東北大学が金属アレルギーを引き起こさない歯科矯正用ワイヤーを開発
東北大学病院矯正歯科の伊藤新助教、東北大学大学院歯学研究科顎口腔矯正学分野の北浦英樹准教授および溝口到教授の研究グループは、矯正用ワイヤーをコーティングすることでアレルゲンとなる金属の溶出を抑制が可能になったと発表した。研究成果は2022年9月22日、オープンアクセスジャーナルのApplied Sciencesに掲載されている。この研究により、金属アレルギーを有する患者に対してもコーティングを行うことで、ステンレススチール製ワイヤーを適用できる可能性が期待できるとしている。歯科アレルギーに関するセミナー開催11月11日(金)、歯科で注意すべきアレルギーの種類と対応法について学べるセミナーが開催。講師には長年、東京医科歯科大学病院歯科アレルギー外来で臨床教授を務め自院でも専門外来を設ける松村光明先生を招く。1Dプレミアム会員は無料で受講できるのでこの機会に知識を身につけておいて損はないはずだ。1Dプレミアムでセミナーを見るアレルギー患者への対応は以前から議論矯正歯科で用いられる金属で特に金属アレルギーを引き起こしやすい金属として、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)およびクロム(Cr)などが知られている。中でもステンレススチール製の矯正用ワイヤーは剛性が高く機械的特性が優れているため、最も臨床で用いられるワイヤーの一つだが、材料金属としてNi、Crを含んでいるため口腔内にこれらの金属イオンが溶け出た場合、金属アレルギーを有する患者には使用が困難だった。以前からステンレスチール製ワイヤーの表面を改良し、金属アレルギー患者でも使用できる矯正用ワイヤーの開発は望まれていた。同研究グループはステンレススチール製矯正用ワイヤーにイオンプレーティング法(*)を用いてTiNコーティングを行うことで、ワイヤーを強酸に浸した際のNiおよびCrイオンの溶出量を抑制できることを発見した。最新のコーティング技術で実現本研究で採用されたイオンプレーティング法(*)による TiN コーティング技術は、金属との密着強度、耐摩耗性、耐スクラッチ性に優れており、特に医療機器、工業製品などで応用が進んでおり、Tiが原材料であるため生体適合性にも非常に優れたコーティングだ。またコーティングが剥離する原因として考えられる日常的に行うブラッシング、さらにワイヤーベンディングの影響についても検討。歯ブラシでワイヤーを 20000回磨いた後に電子顕微鏡およびエネルギー分散型分光法を用いてコーティングの剥がれについて解析したところ剥離は認められなかったそうだ。一方で、ワイヤーを曲げる角度が大きくなるにつれては金属溶出が認められ、さらなる改良が必要とされている。*金属のコーティング方法の一つ。電子ビームでTi等を蒸発させプラズマを通すことで正に帯電させ、一方で負に帯電処理を行った金属に電気的引力でコーティング膜を形成する方法である。知らなきゃヤバい、歯科アレルギー11月11日(金)、歯科で注意すべきアレルギーの種類と対応法について学べるセミナーが開催。講師には長年、東京医科歯科大学病院歯科アレルギー外来で臨床教授を務め自院でも専門外来を設ける松村光明先生を招く。1Dプレミアム会員は無料で受講できるのでこの機会に知識を身につけておいて損はないはずだ。1Dプレミアムでセミナーを見る参考文献「金属アレルギーを引き起こさない歯科矯正用ワイヤーを開発 〜TiNコーティングで歯磨きしても金属溶出を防止〜」, 東北大学大学院歯学研究科プレスリリース, 2022年10月12日「Analysis of Coating Loss from Coated Stainless Steel Orthodontic Wire」, Arata Ito, Hideki Kitaura, Applied Sciences, 22 September 2022