恐竜の「歯の交換」周期の研究に進展。絶滅原因の解明にも期待?
恐竜の歯は、何度も生え変わることが判明約2億3,000万年前にこの地球上に誕生した恐竜。その姿を実際に見ることはできないが、化石として現在の私たちへメッセージを残している。そのメッセージがまた、白亜紀初期から届いたようだ。中国科学院古脊椎動物・古人類研究所の尤海魯氏は、河南省汝陽県で見つかった大型竜脚類ルヤンゴサウルスの下顎骨の研究から、恐竜の歯は何度も生え替わっていたことを、化石のCTスキャンによって確認できたと発表した。研究成果は、国際学術誌「PeerJ」に掲載されている。恐竜の歯は、サメや爬虫類と同じく「多生歯性」だった。私たち人間や犬は、出生後に生えた乳歯が永久歯に一度だけ生え替わる「二生歯性」。「一生歯性」には、ネズミやリスなどのげっ歯類が当てはまる。歯の交換に関する研究が進むと、その種の歯列の形態や機能がわかるようになるため、大きな発見だといえるだろう。ちなみにこのルヤンゴサウルスは、体長が少なくとも30m、重さ130トンを大きく上回るアジア最大と言われている草食恐竜であるそうだ。Photograph of 41HIII-0016, the rostral portion of a left dentary. / (A) Lateral. (B) Medial. (C) Caudal. (D) Rostral. (E) Dorsal. (F) Ventral views. Note fragment tooth in alveolus 5 has lost after the CT scanning. DOI: 10.7717/peerj.12361/fig-2生え替わり周期は、およそ「76日」ルヤンゴサウルスの歯の生え変わり周期は、約76日とのこと。現在知られているなかで最も生え変わり周期が短い恐竜は、ニジェールサウルスという小型の草食恐竜。その周期は、なんと14日だ。また、最強の肉食恐竜・ティラノサウルスは2年以上の月日をかけて、前歯から数えて偶数歯と奇数歯が咀嚼に支障を出さぬように交互交換性で生え替わるという面白い特性を持っている。ティラノサウルスと比べてニジェールサウルスの歯が頻繁に生え変わるのには理由があり、捕食や摂食手段として歯を酷使していたため、歯が折れたり、欠けたりする頻度が高かったのではないかと考えられている。カバの歯を掃除することで有名なアカハシウツツキという鳥のような、恐竜の歯を掃除してくれる歯医者や衛生士さんの役割をする動物がいたら、恐竜の歯の交換頻度も変わっていたのだろうか。古代の謎は深まるばかりだ。Reconstruction 3D mode of the replacement teeth in 41HIII-0016. / (A) Medial with bones in shadow. (B) Medial. (C) Lateral. (D) Dorsal views. Scale bar equals 1 cm. DOI: 10.7717/peerj.12361/fig-3恐竜の進化を紐解く手がかりになる可能性一種の学説によれば、恐竜の絶滅に歯が関与しているという仮説もある。現代まで生き残った鳥と絶滅した恐竜の大きな違いは、歯の有無がひとつの理由ではないかとも言われているのだ。「巨大隕石の衝突」は恐竜の絶滅の直接的な原因の仮説として有名だが、これにより巻き上がった塵で太陽の光が遮られ、植物が生えなくなり、歯のない鳥は胃で物をすりつぶす機構である砂嚢が発達し、植物がない中でも残った種を食べることで生き延びたという説もある。今回の発見によって、恐竜の食性の研究に応用できたり、生え替わりのパターンから恐竜の進化の連続性が明らかになることが期待される。現時点では研究対象となる恐竜の種類や化石が十分ではないため多くの解明はできないが、近い未来にさらなる研究の進展が期待できそうなニュースである。参考文献Relatively low tooth replacement rate in a sauropod dinosaur from the Early Cretaceous Ruyang Basin of central China Huali Chang1, Hai-Lu You2,3,4, Li Xu1, Waisum Ma5, Diansong Gao1, Songhai Jia1, Mengli Xia1, Jiming Zhang1, Yu Li1, Xirui Wang1, Di Liu1, Jie Li1, Jianhua Zhang1, Lili Yang1, Xuefang Wei6, Published October 27, 2021.NHK『スピノサウルスは歯が何度でも生え変わるって、ほんと?』2022年2月12日閲覧.