歯科用語集
2025年10月28日

滲出液

「滲出液」とは?歯科用語の解説と症例を紹介

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定義・語源

滲出液とは、体内の血管から組織へと漏れ出した液体を指す。主に炎症反応や感染症に伴って発生し、組織の修復過程において重要な役割を果たす。語源は「滲出」(しんしゅつ)という言葉で、これは「しみ出す」ことを意味する。滲出液は、血漿成分や白血球、細胞成分を含むことが多く、臨床現場ではその性状や量が診断の手がかりとなる。特に歯科領域においては、歯周病や根尖性歯周炎などの病態において、滲出液の存在が重要な指標となる。


臨床における位置づけ・判断基準

滲出液は、歯科臨床において重要な診断材料である。特に、歯周病や根尖性病変においては、滲出液の性状(色、粘度、臭いなど)が病態の進行度や感染の程度を示す指標となる。滲出液の量が多い場合、炎症が進行している可能性が高く、治療方針の見直しが必要となることがある。また、滲出液の細菌検査を行うことで、適切な抗菌薬の選択にも寄与する。したがって、滲出液の評価は、歯科医師や歯科衛生士にとって重要な臨床判断基準となる。

関連用語・類義語との違い

滲出液に関連する用語としては、浸出液や膿(うみ)などがある。浸出液は、組織からの液体の漏出を指し、滲出液よりも広い概念である。一方、膿は感染に伴う滲出液の一種で、細菌や死んだ白血球を含む。これらの用語は、病態の理解や治療方針の決定において異なる意味を持つため、正確な使い分けが求められる。滲出液は、炎症反応の一部として位置づけられ、特に歯科においては、歯周病や根尖性病変の診断において重要な役割を果たす。

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インプラント周囲溝滲出液の診断と処置。歯科臨床で役立つ症例と術式の判断ポイント

インプラント周囲溝滲出液の診断と処置。歯科臨床で役立つ症例と術式の判断ポイント

インプラント周囲溝滲出液の定義と臨床的意義インプラント周囲溝滲出液とは、インプラント周囲の組織からの液体の滲出を指し、通常は炎症や感染の兆候である。これは、インプラント周囲炎や周囲の骨吸収を引き起こす可能性があるため、早期の診断と適切な処置が求められる。この滲出液は、細菌感染や免疫反応によって引き起こされることが多く、臨床的には膿性または非膿性の液体として観察される。インプラント周囲溝滲出液の存在は、インプラントの長期的な成功に影響を与えるため、歯科医師はその診断と管理に特に注意を払う必要がある。インプラント周囲溝滲出液の症状と診断方法インプラント周囲溝滲出液の症状には、腫れ、発赤、疼痛、そして滲出液の存在が含まれる。これらの症状は、インプラント周囲炎の進行を示す重要な指標である。診断には、視診、触診、そして必要に応じて画像診断が用いられる。特に、パラメータとしては、周囲のポケット深さや出血の有無、滲出液の性状を評価することが重要である。これにより、インプラント周囲炎の重症度を判断し、適切な処置を選択するための基礎データを得ることができる。インプラント周囲溝滲出液の処置と術式インプラント周囲溝滲出液の処置には、非外科的および外科的アプローチがある。非外科的処置としては、スケーリングやルートプレーニング、抗生物質の投与が挙げられる。これにより、感染のコントロールと炎症の軽減を図ることができる。外科的処置が必要な場合、フラップ手術や骨移植などが考慮される。これらの術式は、感染の除去と同時に、インプラント周囲の骨の再生を促進することを目的としている。術式の選択は、症例の重症度や患者の全身状態に基づいて行われる。インプラント周囲溝滲出液の管理における注意点インプラント周囲溝滲出液の管理においては、早期発見と適切な処置が重要である。特に、滲出液の性状や量の変化に注意を払い、定期的なフォローアップを行うことが求められる。また、患者への教育も重要であり、口腔衛生の維持や定期的な歯科受診の重要性を理解してもらう必要がある。さらに、抗生物質の使用に関しては、耐性菌の問題を考慮し、必要最小限に留めることが望ましい。適切な診断と処置を行うことで、インプラントの長期的な成功率を向上させることができる。インプラント周囲溝滲出液の症例と臨床的な考察実際の症例では、インプラント周囲溝滲出液が見られる患者に対して、初期の非外科的処置を行った結果、症状が改善したケースが多く報告されている。特に、定期的なメンテナンスと患者の協力が成功の鍵となる。また、外科的処置を行った症例では、術後の経過観察が重要であり、再発を防ぐためのフォローアップが必要である。これらの症例を通じて、インプラント周囲溝滲出液の管理における多角的なアプローチの重要性が示されている。
1D編集部
2024年6月1日
歯肉溝滲出液の診断と処置。歯科臨床で役立つ症例と術式の判断ポイント

歯肉溝滲出液の診断と処置。歯科臨床で役立つ症例と術式の判断ポイント

歯肉溝滲出液の定義と臨床的意義歯肉溝滲出液とは、歯肉溝からの液体の滲出を指し、通常は炎症や感染の兆候として現れる。歯周病や歯肉炎の進行に伴い、歯肉組織が損傷を受けることで、血漿成分や白血球が滲出し、滲出液が形成される。この滲出液は、歯周ポケット内の細菌感染や炎症の指標となり、診断や治療方針を決定する上で重要な情報を提供する。歯科医師や歯科衛生士は、滲出液の性状や量を観察することで、患者の口腔内の健康状態を評価し、適切な処置を行う必要がある。歯肉溝滲出液の症状と診断方法歯肉溝滲出液が見られる場合、患者はしばしば歯肉の腫れや出血、口臭の悪化を訴えることが多い。これらの症状は、歯周病の進行を示唆するものであり、早期の診断が求められる。診断においては、視診や触診に加え、歯周ポケットの深さ測定や滲出液の性状観察が重要である。滲出液の色や粘度、臭気などを評価することで、感染の程度や原因を特定する手助けとなる。さらに、必要に応じて細菌検査を行い、適切な抗菌療法を選択することが求められる。歯肉溝滲出液に対する処置と術式歯肉溝滲出液の処置には、主に歯周治療が含まれる。初期の段階では、スケーリングやルートプレーニングを行い、歯石やプラークを除去することが基本である。これにより、歯肉の炎症を軽減し、滲出液の量を減少させることが期待できる。さらに、重度の歯周病が疑われる場合には、外科的な介入が必要となることもある。フラップ手術や骨移植などの術式を用いることで、歯周組織の再生を促進し、滲出液の発生を抑えることが可能である。歯肉溝滲出液の管理における注意点歯肉溝滲出液の管理においては、患者の口腔衛生状態を常に確認し、適切な指導を行うことが重要である。特に、患者が自宅で行う口腔ケアの方法や、定期的な歯科受診の重要性を強調する必要がある。また、滲出液の性状に変化が見られた場合や、症状が改善しない場合には、再評価を行い、治療方針を見直すことが求められる。これにより、患者の口腔内の健康を維持し、歯周病の進行を防ぐことができる。歯肉溝滲出液の症例と臨床的応用実際の臨床において、歯肉溝滲出液が見られる症例は多岐にわたる。例えば、慢性歯周炎の患者では、歯肉溝からの滲出液が持続的に観察されることがある。このような症例では、定期的なメンテナンスとともに、患者の生活習慣の見直しが重要である。また、急性の歯肉炎を伴う症例では、迅速な処置が求められる。抗生物質の投与や、局所的な治療を行うことで、炎症を早期に抑えることができる。これらの症例を通じて、歯肉溝滲出液の理解を深め、臨床での応用を図ることが重要である。
1D編集部
2024年6月1日
滲出液の診断と処置。歯科臨床で役立つ症例と術式の判断ポイント

滲出液の診断と処置。歯科臨床で役立つ症例と術式の判断ポイント

滲出液の定義と臨床的意義滲出液とは、組織の炎症や損傷に伴い、血漿成分が血管外に漏れ出して形成される液体である。歯科領域においては、特に歯周病や根尖病変に関連する症例で見られることが多い。滲出液の存在は、感染や炎症の指標となり、適切な診断と処置を行うための重要な手がかりとなる。滲出液の性状や量、色、匂いなどは、診断において重要な情報を提供する。例えば、膿性の滲出液は細菌感染を示唆し、早急な処置が求められる。したがって、滲出液の理解は歯科医師や歯科衛生士にとって不可欠である。滲出液の症状と診断方法滲出液が見られる症例では、患者はしばしば痛みや腫れを訴える。特に、歯周病や根尖性歯周炎においては、歯肉の腫脹や圧痛が顕著である。診断には、視診や触診に加え、必要に応じてX線検査やCTスキャンを用いることが推奨される。また、滲出液の性状を観察することも重要である。透明な滲出液は通常、軽度の炎症を示し、膿性のものは重度の感染を示唆する。これらの情報を基に、適切な処置や術式を選択することが求められる。滲出液に対する処置と術式滲出液の処置は、原因に応じて異なる。一般的には、感染のコントロールが最優先される。抗生物質の投与や、必要に応じて滲出液の排出を行うことが考慮される。具体的な術式としては、歯周ポケットの洗浄や、根管治療が挙げられる。これらの処置は、滲出液の原因となる病変を取り除くことを目的としており、患者の回復を促進する。さらに、滲出液の性状に応じて、外科的介入が必要な場合もあるため、判断が重要である。滲出液処置のメリットとデメリット滲出液に対する適切な処置は、患者の症状を軽減し、感染の拡大を防ぐメリットがある。一方で、処置にはリスクも伴う。例えば、外科的処置を行う場合、術後の合併症や感染のリスクが増加する可能性がある。したがって、処置の選択にあたっては、患者の全身状態や病歴を考慮し、慎重に判断することが求められる。また、患者への十分な説明を行い、同意を得ることも重要である。滲出液に関する注意点とコツ滲出液の処置においては、いくつかの注意点が存在する。まず、滲出液の性状を正確に評価することが重要である。これにより、適切な処置を選択するための情報が得られる。さらに、滲出液の排出を行う際には、無菌操作を徹底することが求められる。感染を防ぐためには、器具の消毒や手指衛生を徹底することが不可欠である。また、患者の状態に応じて、適切なフォローアップを行うことも重要である。滲出液の症例と臨床での実践滲出液に関連する症例は多岐にわたるが、特に歯周病や根尖性歯周炎においては、滲出液の存在が治療方針に大きな影響を与える。例えば、慢性歯周炎の患者においては、滲出液の量や性状を観察することで、治療の効果を評価することができる。また、滲出液が持続する場合は、再評価を行い、必要に応じて治療方針を見直すことが重要である。臨床での実践においては、滲出液の理解が患者の治療成績を向上させる鍵となる。
1D編集部
2024年6月1日
青島徹児が語る、修復部位・マージンの設定位置におけるMaterial Selection

青島徹児が語る、修復部位・マージンの設定位置におけるMaterial Selection

株式会社ヨシダで倶楽部PTCミーティング第3回、青島デンタルオフィスの青島徹児先生による「修復部位・マージンの設定位置におけるMaterial Selection」セミナーが行われました。本記事では、青島先生による修復治療セミナーの概要をまとめました。青島徹児(あおしま・てつじ)青島デンタルオフィス院長。1995年日本大学歯学部を卒業後、同大学歯科補綴学教室Ⅲ講座入局、都内診療所での勤務を経て、2002年青島デンタルオフィスを開業。人類の進化、ヒトの歯の進化ヒトとチンパンジーの分かれ道人類はアフリカで生まれ、周辺の環境の変化に応じて、さまざまな身体的な進化を遂げてきました。ヒトとチンパンジーの遺伝子は98%同一であると言われています。わずか2%の違いで、こんなにも大きな差が出ます。いったい何がヒトとチンパンジーを分けたかというと、食べ物が変わったからだと考えられています。ヒトは火を使って食べ物の調理を発明したことで、腸を小さくすることができ、そのおかげで脳を大きくできた。人類の歯の進化は限定的また、歯も進化を遂げています。歯根数やエナメル質の厚みは、数万年の人類史のなかで少しずつ変化しています。例えば、先述のように調理の発明によって、硬い食べ物を噛む必要が少なくなり、エナメル質は薄くなってきています。ただ、身体全体の進化スピードと比べれば、歯はほぼ変わっていないようなものです。おおまかな構造は一緒で、数万年前の時点で歯の構造はほとんど完成しており、洗練されている。ですから、修復治療・補綴治療の際もそれを模倣することが重要です。もちろん、天然歯を維持することが最も重要なことですが。人類史が語る「模倣」の重要性カンニングをしながら治療する天然歯の大臼歯があれば、僕は必ず写真を撮影するようにしています。なぜかというと、カンニングのためです。人間は「見ながら作る」ことは得意ですが、「想像しながら作る」ことはできません。ピカチュウを空で描けるかというと、多くの人は描けません。見て真似しながらであれば描けるわけです。それと同じで、歯も反対側同名歯や手前の歯の形態を参考に、カンニングしながら治療をした方が効率が良いです。平面ではなく立体感のあるものを作るためには、プロビジョナルレストレーションでイメージを作りながら、患者さんともコミュニケーションを取っていくようにしましょう。解剖学的形態には必ず意味がある本来の解剖学的形態を理解することが重要です。隆線や裂溝は、必ず意味があるからそこに存在しているわけです。例えば、斜走隆線は咬合の安定や破折リスクの低減という役割を担っています。つまり、歯の寿命につながっているのです。こうした自然な解剖学的形態を意識して作っていくことが必要です。Horizontal slot techniqueという、僕が使っているテクニックがあります。これは、辺縁隆線や咬合面を残して隣接面カリエスにアプローチする方法です。このテクニックによって、破折リスクが非常に下がっていきます。松風のS-PRGフィラーを含有しているマテリアルは、フッ素やストロンチウム、アルミニウム、シリカ、ボロンなどのイオンをリリースします。これによって、フルオロアパタイトの生成や再石灰化、石灰化の促進、耐酸性の向上、知覚過敏の抑制、殺菌などの作用が期待できます。シェードテイキングのコツ浸潤麻酔やラバーダム、歯面乾燥をする前にシェードテイキングをするようにしてください。シェードは歯周囲の色に影響されてしまうので、口を開けた瞬間に取るのがベストです。歯の加齢変化によって、シェードも変化していきます。乳歯には透明感がなく、いわゆるチョーク状。そこからミネラルの吸収や咬耗などにより、透明感を増しながら、色はどんどん濃くなっていきます。シェードは変化していきますが、変わらないのはデンティンエナメルジャンクションです。エナメル質は咬耗によって薄くなっていくため、これを意識することで加齢の状態に合ったシェードテイキングができるようになります。歯科医師の仕事は、壁画の修復と同様に、どこを直したかをわからなくするという側面もあります。「オーラルバリオロジー」の樹立う蝕・歯周病はバリアの破綻で生じるバリオロジー(Barriology)という概念があります。タイトジャンクションの構成タンパク質クローディンを同定した、京都大学の月田承一郎先生が提唱しました。自己を外界から隔離することは、生命体がアイデンティティを保つための必須条件であり、そのため我々の身体には体表皮・粘膜からなるバリアシステムが存在しています。例えば腸上皮バリアが破綻すると、粘膜免疫系の制御異常を引き起こし炎症性腸疾患、食物アレルギー、経粘膜感染症などさまざまな疾患に関連します。口腔内でいえば、う蝕や歯周病もバリアの破綻によって生じる、とも考えられます。う蝕は外胚葉由来のエナメル質という硬組織が破綻することによって生じており、歯周病も接合上皮の破壊によるものです。セメント質や象牙質は中胚葉由来で、バリアではありません。こうした組織が出てしまっている状態は、バリアが成立していない状態と言えるわけです。ヒトの生体防御機構、すなわちバリアは、外胚葉性組織で覆われることによって成立します。生物学的幅径(Biologic Width)は、歯槽骨頂から歯肉溝底部までの歯肉の付着幅のことを言いますが、ここが口腔内のバリアの最も重要な部分です。接合上皮は生物学的幅径に含まれていて一定不変であり、むやみに剥がしてはならない付着組織です。実際の臨床に落とし込むためにはオーラルバリオロジーを前提として、実際の臨床に落とし込むためにはどうすれば良いでしょうか。私の修復治療のカギは、バリアとなる「人工的外胚葉」を獲得するという意識です。下記に要点をまとめます。マージンは接合上皮内の深部に設定する必要があるプローブ先端の到達位置は結合組織付着の0.3〜0.5mm歯冠側寄りまで到達する。その際に付着上皮がダメージを受けたとしても、付着上皮細胞のターンオーバーは10日と速い(歯肉口腔内上皮の50〜100倍)上皮性付着の防御機構:上皮付着に存在するDAT細胞の間隙を、1分間に3万個の好中球が遊走している。IgE、IgM、IgA補体、サイトカインも含まれており、上皮性付着内部は常に滲出液で洗浄されている状態形成のマージンは結合組織性付着の始まる位置に0.4mmの圧排糸を置いたその上に設け、5倍速を用いて15,000rpm程度で縁下形成する。5倍速は低速でもトルクがあるので使いやすい隣接面歯冠乳頭は、歯槽骨頂からコンタクトポイントまでの距離が関係している。5.0mm以下だと100%、5.0mmだと98%、6.0mmで56%、7.0mm以上で27%と推移する。歯槽骨頂からコンタクトまで5mm以下を狙う生活歯の場合は、ライトシャンファーで形成する。失活歯の場合、1mmは厚みが欲しい上記が人工的外胚葉を獲得するための形成の話ですが、縁下形成のメリットとしては、下記の4点が挙げられます。形態的自由度の増加Creeping Attachment自洗作用のある上皮性付着の面積を増やすブラックマージン、シャドーの軽減エビデンスによる「錯覚」新しい発見はエビデンスの外で起こるホーキング博士が残した「知識の最大の敵は、無知ではなく知識による錯覚である(The greatest enemy of knowledge is not ignorance, it is the illusion of knowledge)」という言葉があります。私はこれに影響を受け、「新たな発見の最大の障害は、無知ではなくエビデンスベースによる錯覚である」と考えています。当然、患者さんを対象としている治療は、エビデンスに基づいて行われるべきです。しかしエビデンスを信じ切ってしまうことによって、新しいアイデアが生まれなくなってくるという側面もあるのではないでしょうか。日本の歯科医療には、こうした視点も必要だと思います。歯科セミナーなら「1D(ワンディー)」で!日本最大級の歯科医療メディア「1D」では、診療に役立つオンラインセミナーを多数開催中。もっと知りたい臨床トピックから超ニッチな学術トピックまで、参加したいセミナーが見つかります。下記ボタンから、開催中のセミナーを見てみましょう!開催セミナーを見てみる
1D編集部
2020年7月11日
歯周治療をしても、早産・低体重児出産は防げない

歯周治療をしても、早産・低体重児出産は防げない

早産(妊娠37週未満)や低体重児出産(2,500g未満)は、正常な出産と比べて死亡率が高く、本人や家族の精神的な負担も大きい。出産直前は、胎盤などにおける女性ホルモンバランスの変化や血中の炎症性サイトカインの増加によって、早産・低体重児出産に至るというメカニズムが明らかになっている。一方、歯周病によって血中の炎症性サイトカインが増加し、治療によりサイトカイン濃度を低下できることが知られている。このため、歯周治療により早産・低体重児出産をどれほどコントロールできるかについて、歯科業界内外で注目が集まっている。歯周病は本当に早産・低体重児出産を増加させるのか結論から言えば、歯周病に罹患した妊婦は、早産・低体重児出産のリスクが増加する。総数10,000名以上のメタアナリシスによれば、歯周病と早産・低体重児の間には有意な相関が報告されており、歯周病は独立した早産・低体重児出産のリスクファクターであると結論付けられている。ただ、歯周病の診断基準や交絡因子の取り扱いについて、それぞれの論文間でバラつきが大きいことも指摘されている。歯周病がどのようなメカニズムで早産・低体重児出産と関連しているのかについては、歯肉溝滲出液中のIL-1β、PGE2、TNF-αが早産・低体重児出産と有意に相関していることが明らかにされている。だが、メカニズムを明確に説明する結論にはたどり着いていないのが現状のようだ。歯周治療をしても早産・低体重児出産は抑制されない歯周病が早産・低体重児出産と関連していることはわかったが、歯周治療によってそれを予防できるのだろうか。結論から述べてしまえば、歯周治療をしても早産・低体重児出産は抑制できない。2013年に行われたアメリカ歯周病学会(AAP)と欧州歯周病連合(EFP)の合同カンファレンスでも、歯周治療をしても早産・低体重児出産は抑制されないため、積極的な治療は推奨されないと結論付けられている。なかには早産のリスクが高く歯肉炎がある妊婦にのみ、SRPによってリスクが下がるという研究や、SRPではなくクロルヘキシジン洗口が重要と示されている研究もある。疫学的に歯周病と早産・低体重児出産の関連のエビデンスが示されているにも関わらず、歯周治療が結果にアウトプットされていない。今後は、この矛盾を説明する研究が必要になると思われる。また、歯周病は慢性疾患であり、長期的な介入が必要だ。転じて妊娠は短期的な介入を前提としているため、妊娠前からの長期的な歯周治療との関連を明らかにすることが必要かもしれない。妊婦への歯周治療は安全である妊婦に対する歯周治療は、複数の研究によって安全性が示されている。治療中の妊婦に対する麻酔の使用についても、無麻酔・表面麻酔・局所麻酔いずれも副作用の発生率に有意な差は認められなかった。本記事のまとめ最後に、本記事で解説した歯周病と早産・低体重児出産の関係についてまとめておこう。歯科セミナーなら「1D(ワンディー)」で!日本最大級の歯科医療メディア「1D」では、診療に役立つオンラインセミナーを多数開催中。もっと知りたい臨床トピックから超ニッチな学術トピックまで、参加したいセミナーが見つかります。下記ボタンから、開催中のセミナーを見てみましょう!開催セミナーを見てみる参考文献厚生労働省『出生に関する統計(平成22年)』Kamel RM. The onset of human parturition. Arch Gynecol Obstet. 2010.Corbella S, Taschieri S, Francetti L, De Siena F, Del Fabbro M. Periodontal disease as a risk factor for adverse pregnancy outcomes:a systematic review and meta-analysis of case-control studies. Odontology. 2013.Stadelmann P, Alessandri R, Eick S, Salvi GE, Surbek D, Sculean A. The potential association between gingival crevicular fluid inflammatory mediators and adverse pregnancy outcomes:a systematic review. Clin Oral Investig. 2013.Kim AJ, Lo AJ, Pullin DA, Thornton-Johnson DS, Karimbux NY. Scaling and root planing treatment for periodontitis to reduce preterm birth and low birth weight:a systematic review and meta-analysis of randomized controlled trials. J Periodontol. 2012.Rosa MI, Pires PD, Medeiros LR, Edelweiss MI, Martinez-Mesa J. Periodontal disease treatment and risk of preterm birth:a systematic review and meta-analysis. Cad Saude Publica. 2012.Boutin A, Demers S, Roberge S, Roy-Morency A, Chandad F, et al. Treatment of periodontal disease and prevention of preterm birth:systematic review and meta-analysis. Am J Perinatol. 2013.Sanz M, Kornman K, working group 3 of the joint EFPAAPw. Periodontitis and adverse pregnancy outcomes:consensus report of the Joint EFP/AAP Workshop on Periodontitis and Systemic Diseases. J Periodontol. 2013.Michalowicz BS, DiAngelis AJ, Novak MJ, Buchanan W, Papapanou PN, et al. Examining the safety of dental treatment in pregnant women. J Am Dent Assoc. 2008.
1D編集部
2019年10月30日

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