歯科用語集
2025年10月28日

スタンダードプリコーション

「スタンダードプリコーション」とは?歯科用語の解説と症例を紹介

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定義・語源

スタンダードプリコーション(Standard Precautions)とは、感染症の予防を目的とした基本的な感染対策のことを指す。この用語は、1996年にアメリカ疾病予防管理センター(CDC)によって提唱され、すべての患者に対して適用されるべきとされている。スタンダードプリコーションは、血液や体液、分泌物、皮膚の損傷などを介して感染が広がるリスクを低減するための手段であり、医療従事者が常に実施すべき基本的な感染管理策である。具体的には、手洗いや手指消毒、個人防護具の使用、器具の消毒・滅菌などが含まれる。


臨床における位置づけ・判断基準

臨床現場において、スタンダードプリコーションは感染症予防の基盤となる。歯科医師や歯科衛生士は、すべての患者に対してこの原則を適用することで、感染症のリスクを最小限に抑えることが求められる。具体的な判断基準としては、患者の感染症の有無にかかわらず、常に手指衛生を徹底し、必要に応じてマスクや手袋、ガウンなどの個人防護具を使用することが挙げられる。また、器具の消毒や滅菌も重要であり、これにより院内感染の防止が図られる。スタンダードプリコーションの遵守は、患者の安全を守るだけでなく、医療従事者自身の健康を守るためにも不可欠である。

関連用語・類義語との違い

スタンダードプリコーションに関連する用語として、バリア・プレコーション(Barrier Precautions)や感染対策(Infection Control)がある。バリア・プレコーションは、特定の感染症に対する防護策を強調するものであり、スタンダードプリコーションの一部と考えられる。一方、感染対策はより広範な概念であり、スタンダードプリコーションを含むさまざまな感染予防策を指す。スタンダードプリコーションは、すべての患者に対して適用される基本的な対策であるため、特定の感染症に対する対策とは異なる点が重要である。これにより、医療従事者は常に一定の基準で感染予防に取り組むことができる。

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スタンダードプリコーションの理解と実践。歯科臨床での感染予防策とその効果

スタンダードプリコーションの理解と実践。歯科臨床での感染予防策とその効果

スタンダードプリコーションの定義と重要性スタンダードプリコーションとは、すべての患者に対して適用される感染予防策のことを指す。これにより、血液や体液を介して感染症が広がるリスクを低減することができる。歯科臨床においては、特に口腔内の処置が多いため、スタンダードプリコーションの理解と実践が不可欠である。この感染予防策は、歯科医師や歯科衛生士が日常的に行う処置や術式において、患者および医療従事者自身を守るための基本的な手段である。スタンダードプリコーションを適切に導入することで、感染症の発生を防ぎ、患者の安全を確保することができる。スタンダードプリコーションの具体的な手順スタンダードプリコーションには、いくつかの具体的な手順が含まれる。まず、手洗いや手指消毒が基本であり、処置前後に必ず行うべきである。次に、個人防護具(PPE)の着用が求められる。これには、手袋、マスク、ゴーグル、エプロンなどが含まれ、患者との接触時に感染リスクを低減する役割を果たす。また、使用する器具や機器の消毒・滅菌も重要な手順である。特に、歯科用器具は直接口腔内に使用されるため、徹底した管理が必要である。これらの手順を遵守することで、感染症のリスクを大幅に減少させることができる。スタンダードプリコーションのメリットとデメリットスタンダードプリコーションの最大のメリットは、感染症の予防効果である。これにより、患者の安全性が向上し、医療従事者自身も感染リスクから守られる。また、患者に対する信頼感を高めることにもつながる。一方で、デメリットとしては、手順が多く、時間がかかることが挙げられる。特に忙しい診療現場では、これらの手順を徹底することが難しい場合もある。しかし、感染予防の観点からは、これらの手順を怠ることは許されない。スタンダードプリコーションの導入における注意点スタンダードプリコーションを導入する際には、いくつかの注意点がある。まず、全てのスタッフがその重要性を理解し、実践することが求められる。教育や研修を通じて、感染予防策の意義を浸透させることが重要である。また、実際の診療現場においては、手順を守ることが難しい状況もあるため、常に見直しを行い、改善策を講じることが必要である。これにより、スタンダードプリコーションの効果を最大限に引き出すことができる。スタンダードプリコーションの症例と実践例実際の歯科臨床において、スタンダードプリコーションを適用した症例は多岐にわたる。例えば、歯周病治療や根管治療において、感染リスクを低減するために、適切な手指消毒や器具の滅菌が行われる。また、患者の口腔内に直接触れる処置では、必ず手袋を着用し、処置後には手洗いを徹底することが求められる。これらの実践例を通じて、スタンダードプリコーションの重要性を再認識することができる。まとめ:スタンダードプリコーションの実践がもたらす効果スタンダードプリコーションは、歯科臨床における感染予防の基本であり、その実践が患者と医療従事者の安全を守ることにつながる。手順を遵守し、教育を通じてその重要性を理解することで、より安全な診療環境を構築することが可能である。今後も、スタンダードプリコーションの理解を深め、実践することで、感染症のリスクを低減し、患者に信頼される歯科医療を提供していくことが求められる。
1D編集部
2024年6月1日
コロナ禍の歯科受診控えで「病状悪化」7割

コロナ禍の歯科受診控えで「病状悪化」7割

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、院内感染を懸念し医療機関への受診を控える動きが、全国的に出ている。岩手県保険医協会のアンケート調査では、この受診控えの傾向は以下よりも歯科で顕著であることが示された。同調査は2020年9月〜10月にかけて行われた。岩手県内の661名の開業医(医科317名、歯科344名)を対象として調査が行われ、医科からは68名(21%)、歯科からは66名(19%)の回答を得た。「受診控えで病状悪化」歯科は68%「受診控えにより病状悪化と思う事例があったか」という質問に対し、「あった」と回答したのは医科では5名(7%)に留まったが、歯科では45名(68%)に上った。医科では病状が悪化する前に受診しているが、歯科医院への受診は優先順位が低くなってしまい、病状が悪化してから受診している傾向があるようだ。特に、歯周病が悪化という報告が最も多く、コロナ禍による受診の中断によりカリエスが進行し抜歯・抜髄に至ったケースも報告されている。その他の意見としては、歯科受診控えや衛生用品・防護用品の価格高騰により、経営的に厳しい状況であるとの回答が多く寄せられた。その一方で、院内での感染を防止するために予約枠を調整するなどの対策を取っているとの回答も多く見受けられた。また、新型コロナ感染への懸念から受診を控えているわけではなく、コロナ禍により経済的に厳しい状況となって受診を控えているのではないかという指摘もあった。必要な受診さえも控えてしまう恐れ今回の調査結果を受け、同協会は「県民が必要な受診さえも控えてしまうことにより、病状が悪化することが懸念されるため、様々な媒体を通じて受診勧奨をしている」と語っている。昨年4月の厚労省による「緊急性がないと考えられる治療については延期すること」という旨の事務通知により、マスメディア等で歯科受診の危険性が報道された。しかし、歯科診療の現場ではスタンダードプリコーションを実施しており、手段を講じている。協会は、「自己判断で受診を控えず、かかりつけ医に相談して早期に適切な受診をしてほしい」と呼びかけている。
1D編集部
2021年1月11日
B型肝炎患者「歯科医院で差別的扱い受けた」報道をどう見るか?

B型肝炎患者「歯科医院で差別的扱い受けた」報道をどう見るか?

12月28日、毎日新聞は「B型肝炎感染者の2割が歯科で差別的な扱いを受けた経験がある」とする記事を掲載した。全国B型肝炎訴訟原告団・弁護団のアンケートより、歯科医療機関でB型肝炎に感染していることを伝えた患者の約2割が治療を断られたり、後回しにされたりするなどして差別的な扱いを受けたと感じた経験があると報じている。全国B型肝炎訴訟原告団・弁護団のアンケート弁護団は19年8月に原告約2万5000人にアンケート用紙を送付し、10歳未満~70代の7030人が回答。計3699人が受診時の問診票で感染を「常に伝えている」「伝えたことも、伝えなかったこともある」と答えた。B型肝炎感染者であることを伝えた際の対応には、「特別な部屋や椅子に案内された」7.9%(293人)、「自分の椅子だけシートを敷かれたり、周りをラップで覆われたりした」7.5%(276人)、「診療時間や予約時間を他の患者の後にされた」5.4%(198人)、「治療を断られた」3.6%(134人)など回答し、約2割が差別的な対応をされたと感じていた。「断られた」とした134人のうち、厚労省が感染防止の新基準を設けた18年10月以降に「断られた」と回答した人も11人いた、と続けている。このアンケート結果から弁護団は「感染症対策を徹底すれば偏見は解消できる。全ての歯科医は対策に取り組んでほしい」と訴えている。毎日新聞の見解また記事内では、厚労省の研究班の調査で「ハンドピースを患者ごとに交換、滅菌していると答えた歯科医は52%にとどまる」ことを受け18年10月、感染防止対策の研修を受けた歯科医を配置することや、十分な滅菌体制の整備などを届け出た医療機関の初診料と再診料の報酬を加算する一方、未届けの場合は減算する施策について言及し、19年10月現在において全国の歯科医療機関の5%程度が未届けという実態を指摘。「新型コロナウイルスの感染拡大で感染症に対する意識は高まっているが、標準予防策の理解は歯科医師によって濃淡があり、研修などを通じて理解を深める必要がある」と提言した。一筋縄ではいかない感染症患者対応国の推計では、未発症者を含む感染者は110万~140万人であり、弁護団は「多くの患者は感染を知らずに受診している。問診票で感染の有無を聞いても、感染対策の効果は低い。歯科医療機関は、患者が感染者であるかどうかを問わず、一律に器具を交換したり、滅菌したりしてほしい」と述べている。確かに、感染症患者からすれば「自分の椅子だけシートを敷かれたり、周りをラップで覆われたりした」ことや「診療時間や予約時間を他の患者の後にされた」ことが差別的な処遇であると感じるだろう。しかし医療側からすれば、医療機関である以上、従事者への感染と患者間の水平感染を起こすことは許されない。感染症であると判明した以上は感染のリスクを最小限にする、最大限の工夫が求められている。そして内科診療所と違い歯科診療所は基本的に「外科治療」を行う。日常生活での感染はないと言われている感染症であっても、接触感染のリスクが伴う特異的な場所になる。だからこそ全ての患者に、同等の感染症対策をすべきという、スタンダードプリコーションの概念は必須だという話なのだろう。そうすれば差別的な処遇にもなり得ないと。現状を省みて、「全ての患者」に同等レベルの対策をするのは現実的だろうか。新型コロナウイルス感染症対策の実情を見れば、その答えは自ずと出てくると思う。リテラシーの低い人たちはまた別だが、以前からスタンダードプリコーションに取り組んでいる歯科医療機関はたくさんあるはずだ。特に歯科医療者は自身の感染リスクが高いことを認識しており、保身のためにも徹底した対応をしている。一方的に「歯科」を標的とした記述はただのネガティブキャンペーンに過ぎない。大手メディアだからこそ、問題解決できるよう建設的な議論に持ち込んでほしい。参考文献毎日新聞, 2020年12月28日, B型肝炎感染者2割、歯科で「差別的な扱い」訴訟原告団・弁護団アンケート <URL>
ユースケ イシカワ
2020年12月29日
新型コロナウイルスで診療拒否はできるのか?:応召義務の解釈

新型コロナウイルスで診療拒否はできるのか?:応召義務の解釈

応召の義務とは、歯科医師法に規定されている義務であり第一九条 診療に従事する歯科医師は、診察治療の求があつた場合には、正当な事由がなければ、これを拒んではならない。となっています。では、これはどこまで適用されるのでしょうか?正当な事由とはなんでしょう?厚労省通知や判例から考察しました。厚労省見解から読み解く応召義務の基準最終的判断はケースバイケースと言わざるを得ませんが2019年12月25日厚生労働省は「応招義務をはじめとした診療治療の求めに対する適切な対応の在り方等について」と題する医政局長通知を都道府県に発出しました。これにより、一つの基準が設けられた事になります。そして以下のような明言もありました。医師法第19条第1項及び歯科医師法第19条第1項に規定する応招義務は、 医師又は歯科医師が国に対して負担する公法上の義務であり、医師又は歯科医師の患者に対する私法上の義務ではないではこの通知を元に遭遇し易いケースを見ていきましょう。1.診療時間外では拒否出来るか?通知では時間外診療について緊急性のある場合と緊急性のない場合に分けて以下の様に説明されていますが、基本的に診療時間外を理由に診療拒否は出来る可能性が高いとしています。a.緊急性のある場合応急的に必要な処置をとることが望ましいが、原則、公法上・私法上の 責任に問われることはない(※)。※必要な処置をとった場合においても、医療設備が不十分なことが想定されるため、求められる対応の程度は低い。(例えば、心肺蘇生法等の応急処置の実施等)※診療所等の医療機関へ直接患者が来院した場合、必要な処置を行った上で、救急対応の可能な病院等の医療機関に対応を依頼するのが望ましい。b.緊急性のない場合即座に対応する必要はなく、診療しないことは正当化される。ただし、 時間内の受診依頼、他の診察可能な医療機関の紹介等の対応をとることが 望ましい。2.診療時間内であっても拒否出来るか?診療時間内の拒否は基本的に、適切な医療が提供出来ない場合に診療拒否が成立する事が多いです。例えば、高度医療が必要な為、小さい開業医では難しい場合や、新たな患者に対応する余裕が無いときです。a.緊急性がある場合  医療機関・医師・歯科医師の専門性・診察能力、当該状況下での医療提 供の可能性・設備状況、他の医療機関等による医療提供の可能性(医療の 代替可能性)を総合的に勘案しつつ、事実上診療が不可能といえる場合にのみ、診療しないことが正当化される。 b.緊急性がない場合原則として、患者の求めに応じて必要な医療を提供する必要がある。ただし、緊急対応の必要がある場合に比べて、正当化される場合は、医療機関・医師・歯科医師の専門性・診察能力、当該状況下での医療提供の可能性・設備状況、他の医療機関等による医療提供の可能性(医療の代替可能性)のほか、患者と医療機関・医師・歯科医師の信頼関係等も考慮して緩やかに解釈される。3.迷惑、医療費不払い患者は拒否出来るか?いわゆるクレーマーを拒否出来るかどうかですが。通知を見てみると以下の様に書いてあります。診療・療養等において生じた又は生じている迷惑行為の態様に照らし、診療の基礎となる信頼関係が喪失している場合(※)には新たな診療を行わないことが正当化される。※診療内容そのものと関係ないクレーム等を繰り返し続ける等。 ここで注目したいのは診療基礎となる信頼関係が喪失している場合、という文です。こちらの治療に何かと注文を付けて来る患者は拒否したいと思われますが、過去の裁判例ではいわゆる「うるさい患者」くらいでは難しいかと思われます。迷惑患者を診療拒否し、応召の義務違反だと患者に訴えられたが勝訴した例を挙げてみます。平成28年9月28日東京地方裁判所判決<患者が歯科矯正治療を拒否されたことについて約350万円の損害賠償を請求した事例>裁判所は歯科医師には治療を拒む正当な理由があったとして歯科医院を勝訴させた。・歯科医師が患者に対して、「どうして他の歯科医院に行ったのか」などと強い口調で尋ねたところ、患者が診察台から立ち上がろうとしたため、歯科医師が手で患者の体をおさえ、そのままつかみあいになり、双方とも床に倒れこむという事件が起きた・患者は歯科医師に対し「若いときから先生とか言われて勘違いしている」などの発言をしていた・上記の事件について、歯科医院のスタッフが警察に通報し、警察で事情聴取を受ける事態となった・この事件以前にも、治療方針をめぐってつかみ合いに発展するトラブルが生じており、また治療費の支払いをめぐるトラブルも生じていた裁判所は、以上の状況を踏まえ、応召義務違反を否定している。平成26年5月12日東京地方裁判所判決<病院側から患者に訴訟を起こし、病院に損害賠償義務がないことの確認を求めた事例>裁判所は治療を拒む正当な理由があったとして病院側を勝訴させた。・4年前の手術について説明を求めた際に、院長の説明に納得せず、次第に声を大きくして、感情的な態度に出たことから、警察を呼ぶ事態になった・その後も何度も来院して謝罪や説明を求め、病院はそのたびに1時間あるいは2時間程度の対応を要し、また院長から促されても帰らないなどの態度に出た裁判所は、以上の状況を踏まえ、応召義務違反を否定している。もっともこれらは「応召の義務」で争ったケースなので、患者拒否の全般を指すものではありません。信頼関係の喪失では、他に医師の指示に従わないというケースがあります。検査を拒否する、投薬を無視するなどです。こちらはそもそも治療が出来ない事に繋がりますので、クレーマーよりかは診療拒否が認められやすいかと思われます。4.医療費不払いの患者は拒否出来るか?以前に医療費の不払いがあったとしても、そのことのみをもって診療しないことは正当化されない。しかし、支払能力があるにもかかわらず悪意を持ってあえて支払わない場合等には、診療しないことが正当化される。具体的には、保険未加入等医療費の支払い能力が不確定であることのみをもって診療しないことは正当化されないが、医学的な治療を要さない自由診療において支払い能力を有さない患者を診療しないこと等は正当化される。また、特段の理由なく保険診療において自己負担分の未払いが重なっている場合には、悪意のある未払いであることが推定される場合もある。診療費を理由とした診療拒否は、一回不払いがあった程度を理由には出来ません。また、保険証を持ってないので支払い能力が無い、との理由も成立しません。ただ、自費診療では支払いを理由に拒否は可能な場合が多いです。5.転院(紹介)する事により拒否出来るか?医学的に入院の継続が必要ない場合には、通院治療等で対応すれば足りるため、退院させることは正当化される。医療機関相互の機能分化・連携を踏まえ、地域全体で患者ごとに適正な医療を提供する観点から、病状に応じて大学病院等の高度な医療機関から地域の医療機関を紹介、転院を依頼・実施すること等も原則として正当化される。先ほどの診療時間内においての診療拒否では、施設規模などにより治療困難である場合に診療拒否。紹介が認められとの事でしたが逆に大きな病院から小さな病院への転院も拒否事由として認められています。6.労働基準法に違反していたら拒否出来るか?勤務医の方で自身の労働時間外に拒否が出来るかの問題となります。労使協定・労働契約の範囲を超えた診療指示等については、使用者と勤務医の労働関係法令上の問題であり、医師法第19条第1項及び歯科医師法第19条 第1項に規定する応招義務の問題ではないこと。(勤務医が、医療機関の使用者から労使協定・労働契約の範囲を超えた診療指示等を受けた場合に、結果として労働基準法等に違反することとなることを理由に医療機関に対して診療等の労務提供を拒否したとしても、医師法第19条第1項及び歯科医師法第19条第1項に規定する応招義務違反にはあたらない。)通知では労働基準法に違反するために労務提供の拒否をしても応召義務違反には当たらないとしています。7.外国人、感染症の患者は拒否出来るのか?患者の年齢、性別、人種・国籍、宗教等のみを理由に診療しないことは正当化されない。ただし、言語が通じない、宗教上の理由等により結果として診療行為そのものが著しく困難であるといった事情が認められる場合にはこの限りではない。このほか、特定の感染症へのり患等合理性の認められない理由のみに基づき診療しないことは正当化されない。ただし、1類・2類感染症等、制度上、 特定の医療機関で対応すべきとされている感染症にり患している又はその疑いのある患者等についてはこの限りではない。言葉が通じない場合、相手の習慣で治療が出来ない(例えば、結婚前の女性は、いかなる理由があろうと男性が触れてはならない文化等)の場合は拒否出来ます。感染症についての診療拒否ですが、まずHIV感染患者の拒否は難しいです。厚生労働省はHIV感染者の歯科治療はスタンダードプリコーションに則り可能との認識を示しています。今年3月に行われた裁判も記憶に新しい事例です。1D歯科ニュース「HIVを理由に歯科診療拒否は不法行為」歯科医院に賠償命令新型コロナウイルスに関しては、厚生労働省の通達によると「疑い」の時点で拒否することは難しいとしています。患者が発熱や上気道症状を有しているということのみを理由に、当該患者の診療を拒否することは、応招義務を定めた医師法(昭和23年法律第201号) 第19条第1項及び歯科医師法(昭和23年法律第202号)第19条第1項にお ける診療を拒否する「正当な事由」に該当しないため、診療が困難である場合は、少なくとも帰国者・接触者外来や新型コロナウイルス感染症患者を診療可能な医療機関への受診を適切に勧奨すること。感染症に関しては、スタンダードプリコーションを振りかざせば殆どの感染症を拒否出来なくなります。現実的に考えるならば、肝炎やHIVの様にウイルスの特性が教科書レベルで周知されている感染症の拒否は難しく、今回の新型コロナウイルスなど未知の部分が多い感染症に関しては専門の医療機関に紹介する事に問題はないように感じました。応召の義務違反をするとどうなる?応召の義務には罰則規定はありません。そのため違反した事により罰金や禁錮・懲役もありませんが民事で訴えられることはあります。違反することで歯科医師法7条の歯科医師としての品位を損する行為として認定され行政罰の対象とする事は出来ますが、実際に行われた事はないとの事です。時代とともに変化する義務さて、ここまで応召の義務を見てきましたが、思いの外診療を拒否出来るケースが多いと感じたのでないでしょうか。かつての「お医者様ならどんな病気も診られる」「医者だったら休暇などない」といった時代から医療を取り巻く環境も大きく変化し、世の中の考え方も変化しました。今回の通知は、医者だろうが出来ない事は出来ないと表明しているように感じます。どんな状況であろうと、どんな患者でも診療するというのは素晴らしい事です、しかし現実にそれを行えば医療は成立しなくなり、最後には患者が被害被る事になります。それを踏まえた通知であり、今後はこの考えが基準になっていくのではないでしょうか。歯科セミナーなら「1D(ワンディー)」で!日本最大級の歯科医療メディア「1D」では、診療に役立つオンラインセミナーを多数開催中。もっと知りたい臨床トピックから超ニッチな学術トピックまで、参加したいセミナーが見つかります。下記ボタンから、開催中のセミナーを見てみましょう!開催セミナーを見てみる参考文献厚生労働省医政発1225第4号令和元年12月25日「応招義務をはじめとした診療治療の求めに対する適切な対応の在り方等について」[PDF]厚生労働科学研究費補助金エイズ対策政策研究事業「HIV患者歯科治療ガイドブック」[PDF]厚生労働省「新型コロナウイルス感染症が疑われる者の診療に関する留意点について」[PDF]厚生労働省「医療を取り巻く状況の変化等を踏まえた 医師法の応召義務の解釈についての研究」 [PDF]
田中 まさし
2020年5月18日

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