歯科用語集
2025年10月28日

低石灰化

「低石灰化」とは?歯科用語の解説と症例を紹介

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定義・語源

低石灰化とは、歯のエナメル質や象牙質において、正常な石灰化が不十分である状態を指す。これは、歯の発育過程において、カルシウムやリンの供給が不足したり、その他の要因によって引き起こされる。語源は、「低」は少ないことを示し、「石灰化」はカルシウムが沈着する過程を意味する。低石灰化は、特に小児期における歯の発育に影響を及ぼすことが多く、臨床的には虫歯のリスクを高める要因となる。


臨床における位置づけ・判断基準

臨床において低石灰化は、歯科医師が診断する際の重要な指標となる。特に、歯の色調や質感の変化、エナメル質の透明感の低下などが観察される場合、低石灰化が疑われる。判断基準としては、視診や触診に加え、必要に応じてX線検査を行うことが推奨される。低石灰化が確認された場合、適切な予防措置や治療計画を立てることが重要であり、特にフッ化物の使用や定期的な歯科検診が推奨される。

関連用語・類義語との違い

低石灰化に関連する用語としては、「石灰化不全」や「エナメル質形成不全」が挙げられる。石灰化不全は、一般的に石灰化の過程全体に関わる問題を指し、低石灰化はその一部として特に石灰化の程度が低い状態を示す。また、エナメル質形成不全は、エナメル質の形成過程における異常を指し、低石灰化がその一因となることもある。これらの用語は、臨床現場での診断や治療方針において、明確に区別されるべきである。

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低石灰化の診断と処置。歯科臨床で役立つ症例と術式の判断ポイント

低石灰化の診断と処置。歯科臨床で役立つ症例と術式の判断ポイント

低石灰化とは何か低石灰化は、歯のエナメル質や象牙質における石灰化の不足を指す。これは、歯の発育過程において、カルシウムやリンの供給が不十分である場合に発生することが多い。低石灰化の症状としては、歯の色調の変化や、表面のざらつき、さらにはう蝕のリスクが増加することが挙げられる。臨床においては、低石灰化の診断は視診やX線検査を通じて行われる。特に、エナメル質の透明度や光沢の変化に注目することが重要である。低石灰化の原因とリスク要因低石灰化の原因は多岐にわたるが、主に栄養不足、遺伝的要因、環境要因が考えられる。特に、妊娠中の母体の栄養状態が胎児の歯の発育に影響を与えることが知られている。また、早期の虫歯や感染症も低石灰化を引き起こす要因となる。リスク要因としては、フッ素の過剰摂取や、特定の薬剤の使用が挙げられる。これらの要因を理解することで、低石灰化の予防や早期発見が可能となる。低石灰化の診断方法低石灰化の診断には、視診、触診、X線検査が用いられる。視診では、歯の表面の色調や質感を観察し、低石灰化の兆候を確認する。触診によって、歯の表面のざらつきや異常を感じ取ることができる。X線検査は、内部の構造を評価するために重要であり、特に象牙質の状態を確認するのに役立つ。これらの診断方法を組み合わせることで、より正確な判断が可能となる。低石灰化の処置と術式低石灰化の処置には、フッ素塗布やシーラントの適用が一般的である。フッ素は、エナメル質の再石灰化を促進し、虫歯の進行を防ぐ効果がある。また、シーラントは、歯の溝を封鎖することで、虫歯のリスクを低減する。さらに、重度の低石灰化が見られる場合には、補綴治療や根管治療が必要となることもある。これらの処置は、患者の状態に応じて適切に選択されるべきである。低石灰化に対する注意点とコツ低石灰化の治療においては、患者の口腔衛生状態を維持することが重要である。定期的な歯科検診を受けることで、早期発見と適切な処置が可能となる。また、患者には、フッ素を含む歯磨き粉の使用や、食生活の改善を促すことが推奨される。さらに、低石灰化のリスクを減少させるためには、フッ素の適切な使用が求められる。過剰摂取を避けつつ、効果的に利用するための指導が必要である。症例紹介:低石灰化の臨床例実際の症例として、10歳の患者が低石灰化を伴うう蝕を発症したケースを考える。この患者は、母親の妊娠中に栄養不足があったため、歯の発育に影響を及ぼした。診断の結果、エナメル質の低石灰化が確認され、フッ素塗布とシーラントの適用が行われた。治療後、定期的なフォローアップを行い、患者の口腔衛生状態が改善されたことが確認された。このように、早期の診断と適切な処置が、低石灰化の進行を防ぐ鍵となる。まとめ低石灰化は、歯科臨床において重要なテーマであり、早期の診断と適切な処置が求められる。歯科医師や歯科衛生士は、患者の状態を正確に評価し、最適な治療法を選択することが重要である。今後も、低石灰化に関する知識を深め、臨床に役立てていくことが求められる。
1D編集部
2024年6月1日
日焼け止めクリームが引き起こすエナメル質形成不全

日焼け止めクリームが引き起こすエナメル質形成不全

MIH:切歯と大臼歯に限局したエナメル質形成不全小児歯科領域で症例の報告が増加している、MIH(用語解説)と呼ばれる病態を知っているだろうか。MIHは「Molar-Incisor-Hypomineralization」の略で、日本語にすると「臼歯と切歯の低石灰化」といったところだろう。MIHは第一大臼歯および切歯に限局して発症するエナメル質形成不全であり、2000年以降は論文の報告数がそれ以前より多くなっている。第一大臼歯と切歯は出生前後から歯冠の石灰化が始まることから、MIHの発症原因は分娩時の低酸素、低栄養、妊娠期間中の薬剤や低栄養などが考えられる。未だに詳しい原因は解明はされていないものの、ひとつの原因は「妊婦の日焼け止めクリーム」なのではないかという仮説を立てた研究がある。原因は日焼け止めクリームかもしれないなぜ日焼け止めクリームなのか、と思う方は多いだろう。ポイントは、日光によるビタミンDの生合成にある。ビタミンDは日光により皮膚で合成されるが、日焼け止めクリームはビタミンDの合成を阻害してしまう。活性型ビタミンD3は歯原性上皮細胞においてエナメル芽細胞への分化誘導因子であることから、日焼け止めによってビタミンDが不足し、エナメル芽細胞の分化が阻害され、エナメル質形成不全が起きるというわけだ。画像はマウスでの実験を撮影した写真で、左が正常なマウス、右がビタミンDが欠如した餌を与えられたマウスである。右のビタミンDが不足した方のマウスは、歯が白濁しているのがわかる。石灰化度は両者で変わらないものの、右のマウスは切歯の切端や臼歯の咬頭の摩耗が通常のマウスと比べ亢進していたという。東北大学の報告によれば、健康な妊婦は血中ビタミンDが正常より低下している場合が多い。つまり、エナメル質低石灰化症はヒトでも起こり得るため、日焼け止めクリームは塗らない方が良いのだろうか。結論、辞めなくても良いしかしながら、日焼けは痛みを伴うし、シミや皮膚がんにつながる可能性もある。また免疫抑制の作用もあることが、最近になって知られている。デンマークの大学の研究で、ビタミンD製剤を妊婦に投与した結果を示した論文がある。2009年に623人の24週目の妊婦の方を集め、約半分の妊婦が産後一週まで高用量のビタミンD製剤を服用してもらい 、もう半分の妊婦の方にはプラセボの錠剤を服用してもらった。子供が6歳になったときに歯の状態をチェックした結果、乳歯でも永久歯でもエナメル質の低形成の割合が少なかったのだ。つまり、日焼け止めクリームの使用を中止することではなくて、ビタミンD製剤を服用することでエナメル質形成不全は防げるかもしれないという結果が出たのである。予防は出産前から?これが示唆するのは「歯科疾患の予防は出産前から始まるかもしれない」ということだ。エナメル質低石灰化症は歯の色が変わるが特に切歯は審美領域なので、将来的に気にする子供も出てくるだろう。また、マウスの実験で分かるように摩耗が早く進むということは、第一大臼歯部が噛みにくくなる可能性もあるということである。これらの歯科的な問題を防ぐのは子供がお腹の中にいる時からと、診療室で指導する時代がこれから来るのだろう。歯科セミナーなら「1D(ワンディー)」で!日本最大級の歯科医療メディア「1D」では、診療に役立つオンラインセミナーを多数開催中。もっと知りたい臨床トピックから超ニッチな学術トピックまで、参加したいセミナーが見つかります。下記ボタンから、開催中のセミナーを見てみましょう!開催セミナーを見てみる参考文献科学研究費助成事業 研究成果報告書 「妊婦授乳婦の日焼け止めと子どものエナメル質低石灰化症発症との関連」,<URL>, 2020年3月19日閲覧Nørrisgaard, P. E., Haubek, D., Kühnisch, J., Chawes, B. L., Stokholm, J., Bønnelykke, K., & Bisgaard, H. (2019). Association of high-dose vitamin D supplementation during pregnancy with the risk of enamel defects in offspring: a 6-year follow-up of a randomized clinical trial. JAMA pediatrics, 173(10), 924-930.Nakamura, T., Jimenez‐Rojo, L., Koyama, E., Pacifici, M., de Vega, S., Iwamoto, M., ... & Yamada, Y. (2017). Epiprofin regulates enamel formation and tooth morphogenesis by controlling epithelial‐mesenchymal interactions during tooth development. Journal of Bone and Mineral Research, 32(3), 601-610.皮膚科 Q&A 日焼け, 日本皮膚科学会 , <URL>, 2020年3月21日閲覧
宇梶 淳平
2020年3月25日

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