なぜこんな名前付けた?歯学部生が覚えにくい歯科用語トップ5
私は歯学部生として歯科医学を勉強しながら、1Dでインターンをしている。歯学部生は毎日、覚えることが山のようにある。これだけ覚えることがあるならば、高校時代に数学ではなく日本史などを勉強してもっと暗記に強くなっていれば良かったと後悔しているくらいだ。歯学部生として勉強していると、「なぜこんな名前付けた?」という怒りを覚えるような歯科用語が出てくることがある。怒りに身を任せてすべて調べてみたので、ぜひこれを機に覚えにくい歯科用語を覚えて欲しい。弓倉症状顎骨骨髄炎でおなじみの弓倉症状(ゆみくらしょうじょう)。由来は大阪帝国大学(現:大阪大学)の弓倉教授が由来だ。阪大歯学部の初代学長だった人物である。1943年のとある論文には、弓倉症状について次のような記述がある。何を言っているのかさっぱりわからない。第8囘 口腔病學會總會に於て、弓倉教授は罹患歯より前方數歯の所謂骨植堅固なる歯牙を打診し、又は單に其の謝冠表面を擦過することによりても著明なる反應を來すことを發見發表せり。「弓倉症状」という歯科用語を初めて聞いた時は、病理像や透過像が弓のような形をしているのかな、と思いとても混乱した。「弓倉」という苗字が、苗字なのか苗字ではないのか非常に紛らわしいことも一因である。蛇足だが、今でも大阪大学歯学部の卒業時に優秀な学生に贈られる賞の名前は「弓倉賞」というらしい。STロックSTロックは、リンガルアーチの主線とバンドをつなぐ装置である。STロックの由来となったのは、東京医科歯科大学の高橋新次郎教授である。Shinjiro Takahashiが開発したのでSTロックと名付けられた。高橋新次郎教授(参考文献2より)現在でも使われている名が残っているほど歯科業界に偉大な貢献をしたことは紛れもない事実だが、それを覚えることになる学生の気持ちも考えて欲しかったものである。ちなみに、同じ矯正の分野で「大坪式模型計測器」も、恐らく大坪先生が考案したものであると思われるが、どこの誰なのか情報を探しきれなかった。情報を持っている方はぜひコメント欄に書いていただけるとありがたい。Turner症候群とTurner歯Turner症候群とTurner歯は、歯学部4〜5年次で習う症候群と歯の異常である。似たような名前だが、両者はまったくの別物である。Turner症候群は性染色体の異常で、Turner歯は乳歯の根尖病変に起因する永久歯のエナメル質の異常だ。なぜこれほど似たような名前を付けてしまったのだろうか。由来を調べてみると、Turner症候群はHenry Turnerというアメリカの内分泌学者が最初に報告したことから付けられた名前で、Turner歯はJ. G. Turnerというイギリスの歯科医師は発見したことから付けられた名前とのことであった。どちらも口腔外科の範囲である上に、習う時期もだいたい同じ時期という偶然が重なり、学生の混乱の原因になっている。Turnerというファミリーネームは、イギリスでは28番目に多いそうだから、かぶるのも仕方がないのかもしれない。ちなみに、日本で28番目に多い苗字は中島である。Aggregatibacter actinomycetemcomitans誰かの名前に由来したものではないが、Aggregatibacter actinomycetemcomitansは歯科用語のなかではダントツで文字数が多い。カタカナにするとアグリゲイティバクターアクチノミセテムコミタンスである。無いだろうが、この菌の綴りを書けという問題が出たらほとんどの学生が答えられないだろう。一応、ネーミングには由来がある。actesは光線を意味するギリシャ語で、培地上のコロニーの形態を表していて、mycetesはきのこを意味する(昔はきのこだと思われていたようである)。comitansはAggregatibacter属の旧名であるActinobacillusによくつく名前だそうだ。歯科セミナーなら「1D(ワンディー)」で!日本最大級の歯科医療メディア「1D」では、診療に役立つオンラインセミナーを多数開催中。もっと知りたい臨床トピックから超ニッチな学術トピックまで、参加したいセミナーが見つかります。下記ボタンから、開催中のセミナーを見てみましょう!開催セミナーを見てみる参考文献中郷安正, 川勝賢作, 日比野勉, 福田清彦, & 西村五郎. (1943). 下顎骨骨膜骨髄炎時に於ける弓倉式骨體穿孔術及びその効果に就て. 口腔病學會雜誌, 17(2), 127-136.Kuroda, T. (2015). Shinjiro Takahashi and Fujio Miura: Leaders in orthodontic education and research in Japan. American Journal of Orthodontics and Dentofacial Orthopedics, 148(5), 720-723.Henry H. Turner, MD: The man behind Turner’s syndrome, Healio, <URL>, 2020年8月11日閲覧Turner's tooth, Oxford Reference, <URL>, 2020年8月11日閲覧Malik, R., Changela, R., Krishan, P., Gugnani, S., & Bali, D. (2015). Virulence factors of Aggregatibacter actinomycetemcomitans-A status update. Journal of the International Clinical Dental Research Organization, 7(2), 137.