歯科用語集
2025年10月28日

パルスオキシメーター

「パルスオキシメーター」とは?歯科用語の解説と症例を紹介

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定義・語源

パルスオキシメーターとは、血中の酸素飽和度(SpO2)を非侵襲的に測定する医療機器である。主に指先や耳たぶに装着し、光学的手法を用いて血液中の酸素濃度を測定する。語源は、「パルス」と「酸素飽和度」に由来し、心拍に伴う血流の変化を利用して酸素の量を評価する。近年、歯科診療においても、患者の全身状態を把握するための重要なツールとして利用されている。


臨床における位置づけ・判断基準

臨床現場において、パルスオキシメーターは特に全身麻酔や鎮静下での歯科治療において重要な役割を果たす。患者の酸素飽和度が低下した場合、迅速な対応が求められるため、常にモニタリングが必要である。一般的に、SpO2が95%以上であれば正常とされ、90%未満の場合は酸素投与や他の介入が必要とされる。これにより、患者の安全を確保し、合併症のリスクを低減することができる。

関連用語・類義語との違い

パルスオキシメーターに関連する用語としては、血液ガス分析や酸素療法が挙げられる。血液ガス分析は、動脈血の酸素分圧や二酸化炭素分圧を測定する方法であり、より詳細な情報を提供するが、侵襲的である。一方、パルスオキシメーターは非侵襲的であり、迅速に酸素飽和度を把握できるため、特に歯科診療においては利便性が高い。これらの違いを理解することで、適切な判断が可能となる。

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SPO2測定の重要性と歯科臨床における活用法。診断・処置に役立つ具体的手順と注意点

SPO2測定の重要性と歯科臨床における活用法。診断・処置に役立つ具体的手順と注意点

SPO2とは何か?その定義と測定方法 SPO2とは、血中の酸素飽和度を示す指標であり、パルスオキシメトリーを用いて測定される。具体的には、動脈血中の酸素がヘモグロビンに結合している割合を示し、通常はパーセンテージで表される。正常なSPO2値は95%から100%とされ、これを下回る場合は酸素供給が不十分である可能性がある。 歯科臨床においては、特に全身疾患を有する患者や高齢者に対して、SPO2測定は重要な診断手段となる。適切な測定手順を理解し、臨床での活用法を把握することが求められる。 SPO2測定の臨床的意義と関連症例 SPO2測定は、歯科治療における全身状態の把握に役立つ。特に、呼吸器疾患や心疾患を有する患者においては、酸素飽和度の低下が治療のリスクを高めるため、事前の評価が不可欠である。 例えば、慢性閉塞性肺疾患(COPD)を持つ患者に対しては、SPO2値が低下することで、麻酔や鎮静剤の使用に注意が必要となる。これにより、治療中の合併症を防ぐことができる。 また、SPO2測定は、手術後の回復過程においても重要であり、患者の状態をモニタリングすることで、早期に異常を発見することが可能である。 SPO2測定の手順と注意点 SPO2測定を行う際の基本的な手順は以下の通りである。まず、患者の指先や耳たぶにパルスオキシメーターを装着し、数秒待つことで測定値を得る。 注意点としては、測定部位の血流が十分であることを確認することが挙げられる。血流が悪い場合、正確な測定ができないため、手指を温めるなどの工夫が必要である。また、ネイルポリッシュや人工爪がある場合は、測定に影響を与える可能性があるため、事前に取り除くことが望ましい。 さらに、SPO2値が低下した場合の対応策をあらかじめ考慮しておくことも重要である。酸素投与や、必要に応じて専門医への相談を行うことが推奨される。 SPO2測定のメリットとデメリット SPO2測定の最大のメリットは、非侵襲的に患者の酸素状態を把握できる点である。これにより、患者への負担を軽減しつつ、迅速な判断が可能となる。 一方で、デメリットとしては、測定値が一時的なものであるため、継続的なモニタリングが必要な場合には限界がある。また、外的要因(冷え、動きなど)によって測定値が変動することも考慮しなければならない。 このように、SPO2測定は歯科臨床において有用なツールであるが、その特性を理解し、適切に活用することが求められる。 まとめ:SPO2測定の臨床での活用法 SPO2測定は、歯科医師や歯科衛生士にとって、患者の全身状態を把握するための重要な手段である。特に、全身疾患を有する患者に対しては、事前の評価が治療の安全性を高める。 正しい測定手順を理解し、注意点を押さえることで、SPO2測定を効果的に活用することが可能である。今後の歯科臨床において、SPO2測定がより一層重要な役割を果たすことが期待される。
1D編集部
2024年6月1日
酸素飽和度の理解と歯科臨床における重要性。診断と処置に役立つ視点

酸素飽和度の理解と歯科臨床における重要性。診断と処置に役立つ視点

酸素飽和度とは何か?その定義と重要性酸素飽和度(SpO2)は、血液中の酸素がどれだけ結合しているかを示す指標である。通常、パルスオキシメーターを使用して測定され、正常値は95%から100%とされる。歯科臨床においては、特に全身的な健康状態を把握するために重要である。酸素飽和度が低下すると、患者の全身状態に影響を及ぼし、麻酔や手術のリスクが増加するため、歯科医師はこの指標を常に意識する必要がある。酸素飽和度の測定方法とその手順酸素飽和度の測定は、主にパルスオキシメーターを用いて行われる。この装置は、指先や耳たぶにクリップのように装着し、光を通して血液中の酸素濃度を測定する。測定手順は簡便で、特別な準備は不要であるが、測定前に患者の状態を確認し、安静にしていることが重要である。測定結果は即座に表示され、迅速な判断が可能である。酸素飽和度の低下が示す症状とその影響酸素飽和度が低下すると、患者は様々な症状を示す可能性がある。具体的には、息切れ、動悸、疲労感、さらには意識障害などが挙げられる。これらの症状は、歯科治療中に麻酔を使用する際や、長時間の治療を行う場合に特に注意が必要である。酸素飽和度の低下は、全身的な合併症を引き起こすリスクがあるため、早期の診断と適切な処置が求められる。酸素飽和度の測定結果を踏まえた判断と処置酸素飽和度の測定結果に基づいて、歯科医師は治療方針を決定する必要がある。例えば、酸素飽和度が90%未満の場合、患者の全身状態を再評価し、必要に応じて酸素投与や他の医療機関への紹介を検討することが重要である。また、麻酔を行う際には、酸素飽和度を常にモニタリングし、異常があれば直ちに対応することが求められる。酸素飽和度を考慮した歯科治療のメリットとデメリット酸素飽和度を意識した治療には、いくつかのメリットとデメリットが存在する。メリットとしては、患者の安全性を高めることが挙げられる。特に高リスク患者に対しては、酸素飽和度をモニタリングすることで、合併症の予防につながる。一方、デメリットとしては、測定機器の導入や運用にかかるコスト、また測定結果に基づく判断が必要なため、治療の進行が遅れる可能性がある。これらの点を考慮し、適切な判断が求められる。酸素飽和度の管理における注意点とコツ酸素飽和度を管理する際には、いくつかの注意点がある。まず、測定機器の正確性を確認することが重要である。また、患者の状態に応じて、測定の頻度を調整することも必要である。さらに、酸素飽和度が低下した場合の対応策を事前に準備しておくことで、迅速な処置が可能となる。これらのコツを押さえることで、より安全な歯科治療を実現することができる。まとめ:酸素飽和度の重要性と今後の展望酸素飽和度は、歯科臨床において非常に重要な指標である。患者の全身状態を把握し、適切な処置を行うためには、酸素飽和度の測定とその結果に基づく判断が不可欠である。今後、歯科医療においても、酸素飽和度の管理がより一層重視されることが期待される。歯科医師は、最新の知識と技術を駆使し、患者の安全を最優先に考えた治療を行うべきである。
1D編集部
2024年6月1日
パルスオキシメーターの活用法。歯科臨床における診断と処置のポイント

パルスオキシメーターの活用法。歯科臨床における診断と処置のポイント

パルスオキシメーターの定義と基本的な使い方パルスオキシメーターは、血中の酸素飽和度(SpO2)を非侵襲的に測定する医療機器である。通常、指先や耳たぶに装着し、数秒で測定結果を得ることができる。歯科臨床においては、特に全身的な健康状態を把握するために重要な役割を果たす。この機器を使用することで、患者の呼吸状態や循環器系の健康を迅速に評価できるため、特に麻酔を行う際や、心疾患の既往歴がある患者に対しては、事前の診断が重要である。また、パルスオキシメーターの導入は、診査の精度向上にも寄与する。これにより、歯科医師や歯科衛生士は、より適切な処置を選択することが可能となる。パルスオキシメーターの臨床でのメリットとデメリットパルスオキシメーターの主なメリットは、非侵襲的で迅速な測定が可能である点である。これにより、患者への負担を軽減しながら、必要な情報を得ることができる。また、測定結果は即座に得られるため、診断や処置の判断を迅速に行うことができる。一方で、デメリットとしては、外部要因(例えば、指の冷たさや動き)によって測定結果が影響を受ける可能性があることが挙げられる。また、特定の病態(例えば、貧血やメトヘモグロビン血症)では、正確な測定が難しい場合もあるため、注意が必要である。パルスオキシメーターを用いた症例とその判断ポイント具体的な症例として、心疾患を有する患者に対する歯科治療を考える。これらの患者は、麻酔や侵襲的な処置を行う際に、血中酸素飽和度のモニタリングが不可欠である。このような場合、パルスオキシメーターを使用することで、患者の状態をリアルタイムで把握し、必要に応じて酸素投与を行うことができる。また、呼吸器疾患を持つ患者に対しても、同様のアプローチが求められる。これにより、歯科医師は安全に処置を進めることができ、患者の健康を守ることが可能となる。パルスオキシメーター導入の際の注意点とコツパルスオキシメーターを導入する際には、いくつかの注意点がある。まず、機器の選定にあたっては、信頼性の高いメーカーの製品を選ぶことが重要である。また、定期的なキャリブレーションやメンテナンスを行うことで、測定精度を保つことができる。さらに、使用時には患者の状態を観察し、異常値が出た場合には速やかに対応することが求められる。これにより、患者の安全を確保し、適切な処置を行うことができる。まとめ:歯科臨床におけるパルスオキシメーターの重要性パルスオキシメーターは、歯科臨床において非常に有用なツールである。患者の全身状態を把握するための重要な手段として、特に麻酔や侵襲的な処置を行う際には欠かせない存在となっている。そのため、歯科医師や歯科衛生士は、パルスオキシメーターの正しい使い方を理解し、臨床における活用法を習得することが重要である。これにより、より安全で効果的な治療を提供することが可能となる。
1D編集部
2024年6月1日
歯科医院での2歳児死亡事故、あす判決。女児の死は回避できたのか?

歯科医院での2歳児死亡事故、あす判決。女児の死は回避できたのか?

2017年7月、福岡県の歯科医院にう蝕の治療に訪れていた女児(当時2歳)の容体が急変し、死亡した悲痛な事故が起こった。警察による司法解剖の結果、女児の死因は局所麻酔薬であるリドカインの中毒による低酸素脳症と断定された。女児の歯肉には広い範囲におよぶ出血が確認されたことから、歯科医師が誤って血管内に局所麻酔薬を投与した可能性もあるとみて、業務上過失致死罪で担当していた歯科医師が起訴された。歯科医師には、あす25日に福岡地裁にて判決が言い渡される。この医療事故をめぐっては、歯科医師による対応の難しさに関して歯科業界の内外問わずさまざまな議論がなされており、注目の判決となる。(関連記事)>> 『八王子市歯科医師フッ化水素酸誤塗布事故はなぜ起きたのか?』1D(ワンディー), 2019年10月27日.医療事故の概要業務上過失致死罪に問われているのは、福岡県春日市の歯科医院の元院長で歯科医師の男(56歳)。起訴状によれば、同歯科医師は2017年7月1日、リドカインによる局所麻酔をした女児の容態が急変したにもかかわらず、救急搬送などの必要な救命措置を怠り、2日後に急性リドカイン中毒による低酸素脳症に陥らせ死亡させたとされている。検察側は「歯科医師として基本的な注意義務を怠った」として禁錮2年を求刑しているが、弁護側は女児の死について「予見できなかった」として無罪を主張している。事故当時の流れを時系列で整理当日、女児は母親(当時25歳)と一緒に歯科医院に来院。リドカインによる局所麻酔を受けた後、ラバーダム防湿をし、約1時間のう蝕治療を行った。治療に際しては、抑制具を用いた身体抑制を行なっていた。しかし治療後、女児の身体は硬直し、目の焦点が合わなくなった。歯科医師は「よくあること」だとして院内で休むよう促した。しかしその約50分後、女児は激しいけいれんを起こし、大学病院に救急搬送された。そしてその2日後、大学病院にて死亡が確認された。以上が、今回の医療事故の経緯である。検察側は、治療後の女児に対する歯科医師の対応に関して、適切な観察や対処を怠ったと指摘。歯科医師が治療が終わった17時10分から18時までにパルスオキシメーターなどで正確な測定をしたり救急搬送したりすれば、女児の死は回避できたとしている。一方で弁護側は、麻酔薬の使用量や使用方法に問題はないため、中毒死が起こり得ることは予見不可能であり、死亡は防げなかったと訴えている。主な争点は「予見可能性」と「回避可能性」今回の公判の主な争点は、下記の2点であると考えられる。歯科医師が、女児の死亡を予見できたか?治療後の歯科医師の対処次第では、女児の死を回避できたか?歯科医師も全身管理を学んでいるとはいえ、今回のような稀なケースにおいては、歯科麻酔を専門としない歯科医師では対応が難しかった可能性もある。明日の判決が出しだい、本記事に追記を行なっていく。追記:執行猶予判決(2022年3月25日14時)福岡地裁は3月25日、歯科医師に禁錮1年6ヶ月、執行猶予3年(求刑・禁錮2年)を言い渡した。歯科医師は無罪を主張していたが、福岡地裁は「医学的に知識を持たない父親でも異変に気付いていた」「問診などをしていれば中毒症状が起きている可能性に気付くことができた」などとして、執行猶予付きの有罪判決となった。参考文献毎日新聞『虫歯治療後に2歳児が死亡 歯科医は回避できたか 25日に判決』平塚 雄太, 2022年3月24日.1D(ワンディー)『福岡の歯科医院で女児死亡、報道に対して日本小児歯科学会が抗議』松岡 周吾, 2020年7月2日.
1D編集部
2022年3月24日
何がいけないの?歯科医療者も、ネイルしよう。

何がいけないの?歯科医療者も、ネイルしよう。

今や男性もするほど一般的になったネイルアート。多くの人が好みそれぞれに色彩豊かな爪先をしているのではないだろうか。しかし読者のみなさまはどうだろう。学生のうちからネイル・染髪の制限をされたり、歯科医療者でネイルをしている方は少ないように思える。もちろん最近は「ネイルOK!」のような謳い文句の求人なんかも見るし、寛容な世の中になりつつあると感じるが、とても身近とは言えない。でもどうしてネイルアートは禁止されているのだろうか。簡単に思いつくのは、重ねてブリーチしたような髪だったり、派手な色の染髪も同じく”身だしなみ”という文化的な理由だ。このステレオタイプにも疑問を持っているが、ネイルに関してはロジックに乏しい。なぜなら歯科医療者は当たり前にメディカルグローブを着用しているので、直接爪を見る機会は少ないはずだ。もしかしたら絶対的にネイルが禁止される理由があるかもしれない、ということで可能な限りその根拠をリサーチした。爪の医学的リスク前提として、爪を長く伸ばすことは医療従事者としてあまり望ましくない。これは主観的な問題ではなく、爪が長いと手洗い後でも爪下の細菌は除去されにくいことが報告されている。そしてCDCガイドラインでは「爪の長さは6.35mm未満」が望ましいとされ、感染対策面で明確なリスク要因となっている。現代ではメディカルグローブの着用も常識であり、爪が長いとグローブが裂ける可能性は高く、リスクの上昇は明白だ。ただ、これは爪を”伸ばした”時の話であり、マニキュアやジェルなどネイルアートをした場合の話ではない。これだけではネイルアートが禁止される理由にはならない。爪ではなく「ネイルアート」について言及した文献を探し、明確に禁止しているものを見つけた。The WHO guidelines on hand hygiene in health care (1) (Table 4.9.1) recommend to keeping nails short and to remove all jewellery, artificial nails or nail polish before surgical hand preparation. ---GLOBAL GUIDELINES FOR THE PREVENTION OF SURGICAL SITE INFECTION (WHO)WHOはネイルアートを除去するよう推奨している。だが「なぜ除去すべきか」については見つからなかった。また少し違う視点からネイルアートと医療の接点を見てみると、パルスオキシメーター使用時の障害因子だという点も挙げられる。新型コロナウイルス感染症の流行を受け日本ネイリスト協会も検査の妨げになる可能性を指摘し、除去を推奨している。その知識をもともと有する医療従事者は自己管理として平時から避けるべき、という捉え方もできなくはない。とは言えこれも「医療に従事するにあたって」ネイルアートがふさわしくないと断定できない。X線写真撮影やAEDの使用に支障があるのでワイヤー入りの下着を身につけるべきではないと言っているに近い。ここまでで公に禁止されていることはわかった。しかしネイルアートに関して、ダメなものはダメ、みたいな話では納得できないので「なぜ除去すべきか」にフォーカスして考察していく。ネイルアートがダメな理由は?まず、便宜的にネイルアートと一括りにしていたが、より詳しく考察するため種類を明示しておく。マニキュア一般的に想像するネイルアートで、正しくはネイルポリッシュという。成分はニトロセルロースやアクリルなどの樹脂、顔料、有機溶剤、可塑剤。ジェルネイル近年の主流になりつつあるもので、光重合レジンが応用されたもの。成分はウレタン樹脂またはアクリル樹脂、顔料、可塑剤、光重合開始剤など。ネイルチップ俗にいう付け爪。合成樹脂系のものを接着剤や両面テープなどでつける。スカルプチュアいわゆる人工爪で、元々は医療用として開発された。既製のネイルチップとは違い、直接爪に盛るもので、歯科でいう直接法CRベニアみたいなところ。成分はネイルチップ、ジェルとほぼ同じ。簡単に種類と成分を列挙したが、大まかに分けると「塗るもの」と「付けるもの」という感じになる。そして「付けるもの」に関しては前述の根拠から望ましくないと考えられる。爪と指の間に細菌が残留しやすいのであれば、爪と装飾の間も同様だろう。そしてネイルチップやスカルプチュアはそもそも爪を延長する目的で使われることが多い。CDCのガイドラインにも明確に反している。ここからが本題とも言える。「塗るもの」系のマニキュアやジェルネイルはなぜ望ましくないのか。爪と塗料の微細なステップがリスクというのであれば、爪の長さは深爪でも足りない。表面性状の問題、つまり粗造であるとかいう話なら口腔内のCRはどうなのかということになりかねない。構造的な要因で否定するには根拠に乏しいと考えられる。ならば成分的に考える。ネイルの成分が及ぼす悪影響について調べると、ほとんどが人体に対するアレルギー関連の文献であり、その他歯科材料に対する影響などは見当たらなかった。確かにネイルに含まれる成分でアレルギー反応を起こすことはあるだろう。しかし考えてほしい。主成分である樹脂はレジンと同等であり、ジェルに関しては光重合レジンの応用系だ。ネイルアートでアレルギーを引き起こす可能性がある患者は、歯科治療でアレルギーを引き起こす可能性にほぼ等しい。そして、歯科治療はメディカルグローブを着用して行われている。そうなるとネイルでアレルギーが起こるからという理屈も腹落ちしないだろう。結局は”身だしなみ”というモラリズム以上のことから「全ての」ネイルアートが不適切であるとは到底言えない。少なくとも医学的なエビデンスは見つからなかった。可能性の話をすれば歯科材料に悪影響を及ぼすとか、メディカルグローブを劣化させるなど考えられるが、それはネイルに限ったことではなく言い出したらキリがないし机上の空論になる。見た目が悪いという道徳的見解に帰結しているのだ。ネイルの目的は決してオシャレだけでないことも広く伝えたい。爪が薄くて割れやすかったり、コーティングで補強したいという声も多い。それでも同じネイルアートという括りで禁止されているのも現状で、肌色のネイルやトップコートだけでも校則・就業規則違反とされるケースも少なくない。はっきりとした根拠を提示できない中で否定するのは現代的でない規則だろう。派手な染髪やメイク、ネイルが”はしたない”だとか医療従事者の身だしなみにふさわしくないという意見は否定しない。ただそれは個人の見解でありあくまでも「意見」で、オシャレをしたい、好きな見た目でありたいというのも同じ意見だ。嫌ならその職に就かなければいいという意見も聞こえるが、他人に生き方を非難される筋合いはない。お互いを尊重し合うことが現代のテーマであり、右へ倣えという考え方から世の中は大きくシフトしている。長々述べてきたようにネイルを完全否定できるエビデンスは確立していない。時代に取り残されないように、むしろ歯科業界が率先して改革していってほしいと願う。歯科セミナーなら「1D(ワンディー)」で!日本最大級の歯科医療メディア「1D」では、診療に役立つオンラインセミナーを多数開催中。もっと知りたい臨床トピックから超ニッチな学術トピックまで、参加したいセミナーが見つかります。下記ボタンから、開催中のセミナーを見てみましょう!開催セミナーを見てみる参考文献東京医療保険大学「看護師を対象とした手の爪下の菌に影響する因子についての研究」[PDF]日本環境感染学会「手指消毒効果と手指細菌叢に影響する爪の長さ」[PDF]日本臨床麻酔学会「周術期の感染症:Surgical Site Infectionの予防と対策」[PDF]日本臨床麻酔学会「周術期モニタリング」[PDF]日本皮膚科学会,皮膚37巻3号「人工爪による陥入爪の治療」[PDF]日本皮膚科学会「歯科用接着システム材料による即時型アレルギーの1例」<URL>三協化学株式会社「ネイルについて」<URL>日本ネイリスト協会「お客様のアフターフォローについて」<URL>
ユースケ イシカワ
2020年6月20日

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