【女性特有の歯科疾患】歯科医院における「性差医療」の現状とは?
「フェムテック」が2021年新語・流行語大賞にノミネートされるなど、「性差」によるペインやニーズの違い、またそれに伴って生じる市場などが注目を集めている。医療の世界も同様で、生物学的な性差は必ず存在する。それらを考慮した医療を行うことを、「性差医療」と呼ぶ。我が国の性差医療の先駆けである天野恵子氏によると、性差医療は以下のように定義されている。男女比が圧倒的にどちらかに偏っている病態発症率はほぼ同じでも、男女間で臨床的に差をみるもの生理学的・生物学的解明が男性または女性で遅れている病態社会的な男女の地位と健康の関連(ジェンダーを含めた医療)医科の領域において、性差に基づいた医療を提供することを試みるこの性差医療が浸透してきており、例えば2020年には岡山大学病院に女性ヘルスケア外来が設立されるなど、注目が集まっている。その一方で、歯科領域においては男女差を意識して診療を行うことは少ないのが現状ではないだろうか。実際、歯科で男女差がある疾患にはどのようなものがあるのだろうか。本記事では、歯科における性差医療の現状について、詳しく見ていこう。歯科疾患に男女差はあるのか?歯科疾患疾患実態調査から、歯科疾患の男女差を紐解いていこう。なお、令和3年の歯科疾患実態調査が新型コロナウイルス感染症の影響で中止となったことから、現状最新のデータである平成28年の歯科疾患実態調査の結果のうち、男女で差がみられたものを紹介する。まずは、1人平均現在歯数については、多くの年代でやや女性の方が多いという結果となった。女性の方がデンタルフロスや歯間ブラシを使った、歯と歯の間の清掃を行っているものの割合が多いことも報告されており、そうした清掃習慣の違いなども現在歯数に影響している可能性がある。男女差が大きくみられたのが、「顎関節疾患」だ。口を大きく開け閉めしたとき、あごの音がするか、痛みがあるかという質問に「はい」と答えた者の割合が、どちらも全体的に女性において高い傾向を示した。本当に悩ましい「更年期障害」早い人で40歳代前半、遅い人では50歳代後半に閉経を迎え、その周辺の期間は更年期と呼ばれる。更年期においては、ほてり・めまい・気分の落ち込みなど様々な症状がみられ、生活に大きく支障が生じることとなる。松木貴彦著「口腔内における性差(2011)」によると、更年期の不定愁訴の一つとして、口腔の乾燥を訴える患者が少なくないことを指摘している。口腔乾燥症を専門的に診る外来に来院した患者層をみてみると、更年期以降に口腔乾燥症で来院する患者は圧倒的に女性が多いことが分かる。これらが、特に歯科医院において遭遇する可能性の高い、女性特有の疾患だ。今こそ女性歯科医療を学ぼう歯科における性差医療を学ぶ機会が必要と考え、この度1Dではオンラインセミナー「フェムデンタル~女性特有の歯科医療~」を開催する。妊娠や更年期といったライフステージに応じた歯科的問題点や、女性で問題になりやすい口腔乾燥症・味覚障害・舌痛症・顎関節症などの疾患への対応法、さらには医科との連携のポイントなど、女性歯科医療を学ぶにはもってこいの充実の内容となっている。興味のある方は、是非視聴をおすすめしたい。講義詳細を見てみる参考文献1. 厚生労働省, 平成28年歯科疾患実態調査の概要, 20172. 松木貴彦, 口腔内における性差, ファルマシア, 2011