えられる。口内法のX線写真撮影は唾液の飛沫ならびに咳嗽を誘発する。新型コロナウイルスの流行期間は可能であればパノラマX線写真のような口外法の撮影か、CBCTの使用で代替するべきである。口内法を避けられい場合はセンサーやフィルムを二重に防護する。ラバーダムと強力な排唾管は飛沫の発生を防ぐ。歯髄炎・根尖性歯周炎に関して投薬による緩和が可能であれば初診時は処方のみとする。抜歯を行うときは吸収性縫合糸を使うべきである。COVID-19の感染が疑われる場合で緊急性が高い症状の場合、AIIR(空気感染隔離室・陰圧隔離室)での診療が推奨される。術後は治療した環境の清掃と消毒を必ずするべきである。もしくは患者を隔離してよく換気をした環境で治療をするべきである。ダウンロードリンク新型コロナウイルスに関する問診票緊急性の評価シート診療のためのフローチャート歯科セミナーなら「1D(ワンディー)」で!日本最大級の歯科医療メディア「1D」では、診療に役立つオンラインセミナーを多数開催中。もっと知りたい臨床トピックから超ニッチな学術トピックまで、参加したいセミナーが見つかります。下記ボタンから、開催中のセミナーを見てみましょう!開催セミナーを見てみる参考文献Ather, A., Patel, B., Ruparel, N. B., Diogenes, A., & Hargreaves, K. M. (2020). Coronavirus Disease 19 (COVID-19): implications for clinical dental care. Journal of Endodontics.Meng, L., Hua, F., & Bian, Z. (2020). Coronavirus Disease 2019 (COVID-19): Emerging and Future Challenges for Dental and Oral Medicine. Journal of Dental Research.