咀嚼能率が低下すると、メタボになりやすくなる(男性だけ)
新潟大学歯学部と大阪大学歯学部の研究チームは「咀嚼能率」と「メタボリックシンドローム」の関係についての研究を行い、咀嚼能率が低い場合はメタボリックシンドロームの罹患率が2倍以上になることを明らかにした。興味深いのは、この傾向は男性にのみ当てはまり、女性では見られなかった点だ。咀嚼能率とメタボの関係を調査研究は、大阪府吹田市で行われた。無作為に抽出された対象者のうち、2008年以降に健診を受診した50〜70歳代に歯科検診を実施。そのうち、初回検査でメタボリックシンドロームではなかった599人を分析対象者とした。咀嚼能率の判定は専用に開発されたグミゼリーを使った。30回噛んで増えた表面積を算出する方法を使い、下位 1/4 を「低値群」、それ以外を「非低値群」とした。フォローアップ検査時に、新規にメタボリックシンドロームに罹患したかどうかと、その構成要素(血圧、血糖値、脂質異常、肥満の状態)の罹患についてを、年齢や喫煙、歯周疾患の影響を調整した解析を行い、「非低値群」に対する「低値群」のリスクを男女別に算出した。「咀嚼能率低下でメタボ」は男性だけ4.4年に及ぶ追跡期間で、新たに88人がメタボリックシンドロームに罹患した。男性の場合、「非低値群」に対する「低値群」のメタボリックシンドロームの罹患率は2.24 倍で、統計学的にも有意だった。しかし女性の場合、メタボリックシンドロームの罹患率は1.14 倍で、統計学的に有意ではなかった。つまり男性の場合でのみ、咀嚼能率が悪いと将来的にメタボリックシンドロームに罹患するリスクが2倍になるということが明らかになったのである。性差については、女性の場合は閉経期以降のホルモン変化による影響が大きく、また食習慣の違いなどから男性と比べ咀嚼能率低下の影響が出にくかったのではないか、と研究チームは仮説立てている。肥満のヘルスプロモーション今回の研究で用いられていた咀嚼能率の判定法は簡便に実施できるため、メタボリックシンドロームのヘルスプロモーションが可能になると考えられる。また今後、咀嚼能率の低下とその習慣との関係を明らかにしていくことによって、より具体的な指導やメタボリックシンドロームの改善プログラムの立案が可能になると期待される。参考文献Shuri Fushida, Takayuki Kosaka, Michikazu Nakai, Momoyo Kida, Takashi Nokubi, Yoshihiro Kokubo, Makoto Watanabe, Yoshihiro Miyamoto, Takahiro Ono, and Kazunori Ikebe, Lower masticatory performance is a risk for the development of the metabolic syndrome: the Suita study, Frontiers in Cardiovascular Medicine, 2021.11.26.よく噛めない男性はメタボになりやすかった! - 4年間の追跡調査により世界で初めて判明 -, 新潟大学, <URL>, 2022年1月18日閲覧.