【決定速報】金パラ「逆ザヤ」が解消。中医協で緊急改定を実施
ウクライナ情勢の悪化でパラジウム価格が高騰している問題について、去る3月31日に日本歯科医師連盟の高橋英登会長らが岸田総理大臣のもとを訪ね、総理大臣官邸で会談を行ったことは記憶に新しい。>>『パラジウム高騰で総理と日歯連会長が会談。支援策めぐり「対応する」』1D(ワンディー), 2022年3月31日.その会談から2週間、本日先ほど開催された中央社会保険医療協議会 総会(第519回)にて、歯科用貴金属価格の緊急改定が決まった。今回の改定の内容とは?さて金銀パラジウム合金の改定内容は以下の通りである。歯科鋳造用金銀パラジウム合金:3,413円/g(+264円/g)この改定価格を市場で購入できる30gパッケージの価格に換算すると約93,000円(税込み102,300円)となる。複数の材料ディーラーに確認した結果、今日時点の価格に近いことから、逆ザヤは解消されたと言えるだろう。そもそも、緊急改定とは?さて、今回の緊急改定を厚労省はどう取り扱ったかを見てみる。歯科用貴金属の改定は令和4年度診療報酬改定で変動幅に関わらず、平均素材価格に応じて年4回(4月、7月、10月、1月)に改定することとなっていた。しかし、今回、以下の理由でこの規定から外れて改定を行った。・最近のウクライナ情勢という想定されていなかった特殊事情により歯科用貴金属の素材価格が急騰していることに鑑み、次の随時改定を待たずに特例的に緊急改定を行うこととしてはどうか。・令和4年1月ー3月の平均素材価格を用いて算出した告示価格として、5月に緊急改定を行うこととしてはどうか。想定外ということがトリガーになったというのが厚労省のスタンスだ。実際、パラジウム市場価格の推移を見てみると過去にも高値となったことはあるが、上昇率で見るとウクライナ情勢が悪化したタイミングが一番傾きが大きい。同時に金の市場価格も上昇している点も資料内では言及されていないが、考慮されているだろう。中医協での議論は一時平行線に本会議はYoutubeでライブ配信されていた。その内容の一部をお伝えする。議論の流れは、厚労省から背景と改定内容の説明があった後、歯科医師会の林委員が実情を説明するというものであった。しかしながら、支払側である健保連は緊急改定に難色を示した。また、その他の委員からは、「事情は理解できるが、4月に告示価格改定ルールを変更したばかりであり、いかがのもだろうか」という指摘もあり、議論は平行線となった。情勢に左右されない安定した価格を期待して代替材料に対する意見も多く出た。しかし、厚労省としては4月に収載されたCAD/CAMインレーなどの実績を説明し、新規の代替材料には言及しなかった。議論終盤には、健保連から「緊急改定は今回限りと約束してほしい」という発言もあるなか、中医協として緊急改定を承認した。日本歯科医師連盟の成果今回の改定は、間違いなく日本歯科医師連盟の高橋英登会長らが岸田総理大臣のもとを訪ねた成果と言えるだろう。今夏にある参議院議員通常選挙に対する自民党のパフォーマンスとの見方もあるだろうが、実利に結びつく結果を得たことは大きい。歯科業界の抱える解決困難な課題に対して今後も解決の糸口を見つけるアプローチに期待したい。参考文献『第519回中央社会保険医療協議会 総会 資料』厚生労働省, 2022年4月12日(URL).