岡山大学歯学部、肥満と歯周病が関連するメカニズムを解明
岡山大学の研究チームは、ラットを用いた動物実験において、肥満のラットに特徴的な血液中のmicroRNAと歯周組織中のmRNAとの関連性について網羅的に解析し、肥満と歯周病の関連性についてのメカニズムを解明した。肥満と歯周病は以前から関連性が指摘されていたものの、具体的なメカニズムは明らかになっていなかった。研究成果は、先月学術誌であるJournal of Periodontal Researchに掲載されている。肥満が歯周病を引き起こすメカニズムを解明肥満とは、「異常または過剰な体脂肪の蓄積状態」のことである。肥満が全身の健康に悪影響を及ぼすことは、改めて説明する必要もないだろう。一方で、歯周病は成人が歯を失う原因のひとつであり、歯周病を予防することは健康な生活を送る上で重要な要素である。これまで、主に疫学調査において、肥満と歯周病の関連性が報告されていた。しかし、具体的に肥満と歯周病がどういったメカニズムで関連しているのかについてはよく分かっていなかった。研究チームは、このメカニズムを解明しようと考えた。研究では「高脂肪食を与えた肥満のラット」と「普通食を与えたラット」の歯槽骨の吸収状態を比較し、肥満のラットの方が歯槽骨の吸収が大きい、すなわち歯周病が進行していることを突き止めた。続いて、血液中のmicroRNA、歯周組織中のmRNAを網羅的に解析し、肥満のラットに特徴的な血液中のmicroRNA、歯周組織中のmRNAを列挙した。その後データベースを用いて血液中のmicroRNAと歯周組織中のmRNAの関連性について検討し、その結果、肥満に伴う血液中のmicroRNA(miR-759、miR-9a-3p、miR-203b-3p、miR-878の4種類)の変化が、歯周組織の遺伝子発現(Ly86、Arid5b、Rgs18、Mlana、P2ry13、Kif1b、Myt1の7種類)を変化させ、その一部の遺伝子が歯槽骨の吸収に関連していることを解明した。全身の健康にも目を向けることができる歯科医院に研究を担当した岡山大学学術研究院医歯薬学域予防歯科学分野の丸山貴之助教は、「肥満が歯周病にも関連していることを解明できた。口腔の健康を保つためには、歯や歯肉を診る歯科診療だけでなく、全身の健康にも目を向けることができるような歯科医師でありたいと思っている」と語っている。また研究チームは、「歯を失う主な原因である歯周病を予防するためには、歯科医院での歯周病治療も重要だが、全身の健康にも目を向け、肥満の予防を心がけることも大切であると考えられる」とプレスリリースにてコメントを発表している。参考文献Takayuki Maruyama, Terumasa Kobayashi, Yoshio Sugiura, Toshiki Yoneda, Daisuke Ekuni, Manabu Morita,Association between serum miRNAs and gingival gene expression in an obese rat model, Journal of Periodontal Research, DOI:10.1111/jre.12979.