歯科用語集
2025年10月28日

エアロゾル

「エアロゾル」とは?歯科用語の解説と症例を紹介

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定義・語源

エアロゾルとは、空気中に浮遊する微細な液体または固体の粒子を指す。これらの粒子は直径が1μmから100μmの範囲にあり、通常は水分やその他の物質が含まれている。語源は、英語の「aerosol」に由来し、「aero」は空気、「sol」は溶液を意味する。歯科領域においては、エアロゾルは治療時に発生する微細な飛沫として重要な役割を果たす。特に、歯科治療における器具の使用時に、患者や医療従事者に感染症のリスクをもたらす可能性があるため、注意が必要である。


臨床における位置づけ・判断基準

臨床現場において、エアロゾルは感染管理の観点から重要な要素である。特に、歯科治療においては、エアロゾルの発生を抑制するための対策が求められる。例えば、口腔内の操作を行う際には、適切な防護具の着用や、エアロゾルを最小限に抑えるための器具の選択が判断基準となる。また、エアロゾルによる感染リスクを評価するためには、患者の健康状態や治療内容を考慮する必要がある。これにより、医療従事者自身や他の患者への感染防止に寄与することができる。

関連用語・類義語との違い

エアロゾルに関連する用語としては、「飛沫感染」や「エアボーン感染」が挙げられる。飛沫感染は、咳やくしゃみなどによって放出される大きな飛沫による感染を指し、通常は直径5μm以上の粒子が関与する。一方、エアボーン感染は、空気中に浮遊する微細な粒子によって感染が広がる現象であり、エアロゾルはその一部を形成する。これらの用語は、感染経路の違いを理解する上で重要であり、エアロゾルの管理が感染予防においてどのように位置づけられるかを考える際に役立つ。

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口腔外バキューム、ちゃんと使えてる?サブスクでお得に最新設備を導入しよう

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厚生労働省が推奨する、院内感染対策の施設基準でもある「口腔外バキューム」を設置している歯科医院は多いだろう。しかし製品によって機能はもちろん異なり、設備としての要件や使用法をしっかり満たせているかは疑問だ。つまり、あれば何でも良いというわけではない。今回は感染対策の中でも口腔外バキュームに焦点を当て、意外と知らない型式による違いなどを紹介したい。口腔外バキュームの普及と誤解口腔内を治療する歯科医院は、感染症予防と衛生管理の徹底が患者からの信頼度に直結する。コロナ渦を通して、患者の感染症に対する意識が高まったこともあり、より清潔で安全な環境の整備が必要となった。あなたの医院ではどのような対策がなされているだろうか。有効な対策として口腔外バキュームがある。口腔内バキュームでは吸引できなかった微細な水や唾液、切削粉塵、におい等を吸い取ることができる。特に治療時に発生するエアロゾルは、患者の血液や微生物、病原菌も含んでおり、院内感染を引き起こす原因だ。これらを防ぐためにも、口腔外バキュームの使用が推奨されている。厚生労働省によると「口腔内バキュームのみ使用した歯の切削後に、患者の口腔レンサ球菌が術者のマスク・眼鏡、診療室の空気中から検出された一方で、口腔外バキュームを併用した場合の細菌の検出約9 割減少した」との結果が報告されている。そのため、口腔外バキュームの設置はあらゆる制度のより高い水準の施設基準となっている。「口腔管理体制強化加算(口管強)」や「歯科外来診療感染対策加算」認定基準の一つとして、「歯科用吸引装置により、歯科ユニット毎に歯の切削や義歯の調整、歯冠補綴物の調整時等に飛散する細やかな物質を吸引できる環境を確保していること」があり、この基準を満たすためにも口腔外バキュームを設置する医院は多い。しかし、口腔外バキュームを効果的に使えているかはまた別問題となる。基準を満たすために、簡易的な移動型の口腔外バキュームだけを使用してはいないだろうか。移動型は、導入コストが低く、最低でも一台購入すれば移動して使用できるといったフレキシブルな面もあるため、比較的導入しやすい選択肢となっている。しかし、いくつかの問題点があり、結果的に不適切な使用になってしまう場合があることに注意が必要だ。手軽な「移動型」のリスク移動型バキュームの特徴は、一台で吸引、汚染物の除去、排気を完結させられる点である。必要なすべての機能が一台にまとまっているため、設置・移動をスムーズに行うことができる。また小型なものが多く、価格帯も低くなっている。このような導入のしやすさから、前述したとおり、感染症対策において移動型を設置する歯科医院が急増した。しかし、これらの利点は、かえって口腔外バキュームとしての効果を損なっている。注意すべき点の一つ目として、移動型の製品は吸引力が弱いという点が挙げられる。製品によって差はあるものの、小型化によってより強い力を出すことは難しくなる。十分な吸引力を持たなければ、拡散しやすいエアロゾルを取り逃してしまい、口腔外バキュームの役割を果たせない。また石膏やレジンなどを吸えないこともあるので注意が必要だ。注意すべき点の二つ目は、移動型バキュームの排気方法である。吸引された空気はフィルターを通った後、移動型バキュームの外へと排気される。つまり、排気は室内で行われることになる。いくらフィルターを通った空気とはいえ、完全に汚染物質を除去できるとは断定できない。よって室外へ排気した場合と比べれば、移動型バキュームは十分な安全性を保てないと考えられる。その他にも移動型には、室内の騒音や位置決めの取りづらさなどといった問題もある。これらを踏まえると、「口腔内バキュームで除去しきれなかった物質の除去」と「飛沫やエアロゾルによる環境汚染の防止」という本来の目的を果たすには能力の劣る面があり、扱いやすさにおいても移動型にはデメリットがあることを把握しなければならない。正しい感染対策として適切な使用そこで、口腔外バキュームの効果を最大限に発揮するため、移動型に代わる製品がセントラル型となる。セントラル型とは、強力な基幹吸引モーターを機械室に取りつけ、設備された配管を通じて各ユニットの吸引口から汚染粉塵を吸引する方式である。移動型と異なり、吸引口は各ユニットに固定して設置し、基幹部分へと送る配管も床下に敷設する必要がある。そのため、導入には大規模な工事を伴い、価格帯も高めになるのだが、その分の効果が期待できる。まず、吸引モーターは移動型のように小型化する必要がなくなり、強力な吸引力が得られる。吸引力の強化は、治療時に排出される汚染物質の取り逃しを減らすことにつながる。加えて、各ユニットから離れた場所に吸引モーターを置くことによって、診療室内の静音化も可能になる。またセントラル型では、排気口を室外にとりつけることができる。これによって、万一フィルターで汚染物質が完全に取り除かれなかった場合の再拡散を防ぎ、感染症対策という観点において安全性が高められるのだ。以上のように、セントラル型は移動型と比べると、あらゆる面で長けた性能を持ち、本来の目的により近づいた結果が期待できる。しかし、導入コストの面からセントラル型を選択しない歯科医院が多いのが実情である。特にテナント歯科であれば、配管工事に時間とコストがかかるため設備投資に手が回らないだろう。実際、2020年5月のデータでは全国で15%ほどの歯科医院にしか設置されていない。やむを得ず、移動型で対応するという形になりがちだ。しかし一台一台が幅を取るため、全台設置までとは至らないだろう。初期費用に悩まない「セントラル型」のサブスクが登場そんなセントラル型の口腔外バキュームを、手軽に導入できる方法がある!株式会社Deportでは、2024年4月から「セントラル型」のサブスクリプション(定額制)サービスを開始した。また、通常購入でも定価380,000円とリーズナブルな設定となっている。これまで、その初期費用の高さから、なかなかセントラル型の設置に踏み出せなかった医院も多いことだろう。しかし、このサービスとリーズナブルな価格によって設置のハードルが格段に低くなる。株式会社Deportのセントラル型バキュームは、強力なモーターによってウィルスや石膏、レジンの吸引が可能。関節部はフレキシブルに動き、位置調整が誰でも簡単にできる。スタイリッシュで診療室内の幅をとらないデザインだ。またサブスクリプションは「支払手数料」といった費用科目で経理処理ができるため、固定資産税がかからない。さらに、料金内にはメンテナンス料も含まれているため、いつまでも安心して使い続けることができる。このような利点はサブスクリプションならではのものだ。「手軽に導入したい」という医院にお勧めなこのサービス、気になる金額は?アーム&ポールとモーターそれぞれ一台ずつ契約することが可能。組み合わせでの利用は月額26,020円で利用することができ、4年目以降はなんと月額13,010円となる。リースよりもお得で、4年目以降いつでも解約できるのも、このサービスの特徴だ。定常的に利用している、もしくは利用する可能性が高い場合は、こちらのサブスクを活用して長期利用するのがおすすめだ。継続年数、設置数によって月額は変動するため、下の表が参考だ。※税抜価格となります令和6年6月の診療報酬改定で加算対象にさらに令和6年6月のの診療報酬改定により、個室や陰圧室での処置が加算されることとなった。従来、医科でのみ個室や陰圧室の定義がなされていたが、今回の改定で歯科にも表記されるようになったのだ。その詳細は、「歯科診療特別対応加算」が細分化され「円滑に処置する手技・手法を用いる、もしくは個室/陰圧室にて診療を行う」事で、250点もしくは500点の加算が得られるといったものである。 これは株式会社Deportの口腔外バキュームにも適用される。株式会社Deportの口腔外バキュームを使った陰圧検証において、密閉空間で口腔外バキュームを設置し検証した結果、約25秒で2.5pa(陰圧と認められる数値)を測定することができた。よって、個室内で株式会社Deportの製品を使用すると陰圧対応と認められるため、特別対応加算を得られることとなった。 ※口腔外バキューム(DeApollo)での検証結果感染対策がより重要視されている 診療報酬改定を受けて、感染対策はさらに重要事項となっている。 具体的には従来の「外来環」が廃止され、「歯科外来診療医療安全体制加算」と「歯科外来診療感染対策加算」の2つに分けられ、より高い水準の施設基準に変更となった。 これまでは、基本的なAEDなどの医療機器の整備と緊急時の他医療機関との連携準備ができていることが施設基準となっていた。しかしこの度の改正により、感染対策も施設の基準に追加されることとなった。感染対策にはCOVID-19といった新興感染症も含まれている。 つまり、感染症の流行期であっても医療を止めてはならないという訳だ。 また、近年では患者だけでなく衛生士においても、感染症対策の設備が整った医院を選ぶ傾向が顕著である。口腔外バキュームを設置することは、患者から、スタッフから、そして国からも求められている投資なのではないだろうか?衛生管理に力を入れているかの尺度となる、セントラル型の口腔外バキューム。新しく誕生した株式会社Deportのサブスクリプションサービスを使い、より清潔な診療室を手軽に目指してみてはいかがだろうか。詳細はこちら
1D編集部
2024年8月1日
エアロゾルの理解と歯科臨床における重要性。処置や症例に基づく実践的ガイド

エアロゾルの理解と歯科臨床における重要性。処置や症例に基づく実践的ガイド

エアロゾルの定義と特性エアロゾルとは、液体または固体の微小粒子が空気中に浮遊している状態を指す。歯科臨床においては、エアロゾルは治療中に発生することが多く、特に歯の削合やスケーリングなどの処置において重要な要素となる。これらの微小粒子は、感染症のリスクを高める可能性があるため、適切な対策が求められる。エアロゾルの特性としては、粒子の大きさや形状、浮遊時間が挙げられる。粒子の大きさは、感染症の病原体が含まれる可能性に影響を与えるため、臨床での判断において重要な要素となる。エアロゾルの発生源とその影響エアロゾルは、歯科治療における様々な処置から発生する。特に、バキュームやハンドピースを使用する際に、歯の表面から微小な粒子が飛散する。これにより、周囲の環境や患者、スタッフへの感染リスクが高まる。エアロゾルの影響を軽減するためには、適切な防護具の着用や、エアロゾルを抑制するための技術的な工夫が必要である。例えば、歯科用バキュームの使用や、エアロゾルを抑えるための水流の調整などが考えられる。エアロゾル管理のための術式と手順エアロゾルを管理するための術式には、いくつかの手順がある。まず、治療前に患者の健康状態を確認し、感染症のリスクを評価することが重要である。次に、治療中は適切な防護具を着用し、エアロゾルの発生を最小限に抑えるための技術を用いる。具体的には、スケーリングや削合の際に、冷却水を使用することでエアロゾルの発生を抑えることができる。また、治療後は、診療室の換気を行い、エアロゾルの残留を防ぐことが推奨される。エアロゾルに関する症例と注意点エアロゾルに関連する症例として、特に感染症のリスクが高い患者に対する治療が挙げられる。例えば、COVID-19のパンデミック以降、エアロゾルの管理が一層重要視されている。このような症例では、治療前に患者の感染症歴を確認し、必要に応じて治療方法を見直すことが求められる。また、エアロゾルの発生を抑えるための技術や器具の導入も検討すべきである。エアロゾル管理のメリットとデメリットエアロゾル管理には、いくつかのメリットとデメリットが存在する。メリットとしては、感染症のリスクを低減できる点が挙げられる。適切な管理を行うことで、患者やスタッフの安全を確保することができる。一方で、デメリットとしては、エアロゾル管理のための追加的なコストや手間が発生することがある。特に、新しい器具や技術を導入する際には、初期投資が必要となる場合がある。エアロゾル管理の今後の展望今後、エアロゾル管理はますます重要なテーマとなると考えられる。特に、感染症のリスクが高まる中で、歯科医療におけるエアロゾルの管理技術や器具の進化が期待される。また、エアロゾルに関する研究が進むことで、より効果的な管理方法が確立されることが望まれる。歯科医師や歯科衛生士は、最新の情報を常に把握し、臨床に活かすことが求められる。
1D編集部
2024年6月1日
飛沫感染の理解と対策。歯科臨床における症例と処置のポイント

飛沫感染の理解と対策。歯科臨床における症例と処置のポイント

飛沫感染とは何か飛沫感染は、感染症の伝播経路の一つであり、主に咳やくしゃみ、会話などによって発生する微小な飛沫を介して病原体が他者に感染する現象である。歯科臨床においては、患者との近接した接触が多いため、特に注意が必要である。飛沫は通常、直径5μm以上の粒子であり、空気中を数メートル飛散することがある。これにより、歯科医師や歯科衛生士は、患者からの感染リスクにさらされる。したがって、飛沫感染の理解は、感染予防策を講じる上で不可欠である。飛沫感染の症状と診断飛沫感染によって引き起こされる症状は、感染する病原体によって異なるが、一般的には風邪やインフルエンザのような呼吸器症状が見られる。これには、咳、喉の痛み、発熱、全身倦怠感などが含まれる。診断は、患者の症状や病歴を基に行われるが、必要に応じてPCR検査や抗原検査などの診査を実施することもある。特に、歯科医療従事者は、患者の感染状態を把握し、適切な処置を行うために、迅速な診断が求められる。飛沫感染に対する処置と術式飛沫感染を防ぐための処置には、いくつかの重要な術式がある。まず、マスクの着用は基本中の基本であり、特にN95マスクやサージカルマスクの使用が推奨される。これにより、飛沫の吸入を防ぐことができる。また、診療中のエアロゾル発生を抑えるために、バキューム装置の使用や、口腔内の水分管理が重要である。さらに、診療室の換気を良好に保つことも、飛沫感染のリスクを低減するために有効である。飛沫感染のメリットとデメリット飛沫感染対策を講じることには、いくつかのメリットがある。まず、感染リスクを低減することで、医療従事者自身の健康を守ることができる。また、患者に対しても安全な診療環境を提供することができ、信頼関係の構築にも寄与する。一方で、デメリットとしては、感染対策に伴うコストや、診療時間の延長が挙げられる。特に、感染対策を徹底するためには、追加の機器や消耗品が必要となる場合があるため、経済的な負担が増すことも考慮しなければならない。飛沫感染対策の注意点と導入のコツ飛沫感染対策を導入する際には、いくつかの注意点がある。まず、全てのスタッフが感染対策の重要性を理解し、徹底することが求められる。また、患者に対しても、事前に感染対策について説明し、協力を得ることが重要である。導入のコツとしては、定期的な研修や勉強会を実施し、最新の情報を共有することが挙げられる。これにより、スタッフ全員が一丸となって感染対策に取り組むことができる。まとめ飛沫感染は、歯科臨床において特に注意が必要な感染経路である。適切な処置や術式を理解し、実践することで、感染リスクを低減することが可能である。歯科医師や歯科衛生士は、常に最新の情報を把握し、患者に安全な診療を提供するための努力を続けるべきである。
1D編集部
2024年6月1日
【1D的セミナーログ】これでパーフェクト!「歯髄炎」

【1D的セミナーログ】これでパーフェクト!「歯髄炎」

先日、1Dでは福岡歯科大学 口腔治療学講座 歯科保存学分野教授・松﨑 英津子先生をお招きし、『これでパーフェクト!「歯髄炎」 90分で分かる歯髄炎の診断・病態・処置』と題したWebセミナーを行った。1Dでは本セミナーの他にも、多数の歯科臨床セミナーを開催している。プレミアム会員であれば追加料金ナシでセミナーや講義動画が見放題となるため、歯科医師・歯科衛生士の方はぜひご活用しただきたい。1Dプレミアムでセミナーを視聴する当日は多くの歯科医師・歯科衛生士の方々が参加し、質問も多く盛況となった。本記事では、そのセミナーの内容をかいつまんで解説する。構成は、1.歯の痛み、歯髄疾患の分類 2.歯髄疾患の診査・診断 3.歯髄保護 4.抜髄法 の 4項目に分かれており、それぞれ豊富なデータに基づいた解説がなされた。痛みの種類歯髄の感覚というのは痛覚でしか存在しないため、歯髄疾患における自覚症状というのは全て疼痛として認識される。痛みには、何もしなくても痛いという自発痛と外から刺激を加えることによって生じる誘発痛がある。誘発痛には冷水痛、温水痛、酸味痛、甘味痛、擦過痛、打診痛、咬合痛、切削痛、電撃痛がある。診断のポイントとして、冷水痛、酸味痛、甘味痛は初期の歯髄炎で起こる症状であり、温水痛は歯髄炎の進行に伴い誘発される。問診時でも、冷たいものにしみるか、温かいものにしみるかなど、よく質問される事項だろう。また痛みの持続時間なども聞いておくのもポイントである。歯根膜に分布する感覚神経を診査するときには打診痛、咬合痛を調べるが、これは通常では痛みを誘発しない刺激で痛みが発生するかを調べている。根尖歯周組織にまで炎症が生じると、閾値が低下して、正常歯では痛みを誘発しない刺激でも痛みを感じる。歯髄疾患の分類と診断の難しさ歯髄疾患の分類としては、病理組織像に基づく分類が広く採用されているが、臨床において、切片を作り生検をすることは現実的ではない。そこで、歯髄が保存できるかに基づく分類(米国歯内療法学会;AAE の分類に基づく)に従って分類した方が都合がいいのはないかと考えられてきた。この分類では、正常歯髄、可逆性歯髄炎、不可逆性歯髄炎(症候性、無症候性)、歯髄壊死に分けられており、昨年発売された教科書にも掲載されている。歯髄の保存において、可能か不可能かを判定することは重要である。しかし、上記に示したように、歯髄を直視することは難しく、処置中の歯を生検することはできないため、病理確定診断はできない。また、診査の多くが患者の主観である痛みに依存するため、歯髄診断としては不確実性が高い。とりわけ歯髄充血、急性単純性(漿液性)歯髄炎では判定に非常に苦慮することがある。そのため、原因除去と薬剤貼付により臨床症状が改善するかどうかを確認する待機的診断法によって判定することもある。歯髄保護歯髄保存の観点から、生活力の旺盛な幼若永久歯などに対しては、感染している冠部歯髄のみを除去する断髄が選択されてきた。しかし、近年、根部歯髄を保存することの重要性が見直され、根が完成した永久歯に対しても根部歯髄を保存することが重要であることが、ヨーロッパやアメリカでは提唱されてきている。このような観点から、以前は歯髄除去療法に分類されていた断髄が、歯髄保存療法として分類されるように教科書も改訂がなされている。このような背景には、MTAセメントなどの優れた材料の開発がある。抜髄法歯内療法において無菌的処置は何よりも重要である。ラバーダム防湿により、口腔内の常在菌による根管系汚染のリスクは最小限となるが、コロナ禍でもラバーダム防湿と唾液の吸引によりエアロゾル酸性を最小化することが示されている。アクセス窩洞形成は、解剖学的知識とレントゲン写真、歯の萌出方向などから総合的に推測し、セメントーエナメル境あたりを思い描いて行うといい。その高さでは、歯髄腔は歯の外形と相似形をしており、セメントーエナメル境は一定であるため、再現性のある指標である。この他にも、抜髄における各ステップについて、基礎的知識に基づいた詳細な説明がなされている。自分の手技や考え方に不安がある方や、もう一度体系だった歯内療法の考え方を学びたい方には必見の内容になっている。臨床に役立つセミナーなら1Dプレミアムこの他にも、1Dではさまざまな臨床・学術セミナーを配信中である。配信中のラインナップや1Dプレミアムの詳細は、下記ボタンからご覧いただきたい。1Dプレミアムでセミナーを視聴する
1D編集部
2023年8月3日
うがいで感染リスクは減少するか?

うがいで感染リスクは減少するか?

未曾有のパンデミックで認知度が高まった「エアロゾル」。元々、歯科医院ではエアロゾルの対策として口腔外バキュームなどが使用されてきたが、最近治療前の洗口を取り入れ始めたところも多い。洗口は本当に感染防止策として有効なのか、コクランライブラリーからレビューを紹介したい。歯科治療におけるエアロゾル歯科治療において、エアータービンなどの高速回転切削器具や超音波スケーラーの使用は日常的に行われているが、これにより飛沫やエアロゾルが大量に発生している。エアロゾルの定義は統一されていないが、日本エアロゾル学会によると、気体中に浮遊する微小な液体または固体の粒子と周囲の気体の混合体を指し、その粒径は広範囲にわたるとされる。中でも、細菌やウイルスなどの生物学的粒子を含むそれらは、バイオエアロゾルと呼ばれている。歯科治療では、前述の器具を使用することにより患者の血液や唾液、口腔内細菌と混合されることでバイオエアロゾルとして空気中を伝播し、交差感染のリスクを増大させることが危惧される。粒径の大きな飛沫は、術野に近い医療従事者に対して職業感染や院内感染の危険性が懸念される。また、粒径の小さなエアロゾルは診療室を長時間浮遊することが可能であり、院内感染対策の上で重要な問題である。感染の拡大を防ぐためには、バイオエアロゾルに含まれる微生物の数を減らすことが有効であると考えられる。チェアサイドでのエアロゾル対策口腔内外バキュームの使用に加え、病原微生物を含むバイオエアロゾルの発生自体を最小限とすることも効果的な感染予防策と考えられる。そのひとつとして、歯科治療前の洗口液によるうがいが挙げられ、その有効性もこれまでに報告されている。治療前の洗口は有効か?洗口剤20 mLを用いて30秒間洗口後に、超音波スケーラーを用いた口腔内洗浄で発生したエアロゾルを口腔外バキュームで回収し、細菌コロニー数を計測した研究がある。それによると、洗口を行っていない対照群に比べ、細菌コロニー数は94.1%、減少したと報告されている。この研究により、抗菌作用のある薬液による前処置としての洗口は、超音波スケーラーの使用によって発生するバイオエアロゾルの微生物含有量を大幅に減らすことができ、院内での感染管理方法として潜在的な可能性があることを示している。有効とされる洗口剤の種類一般的に使用されている洗口液として、クロルヘキシジン、ポビドンヨード、塩化セチルピリジニウム(CPC)などがあるが、口腔内の微生物を殺菌または不活性化することにより、発生するエアロゾルの汚染度を下げる作用がある。これらの洗口液の抗菌作用により、歯科治療において発生するバイオエアロゾル中の生菌が減少し、医療従事者への感染リスクを下げることができる。パンデミックが生んだ新たな感染対策新型コロナウイルスのパンデミックは、今までの感染予防対策を今一度見直すきっかけにもなった。手袋、マスクの使用だけでなく、ゴーグルまたはフェイスシールドの装着、歯科用ユニット・周囲・その他接触部位の消毒、印象剤・技工物等の消毒などに加えて、歯科治療前に洗口液を使用しうがいすること(治療前口腔内消毒)は、エアロゾルの微生物含有量を減らすことができ、医療従事者への感染リスクも減少させることができる。新型コロナウイルスの脅威によってクローズアップされることになったバイオエアロゾルの問題であるが、少しでも医療従事者への感染リスクを下げるため、洗口液によるうがいは有効な手段である。参考文献Cochrane Library, Kumbargere Nagraj S, Preprocedural mouth rinses for preventing transmission of infectious diseases through aerosols in dental healthcare providers (Review), February 2022(URL)
482 TSUNAGU
2022年12月26日

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